<ぱにぽにコミックス初回限定版付録を振り返る>

2011・12・15

 先日、2011年10月号を持って、Gファンタジーの長期連載「ぱにぽに」が終了いたしました。2000年11月号から約11年の連載で終了、Gファンタジーでも屈指の人気作品にして長らく雑誌の看板作品だったと思います。2005年にテレビアニメ化され、爆発的な人気を得たのもいまだ印象深いところです。

 コミックスは全17巻で終了。この最終巻の初回限定版には、主人公のレベッカ宮本が歌うアニメのOPテーマが収録されたCDが付録として付きました。この「ぱにぽに」、これまで発売されたコミックスでも、たびたび初回限定版が発売され、そのたびにこのような凝った付録が用意されていたのです。他にも初回限定版で特典を付けるコミックスはあまたありますが、この「ぱにぽに」のそれは、毎回非常に力の入った企画となっていて、制作スタッフのこの作品にかける意気込みを存分に感じることが出来ました。

 ここでは、「ぱにぽに」の完結に際して、過去に発売されたこれら初回限定版の付録を、逐一振り返ってみようと思います。今思えば、毎回毎回素晴らしく楽しい企画ばかりでした。



・「いやしけいえほん LOVE & EARTH」(3巻初回限定版)
 「ぱにぽに」で最初に初回限定版が作られたのは3巻。連載当初から人気のこのマンガ、1巻発売の時から話題を集めており、3巻において早くも初回限定版が発売される運びとなったようです。
 この付録は、のちの初回限定版のそれと異なり、「絵本」という体裁を取っています。それも、本編の作中で、ベホイミというキャラクター(のちにスピンオフで主人公にもなる人気キャラクター)が、癒し系魔法少女という触れ込みがクラスで完全に滑ってしまい、ショックで地味な姿へと変わってしまった後で描いた絵本という設定で、それをわざわざ忠実に付録で再現。そのネガティブな心を強く表現した破滅的な内容となっていて(笑)、それをわざわざとび出す絵本にして大公開という、まさに制作者の悪ノリも著しいものでした。

 のちの付録と比べると、一発ネタ的な要素が強く、この時はまださほど凝った企画ではなかったのですが、しかし個人的には大いに笑わせてもらったので、今でも最も気に入っている付録のひとつになっています。


・ぱにぽに取り扱い説明書(4巻初回限定版)。
 続く4巻の初回限定版は、ぱにぽにを内容を特集した小冊子となっていて、以後このような小冊子が定番となります。中でも最初に発売されたこれは密度が濃い。
 家電の取扱説明書を模した作りとなっていて、「ぱにぽに」というマンガを読むに当たっての注意書きが書かれたような、遊び心に満ちた企画です。「本の読みかた」「マンガの読みかた」「コマの見かた」「4コマの読みかた」など、誰もが当たり前にやっていることをわざわざ説明しているところがとても笑えます。

 中でも役に立つのが、キャラクター紹介ですね。ひとりひとりのキャラクターの特徴が、簡潔に分かりやすく紹介してあって、これは本当に便利。「身長」「スタイル」「体力」「学力」「やる気」の5つのステータスが5段階で評価してあるのも面白い。これは、のちにテレビアニメの制作の時にも大いに参考にされたようで、これと同じようなキャラクター紹介がアニメの方でも行われたことがあります。また、キャラクターのイラストでは、一部にGファンタジー連載作家による寄稿イラストが見られ、これがのちの小冊子のゲスト作家招聘の先駆けとなりました。

 最後の頃のページには、「故障かな?と思ったら」というページで、「ギャグの意味がよく分からない」「読んだけどあまり面白くなかった」など自虐的とも取れるネタまで入っていて、これには大いに笑わせてもらいました。今読んでも楽しめるいい付録だったと思います。個人的には一押し。


・ぱにぽに4コマ+ショートコミック劇場(5巻初回限定版)。
 続く5巻では、複数の作家による「ぱにぽに」の4コマやショートコミックを集めた小冊子が付録となりました。いわゆるアンソロジーで、のちに同じコンセプトで、「ぽにぱに」の名前で1冊の独立したコミックスとなって発売されるようになりました。これはその先駆けと言えます。

