<突撃!パッパラ隊>
2003・11・1ガンガン創刊当時からの長期連載ギャグマンガです。創刊からの連載としては、あの「ハーメルンのバイオリン弾き」の次に長い連載でした。実に9年以上に及ぶ連載は、連載があまり長引かないエニックスのマンガではかなりの長期連載といえます。
しかし、このマンガは確かにガンガンの人気連載ではあったのですが、必ずしも雑誌の表看板に立つことは多くありませんでした。まずガンガン創刊当初の人気マンガとしては「ロトの紋章」「南国少年パプワくん」「ハーメルンのバイオリン弾き」「Z MAN」「ドラクエ4コマ」あたりがまず来て、その後しばらくして「魔法陣グルグル」の連載も始まり、これらの看板マンガが表を飾る中で、どうしても「パッパラ隊」はこれらのマンガの「次点」的な存在で、今ひとつ突出した存在ではなかったと思います。
しかし、その面白さは決して看板マンガに劣る存在ではありませんでした。ギャグマンガというモノは、どうしてもストーリーマンガに比べると一歩劣って見られがちな存在ですが、そのギャグマンガによって、ガンガンで確固たる地位を確立しました。「ガンガン=ギャグマンガが面白い」という伝統を作った偉大なるマンガなのであります。
そしてこのマンガは、「パプワくん」と並んでわたしがガンガンを買おうと思ったきっかけになった作品でもあります。もともとギャグマンガが好きな人間だったこともあり、「パプワ」と「パッパラ」が雑誌購入の最大の原動力となったのです。その意味では、もしガンガンに「パッパラ隊」がなければ、恐らくこのサイトは存在していない(笑)。その意味でも大変貴重な存在です。・エニックス雑誌にとって最大の功労者・松沢夏樹
「パッパラ隊」の作者は松沢夏樹御大ですが、彼はこの「パッパラ隊」だけでなく、実に多くの連載・読み切り作品をエニックスで執筆しています。ガンガンの創刊が91年、その後93年にガンガンファンタジー(のちにGファンタジーと雑誌名変更)、94年にギャグ王が創刊されましたが、そのすべての雑誌で創刊当時から連載しています。一時期は3つの連載を同時にこなし、その上読み切りマンガまで精力的にこなすという、大車輪の活躍でした。
ここで松沢夏樹の過去の作品を列挙してみると、このように、10年以上にわたって常にエニックス雑誌で連載を続けており、しかも複数連載の掛け持ちも珍しくない。その割にどの作品も雑誌の看板というわけではなく、むしろ雑誌の中堅としての地位に甘んじている。そう、彼の連載はまさにエニックス雑誌の縁の下の力持ち的存在であって、松沢氏のエニックスへの貢献度は非常に大きなものがあるのです。
- 突撃!パッパラ隊(ガンガン・1991年〜2000年)
- 勇者はツライよ(ガンガンファンタジー・1993年〜1994年)
- 宇宙海賊だばだば一家(ギャグ王・1994年〜1995年)
- 魔女っ子戦隊 パステリオン(Gファンタジー・1995年〜1998年)
- おねえさんと学ぼっ! グレグリ探検隊(ギャグ王・1999年)
- 無敵戦艦ワルキューレ(Gファンタジー・1999年〜2000年)
- 爆裂機甲天使 クロスレンジャー(ガンガン・2000年〜2001年)
- 華の神剣組(Gファンタジー・2000年〜2004年)
- 他、読み切り作品多数。
しかし、そんな松沢夏樹御大のマンガの中で、何かひとつ挙げろと言われれば、それはもちろんパッパラ隊でしょう。ギャグマンガでありながら設定面でのオリジナリティが高く、独特の世界・独特のノリを見せてくれました。
・「軍隊」と「ギャグ」のアンバランスなコラボレーション。
