<アーティファクトレッド>

2001・11・15

 怪作「余の名はズシオ」がマンガマニアの間で一世を風靡した、木村太彦のガンガンでの新作(現在はガンガンWINGに移行)。今作もそのすさまじさは健在です。

 わたしはマンガを紹介する時に「オーソドックスな少年マンガ」「不条理系のギャグ」「SF的世界観のマニア向けマンガ」というようにまずおおまかなジャンルから説明に入ります。しかし、このマンガに関しては一体どう説明していいのかさっぱりわかりません。何なんでしょうか、このマンガは(笑)。こういうマンガは木村太彦以外には描けない。

 まあ、あえて説明するなら、「一応基本はオーソドックスなバトル系の少年マンガで、それに突発系の狂騒的なギャグがふんだんに入っている」ような感じでしょうか。ただ、実際にはギャグの頻度がかなり高いので、ほとんどギャグマンガといってもいいのか。昔、「ハーメルンのバイオリン弾き」でシリアスな場面に突然狂騒的なギャグシーンが入りましたが、このマンガはそのギャグシーンへの比重をより高めた、ギャグ主体のバトルマンガといった感じなのかな? それに加えてこの個性的(すぎる)絵柄。全体的になんともいいようのない雰囲気のマンガになっています。

 とにかくギャグが笑えます。「余の名はズシオ」のギャグも完全にぶちきれていましたが、今作もそれは健在。ただ、完全にキレていた「ズシオ」にくらべれば今回は心持ちマイルド気分(謎)。今作はやや万人向けのようです。このあたりはエースとガンガンの誌面の方向性の違いかな? より一般向けのガンガンでは作風も多少は一般向けってことで(この内容で一般向けというのもすごいが・・・)。

 ギャグもすごいがストーリーもすごい。もう次の展開がどうなるのかさっぱりわかりません。これほど次号の展開がわからないマンガというのも珍しい。「マンガの最大の楽しみは、次の展開がどうなるかわくわくしながら読み進めること」ならば、このマンガは最高のマンガだと言えるだろう(笑)。
 まあ、基本はバトルマンガなんで、大筋はある程度予測がつくんですが、逆に細かい部分の展開に関しては完全に予測不能。あまりに意外な展開に驚愕します(笑)。

 唯一、残念なのは絵柄ですね。とんでもなく荒っぽい絵柄で、はっきりいって見にくいです。一瞬何が描いてあるのか分からないところが多く、これはさすがにマイナスポイント。絵の第一印象はあまりいいとはいえません(これはズシオにもいえてますが)。ただ、このとんでもなく荒っぽい絵柄がこのマンガのイメージに一役買っているのは確かなのです。


 というわけで、このマンガはすさまじいギャグ・はちゃめちゃな展開のストーリー・とんでもなく荒っぽい絵柄と、あまりにも人を選びすぎるマンガといえるでしょう。見る人によっては単に「めちゃくちゃなマンガ」という感想しか持たないかもしれません(これでもズシオよりはマシなんですが)。個人的にはズシオ同様かなりツボにはまった作品ですが、だからといってこのマンガを万人に勧める勇気はありませんね(笑)。


2002・8・5

<連載終了にあたり追記>
 実は終盤に入ってシリアスなバトルの比重が高くなり、割とオーソドックスな少年マンガ的な展開になってしまった点が個人的に残念でした。とはいえ、要所要所のギャグのキレは健在で、ストーリー的にもまとまってラストを迎えたので、とりあえず合格といえるでしょう。
 次回作(すでにWINGで連載が始まっている)では原点に立ち帰ったギャグのオンパレードを期待したいです。


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