 当時Gファンタジーで連載していた作家が執筆陣の中心で、今ではもう見られなくなってしまった梶原あや、他社へと行ってしまった霧賀ユキや住吉文子がいるのが懐かしい。また、Gファンタジーの作家以外にも、中村光や金田一蓮十郎も参加しているのも面白い。当時から氷川へきるのアシスタントだった勇人ももちろん参加しています。

 スクエニ以外では、秋月亮(現・あきづきりょう)がいますね。氷川先生と個人的な親交のある友人でしょうか。以後、このような作者の個人的なつながりとも思える作家が、何人もゲストとして登場するようになります。


・ぱにぽに4コマ+ショートコミック劇場2(6巻初回限定版)。
 続く5巻もまたアンソロジーですね。基本的に前回と同じ構成ですが、執筆陣は幾人か変わっています。スクエニ以外からは藤枝雅さんの登場が印象的。アニメのエンドカードも描いていますし、氷川さんとは親しい間柄のようです。あと、とらのあなの無料冊子でマンガを描いているむっくさんもいますね。

 他は全体的にスクエニ作家陣ですが、前回の梶原あやに加えて、独特の作風で有名な極山裕さんや、のちに「春期限定いちごタルト事件」のコミカライズを担当する饅頭屋餡子さんの姿が。いずれも、かつてはGファンタジーで活躍していた作家たちですが、今はどうしているのでしょうか・・・。


・桃月スタイル(7巻初回限定版)。
 ここに来て再び小冊子が登場。これは、実在する情報誌をモチーフにして「ぱにぽに」の舞台である桃月町を紹介する試みとなっています。

 冒頭はレベッカ宮本のインタビューからスタート。ファッション誌っぽいスタイリッシュなページデザイン。そして「桃月西口を極める。」と称して、桃月駅西にある商店街の店を紹介するコーナーが続きます。各ショップとそこで売られているアイテムが逐一詳しく紹介される本格的なもの。「まろまゆ」で登場する喫茶エトワールと桃香飯店と、そこで働く胡桃・玲も、ここできっちり紹介されています。
 さらには、アイドル紹介として「桃組っ!!」の主人公の1人ユナのインタビュー(イラストは藤枝雅)。そして雑誌ならではのコーナーである掲示板や求人情報、4コママンガに広告、コラム(渡辺浩弐と中村光、鈴木次郎にもちと言う濃い面子が書いてます)、連載小説、映画やDVD、CD、本、劇場イベントの紹介コーナー、さらには、テレビ欄に占いコーナーまであるという徹底的な凝りよう。裏表紙にはなぜか「まほらば」のアニメDVDの広告が(笑)。ここまで遊び心満載の小冊子を作ったのは、本当に素晴らしいの一言。寄稿した作家陣も多数に渡っていて、とにかくものすごい力の入れようでした。

 個人的には、これがぱにぽに初回限定版付録の中でも一押しです。なお、初回限定版の最初の告知の段階では、この小冊子の名前は、「桃月ウォーカー」になっていました。それが「桃月スタイル」に変わってしまったのは、実在する雑誌とあまりにかぶりすぎたのを避けたのでしょうか。出来れば「桃月ウォーカー」で出してほしかったなあ(笑)。


・ぱにぽにいろはカルタブック(8巻初回限定版)。
 8巻の初回限定版は、キャラクターたちをモチーフにしたカルタ。これのみアニメ版のキャラクターデザインとなっています。ちょうどこの時期アニメが大ヒットしていた時期でした。個人的には、原作の付録は全部原作の絵でやってほしかったというのもありますが、まあ当時アニメは想像以上に盛り上がってましたし、1回くらいはありでしょう。

 アニメ版のキャラクターデザインということで、描いているのはシャフトの大田和寛でしょうか。カルタの表に彼によるデフォルメされたキャラクターが、裏にはアニメの1シーンが描かれています。カルタの文章が面白く、「いつまでたっても影薄い」(くるみ)、「おデコは広いが心は狭い」(都)、「高い学歴低い身長」(レベッカ宮本)など、そのキャラクターの特徴をよく捉えていて思わず笑えるものが多い。裏にはそのキャラクターに関する豆知識が書かれていてこちらも面白い。よく練られた付録だと思いますね。


・スクールメガネ(9巻初回限定版)。
 ここでさらに小冊子が登場。それも雑誌仕立てになっていて、ぱにぽにのキャラクターで「一条さん」の名で知られる不思議系委員長が編集したという設定です。作中でなぜかメガにこだわっていた一条さんが、ついにメガネをテーマにした本を出してしまった!

