<レガリヤ>

2001・11・12

 これは素直に面白いマンガです。大筋そのものは王道、ありきたりといってもいい設定ですが、逆に細かいプロット部分が効いていて実に楽しめます。

 ストーリーの大筋は、世界の帝王を決めるといわれる「三種の神器(レガリヤ)」を集めるために亡国の王女ティアと盗賊キーツが冒険の旅をする、というもので非常にオーソドックスなファンタジーストーリーです。まさに王道といっていいでしょう。しかし、このマンガは類型の多くの作品と違って、個々のプロットがかなり練られており、読ませる作品になっているのがさすがです。

 結局マンガというのはページをめくっていて面白いかどうかがすべてだと思うのですよ。この作品は大筋はただの「アイテム集めの冒険」でありますが、しかしひとつひとつのエピソードに工夫が感じられ、読んでいて純粋に楽しい。まず冒険に至るまでの序盤のストーリーが良く出来ており、素直にストーリーに引き込まれます。さらに、ひとつひとつの「レガリヤ」のパーツを集めていくエピソードもよく考えられてて、さらに引き込まれる。このあたりは原作者である中村幸子さんの手腕を垣間見ることができます。

 さらに絵が中性的でいいです。作画担当の川添真理子さんはいかにもエニックスな絵柄を描く人で、絵柄が女性的で優しい。その一方でオヤジやお爺さんのキャラクターもきちんと描けており、派手さこそないがかなりいい絵だと思います。

 世界設定は非常にオーソドックスなファンタジー世界です。世界を治める3つの大国が存在し、そのうちの一国であるトゥム・ラスの君主ドレイクが世界制覇のためにレガリヤを狙うようになる。そのレガリヤのひとつが小国シー・ロアの王女ティアの手にあり、そこにドレイクの魔の手が迫る・・・というような感じです。うーんこれだけ書いても王道すぎて何が面白いのかさっぱりわかりませんね(笑)。まあ実際に読んで面白さを体感していただくということで。


 と、いうわけでこのマンガは派手さはないものの細かい部分が良く練られた良作であり、Gファンタジーを支える優秀なマンガであるといえるでしょう。わたしとしてはこのような影で雑誌を支える中堅作品のほうが好きなんですけど。川添・中村両先生の作品はどれも安定して面白い(*注)のですが、初めての長編といえるこれも充分満足できるものでした。

(*注)
 川添・中村両先生のコンビは「Wings」(新書館)で短編や読みきりを連作中です。また、ラポートからもコミックスが出ています。これらがまたエニックス以上にマイナーなので、残念ながらほとんど知られていない状態。どれも安定して面白いので是非チェックしてあげてください。シリアスなストーリーだけでなく、コメディタッチの作品も面白いです。個人的には「サンマ探偵団」が好き(笑)。


2002・2・10

<連載終了にあたって追記>
 連載後半に差し掛かってやや勢いが落ちた感は否めないものの、最後まできちんと描ききった点は好感が持てます。連載中はまさに「中堅作品」といった感じで派手さはありませんでしたが、ありがちともいえる異世界ファンタジーの中ではかなりの良作でした。両氏の次回作にも期待したい。


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