<日記>
過去の日記(2013年9月〜12月)


<4・30>
・電撃大王が20周年。
 先日、書店によって雑誌コーナーに置かれた「電撃大王」今月号の表紙を見て、この雑誌が20周年ということを知りました。20周年ということは創刊は1994年。90年代創刊の雑誌として、ちょうどこのサイトで扱う少年ガンガン(91年創刊)やGファンタジー(93年創刊)と同時期で、90年代に創刊して成功した雑誌のひとつと言えます。加えて、この雑誌については、かつてこの時期に角川書店からお家騒動で分離し、そして十数年後に再び角川グループに吸収されたメディアワークスの歴史とそのままかぶるものがあります。

 もともと、角川書店でゲーム雑誌などを作っていた一部の編集者グループが、いわゆるお家騒動を起こして離脱したのが1992年。新会社を立ち上げたあと、そちらでも「電撃」レーベルのゲーム雑誌をいくつも創刊し、そのひとつに「電撃王」というコンピュータゲーム全般を扱う総合誌がありました。そのゲーム誌でコミックスの増刊として創刊されたのが、この電撃大王でした。

 メディアワークスからは、もうひとつ「電撃コミックガオ!」という雑誌が先立って創刊されており、最初のうちはこちらの方が勢いがありました。しかし、2000年代以降不振に陥り、最終的には休刊に陥ってしまい、代わってこの電撃大王が中心雑誌となりました。ここからの増刊で「電撃帝王」や「電撃大王ジェネシス」という雑誌が刊行されていたこともありましたが、いずれも今では休刊しています。結局20年続いたのはこの雑誌だけでした。

 雑誌の中心となっているのは、主に自社ライトノベルやアニメからのメディアミックスで、これが雑誌の多くを占めていることは否定できませんが、しかしその一方でオリジナルにも力を入れてきて、ここからの良作も多く輩出しています。今でも続いているものとして「よつばと!」「苺ましまろ!」、かつての名作としては「あずまんが大王」「Gunslinger Girl」などは外せないでしょう。
 一方でメディアミックスのコミカライズは多種多彩ですが、一番の看板を上げるとすれば、「とある魔術の禁書目録」のスピンオフである、「とある科学の超電磁砲」でしょうか。さらなるスピンオフ「とある科学の一方通行」も始まりました。最近では「魔法科高校の劣等生」の込みカライズももうひとつの看板になっているようですね。

 こうした人気作に加えて、最近始まったオリジナルの連載陣も中々面白いものがあると思います。きららキャラットでも「Aチャンネル」を連載中の黒田bbの新作コメディ「あまりまわり」、創作同人から始まった異色ラブコメ「俺のぱんつが狙われていた。」、弦楽四重奏団にドラムスの女の子が加わってバンドを始めるロックバンドコメディ「こもりクインテット!」、あとはかつてはスクエニで長く活動していたこがわみさきさんの「はしっぽ花星」も数年前から連載されています。メディアミックス連載と違ってこちらにはこがわさんのような少女マンガ的な作品も見られるなど、柔軟性もある雑誌になっていると思いますし、これからも健闘してほしいと思います。


<4・27>
・「牙の旅商人」の再開はいつか。
 ヤングガンガンのダークファンタジー「牙の旅商人」が連載を休載してからもう随分長く経ちます。調べてみると、最新コミックス6巻が発売されたのが一昨年(2012年)の11月で、その直後に休載して以来、ずっと再開されないままになっています。

 「牙の旅商人」は、荒廃した西欧風ファンタジー世界(おそらく現代文明が滅んだ後の世界)を舞台にしたダークファンタジーとも言える作品で、武器商人の女性と両親の仇を求める少年2人の旅を描くストーリーとなっています。作者は原作が七月鏡一、作画が梟(ナイト オウル)。重厚な世界観と設定、迫力のアクション、謎を秘めたストーリーと、それを描く梟の徹底的に緻密な作画が大きな魅力で、本格ファンタジーとしてヤングガンガンでも屈指の実力派作品だったと思います。

 長期休載するまでの連載は至って順調で、コミックスも6巻までコンスタントに出ていました。ヤングガンガンでは、こういった青年誌的な硬派のアクションものをいくつも連載してきましたが、その中でも最も安定した人気を得た最有力作品だったと思います。2012年には、フランスのManga Sanctuary Awardsという賞で2012年ベスト青年漫画賞を受賞したという喜ばしい話もありました。確かに海外でも認められるだろう実力はあったと思います。

 ヤングガンガン公式、及び作者のTwitterなどでの告知によると、作画担当の梟さんの病気療養のための休載とありました。これが昨年の2月くらいのことで、その後もう1年以上経過しています。ヤングガンガンでは、大小の休載はあれこれ多く、ある程度長い休載からそのまま連載が立ち消えになるケースも何度かありました。中には、作画担当者の急死によって連載が中断した「キャタピラー」のようにやむを得ないケースもありました。

 しかし、この「牙の旅商人」に関しては、このまま連載が立ち消えになるとは思えません。原作者の七月さんのTwitterを見る限りやる気は十分あるようですし、梟さんが復調して十分に準備が整ったところで再開するのではないかと。上記の「キャタピラー」も、新たに作画担当者を迎えて奇跡的に復活しましたし、あるいは「牙の旅商人」以上の長期の休載から掲載誌を変えて(ビッグガンガン)再開した「ユーベルブラット」という例もあります。こうした先例からも期待して復活を待ちたいと思います。


<4・23>
・スクエニの次のアニメ化作品を考える。
 前回の日記で、スクエニのアニメがまた多すぎて把握し切れなくなっていると書きましたが、今回は自分に対する確認も兼ねてそれを整理してみました。

 まず、この春から始まってるのが、ガンガン連載「ソウルイーターノット!」、ガンガンJOKER連載「一週間フレンズ。」、ヤングガンガン連載「マンガ家さんとアシスタントさんと」の3つ。
 さらに、これから先のアニメ化が決まっているのが、ガンガンJOKER連載「アカメが斬る!」「繰繰れ!コックリさん」、Gファンタジー連載「黒執事」(3回目のアニメ化)、ビッグガンガン連載「ハイスコアガール」、ガンガンONLINE連載「ばらかもん」「月刊少女野崎くん」、とこれで全部かな。なんと今の時点で5つも決まっています。以前より、スクエニはコミックのアニメ化で収益を稼ぐビジネスを行っていますが(これはスクエニの田口さんもいつぞやの講演で発言しています)、ここに来てまたその動きが加速してきたような気がします。一時期アニメ化できる有望な作品が少なくなった時期もありましたが、最近はまたいい作品が増えてきたということでしょうか。特にガンガンONLINEの堅調ぶりは非常に大きいと思いますね。

 わたしも、この中ではそのガンガンONLINEからの2つのアニメ化「ばらかもん」と「月刊少女野崎くん」に、今のところ最も期待しています。「ばらかもん」は、五島列島で暮らすことになった若き書道家と、彼の周囲を取り巻くおおらかな島の住人たちの交流を描くコメディで、個性豊かなキャラクターたちとの賑やかで心の底から笑える楽しい生活を余すことなく描いています。原作からしてとても面白いのですが、この作品ならアニメでも幅広い視聴者に受け入れられ楽しまれるのではないでしょうか。さらに、放送を行うのは日本テレビ。このところ「GJ部」「てさぐれ!部活もの」のような深夜アニメでも良作を出してきてますし、これは大いに期待しています。

 もうひとつ、「月刊少女野崎くん」は、男子高校生にして少女マンガ家・野崎くんと彼を手伝う生徒たちの、笑える仕事と高校生活ぶりを描いた4コママンガで、とにかくギャグ・コメディ4コマとして本当に面白い、非常にレベルが高い作品になっています。作者の椿いづみさんは、すでに「花とゆめ」で長く連載している「俺様ティーチャー」で大人気を博していて、この野崎くんも最初から大きな注目を集めていました。アニメ化にも当初から大きな反応が返って来ていますし、現時点で最も読者に期待されている作品と言ってもいいでしょう。こちらは7月からの放映も決まっているようですし、わたしも夏を楽しみにしたいと思います。

 TVアニメ「ばらかもん」公式サイト
 TVアニメ「月刊少女 野崎くん」公式サイト


<4・20>
・「一週間フレンズ。」のアニメが思った以上に好評。
 このところ、またスクエニのアニメ化作品が多数出てきたようで、自分でもどれだけあるか把握しきれなくなっているのですが、とりあえずこの春から放送が始まったのは「一週間フレンズ。」「ソウルイーターノット!」「マンガ家さんとアシスタントさんと」の3つのようですね。

 どれも好評のようで何よりですが、その中でもかなり大きな話題となっているのが、ガンガンJOKERの連載「一週間フレンズ。」のアニメでしょうか。原作は、雑誌内でもそれほど目立たなかった作品なので、アニメ化が決まったこと自体まず驚いたのですが、それが非常な好評を集めていることで、アニメ化されてよかったと改めて思いました。

 「一週間フレンズ。」は、一週間で友達との記憶がなくなってしまう女の子と、彼女と何とか友達になろうと奮闘する同級生の男の子の交流を描いた作品で、ほのぼのとした雰囲気と絵柄で、4コマ形式のコメディも含む作品でありながら、一方でかなり重くシビアな設定とストーリーをも抱える作品です。極めて繊細で叙情的な作品でもあり、その点でもアニメ視聴者の好みは割れるかなと思っていました。しかし、アニメは、そんな原作を丁寧にひとつひとつのシーンをじっくりと描いており、声優陣の熱演もあって、素直に感動できる良作となっていました。それゆえか開始直後からかなりの好評を得て、原作のコミックスの売れ行きも一気に伸び、一部で手に入らないという声まで聞きました。「隠れた良作」的なマンガだと思っていただけに、アニメを機会にこうして多くの人の目に触れたことをうれしく思います。

 原作の作者の葉月抹茶さんは、この「一週間フレンズ。」以前にも、ガンガンONLINEで「君と紙ヒコーキと。」という連載を行っていて、そちらも叙情的な作風の学園ものとなっていて、かつてはこちらも大いに気に入っていました。「一週間フレンズ。」と極めて近い雰囲気を持つ良作だと思いますし、アニメで興味を持たれた方は、是非こちらも手に取ってほしいと思います。

 『一週間フレンズ。』TVアニメ公式サイト
 公式サイトでは、ヒロイン香織が作中で書く日記を音読するという泣かせる企画も。


<4・16>
・「すみっこの空さん」とその舞台。
 コミックブレイド連載のたなかのかさんの最新作「すみっこの空さん」。その最新5巻で、空さんたちが住んでいる丘の上の町を降りて宮島へと渡る話が出てきて、意外な舞台に驚きました。実在の場所が舞台となった作品はいくらでもありますが、しかしこの作品の場合、最初のうちはそうした設定は出てこなかったので、後になって実在の場所が出たことで驚いてしまったのです。

