<天眷御伽草子>

2003・5・8

 「まほらば」「わたしの狼さん(dear)」「天正やおよろず」に続くWING系萌えマンガ第4弾(笑)。
 いや、「まほらば」とかと比べると萌え要素は格段に少ないんで、これを「萌えマンガ」と言い切れるかはかなり難しいところですが、しかし「まんが王倶楽部」で紹介されるようなマンガが萌えマンガでないはずがない(笑)。ヒロインは眼鏡っ娘ツインテールだし、絶対萌えだ!

 つかみはこれくらいにして、真面目な紹介に入ります。

 このマンガは、かつてWINGで長い間ファイアーエムブレムのコミックを連載し、その後オリジナルの第一作である「JINX」の短期連載を終えた、冬季ねあさんのオリジナル第二作です。前作の「JINX」は短期で早々と終了してしまって残念だったんですが、今回は待望の長期連載で落ち着いて楽しめます。個人的に冬季ねあさんはWINGの中でもかなりの実力者だと思っているので、今回の長期連載は大変うれしい。

 内容的には、これはファンタジーです。主人公であるナギシロくんと、彼のもとに空から降ってきた眼鏡っ娘ツインテールなドジっ娘ヒロイン・ナナホが、悲願をかなえるために神のおわす大地である高天原(たかまのはら、と読む)を目指すお話。「高天原」という言葉でも分かるとおり、日本の古代神話をモチーフにした世界観をとっています。
 そして主人公たちと同様に、悲願をかなえるために高天原を目指すライバルたちが登場し、特殊な能力を駆使して彼らと闘いを繰り広げるバトルアクションの要素もあります。特殊能力の設定もかなり凝っていて、前作の「JINX」でも見られた作者の設定へのこだわりの片鱗が見えます。
 ただ、このマンガは本質的にはバトルアクションではなさそうです。むしろ、主人公たちも含めたキャラクターたちの「悲願」にかける想いを丁寧に描いた内面描写重視の構成で、内容に重みがあってかなり読みごたえがあります。
 もっとも、この内容の重さは前作の「JINX」にも共通する要素でした。しかし、今作は前作よりも(まだ)明るい雰囲気で、ドジっ娘ナナホを中心にしたコメディのシーンが効果的に入っており、とっつきやすいのがいい点です。シリアスとコメディのバランスがよい。さらに、前作ほど特殊な設定が前面に出ておらず、あくまでエッセンスに留まっているところもとっつきやすい一因かと思います(「JINX」は通好みの設定が前面に出ていてあまりにもマニアックな作品でした)。

 このように実力者の冬季さんらしく、まずきちんと内面描写が充実していて、さらにコメディの要素もバランスよく入り、独特の凝った設定とそれを活かしたバトルアクション、日本神話の要素を取り入れたファンタジーな世界観と、各要素が程よくミックスされた確かな面白さを持つ作品です。絵柄も含めて全体的に地味な印象なので、あまり目立たない存在なのが残念ですが・・・。

 そうそう、このマンガのコミックスは、通常のコミックスの1・5倍以上もありながら値段は他のWINGコミックスを同じ、という大変サービス精神に溢れたものとなっております(普通のコミックスとは思えないくらい厚い)。コミックスから入るには最適の条件ですので是非買いましょう。


2005・10・18

  <連載終了にあたって>
 大変地味な連載で大きな人気は出なかったが、実に良質なファンタジーだったと思う。最後はなんともせつない終わり方だったが、それゆえに鮮烈に印象に残る連載だった。


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