<神さまのつくりかた。>

2001・11.10

 戦神子(いくさみこ)となるべく育てられた少女・小春(こはる)の成長と闘いを描く現代ファンタジー。現在のGファンタジーの最長連載作品であります。

 作者の高田慎一郎先生はこの連載以前からかなりいい読みきりを執筆していたんですが、初連載といえるこの作品は当初はかなりギャグ色の強いものでした。一神殿という外界から隔離された世界で「戦神子」となるべく育てられた小春は、とうとうその環境に耐え切れなくなり、「男(オトコ)を見たい」という一心からそこを飛び出してしまいます。そして、飛び出した世界(=現代の日本)を舞台にして戦神子となるべく修行の日々が始まる・・・といった感じのスタートでした。
 その後ストーリーはかなりシリアスな長編となりますが、ときおり見せるギャグも相変わらず健在です。シリアスの中にユーモアの要素がふんだんに入っているのがこの作品のいいところ。

 もちろん、一番面白いのはそのストーリーであることは間違いありません。主人公・小春の成長、ともに闘う仲間たちとの邂逅、倒すべき敵の謎・・・途中状況が二転三転し、かつ登場人物がかなり多くなるのでやや把握が難しいですが、すべて通しで読破するだけの価値はあります。いや、面白いですよ、本当に。

 そのストーリーをさらにバックアップしているのが緻密に考えられた設定でしょう。戦神子の存在意義や服装や各能力の細かい設定、一神殿内部の構造や組織形態、同じく戦神子が闘う相手組織の構造、とおよそ考えうる限りの緻密な設定が与えられ、ビジュアル的にも実に見ごたえのあるものに仕上がっています。このあたりは世界設定から入るマニア系のマンガ読者なら思うところがあるかもしれません。ここらへんはさすがGファンタジーの連載、といったところでしょうか。
 さらに作者の趣味であるミリタリーの要素がふんだんに取り入れられているのも特徴的です。自衛隊の戦闘機なんかは頻繁に出てきますし、そのあたりのミリタリーファンに訴えかける要素もあります。さらに作者が格闘ゲームも趣味らしく、小春の技やアクションに格ゲーをヒントに取り入れたであろう要素が見え隠れするのも面白い。ミリタリー要素といい、格闘ゲームといい、細かいマニアックな設定といい、全体的にやや男性読者向けでしょうか。 主人公は女の子だし、サービスシーンとかもたまに見かけます。とはいえ、女性が読んでも楽しめるマンガだとは思いますが・・・。

 絵的にもまあ合格点ですが、いまひとつ「うまい」と言い切れないのが残念なところ。アクションシーンは実によく描けているし、細かい設定部分のビジュアルもよいです。その反面、背景が白くてとても寂しいシーンが多く、さらに登場人物の描き分けがややおぼつかないところがある等の欠点も目立ちます。全体的にやや地味な印象も避けられないところ。このあたりが最長連載でありながら今ひとつ突出した人気がない原因かもしれません。


 しかし、このマンガは素直に面白いと言い切れるストーリーと随所に入るギャグ、マンガマニアをもうならせる細かい設定、迫力あるアクションシーンと、およそどれをとっても完成度の高い作品です。「名作」といってもいいでしょう。巻数も10巻を越え、ストーリーも佳境に入っている今からこのマンガに取り組むのはやや厳しいですが、読んでみる価値があることは保証します。


2002・2・10

<連載終了にあたって追記>
 連載後半はやや勢いが落ちたことは否めなかったが、それでも最後はキレイにまとまって終了してよかった。
 これは間違いなく名作といえます。


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