 さらに、その少し後の話でも、海沿いにホームがある駅が登場します。宮島に渡れる場所が作品の舞台ということは、この駅も宮島に近い場所なのかな・・・と思っていました。すぐ近くの日帰りで行ける場所に在住しているわたしとしては、先日たまたまその場所に行く機会を得て、ちょっと調べてみたくなっていろいろ調べたところ、やはりこの駅も実在の場所をモデルにしていました。

 それは、宮島へ渡る本土側の駅である宮島口から、私鉄の広島電鉄(広電)で北に数駅行ったところの「阿品東」という駅でした。どうも見る人が見るとすぐに分かるほどそのままの光景を描いていたらしく、すぐそばに海のあるロケーション・辺境の簡素な作りのホーム・2つのホームをつなぐ歩道橋、そしてホームの片隅に置いてある自動販売機までそのままでした。

 この作品で描かれる風景は非常に美しく、広々とした場所に風が吹き渡るようなシーンに引き込まれるものがあるのですが、特にこの駅のシーンはすぐ近くに海が見えることで、とりわけすがすがしい景色となっています。それが、今回実在する場所だということがはっきりと分かって、さらに強い憧憬を感じてしまいました。

 作者のたなかのかさんは、広島県出身で、以前の連載「タビと道づれ」でも尾道をモデルにした街を舞台にしていたことから、今回の設定もありえる話だとは思いましたが、やはり広島のそれも自分の住んでいる場所(岩国)から程近い場所が舞台だと分かって、ちょっとうれしくなりました。わたしは、聖地巡礼のようなことは今まで一度もやったことがなかったのですが、マンガの中で舞台となっている場所に実際に行けるというのは、中々楽しいものだと思いました。

 すみっこの空さん 33話た中(たなかのか)
 作者のブログでも紹介されていました。モデルにした駅は広電の阿品東→山陽女子大前→鈴が峰女子大前 あたりとのこと。


<4・13>
・マンガ装丁大賞について語ってみる。
 最近アニメについて話題にすることが多かったので、今回は原点に帰ってマンガの話題。少し前の話になりますが、毎年こちらのブログで行われている「この装丁がすごい!〜漫画装丁大賞〜」、2013年度の結果も発表されました。

 この装丁がすごい!〜漫画装丁大賞〜2013 【ベスト100+α】 良いコミック

 これはと思うコミックスの表紙を取り上げてレビューするこの企画、毎回300もの表紙を紹介していて、レビューの内容も詳細で感心することしきりです。300もあると自分の知らないコミックスも多いのですが、「こんな表紙があったのか」と毎回思ってしまいます。どの表紙のデザインも当然プロのデザイナーが手がけているわけで、やはりよく考えられているのだなと改めて思います。今回は、上位の作品で知っているものの中では「エリア51」や「購買のプロキオン」、読んでない作品では「ひきだしにテラリウム」「思春期ビターチェンジ」「極楽長屋」などが特にいいと思ってしまいました。

 このサイトで扱うスクエニのコミックスも、改めて考えると印象深い表紙はいくつもありました。ずっと以前、サイトの掲示板に書き込みがあった頃、「スクエニのコミックスの表紙はいいデザインのものが乏しい」と、さほど評価しない意見もあったのですが、必ずしもそうとは思いません。また、最近は以前よりさらにいいデザインの表紙は増えたと思います。

 まず、有名どころとしては、「鋼の錬金術師」や「黒執事」のコミックス表紙は、かなり目立ついいデザインになっていると思います。いずれも黒を基調としてやや落ち着いたデザインながら、その黒が作品性もよく表した印象的なデザインになっていました。今見ても屈指の表紙デザインではないかと思います。

 さらに、手がけたデザイナー絡みでよく知られた表紙として、「ぱにぽに」のコミックスがあります。「あずまんが大王」の表紙でも知られるよつばスタジオの里見英樹さんデザインで、彼はこれ以外にも数多くの洗練されたデザインの表紙を手がけていて、非常に高い評価を受けています。中でもこの「ぱにぽに」の表紙は代表的な作品ともいえ、出版社の枠を超えてスピンオフ作品「まろまゆ」でもあえて同じデザインで統一されて、それも当時話題となりました。

 最近では、さわやかな白と印象的な枠取りで構成された「プラナス・ガール」、主人公の描く書道の文字タイトルが印象的な「ばらかもん」などの表紙が、特に気に入っています。これからもどんなデザインの表紙が出るか、毎回楽しみにしてマンガライフを送りたいと思います。


<4・9>
・「のんのんびより」アニメ2期制作決定!
 今回の日記は他の予定もありましたが、やはりここは予期せぬうれしい話題だった「のんのんびより」のアニメ2期の制作決定のニュースを取り上げたいと思います。原作の連載開始時からずっと読んできて、なにげにサイトのトップにもずっと応援バナーを貼り続けているこのマンガ、先の10月から放映されたアニメの出来も素晴らしく、その完成度の高さに感心せずにはいられない出来となっていました。

 原作の、田舎を舞台にした賑やかなギャグコメディもとても面白いのですが、アニメではそれに加えて美しい背景描写、田舎ののんびりした空気をより前面に押し出していて、他の日常系とも一味違う味わい深い作品となっていました。これならば深夜ではなく夕方に放映してもいい、むしろNHKがこれを放映してくれと思ったくらいで、幅広く誰もが楽しめる作品となっていたのです。

 この手の深夜アニメとしては、円盤(ブルーレイ・DVD)の売り上げも予想以上のものがあり、さらには原作コミックの売れ行きも大きく伸びるなど、人気の上でも申し分ありませんでした。しかし、過去の日常系アニメを見る限り、続編(2期)を達成したものは多くなく、「ひだまりスケッチ」や「けいおん!」のような突出した爆発的な人気でもない限り、続編は難しいかとも思っていました。それが、こんなに早い時期に2期決定のニュースが流れたことで、喜ぶと同時に非常に驚いてしまいました。

 こうした日常系作品は、一定の熱心な固定ファンを抱えてはいるものの、それ以外で注目されることは少なく、この「のんのんびより」も、原作マンガがそれほど知られてなかったこともあって、放送前の注目度・前評判はそれほどでもなかったと思います。それが、放映中にどんどん評価を高めていき、売り上げでも優秀な成果を収め、ついには順調すぎる2期決定。少し前の「きんいろモザイク」のアニメも続編が決定したように、日常系作品が幅広く安定した評価を得る大きな兆しが見えてきたかもしれません。

 「のんのんびより」の話に戻ると、現時点で原作のストックは多くなく、最新巻である6巻のエピソードまで一部アニメで使っていて、次の7巻はまだ発売されてもいない状態で、それがちょっと心配です。しかし、未消化の話の中にも面白いものは多く、6巻の終盤から始まった沖縄旅行編や、なぜか2巻で唯一アニメ化されなかった夏海とれんげがセミ取りに行く話など、これはアニメで見たいと思える話はいくつもあります。放送は少し先の話になるかもしれませんが、その時を心待ちにしたいと思いますね。


<4・6>
・ノブナガン最高に面白かったです・・・。
 放送開始直後と放送途中にこれまで2度もこの日記ですでに書いている、久正人原作マンガのアニメ「ノブナガン」ですが、最終13話まで見てその確かな面白さに唸ってしまいました。間違いなくこれは質の高い面白いアニメでした。放送開始直後に「チープ過ぎて心配になるようなアニメ」とか書いてまことにすみませんでした。紛れもない良作として認識を大いに改めたいと思います。

 そこまで面白かった理由は、まず原作の面白さをよく理解して再現していたこと。原作マンガは、過去の偉人や英雄の遺伝子を受け継いだ人間と、宇宙からの侵略者「進化侵略体」との戦いを描くSFバトルアクションですが、敵味方共に意外なほど深く考えられた設定が感じられ、これが非常に面白かったのです。偉人や英雄の過去の意外な真実や、進化侵略体たちの極めて高度に組織化された構造など、作者の頭の良さを感じる設定を、アニメでも存分に味わうことが出来ました。

 加えて、アニメならではのオリジナル要素、独自の演出もよく出来ていました。主人公が所属する、侵略体に立ち向かう組織のリーダー(司令)は、原作以上にずっと詳しく過去を掘り下げたエピソードが見られました。彼女に付き従う執事キャラクターのサンジェルマンは、アニメのオリジナルキャラクターでありながら重要な役割を占め、その存在感を存分に見せてくれました。戦闘シーンもアニメならではの凝ったカメラアングルや迫力のBGMなど、盛り上がる演出に満ちていて引き込まれるに十分でした。

 声優陣の演技もよかった。特に、主人公の小椋しおを演じた武藤志織さんは、このアニメが初出演の新人でありながら懸命の演技を見せてくれました。 当初はそれでもまだ慣れてないかなと思わせるところもありましたが、回を重ねるに連れて顕著な上達が見られ、最後の頃は引き込まれるほどの迫力の演技まで見られました。彼女は原作者の久正人さんも絶賛してお墨付きを与えたと聞いてますが、その実力は確かでした。周囲を固めるベテラン声優陣の演技ももちろん安定していて、本当にいいキャストにも恵まれたと思います。

 原作が掲載されているコミックアース・スターは、まだまだ評価は芳しくない雑誌だとは思いますが、しかしこうして30分のアニメを成功させたことは大きな収穫だと思います。これは次に放送が決まっている「ヤマノススメ」の2期にも大いに期待できますね。


<4・2>
・「未確認で進行形」の原作者・荒井チェリーさんの作品を振り返る。
 先日まで放送され最終回を迎えた「未確認で進行形」のアニメですが、期待を超えてさらに面白い作品に仕上がっていて感心してしまいました。原作は、一迅社の4コマ誌ぱれっとに掲載されている荒井チェリーさん作の4コママンガですが、良作の多い4コママンガのアニメ化のなかでも、特に面白い作品になっていたと思います。

 さて、その荒井チェリーさんですが、この「未確認で進行形」以外にも、これまでに数多くの4コママンガを描いています。このアニメで初めて作品に触れたという人も多いと思いますが、興味をもたれたら他のマンガにも触れてほしいと思いますし、ここで少し紹介してみたいと思います。

 まず、作者の最長連載で代表作であるまんがタイムきららの連載「三者三葉」は外せません。2003年からの連載で10年を超えた超長期連載となっています。きらら系でも10年を超えた連載は現時点ではこれくらい。もちろん最長連載となっています。三者三葉(三様)というタイトルどおり、3人の女の子を中心にしたコメディで、こちらの方がオーソドックスな萌え4コマ(きらら系4コマ)の作風をよく表していると思います。その点でもまずアニメ化するならこれだと思っていたので、「未確認で進行形」の方が先にアニメ化されたのを意外に思った読者も多いのではないでしょうか。

