<ヴァルキリープロファイル-レナス- 4コマ魂嬲り編>

2007・3・2

 「ヴァルキリープロファイル-レナス- 4コマ魂嬲り編」は、2006年のガンガンパワード新装刊時から始まった連載で、4回ほど連載したところで終了しました。作者は堀口レオで、「ドラクエ4コマ」こと「ドラゴンクエスト4コママンガ劇場」でもおなじみの作家です。

 このマンガ、大量の新連載が始まったパワード新装刊時の新連載のひとつなのですが、他の新連載と違い、全く告知も宣伝もされることなく、ひっそりと(?)連載が始まり、そのまま数回の連載ののちに終了してしまいました。単なるゲームパロディ系4コマで、ページ数も少なく、ほとんど雑誌の穴埋め・ページ稼ぎのために行われたような連載だったので、これは仕方のない扱いだったかもしれません。

 しかし、このマンガ、そんな穴埋め的な存在であったにもかかわらず、えらく面白い(オモシロイ)マンガでもあったのです。完全な原作壊し系のゲーム4コマで、そのバカバカしい過激なギャグが最高に面白かったのです。作者の堀口レオ自身、ドラクエ4コマではかなり過激なギャグが持ち味だったのですが、その作風がこのゲーム4コマでも健在でした。

 しかも、このマンガ、同時期から連載を開始した「ヴァルキリープロファイル2-シルメリア-」と隣接して掲載されていたのです。この「シルメリア」の方は、雑誌内でも最大の期待作品として大きく扱われており、内容的にも至って真面目な作風なのですが、そんなマンガにまるでコバンザメのごとく張り付いて連載されたこのマンガ、そのあまりにもバカバカしい内容が、主要連載である「シルメリア」との鮮やかな対比を生み(?)、逆にその存在感を増した感がありました。はっきりいって、「こんなマンガを『シルメリア』の隣に連載して大丈夫なのか」かなり不安だったのですが、幸いにも大きな反発の声は聞かれなかったようです。


・変態性を徹底的に強調したあまりにも素晴らしい内容。
 このマンガは、「レナス」とタイトルに入っているとおり、「ヴァルキリープロファイル」の一作目をネタにしたゲーム4コマで、隣接して掲載された「シルメリア」(続編2作目のコミック化作品)とは異なるゲームのコミックです。しかし、同一のシリーズのゲームということで、その設定・イメージにはかなり近いものがあり、隣同士で連載されてもほとんど違和感はありませんでした。
 しかし、その作風はまったくの別物であり、完全に原作のイメージを崩壊させた上に、極めて変態的なその内容は、かつてのドラクエ4コマ時代の堀口レオ以上に過激なものでした。全部で4回ほど連載されたわけですが、どれもこれもすべて過激な作風を貫いています。

 まず、連載第1回目ですが、これは、エインフェリア(ヴァルキリー[戦乙女]に選ばれた勇者の魂)であるルシオとベリナスを主役にしたものでした。ルシオのヴァルキリーへの恋の手助けをベリナスがしようとする話で、一応は双方が共にボケツッコミを行う掛け合いタイプのギャグなのですが、実際にはベリナスの妙なキャラクター性ばかりが異様に際立っており、とにかく中年ケツアゴ元貴族であるベリナスの変態性が強調されまくった、インパクトのありすぎる内容でした。
 とりわけ、ベリナスがヴァルキリーのボディペインティングをする話は、あまりにもキモさ全開のビジュアルで、堀口レオ的過激ギャグの真骨頂がここに現れているような気がします。

 そして、さらに堀口ギャグの真価が表れた連載第2回。
 この回は、同じくエインフェリアたちが主役で、中でも地味なオヤジキャラ・ジェイクリーナスにスポットが当たっており、これまたオヤジキャラをいじりまくった過激ギャグが冴え渡っています。地味すぎて主人であるヴァルキリーにも忘れられ、完全に卑屈に徹するジェイクリーナスの言動がいちいち笑え、さらにはおばさんキャラであるロレンタ学長がなぜか変態SMキャラに壊れており、最後にはジェイクリーナスもなぜか変態キャラに目覚め、SM女王の服を着て突進し「オレを見てくれェ──!」の大絶叫。まさに堀口レオ的変態ギャグの最高潮を見ました。個人的には、全4回の中でこれが一番面白かったのではないかと思います。