 その内容は、メガネ委員長たち3人(瀬奈雪絵・朝比奈英理子・大森みのり)による座談会、メガネ生徒のピンナップ、生徒たちのかけるメガネの分析記事、メガネランキング、コラム、小説、4コママンガなどなど。ついにはメガネをネタにしたロボットゲームの記事まで。各イラストとマンガ、テキストは、Gファン内外の作家たちが分担していて、その豪華な執筆陣に驚きます。イラストではみつみ美里や榎宮祐がゲストとして描いているのが印象的。そして何より面白いのが、渡辺浩弐とおかゆまさきによるメガネをテーマにしたショート小説。渡辺浩弐は、当時Gファンで「プラトニックチェーン」のコミック版を連載しており、このショート小説も「プラトニックチェーン」や「1999年のゲーム・キッズ」を彷彿とさせるウイットに富んだ面白い話となっています。そして、当時電撃文庫で「撲殺天使ドクロちゃん」を書いていたおかゆまさきの小説がまた面白い。ドクロちゃんとは異なるテイストの、真面目な雰囲気のよく出来た恋愛小説となっています。

 最後には、特別編集長・一条さんによる後書きの一文が、「一条拝」の署名と共に掲載されています(一時一条さんの名前かと騒がれたことがありましたが、もちろん違いますよ)。


・ピーチガールズアイランド(10巻初回限定版)。
 前巻に引き続いて企画もの小冊子が登場。今回は「ピーチガールズアイランド」と称して、ぱにぽにのキャラクター(女の子)たちの特集本になっています。「夏の思い出」というテーマで、水着や浴衣など夏の衣装を着たカラーイラスト(サマーグラビア)が多数見られるのが印象的。中でも個人的に一番良かったのが、前回に引き続いて登場の榎宮祐さんによる6号さんのイラスト。前回も6号さんを描いていて、相当お気に入りの様子。彼の描く6号さんはまじでかわいい。

 連載中幾度か行われたキャラクターに人気投票がこの冊子でも行われており、そこでの結果は、1位大森みのり、2位芹沢茜、3位がレベッカ宮本、4位が6号さん、5位が瀬奈雪絵となっていて、この当時原作でクローズアップされていた委員長人気を彷彿とさせます(カラーピンナップもこの人気投票の順に並んでいます)。

 他にも、作者のインタビューがあったり、「ぱにぽに大辞典」なるコーナーがあったり、読者のイラストが多数載っていたり(この付録に合わせて募集していました)と多彩で充実した内容となっています。


・レベッカ宮本大百科(11巻初回限定版)。
 さらに小冊子が続きます。今回の小冊子は、主人公であるレベッカ宮本(ベッキー)をクローズアップした1冊。定番と言えるゲスト作家たちによるイラストの他、ベッキー大解剖、ベッキーへの質問コーナー、これまで原作で登場した服装コレクション、ベッキー検定、ドラマCDやアニメのスタッフのベッキーに対するメッセージ集、一条さんによる宮本先生研究、ベッキーへのインタビューコーナーなど。

 氷川へきる先生本人による脱力のマンガも掲載されていて、今回も盛りだくさんの内容。イラストでは、当時Gファンで4コマを連載していた水谷ゆたかさんのベッキーがとてもかわいい。あれから連載が途中で中断して、しばらくして再開するといいつつ、いまだに帰ってこないのは残念でなりません(今では芳文社の方で4コマを描いていたりします)。


・帰ってきた新・ぱにらじの逆襲リターンズ!(12巻初回限定版)。
 ここで付録にCDが登場します。アニメ放映と同時期にウェブで配信されたラジオ「ぱにらじ」。これは当時大好評を博していたのですが、アニメ放映後に惜しまれつつも終了してしまいます。その「ぱにらじ」が、原作コミックスの初回限定版付録として、1回限りの復活!という企画でした。