 さらに、初期のころにまんがホームとタイムで掲載された「みおにっき」「ゆかにっし」。それぞれ妹と姉を主人公して互いにリンクしていて、コミックスの表紙も色違いの対になっています。このコミックス2冊が書店に並んでいたのを少し懐かしく思い出します。
 きらら系雑誌での連載が続きます。きららフォワードの連載で、なぜか前世の記憶を取り戻した少女と主人公のほのぼのコメディ「キミとボクをつなぐもの」、きららキャラットの連載で校内便利屋の活躍(?)を描くコメディ「ハッピーとれいるず!」、同じくきららキャラットの連載で高校生の男女4人のラブコメディ「せいなるめぐみ」、さらにきららMAXの連載で妖怪の住むアパートが舞台のコメディ「ワンダフルデイズ」。きらら系では姉妹誌で別の連載を行う作家は珍しくありませんが、しかしここまで数多くの連載を続けている作家は珍しい。一時期は4誌全部で連載を行っていたこともありました。

 「未確認で進行形」と同じ一迅社のぱれっとでも、かわいい神様と人間の交流を描いた「いつかまたかえる」がありました。こちらはぱれっとの創刊号からの連載で、「未確認で進行形」よりも先の作品になります。

 今では、継続連載中の「三者三様」「未確認で進行形」の2作品に加えて、きららMAXでお嬢様学校に入った元ヤンキー娘を主人公にしたコメディ「いちごの入ったソーダ水」を連載中です。これは先日コミックス1巻が出たばかり。終了作のコミックスもまだほとんどが入手可能だと思いますし、一度手に取ってみてはどうでしょうか。


<3・30>
・予想以上に本格的だったカードゲームコミック「Wizard's Soul」。
 もう1カ月は前の話になってしまいますが、秋★枝さんのコミックフラッパーの連載「Wizard's Soul」のコミックス1巻が発売されました。MTG(マジック・ザ・ギャザリング)のようなカードゲーム(トレーディングカードゲーム)がスポーツのように世界的に普及している世界を舞台に、とある事情から大会に挑む女子高生の活躍を描いています。

 物語の中心は恋愛コメディで、たびたび見られるラブコメシーンが楽しく、あるいは一方で意外なほど重い設定と展開もたびたび見られ、こちらも非常に面白いのですが、それと同時に作中で見られるカードゲームの描写も見逃せないものがありました。

 先ほど、「MTGのようなカードゲーム」と書きましたが、実際にかなりはっきりとMTGをモデルにしていることが随所で感じられ、しかも相当マニアックな、プレイヤーにしか分からないような用語まで頻繁に登場します。まさかこのマンガで「トップメタ」「ファッティ」「パーミッション」なんて言葉が出てくるとは思いもよりませんでした。しかも、カードゲームが世界中で普及しているという設定なので、街を歩いている普通の女子高生やサラリーマンまでがそうした言葉を当たり前に口にします。かつて、「咲-Saki-」で麻雀が世界中に普及しているという設定も驚いたものですが、さらにマニアックなゲームであるトレーディングカードゲーム、MTGを扱うマンガでこのような設定が出てくるとはさらに驚きました。

 カードゲームのマンガやアニメなら、遊戯王やヴァンガードなど子供向けを想定したものならいくらでもありますが、フラッパーに載るようなある程度高年齢向けのマンガで、ここまで本格的な描写が見られる作品は画期的だと思いました。個人的には、より一般向けのカードゲームマンガが出てほしいと思っていたので、これはまさに待っていたという感じの一作でした。

 聞くところによると、このマンガ、中村修平らMTGのトッププレイヤーたちが制作に協力しているようです。また、作者の秋★枝さんもMTGにえらくはまっているようで、そうしたカードゲーム方面での力の入れ方が、ストレートに感じられる一作になっています。カードゲームのプレイヤーとして、あるいは昔からの秋★枝作品の読者として、今後の展開がさらに楽しみなマンガが出てきましたよ。


<3・26>
・「テラフォーマーズ」がアニメ化されるようですが。
 少し前に、あの「テラフォーマーズ」のアニメ化が発表され、絶大な評価を得ている人気作だけあって大きな反響を呼びましたが、しかしこの「テラフォーマーズ」と同じ虫をモチーフにしたマンガとして、かねてより応援してきたスクエニのマンガがあります。「アラクニド」「キャタピラー」です。「アラクニド」は、ガンガンJOKER連載の虫の能力を持つキャラクターたちが闘うバトルアクション、「キャタピラー」はヤングガンガン連載のそのスピンオフ作品ですが、こちらは先日作画担当者の突然の逝去による休載から復活したばかりで、胸をなでおろしているところでした。

 「テラフォーマーズ」が名作であることは疑いないところですが、しかし「アラクニド」「キャタピラー」も、それに負けず劣らず非常に面白いマンガだと思っています。虫マンガとしては「テラフォーマーズ」に匹敵するところも多いですし、あるいは「テラフォーマーズ」にはない要素をも持っていて、こちらも強烈におすすめしたい。

 まず、虫に関する知識・薀蓄に関しては、毎回ことあるごとに非常に詳しい解説がなされていて、これが「テラフォーマーズ」に負けず劣らず虫に対する思い入れ・愛を感じることが出来ます。これだけでも虫マニア必読のマンガになっていると言えるでしょう。「テラフォーマーズ」で虫に興味を持った方は、是非ともこちらも読んでいただきたい。

 さらに、こちらはそんな虫をモチーフにしたキャラクター同士の能力を駆使したバトルを楽しむことが出来ます。「テラフォーマーズ」が虫能力を持った人間VS進化したゴキブリだとすれば、こちらは虫人間同士の熱いバトル。「どっちの虫がより強いか」という熱い疑問へのひとつの解答が見られるマンガになっているのです。 ストレートにバトルの内容・結末に興味をそそられるマンガではないかと思います。

 さらに、何といっても、女の子のキャラクターの萌え要素があるところが大きい。かつて「咲-Saki-」が登場したときにも、麻雀で萌えとはすごいマンガが出てきたなと思ったものですが、今回は虫で萌えとはさらに想像を絶するマンガが出てきたものです(笑)。しかし、このマンガのキャラクターたちが魅力的なことは間違いない。これは是非とも「テラフォーマーズ」に続いてこちらもアニメ化を達成してほしいものです。


<3・23>
・あの藤野もやむさんが桑佳あささんと名前を変えて再活動。
 少し前の話になりますが、かつてのエニックスの人気作家で、お家騒動後はマッグガーデンに移籍し、そちらでも長く活動を続けていたあの藤野もやむさんが、「桑佳あさ」さんと名前を変えて他社に投稿活動をしていたようです。まさかペンネームを変えているとは思いもよらなかったので、これには本当に驚きました。現在、徳間書店の青年誌「コミックゼノン」と講談社の少女誌「デザート」に応募されているようです。いくつかの読み切りは、今でもウェブ上で閲覧することが出来ます。

 藤野さんは、かつて97年にエニックスのマンガ賞で奨励賞を受賞し、その後WINGで「すとれんじどりーむ」という読み切りでデビューしました。このときわずか15歳。さらにWINGでは「まいんどりーむ」「ナイトメア☆チルドレン」という2つの連載を行い、これが非常な好評を博して人気作家となりました。かつてのエニックス、特にWINGの作家の中でも屈指の人気を誇っていたと言っても過言ではありません。この頃のもやむさんの熱心なファンは今でもいると思います。

 その後、2001年に起こったあの「エニックスお家騒動」を機にマッグガーデンへと移籍。そちらでも「賢者の長き不在」「はこぶね白書」「忘却のクレイドル」などいくつもの連載を行ってきました。それ以外に読み切り作品も多数執筆しています。さらについ最近にも、ウェブ雑誌で「蒼きユピテル」という連載を行っていたばかりでした。それが、連載終了後ほどなくして他社に向けてペンネームを変えての再活動。驚くのも無理はありません。

 一度は商業雑誌で連載を行っていた作家が、連載終了後に他社のマンガ賞に投稿して、一から新人としてまたデビューを目指すという話は、決して珍しいことではありません。しかし、もう商業で連載を始めて15年は経つベテランと言ってもいい作家が、完全に一から新人として投稿から始めるというのは、かなり珍しいのではないかと思いました。マッグガーデンであれほど何度も連載を重ねながら、もういられない事情があったのか、あるいはここではもうこれ以上の活動は見込めないと思って自ら他社へと目を向けたのか。いずれにせよ、藤野もやむという親しみのある名前までなくなってしまったのは、ひどく残念に思えます。

 ただ、今回藤野(桑佳)さんが投稿したマンガは、どれもこの作家らしい情感と優しさに溢れる作品となっていて、非常に好感が持てました。マッグガーデンの最近の連載と比べても、こちらの方が好印象なくらいで、これは是非とも連載で読みたいとまで思いました。まだまだ実力は確かな作家だと思いますし、新天地での成功を心から応援したいと思います。

 漫画大賞WEB投票コミックゼノン
 「おばあちゃんが笑った」
 「ちっさい失恋」


<3・19>
・「ガンガンは『鋼の錬金術師』で初めて成功した」という認識が広まっている可能性。
 先日、昨年12月に公開されたウェブ雑誌「マンガボックス」の編集長・樹林伸さんのインタビュー記事がありました。樹林さんは、元は講談社の週刊少年マガジンの編集者で、「金田一少年の事件簿」など数々のマンガ原作を手がけたことでも知られています。今回のインタビューでも、マンガボックスに対する本気の取り組みが強く感じられるもので、意欲的な試みをやっているのだなと感じる読み応えのある内容でした。

 しかし、その中で、ひとつひっかかる発言がありました。それは、

 「ドラクエで大当たりしたころ創刊されたスクウェア・エニックスの『少年ガンガン』でさえ10年ぐらい赤字が続き、『鋼の錬金術師』が大爆発してペイした。そういうリスクを覚悟しないと成立しない世界です」

・・・というくだりです。少年ガンガン、あるいはエニックス/スクエニのマンガに昔から詳しい読者なら、これが明らかに誤りであることは明白でしょう。少年ガンガンは、創刊初期のころから非常に好調で、好調を受けてのちに「Gファンタジー」「ギャグ王」「ガンガンWING」などの姉妹誌を次々と創刊、90年代のうちから大きな人気を獲得していました。ギャグ王が休刊になるなど、一部で不調の箇所はあったかもしれませんが、全体的にはずっと発展していて、もちろん赤字が10年も続いたということはありえません(元エニックスの編集者で、のちに一迅社の雑誌で編集長をしていた杉野さんも、「ガンガンは当初から黒字だった」と明言しています)。コミックスの売り上げなら90年代の方が上回っていたくらいで、2001年にあのお家騒動が起こるまでは、ずっと安定した成果を挙げていたと見ていいでしょう。

