<少年ガンガンの歴史(7)ブレイド騒動とその後の経緯、そして現在へ>

2004・11・20

 さて、このように、ガンガン編集部の性急で強引な改革に一部の編集者が反発し、彼らが揃ってエニックスを離脱、新会社(マッグガーデン)を立ち上げ、そこで新雑誌「コミックブレイド」を創刊してしまいます。これが、有名なブレイド組の離脱騒動(エニックスお家騒動)であり、これによりガンガンは混乱の極地に達します。


・なぜ、離脱までしたのか?
 しかし、出版社を抜けて離脱までしてしまうとは穏やかではありません。なぜ、一部の編集者がそこまでの行為に出たのか?
 エニックスを離脱した編集者たちの多くは、かつての「エニックスマンガ」を育ててきた主要メンバーであり、少年マンガに対するこだわりが薄く、それよりは独創的なマンガを作っていこうという意思が強い人たちでした。彼等にとって、今のガンガンの改革路線(極端な少年マンガ路線)は我慢できないものだったのです。実際に、離脱グループの中心人物であり、ガンガンの元編集長だった保坂氏は、新雑誌の創刊時に次のようなコメントを残しています。
 「この雑誌では、少年マンガや少女マンガといった既存の枠組みにとらわれない、自由で独創性のあるマンガを作っていく」
 このコメントから見ても分かるように、エニックス離脱組は、少年マンガの復活には全く興味が無く、かつてのエニックスマンガのような自由なマンガ創りを続けることを望んだグループであり、もはやガンガンの改革路線とは正反対の立場だったのです。したがって、彼らと、ガンガンで改革路線を続けようとする編集者たちとの間には妥協の余地は全くなく、ついにはエニックスからの離脱という最悪の決断にまで追い込まれたものと思われます。


・エニックス雑誌全体に及んだ影響。
 そして、これはガンガンだけでなく、エニックスの姉妹雑誌全体におよぶ大騒動となります。ガンガン以上に大きな影響を受けたのが、よりコアなマンガ誌であった「ガンガンWING」で、主要な連載陣が根こそぎ離脱してしまい、一時は雑誌の存続さえ危ぶまれるほどの壊滅的な打撃を受けます。
 影響は少女マンガ誌であった「ステンシル」にも及び、ここでも雑誌の中心だった人気マンガ家ばかりが数名抜けてしまい、やはり大きな影響を受け、一気に泡沫雑誌へと転落します。
 (唯一、ファンタジーコミック誌であった「Gファンタジー」だけは影響がありませんでしたが、こちらはこちらで別の編集者グループが離脱してしまい、やはりかなりの混乱が起こります。)

 そして肝心のガンガンですが、ここでもガンガンWINGほどではないものの、やはりかなりの数の主要連載陣が離脱してしまい、大きな混乱は避けられなくなります。
 具体的には、「スターオーシャンセカンドストーリー」(東まゆみ) 「魔探偵ロキ」(木下さくら)、「新撰組異聞PEACEMAKER」(黒乃奈々絵)、「里見☆八犬伝」(よしむらなつき)の4つが連載を中断して離脱。さらには、この騒動の直前に連載終了した「PON!とキマイラ」の作者・浅野りんさんも、ガンガンを離脱してブレイドへと去ってしまいます。この5つの作品は、かつての「エニックスマンガ」時代の中核を成す連載で、これらが一気に消えてしまったことで、もはや残ったガンガンは、かつての誌面からはかけ離れた印象の雑誌になります。
 いや、それだけではありません。実は、この離脱騒動以前から、すでにかつての連載陣のいくつかが次第に終了を迎えており、それに加えてこの騒動での大量離脱が起きたため、もはやかつての連載陣でガンガンに残っているものはほんのわずか、という状況に陥ってしまいます。具体的には、もはや「ハレグゥ」「東京アンダーグラウンド」「スパイラル」程度しか残っておらず、かつての誌面の面影はもうほとんど残っていないという状況にまで激変してしまいます。

 そして、この騒動によって、かつてのガンガンの熱心な読者層は完全に失望し、多くの人がガンガンを読むのをやめていきました。実は、この騒動以前から、度重なる強引な誌面の改革で、多くの読者がガンガンに対して疑問と不信の念を抱いており、ガンガンを読むのをやめる人が続出していたのですが、それに加えてこのブレイド騒動はまさに致命的な出来事でした。おそらく、この騒動でかつての読者層のほとんどがガンガンから離れていったと思われます。