その設定面での最大の特徴が「作品の舞台が軍隊であること」。軍隊という場所は本来厳しい世界。その厳しいはずの軍隊で、あえて過激なギャグをやるというアンバランスさが面白かったと思うのです。戦車で街に買い物に行って大暴れしたり、敵巨大空母に殴り込みをかけたり、基地に侵入してきた敵部隊とバカ騒ぎを繰り広げたりと、とにかくミリタリー関連の設定が必ず入ってくる。松沢夏樹御大がミリタリーや映画観賞が趣味らしく、そのあたりの趣味がモロにマンガに取り入れられている。これがパッパラ隊最大のオリジナリティであり、このあたりの独特のノリが実に面白かったのです。・強烈な変人キャラクターたち。
そして、何といっても「パッパラ隊」はその膨大な量のキャラクターたちの行き過ぎた個性が面白い。
主人公の水島一純だけが真面目な軍人で、まわりの異常なキャラクターたちに彼が突っ込みをいれていくわけですが、その次々に登場するキャラクターたちがとにかく面白かった。
その中でもやはり(名ばかりの)地獄の最前線部隊「パッパラ隊」の個性的な隊員たちが笑える。メインキャラクターであるランコやとびかげ・轟天、そして宮本をはじめとするふざけたノリの隊員たちと、彼らをまとめる少女マンガ家志望の隊長・白鳥沢愛の強烈な個性は、文字通り「パッパラ隊」の主役といっても過言ではないだろう。隊長の少女マンガ関連の話は、パッパラ隊の長い連載の中でも最高に面白かったネタのひとつ。・女の子(美少女)関連の要素もあった。
そして、とにかく女性キャラが多かったのも特徴のひとつ。松沢夏樹御大が、ある程度美少女系の趣味を持った人でして、作品にたくさんの女の子キャラクターが登場してくる。かといって、このマンガは質の低い萌えマンガに陥ることはなく、軍隊やギャグのノリとうまくバランスがとれていたのも優れた点です。「軍隊」に「女の子」と、いかにも男性読者が喜びそうな設定だなあと思いつつも、実は男性読者だけでなく女性読者にも人気があったりと、不思議に面白いマンガでありました。・しかし、後半の連載は面白くない。
しかし、残念ながら褒められることばかりではありません、上記のような面白さが見られたのは主に連載の前半、95〜96年くらいまでの話であって、それ以降の連載は決して面白いとは言い切れませんでした。まず、作品から軍隊の要素が消えたのが痛い。作者自身、当時のインタビューで「軍隊をネタにマンガを描くのがしんどくなってやめた」と明言しています。その結果、「軍隊」というパッパラ最大のオリジナリティが消え、単なるドタバタギャグを繰り返す作品になってしまいました。
その上、肝心のギャグのクオリティも、かつてに比べると目に見えて低くなりました。特に最後の2〜3年はお世辞にも全く面白くない。ほとんどドタバタの勢いだけで連載を続けているような状況でした。
女の子キャラを出しすぎたのも、ちょっと。ただ勢いで出したようなキャラクターが目立つようになり、かつてほどキャラクターに魅力が感じられなくなったのです。このように明らかな不振に陥り、最終的には打ち切りという形で連載終了となったわけですが、これはもはや仕方ないところでした。連載10年を目前にして、かつ「百物語」という毎年恒例のネタも立ち消えになってしまって残念でしたが、あの内容で連載を続けるのは無理がありすぎました。連載の後半でのクオリティの低さが悔やまれる作品ですね。
とはいえ、ガンガンで10年近く中堅作品として奮闘し、ギャグマンガを雑誌に根付かせる先鞭となったマンガとして「パッパラ隊」の存在は大きい。「長い間ガンガンを影で支えたマンガ家・松沢夏樹」としての功績はやはり大きく評価されるべきでしょう。
(余談)
パッパラ隊とは関係ない話ですが、上記の松沢夏樹作品の中で、おねえさんと学ぼっ! グレグリ探検隊(ギャグ王・1999年)
というマンガがあります。
これは世にも不思議な連載でして、新連載第一回と同時に雑誌が廃刊となってしまい、第一話が最終回という極めて珍しい「連載」なのです(笑)。以上。
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