 このように、樹林さんの発言は明らかに事実誤認であると言えますが、しかしこれに近い話を耳にすることは、今までも何度かありました。他のマンガ関連のニュースや評論でも、「『鋼の錬金術師』で初めて成功」みたいな話は何度も見かけましたし、わたしも以前サイトであの夏目房之介さんが似たような発言をしていたのを取り上げたことがあります(しかも、彼は「98年にガンガンが創刊した」とも取れる発言をしていて、さらに大きな事実誤認をしていました)。

 「鋼の錬金術師」の爆発的なヒットは、マンガ業界にとっても大きな衝撃だったとは思いますが、しかしそれに気をとられるあまりに、それ以前のガンガン・エニックスのマンガ雑誌が成果を上げていなかったとするような認識はいただけません。少年ガンガンを中心とするエニックスのマンガ雑誌が、90年代から「ガンガン系・エニックス系」と呼ばれる独自のカラーの作品群を打ち出して、非常に大きな人気を得ていたことは、もっと知られて評価されるべきですし、そうしたかつての一出版社の成功の歴史・経緯を知ることは、これからのマンガの発展にも大いに貢献すると思います。

 「ヤバいぐらいの手応え」 300万DLの無料漫画アプリ「マンガボックス」樹林伸編集長に聞く、ビジネスの展望と「夢」
 「なんか他の評論本でも『鋼の錬金術師』で初めて成功、みたいなこと書いてあると、「あー、全然調べてないんだなあ」と思いますよ。「少年ガンガン」は当初から黒字でしたからねー。」杉野庸介 (sugino) on Twitter


<3・16>
・突如巻き起こったイマジナリーライン論争。
 先日、「イマジナリーライン」という言葉が、ネットの主にTwitterのマンガ家界隈で一気に広まるという出来事がありました。「イマジナリーライン」とは、元は映画の撮影技法のようで、相対する人物の間をつなぐ線のことらしく、ここをまたいで反対側に視点が移る(越える)と、視聴者にとって分かりにくくなってよくない、という概念のようです。これをマンガにも応用し、マンガで次のコマに移る際に「急に視点が反対側に移るのはよくない」として、これをマンガ家の学ぶべき基本的な技術であるとする主張を巡って、大きな論争となったようです。
 さらには、このような見せ方のルールをさらに広げて、マンガのコマ割や読者の視点誘導の技術にまで話が踏み込まれ、読者にとって読みやすいマンガの描き方、その技術全般が語られる事態にまで発展しました。

 わたしとしては、こうしたマンガの技術・技法の議論によって、マンガが面白くなれば幸いだと思いますが、しかしこういった細かい技術にあまりこだわりすぎるのもどうかと思いますし、さほど面白さの進歩には貢献しないように思えます。どちらかと言えば、こうした技術は、基本的というよりむしろ応用的な高度な技術で、すべてのマンガが厳密に守るほどの必要性は乏しいように思われます。

 こうしたコマ割や視点誘導の技法を使ったマンガで、わたしが思いつくものとして、かつてきららミラクで連載されていた「夜森の国のソラニ」(はりかも)があります。4コママンガながら定型的なコマ割をあえて越えるような構成が多用される意欲的な作品で、縦にぶちぬいたコマ割と巧みな視点誘導によって、広がりのある魅力的な世界観を見せていました。これは非常に素晴らしい4コマだったと思いますが、しかし他の4コママンガまでこうした巧みな技法を使っているわけではありませんし、またすべてのマンガが採用する必要もないと思います。

 また、マンガの読みやすさに関しても、読みづらいよりは読みやすい構成・構図にした方がいいとは思います。しかし、コマの順番を間違えていたりセリフが前後したりといった相当読みづらいマンガでさえ、一度読めば慣れてくる程度のものです。そうした細かい不備は、思ったほど読者は気にしないものですし、そのような細かい技法を気にし過ぎるよりも、やはりストーリーやキャラクターといったマンガのメインとなる要素に力を入れる方が、面白いマンガを描く近道になると思います。


<3・12>
・「桜Trick」と百合論争(2)。
 このように、よりライトな立場からの百合読者との論争が巻き起こる一方で、逆により本格的な百合作品を好む読者からも、「桜Trick」に対していろいろと(主に批判的な)批評が出てきました。

 具体的には、「より本格的な百合作品に比べると、『桜Trick』は物足りない」とする評価です。本格的な百合作品とは、今では例えば雑誌「百合姫」に掲載されているような作品で、よりストーリーや登場人物の心理描写を、具体的には恋愛に至るまでの過程やその後の心理などを、より克明に描く作品のことを指すと思われます。

 そうした百合作品に比べると、この「桜Trick」は、かなり特殊とも言える作品で、いわゆる「キス」シーンが非常に多く、そこに至るまでの過程も非常に短い。あくまでキスとそこに至るライトなコメディが中心で、それが最大の特徴とも言えるわけですが、しかしそれに対してより本格的な百合作品を好む立場から、例えば「キスに至る過程をより重視するべきだ」などと言った意見が、かなり多く見られるようになったのです。

 つまり、この「桜Trick」という作品は、よりライトな百合作品を好む層からは、「女の子同士が仲良くするくらいならいいけど、キスまで行ってしまうのはちょっと・・・」と言われて敬遠され、より本格的な百合作品を好む層からは、「心理描写が物足りない。キスに至る過程をより重視するべきだ」などと言った批判を受けるという、非常に興味深い反応を受けてしまったわけです。

 確かに、「桜Trick」という作品は、他の百合作品とはかなり印象が異なり、キスという要素がとりわけ大きくクローズアップされ、かつきらら4コマ的なコメディの要素も強い、ある意味異色の作品になっています。そういった異色作がアニメになって多くの人の目に触れることで、百合作品に対して様々な接し方をしている多数のユーザーの存在が浮き彫りになったような気がするのです。そういったユーザーの存在が分かったという点でも、この「桜Trick」をアニメ化した意義はあったと思っています。


<3・9>
・「桜Trick」と百合論争(1)。
 最近ではようやく沈静化したようですが、1月にアニメが開始されたきららミラクの連載「桜Trick」の放送直後から、この作品とさらには百合作品全般において、一部でいろいろと論争とも言える騒ぎがありました。原作のマンガは、主人公たち女の子がキスをしまくることで、連載直後からかなりの衝撃作だったのですが、アニメでもそれをほとんどそのまま再現していて、その描写に多くの視聴者がやはり大きな衝撃を受け、その是非について様々な観点から論争が巻き起こることになりました。

 まず最初に確認できたのは、これまでのきらら系を中心とした日常系作品と比較して、「女の子同士が仲良くするくらいならいいけど、キスまで行ってしまうのはちょっと・・・」といった感想で、こうした好みの違いから「桜Trick」に対して抵抗を覚える人が、かなりの数出てきました。確かに、同じきらら系でも、女の子たちが仲良くくっつくなどゆるやかな百合的な雰囲気を持っている作品と比較すると、露骨にキスという描写が頻繁に見られるこの「桜Trick」は、明らかに異なる印象があります。

 そして、そのような感想に対して、逆に「桜Trick」を支持する立場から昂然と反論する人たちも登場し、キスなどの本格的な百合描写を高く評価し、さらには「そのようなゆるい作品しか好まない人は、百合作品を読むにはふさわしくない」として、そうした人たちを批判するような発言まで一部で見られたと思います。それに対してさらに反論する人たちも当然のごとく登場し、ついには激しい論争のような形になってしまったようです。

 百合をテーマにした作品、あるいは百合的な雰囲気や要素を持つ作品を好む人は多いと思っていましたが、この「桜Trick」のアニメ化を契機に、その人たちの好みの違いがはっきりと明るみに出る形となりました。

 さらに、このような「よりゆるい雰囲気の百合的作品を好むファン」と「本格的な百合描写を好むファン」との軋轢と対立を、昨年12月発売の百合姫に掲載された「百合男子」では、すでに一足先に描いています。まさにその直後に実際のネット上で起こった論争を予測したかのようなその内容を見て、さすが作者の倉田さんは百合ファンの心を知りすぎているな・・・と思わず感心せずにはいられませんでした。


<3・5>
・「NEW GAME!」とゲーム制作マンガ。
 先月末に芳文社からきらら4コマのコミックス新刊がたくさん出て、「Aちゃんねる」や「桜Trick」など人気作の新刊に加えて、「NEW GAME!」(得能正太郎)のコミックス1巻も発売されました。これは、まんがタイムきららキャラットの連載で、ゲーム制作会社に入った新入社員の奮闘を描く作品になっています。

 きらら系だけあって、作中のオフィスで登場するほとんどのキャラクターが女の子という点で、萌え4コマのスタイルを踏襲していますが、描かれている会社の仕事の姿は中々に手堅いもので、主人公の地道な仕事ぶりと成長ぶりが丹念に描かれている印象を受けました。ゲーム会社やゲーム制作を描いたマンガは、過去にいくつも例がありますが、これもまたひとつの良作になっていると思います。

 そして、このマンガを契機に、その過去に出ていたゲーム制作マンガについて、改めていろいろ思い出すことになりました。ゲームが個人的な趣味ということもあって、こうした作品に目を通すことも多かったのですが、良作と言える作品に数多く触れることが出来ました。

 まず、真っ先に思いつくのは、実写ドラマ化もされた人気作品「(大)東京トイボックス」です。ゲーム制作にかける主人公たちの熱意がストレートに伝わってくる名作で、とりわけ最初期の頃に主人公が「ドルアーガの塔」を久々にプレイしてゲームへの情熱を取り戻すくだりに感動した記憶があります。連載途中で途中で出版社が代わってタイトルに「大」が付くようになるのですが、それ以前の「東京トイボックス」だった時代からずっと評価し続けている作品ですね。

 「NEW GAME!」と同じく主人公が女の子の作品として、ずっと以前に電撃コミックガオ!で連載されていた「ほのかLv.アップ!」(MATSUDA98)も思いつきます。これもかなり真面目にゲーム会社・ゲーム制作の仕事を描いていたことが好印象で、今回の「NEW GAME!」とかなり近いものを感じる作品でした。また、これはドラゴンエイジの連載で、ゲーム制作の専門学校での女の子4人のゲーム作りを描いた「京アミ!」(ポルリン)という作品もありました。

 さらに、これらフィクションの作品とはまったく別に、実際に行われたゲーム制作の姿を描いたノンフィクションのドキュメンタリーと言える作品もいくつかあります。中でも有名なのが、今から20年以上前にエニックスから出版された「ドラゴンクエストへの道」で、あのドラクエ1の制作の苦労を、制作者の熱意と、さらにはゲームデザインのかなり細かい部分まで描いた非常に興味深い作品になっています。以後もこうした実際のゲーム制作の姿を描いた作品はいくつか出ていますが、実際のゲームデザインのディティールをよく描いている点で、いまだにこれを最も評価しています。