・ブレイド騒動に合わせて始まった新連載攻勢。
 しかし、この時のガンガンは、まさに騒動の真っ最中に新連載ラッシュをスタートさせます。この時の連載陣は、その多くが騒動に合わせて混乱の中で連載がスタートしたにも関わらず、比較的質のよい、独創性に満ちた個性的な作品が多く、これがガンガンでは最後の輝きとも言える優れた新連載陣となります。

 具体的には、まず何と言っても「鋼の錬金術師」(荒川弘)です。もっとも、これは新連載攻勢第一弾として、ブレイド騒動直前に連載が始まったもので、幸運にも騒動の直接の影響は受けませんでした。しかも、かねてより有力だった新人が満を持して連載を開始したという側面が強く、その歩調はしっかりしていました。そう、数年前のデビュー作の読みきり作品からして抜群の完成度を持っていた荒川氏は、ガンガンの新人の中でも最有力候補であり、熱心な読者の間で長い間連載開始が待たれていたのです。そして、満を持して始まったこの「鋼の錬金術師」は、期待に違わず抜群の面白さを持っており、連載開始当初から圧倒的な大人気。のちにアニメ化されて、これがガンガン史上最高の大ヒット作になったことは、もはや言うまでもありません。
 このマンガの優れていた点は、かつての「エニックスマンガ」のファンと、初期ガンガンの復活を求める少年マンガファンと、その両者からの支持を受けたことです。つまりは、キャラクターや設定に惹かれるマニア読者と、力強い少年マンガを愛好する少年マンガ読者と、その両者の支持を同時に得られた。そのため、この「鋼の錬金術師」は、強引な改革で混乱するガンガンの中でも極めて安定した人気を誇り、かつての読者で、もはやガンガンから離れつつあった人の間でも「『鋼の錬金術師』だけは読む」という人は多く、ガンガンの中でも別格的な大人気となります。

 そして、さらなる個性的な新連載として、「プラネットガーディアン」(高坂りと)、「B壱」(大久保篤)、「妖幻の血」(赤美潤一郎)、「ドームチルドレン」(山崎風愛)等の連載が次々と開始されます。これらの作品は、かつてのエニックスマンガとはややニュアンスが異なるものの、どれも作者の個性が存分に発揮された良質の作品で、混乱が続くガンガンの誌面の中でも久々に読者の支持を得ることに成功します。

 それにしても不思議なのは、これらの個性的な連載の多くが、ガンガン編集部の推進してきた改革路線とはかなり外れることです。特に「妖幻の血」あたりは、暗い世界観と人間の負の側面を強調した、極めて高い年齢層(大人)をターゲットにしたと思われる作品で、これまでの低年齢化路線とは正反対です。
 なぜ改革路線とは大きく異なる新連載が、この時になって登場したのか? これは、恐らくはブレイド移籍組の編集者たちによる「置き土産」だと思われます。実は、これらの新連載陣は、(数年前から期待の新人として待たれていた荒川氏は例外として)どの方もほんの半年前に新人賞を受賞したばかりの新人たちでした。ガンガンの改革路線に反対し、のちにブレイドに移籍することになる編集者たちは、彼ら個性派の新人たちの連載を企画することで、強引な改革路線に反対しようとしたと思われるのです。そして、この直後に騒動が勃発し、彼ら編集者たちがブレイドに去った後も、残った編集者たちは、一旦企画して新連載予告まで打った連載を急に中止にすることはできず、そのまま連載を開始せざるを得なかったのだと思われます。
 さらに、その理由に加えて、前述のように大量の連載陣がブレイド組移籍に合わせて新雑誌に移転していったため、その穴埋めのためにも新連載の予定を中止することは出来なかったとも考えられます。いずれにせよ、これらの良質で個性的な新連載群が、ブレイド騒動の混乱の中でも無事スタートできたことは、大変な幸運だったと言えます。

 もっとも、この新連載攻勢には、王道少年マンガの「666(サタン)」(岸本斉史)、かつてのジャンプマンガのリメイクである「フラッシュ!奇面組」(新沢基栄)等、明らかな少年マンガ路線の作品も含まれており、さらには、前述の「B壱」も、作者の個性は存分に感じられるものの、基本的には少年マンガ路線を踏襲しています。これらの新連載は、おそらくはガンガンで改革路線を進め、ブレイド騒動後にもガンガンに残った編集者たちの企画によるもので、これがブレイド移籍組編集者による企画と同時期に連載開始していたことを考えると、ガンガン内のこのふたつの派閥の争いがいかに激烈なものであったかを窺い知ることが出来ます。


