<ファイアーエムブレム 〜暗黒竜と光の剣〜>

2003・7・25

 初期〜中期のGファンタジーの看板作品。タイトルから分かるとおり、「ファイアーエムブレム(FE)」のコミック化です。

 FEのコミック化に関しては、ファミコン時代から今に至るまで多くの出版社から幾多の作品が出ましたが、この「箱田FE」はその中でも最高のマンガのひとつであると言ってよいでしょう。
 作者の箱田さんにとって初の連載であるにもかかわらず、初期の頃から絵的にも内容的にも大変優れており、Gファンタジー(ガンガンファンタジー)では瞬く間に看板と言える作品になりました。
 さらに、このマンガはFE暗黒竜(ファミコン版)のコミック化だったわけですが、連載中のいい時期にFE紋章の謎(スーファミ版)が発売され、マンガの方も大いに盛り上がりました。ゲームのコミック化では、連載を続けるにつれて原作ゲームのブームが遠ざかってしまい、どうしても勢いを失いがちになってしまうケースが多いのですが、このマンガでは「FC版のリメイク+新作」であるSFC版が連載中に発売されるという、大変な幸運に恵まれたわけです。

 内容的には、まず原作ゲームを丁寧にコミック化することを第一に、かつオリジナルな要素も適切な配分で盛り込まれ、絵的にも作者箱田さんの優しい絵柄がFEのイメージにも合っていて、およそゲームコミックとしては理想的といっていいと思います。特に連載初期のあたりがいきなり面白いです。話がテンポよく進み、かつ個々のエピソードも充実していて非のつけどころがありません。そしてテーマ的にも、戦争の真実を正面から見据えて描いているところが素晴らしい。
 逆に中盤以降は連載のペースが崩れ、絵的にも精彩を欠くなど、連載後期に関しては評価を落とさざるを得ない部分が多いです。結局最後まで話が終わらずに連載を終了したのも非常に残念なところ。

 しかし、その点を差し引いても大変優秀な作品であることは間違いないですね。Gファンタジーを語る上でこのマンガの存在ははずせません。


 このマンガに関して語るべきところは多いですが、中でも「外伝」の巧みさと、そしてオリジナル要素のうまさについては特に見るべき点があります。
 外伝では、原作ゲームでも強力かつ人気ユニットであるオグマとナバールの過去のエピソードが秀逸でした。内戦の渦中に置かれながらも、冷静に戦争の意義と自分たちの生き方を模索する重厚な物語。本編でも戦争の意義を真正面から見つめていく重いテーマが目立つ作品でしたが、これに外伝を加えることでさらに作品全体の重みが増したような気がします。
 本編のオリジナル要素では、やはり主人公マルスたちの宿敵として作られたオリジナルキャラクター・クラウス関連のエピソードが印象深い。原作ゲームでは最大の悪役としてガーネフとメディウスの存在がありますが、彼らが帝国軍の重鎮として派手な動きが中々できないのに対して、クラウスはマルスと直接的に対立する悪役として大いに活躍しました。クラウスは破滅的で掴み所のない狂言回し的な性格で、トリックスターとしての存在感はとても強いものがありました。「箱田FE」のオリジナル要素を代表する存在だったといえます。


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