<3・1>
・講談社の月刊少年ライバルが休刊。
 少し前の話ですが、講談社のマンガ雑誌「月刊少年ライバル」が、今年6月発売の7月号をもって休刊されることが、昨年の12月に発表されました。マンガ雑誌の休刊は珍しいことでもなんでもないですが、これほど早い時期から休刊が発表されることは珍しく、さすがにどうかなと思ってしまいました。これでは連載作家や読者のモチベーションにも影響が出かねないと思いますが、次に出るという新しい少年マンガ雑誌の刊行も同時に発表しており、そちらとの兼ね合いなどいろいろな思惑があるのかもしれません。

 ライバルの創刊は2008年。当時はまだマンガ雑誌の創刊ラッシュが続いていて、これもその中のひとつと見ていいと思います。雑誌のコンセプトは、「新しい時代の王道少年漫画誌」となっていて、実際にそのような連載も多く見られました。当時休刊となったコミックボンボンの後継雑誌ではないかとも言われていましたが、本当のところさだかではありません(雑誌の関係者はそれを否定しています)。

 オーソドックスな少年マンガ連載が多いと同時に、やや高年齢向けとも言える少しコアよりの作品も見られたのも特徴的でした。特に、創刊初期には、なぜかスクエニからの連載作家が幾人も見られ、当時エロマンガで物議を醸した水兵きき、ガンガンで「666」を連載していた岸本聖史、ひぐらしのコミカライズを担当した鈴羅木かりんなどの姿が見られました。また、「ぱにぽに」の氷川へきるも読み切りを描いたことがあります。

 わたしも、こうした雑誌のコンセプトは中々面白いと感じていたのですが、しかし実際の人気はさほど芳しくなかったようで、講談社の他雑誌と比べてもとりたてて目立つものはなく、結局ここに来て休刊となってしまったようです。同時期の創刊ラッシュの雑誌では、他にも少年マンガ志向の雑誌がいくつか見られましたが、それらもほとんどが成功せず休刊となっているところを見ると、今の時期にこうした雑誌は厳しいのかもしれません。

 この休刊を伝えたニュース記事によると、「講談社の漫画部門は「進撃の巨人」を筆頭に好調に推移しているが、さらなる飛躍を図るために雑誌のラインアップ見直しを進めており、今回の休刊はその一環だという」となっていて、前述のように新しい少年誌の創刊も視野に入っているようです。ライバルの休刊は残念ですが、講談社自体は好調だと思いますし、こちらの展開に期待したいと思います。


<2・26>
・一迅社の雑誌「わぁい!」が休刊。
 かれこれ4年ほど前に創刊された「男の娘」をフィーチャーした雑誌「わぁい!」が、今月号を持って休刊する運びとなったようです。今月号は連載マンガ「ひめゴト」(佃煮のりお)のアニメ化が発表されたばかりで、アニメ化作品が出てくるのに雑誌は休刊という、なんともありえない展開を迎えてしまいました。

 「わぁい!」が創刊された4年ほど前は、「男の娘」や「女装少年」がちょっとしたブームになっていて、それに合わせてこの雑誌も創刊されたと見てよいでしょう。男の娘自体は、これ以前よりひとつの萌えキャラクターとして存在していましたが、このころは他出版社でもそうした作品が増え、あるいは同系の雑誌として「おと☆娘」も同時期に創刊されるなど、いろいろな作品が出て盛り上がっていた感がありました。

 このサイトで扱っているスクエニでも、ほぼ同時期に男の娘作品を集めたアンソロジーを出したり、あるいはガンガンJOKERで「プラナス・ガール」、ヤングガンガンで「フダンシズム─腐男子主義─」などの男の娘、もしくは女装少年を主役にした連載が行われるなど、確かにそうした盛り上がりを感じるところがありました。どちらも非常に面白い連載になっていて、これはスクエニでも男の娘マンガ来るなと思っていました(笑)。

 しかし、その後そうしたブームは落ち着いてしまったようで、新しい作品の登場は下火になり、「おと☆娘」も一足先に2013年のうちに休刊しています。「プラナス・ガール」も、当初の人気ぶりからしてアニメ化まで行ってもよかったと思いますが、残念ながら意外に早い時期に終了してしまいました。
 こうした周囲の状況を鑑みるに、「わぁい!」の休刊という流れもやむを得ないところはあると思いますが、しかしようやく「ひめゴト」のアニメ化が発表された矢先に休刊というのは、なんとも惜しい気がします。これでは、これから先の「ひめゴト」の盛り上がりにも影響しそうですし、なんとか今後の展開でフォローしてほしいと思います。

オトコの娘専門誌・わぁい!が休刊、約4年の歴史に幕コミックナタリー


<2・23>
・「妖狐×僕SS」がついに最終回。
 ガンガンJOKERで2009年の創刊以来続いてきた人気連載「妖狐×僕SS」、通称「いぬぼく」が、今月発売のガンガンJOKER3月号で最終回を迎えました。連載開始から5年弱、2012年1〜3月に放映されたアニメからももう2年が経ってしまいました。アニメは非常に好評で、2期を待望する声も多かったのですが、その前に原作がラストを迎えてしまいました。

 最後は、後半以降かなり厳しく忌まわしいとも言えたストーリーが、ついによい形で解決して終焉を迎え、あとは後日談に多くのページが割かれていました。それぞれがみな幸せな未来へと向かうラストで、ひとえによい(善い)と言える素晴らしいエンディングだったと思います。ここまで5年間追いかけてきて本当によかったと思いました。

 これまでも幾度となく書いてきましたが、この「妖狐×僕SS」の作者・藤原ここあさんは、JOKERの前身雑誌・WINGで「dear」というさらに長い長期連載を続けてきた作家で、そちらも非常な名作となっています。しかし、アニメ化されたことでこの「妖狐×僕SS」の方はさらに大きな人気を得て、こちらの方で作者を知った人がずっと多いのではないでしょうか。とりわけ、男性・女性共に幅広い人気を得たことが特徴的で、これはかつてのお家騒動以前のエニックスのカラーを今に残している数少ない作家ではないかと思います。今回のハッピーエンドとなった最終回をうれしく思う反面、連載が終わってしまったことを残念に思う人もたくさんいることでしょう。もう藤原さんの新しい連載がJOKERで始まっていることが救いでしょうか。

 出来れば、原作が終わった後でもいいから、待望のアニメ2期をやってほしいですし、あるいはかつての名作「dear」にもスポットが当たるように何か新しい展開があるとうれしい。原作終了後のアニメの可能性はとても低いと思いますし(スクエニ・エニックスでは確か前例なし)、中々難しいとは思いますが、しかしこれほどの名作にまだ何かあってもいいと思うんですよねえ。


<2・19>
・荒川弘の昔の読み切りを再録してほしい。
 先日、「鋼の錬金術師」「銀の匙」の作者・荒川弘さんが第3子を出産されたことで話題になりましたが、偶然にもそれと同じころ、かつての読み切りがコミックスにほとんど再録されていないことを知らされました。

 具体的には、まずマンガ大賞の受賞作で1999年にガンガンに掲載された読み切り「STRAY DOG」。掲載時から大変な名作と評判高かった作品でしたが、意外にもいまだにコミックスに収録されていません。かつて2004年に「鋼の錬金術師」がアニメ化された折に出たガンガン増刊に収録されているようですが、これももう10年は前の話で、今から入手するのは困難だと思われます。

 加えて、「鋼の錬金術師」開始以前から何度かガンガンで掲載された読み切りシリーズ「上海妖魔鬼怪」、2006年頃に小学館のサンデージェネックスに掲載された読み切り「RAIDEN-18」、同じ頃ガンガンカスタムに掲載された「蒼天の蝙蝠」、さらには、これはあまり知られていませんが、かつてエニックス時代の2000年頃に「東京魔人学園剣風帖」のアンソロジーにも1本読み切りを描いたことがありました。そして、これらのほぼすべてがいまだコミックスに収録されていません。「上海妖魔鬼怪」などは、ドラマCDにもなっているのにコミックスになっていないのは不思議なくらいです。

 あれだけの超人気作家なのに、これら読み切りの扱いが芳しくないのは意外に感じます。これらの読み切りをまとめて1冊のコミックスとして出せば、売れないということはまずないでしょう。

 スクエニで「鋼の錬金術師」を連載していた頃から、これらの作品がコミックスに収録されないのを不思議に思っていたのですが、小学館のサンデーへと移籍した今となっては、スクエニ雑誌での読み切りを再録したコミックスが出る可能性は、さらに低くなってしまったかもしれません。出来ればスクエニに在籍している時代にコミックスにまとめてほしかったものですが・・・。今からでも全然遅くはないので、出版社の垣根を越えて出してほしいものです。


<2・16>
・かつてのWINGの作家で今も残っている人は数少ない。
 2つほど前の日記で、かつてのWINGの連載作家・成瀬芳貴さんを取り上げましたが、それをきっかけに休刊してしまったWINGの連載作家についていろいろ考えてみました。思うに、お家騒動初期の頃から長く活動した人気作家も、あるいは後期から末期にかけて登場した多数の新人作家も、そのいずれも雑誌の休刊後に活動を続けている人は、残念ながら多くないようです。

 かつて、長期連載していた人気作家で、今でもスクエニの雑誌で連載を続けている作家となると、ぱっと思いつくのはJOKERの藤原ここあさんと河内和泉さん、七海慎吾さん、ONLINEの宮条カルナさんくらいでしょうか。それ以外に短期の連載を行った作家は幾人かいますが(前述の成瀬芳貴さんも該当します)、長く活動を続けている人はぐっと少なくなります。
 他社の雑誌まで見ると、カザマアヤミさんや鳴見なるさんあたりが思いつきますが、こちらでもやはり多くない。どうも、WINGの休刊によってほとんどの連載作家が活動の場を失い、その後他誌で活動を続けることが出来たのはごくわずかのようです。あるいは、しばらくは活動を続けても長続きしなかった人も多い。

 「まほらば」の小島あきらさんは、休刊直後から「わ!」と「まなびや」の同時連載を始めますが、体調が芳しくないのか今では連載していません。「瀬戸の花嫁」の木村太彦さんも完結後に次回作なし。「夏のあらし!」の小林尽さんは、12年あたりまで活動していたようですが今はなし。いずれも相当な人気作家ですが、休刊後の経緯は芳しくありません。

 加えて、「天正やおよろず」の稀捺かのとさん、「ショショリカ」の上杉匠さん、「天眷御伽草子」の冬季ねあさん、「がんばらなくっチャ!」の仲尾ひとみさん、「ひぐらしのなく頃に 綿流し編」の方條ゆとりさんなどの人気作家も、中には一時的にONLINEやその他の雑誌で連載していた方もいますが、しかし本格的な連載を続けている人はもういない。これ以外の多数の新人作家も、特に雑誌末期の混乱期にはかなり多くの新人による連載が出てきましたが、それらの作家もほとんどがいなくなってしまいました。他社で活動を継続できた成瀬芳貴さんは、数少ない例外とも言えます。

