<男子高校生の日常>

2012・2・10

 「男子高校生の日常」は、ガンガンONLINEで2009年5月より連載されている作品で、タイトルどおり「男子高校生の日常」を扱った日常もの?となっています。ただ、極めてギャグ色の強いギャグマンガとなっていて、他のゆるやかな日常系とはちょっと雰囲気は異なるかもしれません。

 連載作品の非常に多いガンガンONLINEの中でも、連載開始当初からトップクラスの人気を誇り、コミックス5巻の時点で売り上げが累計100万部を突破、さらにはONLINE連載マンガでは初のTVアニメ化を達成しました。今では、同じくコミックスの売り上げが100万部を超えているもうひとつの連載「ばらかもん」と共に、ガンガンONLINEの看板的な作品となっているようです。

 作者は、山内泰延。この「男子高校生の日常」が初の連載作品の新人マンガ家で、それがいきなり成功を遂げた形となりました。ガンガンONLINEは、他の雑誌よりも連載本数が圧倒的に多く、ここからの新人の起用も盛んですが、そんな中でまず真っ先に作品がヒットした新人かもしれません。絵のレベルはまださほどではないと思いますが、ギャグの面白さには光るものがあり、さらには、ガンガンONLINEでほぼ唯一毎週作品を更新していたことも評価できます(今現在は月2回更新)。ガンガンONLINEは、雑誌自体は毎週更新されるものの、連載作品はローテーションでの更新で、月2回か月刊連載がほとんどです。そんな中で、毎週必ず更新が入るこの作品は、読者にとってはありがたい存在でした。

 内容は、短い1話で完結するオムニバス形式のギャグマンガで、男子高校生の実にたわいもない日常、たわいもない会話を、余計な力を入れることなく自然体で描いています。その若さゆえの?キャラクターたちのバカバカしい行動が楽しい、とにかく笑えるギャグマンガとなっています。また、初期に掲載された第4話がやたら好評で、これがネットで話題になったことで人気に火がつきました。以後、この第4話がフラッシュアニメになったり、TVアニメの先行配信でも真っ先に配信されたり、アニメ本放送でも第1回放送の最後で専用のエンディングテーマが用意されたりと、とりわけ大きな扱いとなっているようです。


・男子主体の日常ものは貴重?
 この「男子高校生の日常」、まさにタイトルどおり「日常もの」とも言える作品なのですが、これまでの日常ものと比べると、ちょっと異なる点もあると思います。

 まず、なんといっても、「男子高校生」という男性キャラクターが主役であること。これまでの「日常もの」と言えば、「あずまんが大王」あたりがその先駆けであるという認識や、代表的な人気作品として「らき☆すた」や「けいおん!」が挙げられることからも分かるように、キャラクターの中心は女の子で、萌え系のマンガとかぶるところも多分にあったと思います。今挙げた「けいおん!」が属する芳文社のきらら系4コママンガなどは、まさにその最たるもので、ほとんどの作品の中心は女の子で「萌え4コマ」と呼ばれることも多いジャンルとして知られています。

 そんな中で、この「男子高校生の日常」、日常ものながら男子がキャラクターの主体ということで、かなり珍しい貴重な存在と言えるかもしれません。ただ、今挙げた女の子中心の作品の多くが、ゆるやかな日常を描くコメディが主体で、笑いの要素があっても「クスッ」と笑う程度であるのに対して、この「男子高校生の日常」は、ギャグの要素が極めて強い、完全なギャグマンガと言える内容となっていて、この点では大きな印象の違いはあると思います。
 その点では、同じ男子主体の日常ものでも、こちらはGファンタジーの連載である「君と僕。」の方が、これらの日常ものに近いものがあると思います。この作品も、ギャグというよりコメディで、ゆるやかな日常の学校生活を描いていて、雰囲気は萌え4コマのような日常系とかなり近い。それに比べれば、この「男子高校生の日常」は、同じ男子高校生の日常を描いているものの、より賑やかにわいわい笑って楽しむマンガになっていますね。

 「日常系マンガ」が人気…現実離れのステキ空間YOMIURI ONLINE


・とにかく毎回笑えるギャグの連発。多数いるキャラクターもみな個性的で面白い。
 さて、そんなこの「男子高校生の日常」のギャグですが、彼ら高校生が普段やりがちな(?)たわいもない・くだらない・バカバカしい行動、それをいちいち採り上げるところがとにかく面白い。妹のスカートをはいてみたり、下着をつけてみたり、彼女ってどうやってできるのとあれこれ試みたり、主人公が女連れで登校しているのを見て襲撃?に行ったり、道に棒が落ちてるのを拾ってRPGごっこを始めたり、海に泳ぎに行ってもバカやったり、温泉でもバカな卓球やったり、家でラジオの真似事をしたり、とにかくそのしょうもない行動にいちいち大爆笑。中にはあまりにバカバカしすぎるものもありますが、しかし実際の高校生の思考・行動をよく捉えているとも言えますし、「うちも高校生の時はこうだったな」と感慨にふける人も多いのではないでしょうか。