・この新連載陣こそが、ガンガンの「最後の輝き」。
 しかし、この新連載攻勢こそが、ガンガン連載作品の中で、優れた個性・独創性を保っていた最後の良質作品群であったことは間違いないと思います。
 もともとのガンガンは、少年誌でありながら、少年マンガの枠から外れた独創性の高い作品が多く、大手少年誌には見られない自由な作品創りが最大の魅力でした。その自由な作品が、最後に感じられたのがこの時期の新連載─「鋼の錬金術師」「プラネットガーディアン」「B壱」「妖幻の血」そして「ドームチルドレン」であったのです。編集部の強引な改革で混乱し、作品の質が崩壊しつつあったガンガンの中で、奇跡的に見ることの出来た最後の輝きであったと言えそうです。


・2002年のガンガン。
 しかし、年が明けて2002年に入ると、ガンガンは再び強烈な少年マンガ路線を打ち出し、ブレイド騒動以前よりもさらに激しい改革路線を取り始めます。改革路線に反対する編集者たちは、もうブレイドに抜けていなくなり、もはや邪魔者なしに思う存分改革が進められるというわけです。
 2002年に入っての新連載は、そのほとんどが少年マンガ路線を踏襲しています。ジャンプマンガのオマージュとも言える王道バトル系少年マンガ「マテリアル・パズル」(土塚理弘)、美少女キャラクターを強調しながらも、本質的には熱血バトル系少年マンガである「私の救世主さま」(水無月すう)、「ハーメルンのバイオリン弾き」を完結させたベテラン作家・渡辺道明による軍事・戦闘機もの「PHANTOM;DEAD OR ALIVE」、同じくベテラン作家・柴田亜美によるかつての名作の続編「PAPUWA」と、王道少年マンガの復活路線を次々と打ち出します(*「PAPUWA」だけは王道少年マンガとはかなり異なりますが、「かつての名作の復活」という意味では、初期ガンガンの復活を目指す王道少年マンガの連載と共通の方向性を持っています)。

 そして、この手の王道少年マンガと並んで、もうひとつ、別の形での少年マンガの新連載を打ち出します。それはラブコメ系少年マンガです。
 これは、女の子とのラブコメ生活をメインに据えたマンガで、王道バトル系少年マンガと並んで、少年マンガ誌には常に存在してきました。かつての80年代の黄金期のジャンプでも、「ドラゴンボール」や「ジョジョ」「北斗の拳」等のバトル系少年マンガと並んで、「きまぐれオレンジロード」というラブコメマンガが人気を集めていました。今の少年誌でももちろん存在しており、ジャンプでは「いちご100%」、マガジンでは「魔法先生ネギま!」「スクールランブル」などがそれに相当します。
 そしてガンガンでも、この手のマンガが少年誌の復活には不可欠だと考えたのか、2002年に入ってから、この手のラブコメマンガの新連載を打ち出してきます。具体的には、新人によるオリジナル作品である「悪魔事典」(巣山真也)、「ながされて藍蘭島」(藤代健)、アニメを中心としたメディアミックス作品のコミック版である「円盤皇女ワるきゅーレ」(介錯)の新連載です。

 これらのマンガは、どれも「キャラ萌え」を強烈に意識しており、その点ではかつてのエニックスマンガと共通点がありますが、しかし本質的には大きく異なっています。かつてのエニックスマンガは、中性的で女性にも抵抗無く読める内容を目指していました。しかし、これらのラブコメマンガは、基本的には少年誌の主要読者である少年(男性)向けであり、エロ要素やサービスシーンも多く、女性には受け入れがたい内容である場合が多いのです。
 そして、このような男性向けのラブコメマンガの新連載を多く打ち出してきたということは、もはやガンガンは、かつてのように女性でも抵抗無く読める中性的な誌面ではなく、男性の少年読者を優先的に扱う誌面を目指すようになったことを示しています。