 WINGは、あのお家騒動でもっとも甚大な被害を負った雑誌でしたが、その後は他の雑誌に比べれば明らかに力は劣るものの、それでも上記の人気作家たちによる連載は面白く、独自のカラーを持つ雑誌となっていたと思うのです。それが休刊することによって、作家たちも散り散りになってしまったのはとても悲しい。わたし自身、特に2002年〜2005年頃(あのまほらばやdear、天正やおよろずの全盛期)には、本当にこの雑誌にはまっていましたし、もうあの楽しさは帰ってこないのだなと思って、ひどく寂しく感じてしまいました。


<2・12>
・久正人の昔の連載が復刻。「ノブナガン」と「エリア51」も合わせて4つの作品が店頭に。
 少し前に取り上げたコミックアース・スター連載マンガのアニメ化「ノブナガン」、当初は圧倒的な低予算を思わせるチープな作画と演出を批判してしまったのですが、改めて見続けているとこれがかなり面白い。チープな点は否定できませんが、しかしストーリーはかなり面白く、チープと思われていた演出も、慣れてくるとスタッフの精一杯の努力が感じられ、決して悪くは思わなくなってきました。ここまで面白いのは、まず久正人によるマンガ原作が面白いのが最大の理由ですが、アニメならではの上手い構成もそれを手伝っていて、実はかなりの良作だと思えるようになりました。これまでの批判は大きく改めたいと思います。

 また、先日、原作マンガを手がける久正人さんの、以前講談社のマガジンZで連載された昔の作品の復刻版コミックスが出ていました。「ジャバウォッキー」と「グレイトフルデッド」で、前者は19世紀に恐竜が生きているという設定の架空世界でのスパイアクションもの、後者はいわゆるキョンシーと霊幻道士との闘いを描く作品で、いずれも今の連載である「ノブナガン」や「エリア51」と共通の面白さがあります。

 それは、独特のチョイスが光る設定と、ダサいとも言える泥臭いかっこよさ。「ノブナガン」は、偉人や英雄の遺伝子を継いだキャラクターが宇宙からの侵略者と戦う物語ですが、その偉人だちの中になんとガンジーやニュートンが登場。まさかあのガンジーが戦うマンガなんて、ちょっと他に見られないでしょう(笑)。このような独特のキャラクター設定は、「ジャバウォッキー」にも数多く見られます。また、「エリア51」は、UMAやモンスター、神といった超常の存在が多数登場し、こうしたオカルト的な設定を好む趣向も感じられ、こうしたオカルト好きなわたしとしても大いに共感の持てる作家となっています。

 最近では、この「エリア51」がマンガ読みの間では高い評価を獲得しつつあるようで、さらにアニメの「ノブナガン」も良作ぶりを発揮、さらに昔の連載の「ジャバウォッキー」と「グレイトフルデッド」も復刻されて店頭に並ぶなど、ここに来て久正人作品が大きく盛り上がってきたように感じます。これをきっかけにもっと読者が増えればいいと思いますね。


<2・9>
・成家慎一郎さんが成瀬芳貴だったとは!
 先日、TwitterやPixivなどで、進研ゼミ中学講座のダイレクトメール掲載のマンガに登場する通称「ゼミママ」というキャラクターが、急に話題となって大人気となるという一幕がありました。さらに、そのマンガを描いた作者が成家慎一郎さんという方で、さらにはその成家さんが、かつてスクエニのガンガンWINGで「兄弟-BROTHERS-」というマンガを連載していた成瀬芳貴さんだと知ってえらく驚いてしまいました。

 ガンガンWINGは、2000年代後半になって大きな不振に陥り、人気の長期連載が多数終了した穴を埋めることが出来ず、数多く打ち出した新人の連載もそのほとんどが成功せず短期で終了し、末期のころは誌面の力は見て分かるほどに大きく衰え、やがて休刊する運びとなります。この「兄弟-BROTHERS-」もまたその新人作品のひとつで、やはり残念ながら比較的短期で打ち切りとなってしまったようです。

 しかし、この作品、ファンタジー世界で現実の歴史で「兄弟」として有名なキャラクター、例えばグリム兄弟やライト兄弟が登場し、独特の魔法で世界の敵に立ち向かっていくという独自性の強い作品で、その点でかなり記憶に残るものがありました。とりわけ、あのライト兄弟が魔法陣で飛行機を召喚して敵を攻撃するシーンが、えらく印象に残っています(笑)。
 ただ、この作品、今述べたグリム兄弟やライト兄弟のように、男性の美少年や青年がメインキャラクターで、いわゆる女性向けとも言える趣きがありました。その点で、今回の「ゼミママ」という女性の萌えキャラクターとはまったくイメージが異なり、まさかペンネームを変えてこんなキャラクターを描いていたとは、とえらく驚いてしまったのです。

 しかし、WINGでの連載終了後の成瀬さんは、新創刊されたガンガンONLINEで「15 明刹工業高校ラグビー部」という連載を行ったのを最後にスクエニを離れ、以後は成家慎一郎とペンネームを改め、ウルトラジャンプで「STEINS;GATE」のコミカライズを行ったり、コミックアライブやファミ通コミッククリアでライトノベルのコミカライズを行ったりしていたようです。そんな中で、まさか進研ゼミのマンガで一躍注目を集めるとは・・・世の中何が起こるか分からないものです。

 なお、昨年発売された週刊マンガ世界の偉人でもマンガを描いていて、そちらでは成瀬芳貴のペンネームで発表しています。こちらのペンネームも使わなくなったわけではないようで、これからも成家慎一郎さん・成瀬芳貴さんの活躍を期待したいですね。


<2・5>
・のうりんはコミック版も面白い。
 以前ヤングガンガンで連載されているコミック版を記事にして、日記でも一度取り上げた「のうりん」、先日よりついにテレビアニメも始まりました。アニメは、原作の大きな持ち味であるエロネタ・下ネタやパロディネタをそのまま再現していて、心底笑えるドタバタ騒ぎの面白さは健在でした。演じる声優も絡めたキャラクター人気も大きく盛り上がり、まず出だしは成功とみていいでしょう。個人的には、露骨な再現は難しいかと思っていたパロディネタをすべて露骨にやってくれたのが爆笑もので、「ヒストリエ」のパロディをマンガのコマ割りそのままで再現したところなどは大満足でした。

 しかし、その一方で、真面目な農業の作業の描写や農業の抱える厳しい一面を描くのも、また原作最大の魅力でもあったのですが、アニメの序盤ではほとんどがネタギャグ中心で、4話あたりからようやく真面目な話も出てきたものの、やや尺が短めで少し軽い印象を受けました。

 例えば、アニメでは3話で描かれた、ヒロインの林檎が農業や畜産の厳しい作業に取り組むシーン。ここはもともとコメディが多いエピソードではあったのですが、しかし最後には林檎がひよこの嘴を切る作業(デビーク)に直面してその難しさ・残酷さに躊躇してしまい、それを見た主人公の耕作が思わぬ厳しい言葉を投げかけるシーンがあるのです。ところが、アニメではこれが完全に省略されてしまっています。

 あるいは、アニメ4話では、原作のふたつのエピソード─動物被害の話と連作障害の話を一度にやっています。これらは、いずれも真面目なテーマが語られる話で、コミック版でもそれぞれかなりの話数を取ってやっているエピソードなのですが、アニメだとそれぞれの尺が短めで、原作やコミック版に比べると重いテーマが少々淡白になってしまった印象を受けました。特に、連作障害の話は、林檎が何かの精神的な病気で「笑えない」という重い事実が出てくる話で、それが農業の現実を通じてわずかながらに回復の兆しが見えてくるという、かなりの感動エピソードです。出来ればこれだけは1話取ってじっくりとやってほしかった。

 その点では、同じ絵というビジュアルによるメディアミックスでも、コミックの方が原作の真面目な側面をじっくりとよく描いていると思います。コミック版の作画は亜桜まるさんで、原作イラストの切符さんとは多少絵柄は違いますが、それでも原作の雰囲気はよく出ていますし、かつシリアスなエピソードも話数を取ってよく描いていて、総じてシリアスとコメディのバランスはこちらの方がよく取れていると思うのです。今はこの作品をアニメで知った人も多いと思いますが、興味を持ったら原作やこのコミック版も読んでほしいと思います。


<2・2>
・「俺のぱんつが狙われていた。」(深山おから)
 電撃大王の連載「俺のぱんつが狙われていた。」のコミックス1巻が発売されました。このマンガ、男の子のぱんつが好きすぎる変態的な性癖を持った女の子と、彼女に狙われる男の子のふたりが織り成すラブコメディとなっていて、極めて異色な設定ながらとても楽しいマンガになっています。

 少女マンガのような恋愛に憧れる主人公・村上祐希が出会った桜坂このみという女の子は、なぜか村上くんのぱんつに異常に執着し、住んでいるマンションに忍び込んでぱんつを盗もうとしたり、さらにはなんと村上くんが制服の下に穿いているぱんつをそのまま盗むという超常能力まで発揮してしまいます。ぱんつが好きという設定は珍しくありませんが、それは「男のキャラクターが女の子のぱんつが大好き」というのが普通でしょう。しかし、このマンガでは、女の子のこのみちゃんが男のぱんつを求める変態的な性癖がこれでもかとばかりに描かれます。こういった設定は、他の作品では中々見られないのではないかと思います。

 ただ、ヒロインのこのみちゃんは、変態的な性癖をもっている一方で、村上くんに対する想いは本当で、性癖を懸命に抑えつつ思いを伝えようとする努力には涙ぐましいものがあります。笑いと感動のあるラブコメとしても十分に面白い出来だと思います。

 このマンガ、元々は同人で描かれていた作品で、コミティアやコミケで作者のおからさんのスペースで何度か入手したことがあります。あの頃から面白さは健在でしたが、商業連載でも作風は完全にそのまま。あるいはさらにネタがパワーアップしているようで、理想的な発展を果たしていると思います。しかし、コミティアで最初にこのマンガを見かけた時は、その独特すぎる設定から、まさか商業で読めることになるとはまったく予想していませんでした。しかし、コミックスの後書きによると、イベントのスペースに直接電撃の編集者さんがやってきて拾われたとのこと。コミティアなどの創作で読めるマンガは、商業の売れ線とは合わない作品も多いのかなと思っていますが、ちゃんと見ている人は見ているのだなと感心してしまいました。同人の頃から面白いと思っていた作品が、商業で連載されてコミックスまで出るまで発展するとは、本当にうれしいものがありますね。

 kirazu(深山おから)
 深山おから (miyamaokara) on Twitter


<1・30>
・ミリオンアーサーイベントとコミックス新刊の話など。
 この日記でも何度かすでに取り上げたスクエニのソーシャルゲーム「拡散性ミリオンアーサー」。ここ数日大きな動きがありました。