 そして、そんな笑える行動を連発する愛すべき高校生キャラクターたちが、実にたくさん登場するのも楽しい。中心となるのは、主人公のタダクニと、その友人のヒデノリ・ヨシタケ で、主にヒデノリ・ヨシタケの放つおバカな行動に対して、タダクニが突っ込みの役回りをすることが多くなっています。さらには、唐沢やモトハルを中心とする生徒会の面々もまた、もう一組のメインメンバーと言える存在。彼らもまた、ちょっと強面な外見とは裏腹に、高校生らしいおバカな行動で笑わせてくれます。

 さらには、「男子高校生」とタイトルにありながらも、個性的な女性キャラクターたちもたくさん出るようになりました。最初のうちは、男子キャラを中心とするという作品の方針からか(?)、目を描かれない女性キャラが多かったのですが、そうでないキャラクターもどんどん増えてきて、一躍人気の出るキャラクターも登場するようになりました。おそらくは一番人気の文学少女(後述)を始めとして、りんごちゃんやタダクニの妹などの名物キャラクターが多い。さらには、特別編として、主人公たちとは別の高校に通う女子高生たちを主役にした「女子高生は異常」というマンガも掲載されるようになり、コミックスでは巻末に収録されています。


・異様な話題となった第4話「男子高校生と文学少女」。
 そして、このマンガを語る上で外せないのが、ネットで異様な話題となった連載第4話「男子高校生と文学少女」でしょう。
 これは、主人公グループのひとりヒデノリと、別の高校に通う文学好きの女子高生”文学少女”との、風の強い河原での笑える会話と心の中の本音を描いた話で、そのあまりのバカバカしさから?当時ネットの一部で徹底的に話題となり、これで一気にこの作品の知名度が高まった感があります。その後も、コミックス1巻の発売でも帯でそのことが徹底的に強調されたり、さらにはこれだけがフラッシュアニメになったりTVアニメでも特別扱いされたりと、一歩以上抜けた扱いとなっています。

 ヒデノリは、ただ河原に寝転んで本を読んでいただけだったのですが、それを見つけた”文学少女”が、自分の思い描いていた文学的な情景とダブらせ、ヒデノリに対して感傷的なセリフを投げかけてきます。ヒデノリは、心の中でおいおいと思ったのですが、なぜかそれに対してこちらも文学的なセリフで返してしまい、事態はヒデノリにとって泥沼になっていきます。
 この雰囲気に本気で耐えられなくなったヒデノリは、携帯でいつもの連中に助けを呼びます。しかし、最初にやってきたヨシタケは、なぜか乗り気でそいつまで文学的なセリフを返してくる有り様。そして遅れてやってきたタダクニが、今度こそ空気を読んで(?)「おいヤベーって そこのコンビニ ポテト半額だよ 行こーぜ!」と雰囲気をぶち壊す言葉を叫び、文学少女にぶん殴られてそのままオチへとなだれ込みます。

 この話は、ヒデノリと文学少女の掛け合い、そしてヒデノリの心の中での突っ込みがとてつもなく面白く、徹底的に笑えるものとなっています。わたしなどは、最後のタダクニの「ポテト半額だよ」のところで大爆笑してしまいました。以後、この文学少女絡みの話はシリーズ化され、そのたびに同じようなシチューエーションで笑える話となっています。


・アニメになってさらに面白くなった。今後の放映と原作の展開に期待。
 このように、原作からして爆笑できる良質ギャグマンガだったのですが、TVアニメになってさらに面白くなったような気がします。TVアニメのスタッフは、「銀魂」を作った制作陣のようのですが、さすがに実力派スタッフだけあって実にうまくアニメ化しています。

 まず、原作のセリフを一字一句忠実に再現しているところがいい。ギャグマンガだけに、まず何よりも「言葉の面白さ」でその中身が決まると思いますし、それを忠実に守ってくれているのは何よりもありがたい。
 さらには、アニメならではの演出が入ることで、ギャグの面白さがさらに上がったような気がします。声優陣の熱演もあって、ギャグの間やノリツッコミの駆け引きがすごくよく出ている。これで原作のネタにさらに磨きがかかっているようです。キャラクターの掛け合いを聞いているだけで本当に楽しい。
 それともうひとつ、原作の作者の絵は、正直まだまだ不安定さが残っているのですが(特に連載序盤の頃)、アニメでは作画が安定していて安心して見られるのも高評価です。これはむしろアニメの方が上ですね。ここは作画スタッフの仕事に感謝したいところです。

 このように、全体的に非常に安定した出来栄えで、誰もが楽しめるギャグアニメになっていて、とても好感が持てます。原作に忠実でありつつ、アニメによってさらなるレベルアップが見られ、より面白い作品になっている。これは成功と見ていいと思います。
 そして、アニメが始まっても原作の方はマイペースで、コンスタントに連載を重ねています。これからもガンガンONLINEの看板作品として、まだまだ末長く楽しませてくれそうです。


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