 出演は、レベッカ宮本役の斉藤千和と宮田晶役の新谷良子。この斉藤千和の演技が絶品で、かつラジオのパーソナリティも面白く、その楽しい雰囲気の収録を存分に聴くことが出来ます。中でも「せっちゅ語」というコーナーが面白く、斉藤さんがベッキーの声を演じる時の舌足らずな言葉をたっぷりと聞くことが出来ました。アニメのスタッフにも愛されたぱにぽにらしい付録でしたね。


・パニベンチャーゲームブック ベッキーと魔法の扉(13巻初回限定版)。
 ここに来てなんと懐かしのゲームブックが登場。アニメでもゲームブックのネタが登場したことがありましたが、それをついに形にしてしまいました。

 システムは、基本的に選択肢を選ぶだけのシンプルなもの。ただ、キャラクターシートはきちんと用意されていて、ほんの少しですがチェック項目もあります。このあたりの雰囲気作りはいいですね。
 肝心のストーリーは、どこか見知らぬ小さな部屋に閉じ込められたベッキーが、3つの扉から3つの世界へ冒険に出るというもの。ファンタジー風やSF風の世界が楽しめて中々楽しい。もちろんぱにぽにのキャラクターたちもあちこちに登場して、ベッキーに絡んできます。話はよく出来ていて、ゲームとしても、ピンチの時にメソウサの助けを借りることが出来るのは面白かったかな。かつてゲームブックにはまっていたわたしには、とても楽しめた付録でした(そういえば、WING連載の「まほらば」にもゲームブックがありましたね)。


・ドラマCD『ぱにぽに』 一難去ってまた一難(15巻初回限定版)。
 ここでドラマCDが付録として登場します。『ぱにぽに』10周年記念ということになっています。そう、ここでもう連載10年が経っていたのです。「ぱにぽに」のドラマCDは、これまでたくさん発売され、アニメ放映前からすでに6本、その後アニメ版のドラマCDも発売され、あるいはGファンの付録になることもありましたが、これもその中の1本です。アニメ版のキャスト再結集で、脚本もアニメスタッフの高山カツヒコが担当。収録時間自体はそんなに長くないのですが、アニメそのままの掛け合いがもう一度楽しめる楽しいドラマCDになっています。また、最後に収録されたキャストたちのコメントが、作品への愛・思い入れに溢れていてよかったですね。


・Pani×Poni Dash! OPコレクション Ver.レベッカ宮本(17巻初回限定版)。。
 ついに最終17巻です。16巻には初回限定版がなくて寂しい思いをしたのですが、最後にまたやってくれました。これもアニメ関連の付録で、かつて大人気を博したアニメのオープニングテーマ「黄色いバカンス」「ルーレット☆ルーレット」「少女Q」の3つをレベッカ宮本がカバーするというもの。これまで「黄色いバカンス」→片桐姫子・橘玲・桃瀬くるみ・6号さん、「ルーレット☆ルーレット」→一条さん、「少女Q」→上原都・6号さんというボーカルの担当になっていて、主人公のベッキーが歌うことがなかったんですが、最後の最後でそれが実現。特に、「ルーレット☆ルーレット」は個人的に非常にお気に入りだっただけに、これが聞けたのは大変うれしいものがありました。



<まとめ>
 このように、毎回毎回いろいろな企画で楽しませてくれた「ぱにぽに」初回限定版付録、とにかく企画が凝っていて、制作スタッフの意気込みが存分に感じられたのが、最大の魅力でした。単なるグッズで終わっているコミックス限定版の付録も多い中、ここまで毎回意味のある楽しめる企画を出してくれた「ぱにぽに」のスタッフには本気で感謝したいですね。

 中でも、最初に出たベホイミの絵本、何度も出された企画満載の小冊子(中でも「取り扱い説明書」と「桃月スタイル」)、そしてゲームブックはとても好きな付録でした。今読んでも楽しめる付録です。

 なお、ぱにぽにの企画グッズは、何もこれだけではありません。これ以外にも、雑誌(Gファンタジー)の付録や、店舗ごとの特典、あるいはアニメ関連で出たグッズ、スピンオフ作品である「新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん」の付録など、これ以外にもたくさん数え切れないほどあるのです。ここまでスタッフに愛されたマンガは、中々見られないと思いますね。


「Gファンタジーの作品」にもどります
トップにもどります