 まず、1月25日(土)に舞浜で開かれたリアルイベント。この手のゲームでリアルイベントは中々なく、スクエニの力を改めて思い出しました。来場者は抽選制でわたしも応募したのですが残念ながら受からず、しかし幸いにもニコニコ生放送での生中継があったので、それを視聴して会場内で発表された様々な情報を手に入れることになりました。

 まず気になった情報は、、このゲームが日本以外にも中国・韓国・台湾でも配信していて(さらにシンガポールでも配信予定)、そちらの方がユーザー(登録者数)がずっと多いこと。確か中国が505万人、韓国が360万人、台湾が160万人、そして日本が212万人だったかな。各国の人口比から考えると、韓国と台湾での登録者数が多いことに驚きます。逆に日本でそれほどユーザーが伸びていないのは、競合するさらなる人気ゲーム(パズドラ・モバマス・艦これなど)の存在と、このゲーム自体の改悪と言えるシステム変更とマンネリで多くのユーザーが離れたことが原因であると見ています。配信当初こそ優れたゲーム性と世界観・ストーリー・キャラクターなどで人気を集めたものの、その後の展開で自ら崩れたような形で、非常に残念な推移を辿っていると思います。

 さらに、その後発表された次のゲームの展開予定を聞くと、どうも新しいシステムはどれもいまいちに感じられ、さらには他の新しいシリーズへの展開戦略ばかりが目立ち、今ひとつ期待できないようで不安でした。イベント自体はあまり面白くなく、今のスクエニの悪い側面ばかりが出てしまっているようで、少なからず落胆してしまいました。

 ちょっと明るい話としては、このゲームのコミカライズのひとつで、電撃大王で連載している「群青の守護者」のコミックス1巻が25日に発売され、これが中々の出来であったこと。ヤングガンガン・ビッグガンガンで連載していたギャグマンガは正直まるでぱっとしませんでしたが、ゲームのシリアスなストーリーを描くこのコミックは、原作の設定を分かりやすく解説しつつうまく展開していて、かなり読めるものになっていたと思います。最近は電撃文庫のライトノベルをスクエニの雑誌でコミカライズするのが定番ですが、これは逆にスクエニゲームの本編コミカライズを電撃雑誌の大王でやる形になってうまくいっています。最近ではこういうメディアミックスが定番になりつつありますが、これもこのまま成功してほしいと思いました。


<1・26>
・「アカメが斬る!」がアニメ化決定。
 既に先月発売のガンガンJOKERの次号予告(「次号重大発表」)でほとんど予想できていましたが、今月のJOKERで「アカメが斬る!」(原作・タカヒロ、作画・田代哲也)のテレビアニメ化が告知されました。JOKERからはもうひとつ、先日「一週間フレンズ。」のアニメ化も告知されましたが、こちらは個人的にはかなり意外でした。しかし、この「アカメが斬る!」は、おそらくはJOKER連載の中でも本命のひとつ、王道バトルファンタジーとして初期の頃からずっと支持を集めている作品のアニメ化とあって、ついに来たかという印象でした。

 腐敗しきった帝国の役人たちに対抗する「ナイトレイド」という凄腕の殺し屋集団の活躍を描く物語で、前述のとおり話の筋は王道とも言えますが、魅力的なキャラクターと大胆なアクションシーンには引き込まれるものがあり、さらには敵側である帝国側にもライバルとなる凄腕の武装集団が存在し、そちらの物語もかなり詳しく描かれるなど、ストーリーも重層的で読み応えのあるものとなっています。

 原作者のタカヒロは、元は(今でも)PCの美少女ゲームのシナリオライターで、「姉、ちゃんとしようよっ!」「つよきす」「君が主で執事が俺で」「真剣で私に恋しなさい!!」などの数々の人気作で知られています。特にツンデレを扱ったゲームの代表的存在となった「つよきす」はかなり有名で、また後者2つはテレビアニメにもなっています。そんなシナリオライターの名前が、JOKER連載のマンガの原作担当として出てきたときには、少なからず意外に思いましたが、しかしジャンルの異なるこちらの作品でもその実力はいかんなく発揮されていました。また、作画を担当する田代哲也さんですが、連載開始当初はまだ荒削りに感じられる作画もありましたが、連載を重ねるに連れて作画のレベルはぐっと上がっているようで、まさに実力派のコンビによる本格派王道ファンタジーと言えると思います。

 過去のスクエニのバトル・アクション系作品のアニメ化では、ヤングガンガンの「黒神」やガンガンの「屍姫」など、今ひとつの内容で失敗に終わったものが目立ちますが、このマンガだけはさすがに地力が違いますし、アニメでも存分にその実力を発揮するのではないかと期待しています。また、今回は、原作者のタカヒロさんが同時期に手がける他の作品と合わせて、「タカヒロWプロジェクト」という企画のひとつとしてこの「アカメが斬る!」も入っているようで、そちらの動きも見ていければと思っています。

 アカメが斬る!(ガンガンJOKER公式)
 アカメが斬る!(TVアニメ公式)
 タカヒロWプロジェクト


<1・22>
・「黒執事」のアニメ3期の放映が決定。
 今月18日発売のGファンタジーにおいて、「黒執事」のアニメ新シリーズが放映決定との告知がありました。過去に2回ほどアニメ化されており、今回のアニメが3期目となります。現在実写映画も公開されたばかりですが、原作ファンにとってはこの再々アニメ化の方がずっとうれしいのではないでしょうか。

 「黒執事」の連載始まったのはかれこれ2006年。当初は短期連載の予定だったようですが、開始直後から反響がすさまじく、すぐに長期連載化が決定。2008年には早くもテレビアニメ化され、2010年には2期(「黒執事II」)も放映されました。アニメ1期の方は総じて好評だったのですが、2期は完全なオリジナルストーリーとなり、原作にないオリジナルキャラクターがシエルとセバスチャンのライバルとして登場するなど、原作とはかなり雰囲気の異なる一作となり、こちらは不評だったと記憶しています。その後も原作は続いていますが、メディアミックスはこのあたりで一旦収まる形となり、ここ最近は(実写映画に関する話題を除いては)以前ほど話題にのぼることは少なくなっていました。それゆえに、このアニメ化は原作ファンにとって朗報ではないでしょうか。

 原作の連載が堅調で、面白さがいまだ衰えていないのも好材料です。というか、むしろ最近の方が面白いくらいで、当時の風俗や出来事をより積極的に取り入れるようになった長編のエピソードは、いずれも非常に読み応えのあるものとなっています。洋上の豪華客船を舞台に蘇った死者と闘うエピソードや、伝統ある寄宿学校を舞台に失踪した生徒の謎を追うエピソードは、いずれもコミックス数巻に及ぶ話となっていて、このあたりはアニメ3期でもじっくりとやってほしいと思います。

 アニメ1期も後半はオリジナルとなり、最後の終わり方もまだ終了していない原作とは異なる解釈となっていたようで、1期から続けるにしてもどのように3期が始まるのか分かりませんが、今回こそは原作のエピソードを大事にしたアニメ化を期待したいと思います。

 TVアニメーション「黒執事」公式サイト


<1・19>
・コミックアライブはオリジナル連載も評価されていい。
 先日より、コミックアライブ連載「ディーふらぐ!」(春野友矢)のアニメの放映が始まり、中々の好評のようです。また、この前までは、同じくアライブの連載「のんのんびより」(あっと)が大人気を博したことは、少し前の日記でもお伝えしたとおりです。
 また、少し前にアニメが放映された「断裁分離のクライムエッジ」(緋鍵龍彦)、これもコミックアライブの連載です。1年のうちにオリジナルの連載が3本もアニメ化されたことは、素直に評価してもいいでしょう。最近では雑誌自体も盛り上がっているのか、ページ数も非常に厚いものとなっています。

 このコミックアライブ、かつて2006年にマンガ雑誌の創刊ラッシュだったころに創刊された雑誌のひとつで、当初からメディアミックス(原作付きコミック)が中心の雑誌でした。特に、自社(メディアファクトリー)のライトノベルのコミック化が雑誌の中心とも言え、そのような雑誌の形態から、ライトノベルなど原作作品のファンには手にとって読まれることはあっても、普通のマンガ好きの読者には中々興味をもたれにくく、手に取られづらいところはあったと思います。

 しかし、雑誌の中の割合は少なかったものの、初期のころからオリジナルの連載でもこれはというものはいくつもありました。最初期から人気を得てオリジナル作品では真っ先にアニメ化された「まりあ†ほりっく」(遠藤海成)がその代表で、少し遅れて「ささめきこと」(いけだたかし)もアニメ化されています。こうした初期のころからの充実したラインナップが、ここに来て相次ぐアニメ化という形で身を結んでいると見ていいでしょう。

 そして、これらのオリジナル作品は、メディアミックス作品に比べるとそれぞれ方向性の違いが比較的強く感じられ、いわゆるライトノベル的な作品ばかりでない点も評価できます。例えば「まりあ†ほりっく」は「マリア様が見てる」をパロディ化したような爆笑学園ギャグコメディですし、「のんのんびより」は作画の緻密さが特徴の田舎を舞台にした日常コメディ、「ディーふらぐ!」は学校のゲーム製作部を舞台にしながらろくにゲームを作らない異色ドタバタギャグで、どれもメディアミックス方面では中々見られない個性的なラインナップになっていると思うのです。

 いまだアニメ化されていないオリジナル連載の中にも、小さな書店の店長とそこに通う女子高生の交流を描く「ひまわりさん」、長らくの休載から再開した異能力を持つ少年少女たちの苦悩を描く学園シリアスストーリー「アイリス・ゼロ」など、有力な作品はまだまだあります。ライトノベルのメディアミックス中心という雑誌ながら、こうしたオリジナル作品での健闘ぶりも見逃せないと思いますね。

 月刊コミックアライブ オフィシャルサイト - メディアファクトリー


<1・12>
・やはりコミック・アーススターは続くべきではなかった。
 今月から始まった冬アニメに「ノブナガン」というアニメがあるのですが、これは雑誌コミック・アーススターに連載されている久正人のコミックが原作で、歴史上の有名人物の遺伝子を継いだキャラクターたちが怪物と闘うアクションとなっています。

 原作は実力派の作家(最近では月刊コミック@バンチ連載の「エリア51」が有名)によるコミックで、こちらは文句なく面白いのですが、アニメの方はなんというか絶望的な低予算で制作されたことが見え見えで、あまりにチープすぎる作画に微妙な声優の演技と、見るほうが思わず心配になってしまうようなB級作品になってしまっていました。それでもストーリーはそこそこ面白いのが救いといえば救いで、これ普通に予算かけて制作すれば相当よくなったのではないか・・・と思わずにはいられませんでした。

