<すもももももも 〜地上最強のヨメ〜>

2006・1・3

 ヤングガンガン最大ヒット作にして、あの「みかにハラスメント」と共に、スクエニ系のイメージをかなり変えた感のある、萌え系ラブコメギャグ+格闘バトルマンガ、です。
 作者は新人の大高忍。彼女は、マンガ賞で大賞を受賞した「芥町(あくたまち)」の出来が素晴らしく、バイオレンス全開だがシビアなストーリーで高い評価を得た有望の新人でした。そして、新創刊雑誌のヤングガンガンで、雑誌の最有力作品として満を持して連載を開始したのが、この「すもももももも」です。デビュー作の「芥町」は、かなりシリアスでシビアな話でしたが、この「すもももももも」は、一部にシリアスなストーリーもあるものの、基本的にはギャグ満載のラブコメで、ライト感覚で楽しく読めるマンガになっています。

 武術家の家に生まれながらも、武術嫌いの秀才肌で検事を目指すごく普通の高校生・犬塚孝士の元にやってきた、押しかけ女房である超強い武術家・九頭竜もも子。この、主人公にして常識人の孝士と、ヒロインにして天然系でしかしとっても強い武術家であるもも子との、バカバカしい掛け合いがまず最高に面白い。もも子の目的は孝士と結婚して最強の子を作ること。同じ年とは思えないちんちくりんな姿で、「考士殿、私とセックスしてください!」とか言って枕を抱きかかえて寝室に忍び込んでくるもも子たんの姿が最高に笑えます。このような展開でも、いわゆるエロの描写は薄く、あくまでギャグとしてライト感覚で描かれているのがポイントです。
もも子&孝士
 そして、孝士ともも子の結婚を阻もうとする、武術家の刺客たちとのバトルがまた最高に面白い。超強い武術家であるもも子が、刺客たちを倒していくのですが、その一方で、理不尽なバトルに巻き込まれる常識人の孝士のいじられぶりが、これまたとても笑えるのです。サッカー好きの武術家・虎金井天下(のちに仲間になる)と命を賭けたPK対決をさせられたり、海上で杭に縛られて海蛇に食われそうになったり、あげくの果てに実家が全焼するなど、とにかくその理不尽な扱いが笑えます。

 しかし、面白いのは孝士ともも子だけではありません。脇を固めるキャラクターも皆個性的で、ヒロインであるもも子以上に人気を得たキャラクターもいます。

 まず、孝士を殺しにきた刺客の一人で、のちに仲間になる巳屋本いろは。この15歳貧乳ロリ極道キャラは、そのデレな行動が萌えマニアに大いに受け、ヒロインのもも子を凌ぐ圧倒的な人気を獲得しました。このいろはたんの圧倒的な萌えこそが、今の「すもももももも」を支えていると言っても過言ではありません。
 孝士と同級生の委員長も圧倒的に評価が高い。彼女は眼鏡っ娘の典型的な委員長キャラなのですが、実は武術家であり、そのことを孝士に隠すためにウマ仮面に変身、特殊な胴着を着ることで圧倒的な力を発揮して孝士を守るという役柄で、露出度を上げれば上げるほど強くなるという凄まじい設定の胴着で羞恥全開バトルを繰り広げるという驚きの展開で、多くの読者を熱狂させました(笑)。
いろはたん 委員長
 このように、いろはたんと委員長のふたりのキャラクターの人気は圧倒的で、ヒロインのもも子の存在感が薄くなってしまうほどで、このマンガの方向性に疑問を投げかけるほどの衝撃を生み出してしまいました。


 このように、容赦ないギャグと萌えが素晴らしい本作品ですが、肝心の要素である格闘バトルやストーリーについても中々結構な出来です。というか、作者の大高さんは、デビュー作ではバイオレンスとシリアスなストーリーが特徴だったわけですが、初連載作品の本作がなぜこんなマンガになってしまったのか、少々疑問ではあります(笑)。
 幼い頃のトラウマで武術嫌いになり、武術と関わりになりたくない主人公の孝士が、理不尽なバトルに巻き込まれ、少しずつではあるが考え方を変えて前向きに立ち向かっていこうとする意志が、ひとつの大きなテーマとなっています。そして、基本はギャグ満載ながらも時折見られるシリアスな葛藤の描写が、このマンガを芯のある作品にしています。特に最近はかなりシビアな話も見られるようになり、元々はシリアスなストーリーでデビューした作者の真骨頂が見られるようになりました。ストーリーの展開も緊迫していて面白く、今後もそのようなシリアスな一面での完成度にも期待できそうです。


 以上のように、硬軟織り交ぜて優秀な作品である本作ですが、今のところヤングガンガンの看板として不動の地位を築いています。特にこのマンガの萌えの力は凄まじいもので(特にいろはたん)、萌え系のマニアの間では圧倒的な人気を誇っています。その上に、ライト感覚で楽しく読める容赦ないギャグの連発、激しい格闘バトルに実は結構良く出来たストーリーと、その実力はかなりのもので、実は萌えならずとも誰もが楽しめる良作となっています。 創刊時からこの作品に恵まれたヤングガンガンは、実に幸運だったと言えるでしょう。有力な新人が新創刊雑誌で期待通りの活躍を見せた、優秀な作品であると言えます。


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