<わたしの狼さん>

2001・11・16

 かつてシリーズ連載で好評を博した、「わたしの狼さん。」がストーリーを一新して帰ってまいりました。ここではかつてのシリーズ作品と、新連載の両方を扱います。

 ギャグコメディ系のファンタジーストーリーといったところでしょうか。わりと中性的な絵柄(エニックスな絵柄)で少女マンガ的な雰囲気も感じられるかもしれません。
 とにかくコメディの部分が面白いです。普通のギャグだけでなく、絵柄とは正反対の思い切ったギャグ表現もあり、とにかく笑えます。いや、このマンガに限らず藤原ここあさんのマンガはどこか普通ではないところがあり(笑)、オーソドックスなコメディのネタとは一線を画しています。なんというかいかにも「怪作」の表現がふさわしい、普通とは一線ずれたところがあり、このあたりが「ここあ調」とでもいうべきなのか? この「わたしの狼さん。」もまさにそんな感じです。

 そして肝心のストーリーもなかなか考えさせるところが多い。前作のシリーズ連載では勇者が魔王とともに旅をするという、ある種RPG風ファンタジーをパロったような設定で、しかもそれが単にギャグのネタとして出てくるだけではなく、きちんとそれをふまえたストーリー作りをしている。勇者が泣いている村の女の子をなぐさめるシーンなどは非常によかった。これこそが真の勇者の役目だなと思いました。最後には魔王の宿命についてのシリアスな展開もあり、ありきたりなギャグコメディとは違ってきちんとテーマ性を持っていたのがよかったです。
 今作に関してはまだ始まったばかりで、しかもシリーズ連載のときとは主人公も違うため、まだこれからどうなるかは未知数ですが、是非これからも考えさせるテーマ作りをしてほしいものです。

 残念なのは絵がいまいちな点。これは決していい絵とはいえません。とにかく背景が非常に弱く、なにも描いてなかったり、とってつけたような不自然な描写であること多く、お世辞にも世界観を緻密に再現しているとは言いがたい出来です。全体的に画面が白っぽい印象が強い。このあたりはかなり見劣りがするため、重厚な世界観を要求する通のマンガマニアには物足りないでしょう。


 しかし、これは実にいいマンガです。もちろん絵を中心にまだまだ見劣りするところが多く、新人作家の初連載としてはまあ合格レベル、レビュアーが評価をしてもせいぜい佳作どまりの作品といったところでしょうが、個人的にはとても気に入りました。なによりギャグコメディの部分が十分面白く、気軽に笑って楽しむことが出来る上、さらにきちんと考えさせるテーマとストーリーが与えられている。きちんと内容部分が充実して「読ませる」つくりになっているのです。気軽に読める部分と深く考えさせる部分が同居しているところがよい。加えて作品の優しい雰囲気が個人的には好きな点です。主要作品が抜けたガンガンWINGの中では最も期待できるマンガだと思うのですがどうでしょうか。


2002・2・1

<連載終了に当たって追記>
 2回目のシリーズ連載が終了しましたが、一回目のときよりも全体的に優秀でした。ギャグもストーリーも安定して面白い。できればシリーズ連載ではなく正式な長期連載として帰ってきてほしいと思います。


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