 コミックアース・スターは、かつてマンガ雑誌の創刊ラッシュの時に創刊された雑誌のひとつですが、当初からそのクオリティや方向性が非常に疑問で、初期の頃は女性声優を全面に押し出した誌面となっていて、連載作品のラインナップも微妙と(正直雑誌としては面白くない)、あの頃から決して評価していませんでした。 しかも、その後アニメ化企画を推し進めるようになりますが、そのほとんどがこの「ノブナガン」と同様の低予算のアニメばかりで、5分アニメだったり30分でも質は相当悪かったりと、決して褒められた企画ではありませんでした。幸いにもその中から「ヤマノススメ」や「てーきゅう」という成功作が出たことだけは評価すべきですが、しかしいずれもきちんと予算をかけて作ればもっとよくなったであろうことは明らかで、やはり素直には喜べないと思いました。

 今季は、この「ノブナガン」ともうひとつ、「pupa」というホラーコミックが原作のアニメも始まりましたが、こちらは本編はたった3分で、ニコニコ動画にアップされているものはその前後にアーススターの広告ばかりが入っているという、まるで見所のないアニメになっています。これでは良作だった原作が死んでしまうようなアニメ企画で、決して原作にとってもいいことにはならないと思いました。せめてもっと地に足をつけてから(予算を確保してから)アニメ化するべきですし、あるいはそれ以前に雑誌の質を上げることにもっと力を入れてほしいです。


<1・8>
・あの「キャタピラー」がいきなりの連載再開。
 先日1月4日に発売されたヤングガンガン最新号で、あの「キャタピラー」の連載が再開されるとの告知があり、これには少なからず驚いてしまいました。作画担当者の突然の訃報で連載が中断したのが昨年の4月、それから早くも半年以上が経過していますが、個人的にはこれほど早く連載が再開されるとは思っていませんでした。いや、連載再開は絶望的だとまで思っていたのです。

 昨年4月におけるかつての作画担当者・匣咲いすかさんの訃報による連載休止は、まさに突然の出来事で、告知されたつい一つ前の号まで、普通に連載は掲載されていたのです。休載しがちだとかそういう兆候があればまだ納得できるのですが、そのような兆しはまったくなし。死亡した原因もついぞ分からず、ひょっとして事故死だったのかなとまで推測してしまいました。

 また、連載休止告知の時の原作者・村田真哉さんのコメントが悲痛に満ちたもので、「作画担当者の力に頼っていたところが大きかったので、再開は難しい」と発言していました。それゆえに、再開の可能性は限りなく低いとまで思っていたのですが・・・しかし、ここに来て、新しい作画担当者のもとで再開することになったようです。

 今回、新しく作画担当として名前が挙がっているのは速水時貞という方で、コメントも掲載されていました。それによると、いまだ読み切りはおろかアシスタントの経験もないとのことで、どうも完全な新人のようで、これは随分と思い切った起用だと思いました。掲載されている告知イラストを見ると、かつての匣咲さんの作画によく合わせているなと思った反面、線が細く少女マンガ的な雰囲気も感じられ、このマンガのバイオレンスアクション全開の荒々しい作風からすると、やや意外にも感じました。

 今のところ、まだ新しい作画担当の力量は分かりませんが、しかしここは再開するだけでも僥倖だと考えるべきでしょう。再開は絶望的だとすら考えていただけに、この告知はとてもうれしい。個人的には、この「キャタピラー」とスピンオフ元の「アラクニド」は、同じく虫をモチーフにしたヒット作「テラフォーマーズ」に匹敵する面白さを持っていると思っているので、ここでその片割れが立ち消えになるのはあまりに惜しいと思っていました。ここは心気一転の再開で、また盛り上げていってほしいと思います。


<1・5>
・のんのんびよりはアニメも最高でした。
 つい先日のんのんびよりの最終回を見たのですが、最後まで非常に素晴らしい出来でした。原作がそもそも面白かったので、アニメにも当然期待していたのですが、まさかこれほどまでに面白い作品に仕上げてくるとは予想外でした。昨年は日常系が当たり年とも言え、「ゆゆ式」や「きんいろモザイク」も素晴らしいアニメだったのですが、これはある意味それをも凌ぐ作品と言えました。日常系のファンならずとも楽しめる作品ともいえ、秋アニメの中で大いに話題になったのも分かるというものでした。ここまで面白かったのにはいくつかの理由が考えられます。

(1)そもそも原作のストーリーが面白い。
 一応日常系と紹介しましたが、このマンガの原作はいわゆる萌え4コマではなく、普通のショートコメディマンガです。そして、その話が毎回短いながらもよく出来ていて、まずこれが大きな持ち味でした。アニメでもこれはもちろん健在で、エピソードの順番は大きく再構成されているものの、ひとつひとつのエピソードはセリフまでほぼそのままで、改めて原作のセリフ回しの面白さを再確認することになりました。底抜けに笑えるコメディや時にほろっと泣かせる話、そのすべてがアニメでも面白く、ストーリーラインが薄い他の日常系アニメ(これはゆゆ式やきんいろモザイクも例外ではない)では中々見られない、重厚なエピソードを見せてくれたと思うのです。

  (2)ハイレベルの作画で見せる田舎の美しい光景。
 逆に、アニメならではの魅力としては、なんといっても1話冒頭からいきなり見せる田舎の美しい風景があります。原作でも田舎の景色を描いた背景の描き込みにはすさまじいものがあったのですが、しかし基本的にはキャラクターのコメディ中心の構成で、そこまで田舎を見せるというマンガではなかったのです。それが、このアニメでは、時にかなりの尺を取ってじっくりと風景を見せる構成となっていて、これには本当に魅せられました。アニメ開始前から「風景を手抜きせず描く構成にする」というスタッフの話は聞いていたのですが、まさかここまでとは思いませんでした。

 また、とにかくテンポをゆったりと取るシーンが多いのも印象的でした。他のアニメの2倍くらい取ってるんじゃないかな?と思えるほどのペースで、じっくりと各シーンを描き出すことで、美しい光景が本当に活きました。1話冒頭で2分半ほどセリフなしで背景だけを見せるシーンは、アニメの歴史に残る屈指の名シーンと言えるでしょう。鳥の声やセミの声など、音にも気を使っていたのも大きなポイントです。

(3)奥深いキャラクター性。
 人気の最大の理由のひとつには、やはりキャラクターを挙げざるを得ませんが、これも他の日常系とは一線を画するものがあったと思います。見た目や基本的な設定ではいわゆる萌えキャラのそれなのですが、内面では時にリアルな子供の姿が垣間見えるようでもあり、これが非常に奥の深いキャラクター人気を生みました。これも原作からあった魅力のひとつですが、アニメでもそれをよく再現したことは大きかったと思います。

 中でもやはりれんちょん(宮内れんげ)はアニメでも大人気で、「にゃんぱすー」がとんでもない流行り言葉になっただけでなく、普段から端々で見せる小さな子供らしい微笑ましい行動と、時に見せる感動のストーリーで大きな反響を呼びました。なっつん(夏海)、こまちゃん(小鞠)、ほたるん(蛍)の3人にも同じことが言え、あるいはまったくしゃべらない兄ちゃんやサブキャラクターたちにまで人気が及んだのも、やはりそれぞれのしっかりした個性、それも時にリアルに通じる個性を確立していたからだと思うのです。

 絶賛放送中 TVアニメ『のんのんびより』公式サイト


<1・2>
・コミックマーケットにおいて企業ブースの存在意義はあるのか?
 あけましておめでとうございます。年末のおおみそかあたりから急な風邪で苦しみ、丸一日以上ほとんど寝る状態が続いていましたが、ようやく回復してきたので、ここで新年最初の日記を書いてみようと思います。今回思いついたのは、つい先日年末に参加したばかりのコミックマーケットに関する話題です。

・コミックマーケットにおいて企業ブースの存在意義はあるのか?
 先日開催されたコミックマーケット85において、特に印象的だったのは、自分のサークル参加でもスペース巡回でもなく、1日目にちょっと行ってみた企業ブースだったりします。 抽選に当選した企業が作品の物販やPR活動を行うこのスペース(聞くところだと出展料は1ブースにつき3日間40万円くらいらしい)、もっぱら物販の長蛇の列が出来ることで有名で、それが毎回ひとつの話題になるわけですが・・・。

 今回はその列がひどくて、一番長い列が出来る人気企業だと、建物内もその外にある屋上スペースでも列が収容できなくて、はるか下の方のスペースにずらっと並ばされていて、 上から見るととんでもなく壮観でした。さらには、それ以外の人気ブースもどこも軒並み長蛇の列で、ついにはとうとう列が形成できなくなる(列を作る場所がなくなる)という事態が頻発しました。 それだけ並ぶと、当然行列の待ち時間も非常に長いものとなり、朝の開場時から並び始めてようやく午後には買える、 午後から並んでももう買えない(あるいは列にすら並べない)という状態で、サークル参加していたわたしも、留守番の人に任せて午後からちょっと行ってみたのですが、 列に並ぶことも出来ずに移動もままならずにすごすご引き返すことになりました。

 ひとつ前の夏コミもひどかったようですが、冬はもっとひどかったようです。で、このような状態を目の当たりにして、 「果たしてコミックマーケットにおいて企業ブースの存在意義はあるのか?」 とちょっと真面目に考えるようになりました。なんらかの作品のグッズを売る、物販という行為が悪いとは思いません。しかし、これを、例えば同じ買うにしても個人サークルの本を買う行為と比べてどうか。こちらの方がまだ作品性に対する追究が少しでもあるのではないかと。総じて企業のグッズ物販の方が、イベントサークルの本買いよりもさらに物欲度は高いと思う。
 いや、それでもまだいいとは思うんですよ。実際僕も何かを買おうと思って企業スペースまで行ったわけで、あるいは並ぶこと自体になんらかの楽しさを覚えている参加者も多いと思います。

 しかし、やはり何事にも物事には限度があります。さすがにそこら中に列が出来てどこでも数時間並ぶのが当たり前、という状態が毎回続くのは無理があるのではないか。今回は冬だからまだよかったものの、この前のように夏の場合、猛暑の中屋外で並ぶのは健康および生命への危険も懸念されます。
 そもそも、この企業ブースの最大の目的は「自社商品の宣伝・PR」ではないかと思いますが、今は単にマニアのための物販提供のみの場となって、人が多すぎて例えばPV映像などを見るのも一苦労の状態。人気企業にとってはいい臨時稼ぎの場となるのかもしれませんが、それも本来の目的から反しているのも明白です。むしろ、わたしとしては、企業ならではのなんらかのイベントとか展示物とか、そういったものを披露する場に限定した方が、よほど有意義ではないかと思います。


過去の日記(2013年9月〜12月)
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