 そして、第3回は、初めて(原作ゲームの)主人公であるヴァルキリーが主役となり、彼女に対して、原作から元々変態キャラだったレザード・ヴァレスが、変態的ストーカー行為を繰り広げるという、これまた堀口ギャグを地で行くような内容でした。
 ただ、この回は、確かに堀口レオのギャグネタ自体は相変わらず冴え渡ってはおり、ギャグのレベルは変わっていないと思いましたが、それでも前2回に比べれば、いまいち爆笑度が低かったように思います。なんていうか、レザード自体が、原作からしてそもそも変態のため、それをネタにしてもいまいち意外性に乏しいというか、「まあレザードなら普通にアリかな」と思ってしまうので、今ひとつ爆笑しきれませんでした。やはりこのような原作壊し系のゲーム4コマの場合、いかに原作のキャラを壊すかが最大のポイントなので、その点で少々弱かったように思います。

 そして、最終回となった第4回は、主役はヴァルキリーでもエインフェリアでもなく、ゲームではイベントでのNPCキャラである賦之(ふゆき)が主役で、彼が意中の女性キャラである夢瑠とラブラブ無人島生活(?)を送るという内容です。
 この回も、一応は堀口的なギャグは健在ですが、しかし前3回に比べれば明らかに弱かったように感じます。いまいちギャグが弱いというか、変態性が突き抜けていない感を受けました。若い男女が主役で、変態的なオヤジキャラが乏しかったのが原因でしょうか。やはり、この4コマは、第1回や第2回のように、オヤジの変態性が強調されていないと弱いような気がします。一応、最後に賦之のマッチョオヤジが登場し、その変態性を垣間見ることが出来ましたが、それも一瞬で、すぐに終わってしまいました。ページ数も他の3回に比べると少なく、少々消化不良だったように見えます。

 このように、終わりの頃は少々物足りない回もありましたが、全体を通してみれば出来は上々で、かなり爆笑度の高いゲーム4コマに仕上がっていました。ドラクエ4コマで見せた堀口レオらしさが、このヴァルキリー4コマではさらに強化されていたように思います。


・久々に面白かったゲーム4コマ。これは是非とも連載を続けてほしかった。
 このように、このマンガは非常なまでに面白く、はっきりいってパワード新装刊時の新連載の中で一番面白かったと言っても過言ではありませんでした。完全に連載本数稼ぎのページ埋め的な隙間連載だったにもかかわらず、その存在は際立っていました。華々しく開始されたパワード新装刊時の新連載が、どれも一様に今ひとつの出来で、全体的に期待はずれで終わった中、このような雑誌の片隅でなんの宣伝もなく存在した4コマの方が面白いというのは、なんとも笑える結果です。どう見ても最初から短期間の場当たり的な連載で、案の定たった4回で終了してしまいましたが、これほど面白いわけだから、はっきりいってそのまま連載を続けてもいいのではないか、いや絶対に続けるべきだと思ってしまいました。

 また、ここ最近のスクエニのゲーム4コマで見ても、久々の当たりだったことも確かです。かつてあれほど人気のあったドラクエ4コマも、次第に人気が下火になりついに終了して数年、今のスクエニでは細々とアンソロジーで続いているゲーム4コマですが、この久々に雑誌で登場したゲーム4コマが、本当に久しぶりにヒットを飛ばしました。
 作者があの堀口レオというのも大きい。かつてドラクエ4コマの主要作家で、過激なギャグで一世を風靡した作家が、ほんの一時ではあるが復活した。これは、かつてのドラクエ4コマファン、堀口ファンとしてはかなりの僥倖でした。このような質のいい作家を集めれば、今でも雑誌でゲーム4コマも連載できるのでは?と考えてしまいました。個人的には、パワードの最後に載っている読者投稿の4Pギャグよりも、このような優れたプロ作家を集めた4コマを連載で読みたいものです。


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