 念のために書きますが、これらのマンガは、男性読者の中でもコアな、いわゆる「美少女マニア」だけに向けたものではなく(もちろんそれもありますが)、あくまで少年マンガを読む一般の男性読者に向けたマンガであります。つまり、この手のラブコメマンガの連載は、あくまでガンガンの少年マンガ路線をさらに強調するものなのです。よって「萌えマニア狙いのマンガなんかを掲載して、ガンガンは少年マンガ誌を作る気があるのか」といった批判は、実は間違っています。
 (とはいえ、この手のマンガは、必ずしもガンガンの少年マンガ読者に支持されたわけではなく、むしろ、露骨な「キャラ萌え」狙いに対する批判の方がはるかに多かったような気もしますが・・・)。

 このように、2002年のガンガンは、王道バトル系少年マンガにラブコメ系少年マンガと、ブレイド騒動以前よりもはるかに強烈に少年マンガ路線を推し進めるようになり、ガンガンの改革路線は再加速して、さらに極端な、少年マンガに偏った誌面へと変貌します。
 そして、これら新連載の少年マンガは、どれも平凡でありきたりな作品が多く、かつてのエニックスマンガのような個性は感じられなくなり、ガンガンのさらなる質の低下は避けられなくなってきます。


・2003年のガンガン。
 そして2003年に入っても、この路線は継続します。いや、継続するどころか、ますます少年マンガ路線は先鋭化され、より王道・より低年齢向けを意識したマンガばかりが載るようになります。
 具体的には、「ドラゴンリバイブ」(井田ヒロト)、「グレペリ」(たくま朋正)、「女王騎士物語」(下村トモヒロ)の3作品です。この3つの作品は、極端な王道バトル系か(「ドラゴンリバイブ」「女王騎士物語」)、極端な低年齢向け作品(「グレペリ」)で、少年マンガ路線をこれ以上ないほど強調した新連載陣となっています。もはやここまで来ると、「今のガンガンは『少年マンガ』以外を受け入れる余地はないのでは?」と思えるほどで、実際にそのような極度に偏った誌面が顕在化してきます。しかも、この3つの作品がお世辞にも面白いとは絶対に言えないほど平凡でありきたりな作品で、もうガンガンの質の低下は致命的と言える状態になります。

 さらには、この時期までに、かつて「最後の輝き」とわたしが命名した、2001年当時の個性派新連載の多くが、打ち切りか移転の憂き目にあっています。
 まず、「妖幻の血」と「ドームチルドレン」のふたつの連載が、早い時期にガンガンパワードへと移転していきます。この移転は、作者自身の都合による部分も多いのですが、それにしてもなぜ移転までする必要があるのか、非常に疑問でした。実際のところ、作者の都合などではなく、単にガンガンの路線に合わないから飛ばした、と言える側面の方が強いように思えます。
 そして、「B壱」の打ち切り。これは今考えても謎です。個性派とはいえ基本的には少年マンガ的要素が強いマンガであり、ガンガンの改革路線とは合っている部分も多いマンガなのに、なぜ突然打ち切られてしまったのか、全く理由が思い当たりません。
 そして、「プラネットガーディアン」。これは、作品自体は無事最終回を迎えましたが、その後の同作者の新連載は、なぜかパワードでの連載になります。なぜガンガンで再び連載を持たせてもらえないのか、これまた謎です。別にガンガンで連載してもよさそうな作家だと思うのですが・・・。

 これら個性派の連載群は、少年マンガ路線が進むガンガンの中で、最後に個性を保っていた数少ない存在だったのですが、それらすべてがガンガンから消されてしまいます。元々これらの連載群は、移籍したブレイド組編集者の「置き土産」とも言えるマンガでしたから、ガンガンに残って改革路線を進める編集者にとっては、もはや邪魔でしかない存在だったのでしょう。
 そしてその一方で、同時期に始まった新連載で残っているのが、王道少年マンガの「鋼の錬金術師」「666(サタン)」、かつての少年マンガのリメイクである「フラッシュ!奇面組」という状態です。もはやここまで来ると、ガンガンの極端すぎる改革路線は明らかで、「王道系の少年マンガ以外はすべて排除する」と言ってもいいくらいの、大きく偏重した編集方針が窺えるのです。

 ただ、この年に始まった新連載の「ヴァンパイア十字界」(城平京+木村有理)だけは例外で、原作者の作家性が存分に感じられる、個性的な作品です。今のガンガンでは、城平京だけは特別扱いなのか、この「ヴァンパイア十字界」と、かつてのエニックスマンガ時代から唯一人気を保っている「スパイラル」だけが、ガンガンの中で本当に数少ない個性派作品として、その存在を認められている状態となっています。


・2004年、そして現在。
 そして2004年以降、現在に至るまで、ガンガンの改革路線は続いており、極端に「少年マンガ」に偏った誌面と成り果てています。
 ただ、その中で、「B壱」を不本意に打ち切られた大久保篤の新連載「ソウルイーター」だけは、少年マンガ路線の作品ながら抜群の個性と面白さが感じられ、ガンガンの少年マンガ路線の中では数少ない(本当に数少ない)成功作となります。あれだけ極端に王道少年マンガばかりを集めて、本当に成功したのが「鋼の錬金術師」とこの「ソウルイーター」だけとは、あまりにも情けない結果です(まあ、ひとつも結果が出ないよりはマシですが・・・)。
 そして、さらなる王道+低年齢向け新連載として、「王様の耳はオコノミミ」(夏海ケイ)というベタベタな料理マンガを開始。この分だと、この路線はもう当分終わりそうにありません。

 そして、ガンガンのひとつの特徴であった「ゲームマンガ」においてすら、今となっては少年マンガ的要素が強くなり、かつてのゲームマンガほどの個性が見られない状態です。具体的には、「スターオーシャンブルースフィア」(水城葵)、「スターオーシャン Till the end of Time」(神田晶)、「ファイナルファンタジークリスタルクロニクル」(壱河柳乃助)あたりの作品ですが、どれも平凡の域を出ず、かつてのゲームマンガほどの斬新さが感じられません。エニックスマンガ時代の「アークザラッドII〜炎のエルク〜」(西川秀明)や「ヴァルキリープロファイル」(土方悠)などと比べれば、その個性の低下は否めないところです。


 このように、今のガンガンは、編集部の強引な改革路線が延々と続いている状態です。平凡な王道系少年マンガばかりで、かつての個性的な作品はほとんど消え、誌面は荒れ果ててしまったと言えるでしょう。個々のマンガの人気に関しても最悪で、どの作品も大した人気はなく、ほとんど「鋼の錬金術師」の圧倒的な人気だけで雑誌が保たれている状態です。
 考えてみてください。改革路線以降のマンガで、首尾よくアニメ化を果たした作品がどれだけあるでしょうか? かつてのエニックスマンガ全盛期の作品では、主要な人気作品の多くがアニメ化されました。「まもって守護月天!」「スターオーシャンセカンドストーリー」「ジャングルはいつもハレのちグゥ」「東京アンダーグラウンド」「魔探偵ロキ」「新撰組異聞PEACEMAKER」「スパイラル〜推理の絆〜」と、実に多くのマンガがアニメ化されました。では、改革路線以後のマンガで、アニメ化を達成したものがどれだけありますか? 答えは「鋼の錬金術師」ただひとつ、それだけです。しかも、この「鋼」ですら、作者の荒川さんはエニックスマンガの全盛期に発掘された新人です。改革路線以降に出てきた新人の作品に限って考えるなら、ひとつたりともアニメ化されていません。
 それだけではありません。かつてあれほどたくさん企画された、小説化やドラマCD化、画集やガイドブック等の関連本の発売も、改革路線以降の作品では、「鋼」以外はほとんど成されていません。一体どこまでガンガンマンガの人気が落ちてしまったのか、本気で考える必要があります。今では、ガンガンよりマイナーなはずの姉妹誌である、WINGやGファンタジーの作品の方が、ドラマCD化の企画が多いくらいです。ひとつひとつの連載作品を抜き出してみれば、エニックスで最もメジャーな雑誌であるはずのガンガンの作品が、実は最も人気が冷え込んでいることは一目瞭然でしょう。

 まあ、かつて改革路線が始まって以来、強引な改革につぐ改革、そしてブレイド騒動と、ガンガンはここ4年以上常に混乱状態にあると言ってよいわけで、そんな強引な改革から人気のあるマンガはほとんど出ていないのは確かです。しかも、この混乱が今後いつまで続くのかも分からない状態です。実際のところ、今のガンガンは、「鋼の錬金術師」が終わればすぐにでも雑誌が保てなくなることは間違いない状態で、そんなガンガンの先行きは、非常に暗いものであると言わざるを得ないでしょう。

(「少年ガンガンの歴史」終わり)



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