<2010年オタク的10大ニュース!>

2010・12・30

 いよいよ2010年も終わりに近づいてきました。そこで、今年最後のこのサイトの更新として、今年のマンガ・アニメ・ゲーム、そしてインターネットで起こった印象的な出来事、話題となった出来事を集めていわゆる「10大ニュース」を書いてみることにしました。一般の10大ニュースとは一味違う、オタクでネットをやっている人ならではの10大ニュースです。


<第10位 水戸コミケ開催>
 コミケットが5年に一度開催するスペシャルが、今回は3月に茨城の水戸で行われ、予想以上に盛況を迎えました。水戸という地方都市が、このイベントを契機に久々に活性化したというニュースは、ネットを見渡しても多くの人に好意的に評価されていたように思います。また、今年は、この水戸に限らず、地方で萌えキャラクターを採用した企画が相次いで登場し、食品を初めとする様々なグッズが出てきました。このいわゆる「萌えおこし」と呼ばれる現象は、数年前から各所で散見されてきましたが、今年はその数も増え、完全に定着した感がありました。

 この水戸コミケもその例に洩れず、様々なグッズが発売され、中でも「ひだまりスケッチ」の蒼樹うめ先生がイラストを描いた梅酒は、大いに話題を呼びました(リンク)。さらには、この水戸コミケ、他にも大手の人気作家のサークルが多数参加しており、中でも久々の同人イベント参加となった「ぱにぽに」の氷川へきる先生は、イベントでトークショーもこなした上に、「ひだまり」キャラが水戸名物の納豆を食べる同人誌も大人気を博し(笑)、この水戸コミケで最も人気を得たサークルのひとつとなりました。


<第9位 例大祭SP開催>
 春のスペシャルが水戸なら秋の9月のスペシャルは例大祭でした。「例大祭」とは例年春の3月とか5月とかに開かれる東方Projectのオンリーイベントなのですが、最近では東方の人気の拡大に伴い、数千のサークルが出る一大イベントとなっています。そして今年は春に加えて秋にスペシャルという形でもう一度開催。ただでさえ、東方は、春の例大祭に加えて秋には紅楼夢という大きなイベントがあり、さらには夏コミ・冬コミでも一大ジャンルと化していて、それだけでも4つも大きなイベントがあるのに、さらにSPまで開催されるという。

 これ以外にも、各所で東方オンリーのイベントはここ1、2年で急激に増え、地方の都市でも数多くの場所で開催されるようになり、さらには秘封倶楽部オンリーのような東方内の特定ジャンルのオンリーイベントも盛況と、この1年も東方の人気ぶりは健在でした。これから先もこの安定した人気は長く続きそうですね。


<第8位 電子書籍元年>
 今年は、一般のニュースでも電子書籍の話題には事欠きませんでした。特にiPadの発売は新聞・テレビでも大きく採り上げられ、このような画期的な端末の登場で、日本では導入が遅れがちだった電子書籍にも一気に注目が集まる形になりました。

 ただ、今の段階では、「あのiPadで電子書籍が読める」ということ自体が話題になっただけで、実際の電子書籍の普及はまだいまひとつという感が漂いました。実際に、今iPadやKindleで電子書籍を盛んに読んでいるという人は、まだまだ少数派なのではないでしょうか。まだ様子見の人が多そうです。とはいえ、出版社を介さずに電子書籍を出版する試みは各所で見られ、中には村上龍や吉本ばななのような大物作家が立ち上げた電子雑誌が成功を収めるなど、成果も出ている点は見逃せません。

 個人的に、この電子書籍を扱った同人誌で面白いものが見られたのが、今年の収穫でした。「電子書籍にまつわるおはなし」というタイトルの本なのですが、今流行のiPadやKindleにとどまらず、一昔前の端末の歴史についても詳細に解説したこの本、イベントではその各種端末でも読めるように展示されていて、これは実に印象的でした(記事)。

 あと、この電子書籍への過渡期とも言える現象として、いわゆる「自炊」(紙媒体の書籍や雑誌をスキャンしてPCなどに取り込む行為)が、マニアの間で流行したのも話題にのぼりました。この年末には、用意してある裁断済みの本を自炊させる店舗が登場し、これはネット上で物議を醸しています。


<第7位 ポケモン・タクティクスオウガ・モンハン──人気ゲームがTwitterや配信サイトで盛況>
 今年の後半、人気ゲームのシリーズ最新作やリメイク作が相次いで発売され、多くのプレイヤーの間で盛り上がりました。9月にポケットモンスターシリーズの最新作「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」、11月に名作タクティクスオウガのリメイク「タクティクスオウガ 運命の輪」、そして12月にはモンスターハンターシリーズの最新作「モンスターハンターポータブル 3rd」と、いずれも数多くの人がプレイした大人気シリーズの最新作ということで、極めて大きな反応が見られました。特に、ポケットモンスターとモンスターハンターの最新作は、プレイヤー数が非常に多かったため、ネット上、特にTwitter上での書き込み数も一気に増大、その人気ぶりを示すことになりました。

 これらの作品が代表ですが、今年は特にネット上でのゲームプレイヤーの反応、特に同じゲームをやっている者同士の交流、あるいは交流とは言えないまでも同じゲームプレイを共有しているという感覚、それを楽しむプレイヤーが非常に目立ったような気がします。インターネットが浸透し、特にブログやSNS、Twitter、あるいは各種配信サービスのような手軽な情報発信ツールが浸透するに連れて、このような遊びのスタイル、「ネットを通じて他のプレイヤーと感覚を共有する」楽しみが、コアプレイヤーの間では主流になったように思えるのです。特にTwitterと配信サービス(ustreamやスティッカム、ニコニコ生放送等)の影響は非常に大きく、ゲームプレイのあり方を大きく変えたとまで感じています。今のゲームは、一人で孤独にプレイするものではなく、ネットで誰かとつながってプレイ感覚を共有するものなのです。

 それともうひとつ、上記の3つのゲームは、いずれも携帯ゲーム(DSとPSP)のソフトであることも、今のゲームの主流をよく表しています。いつの間にかゲームは携帯機が主流になり、一部のゲームでは近くのプレイヤーと通信で楽しむことも主流になりました。昨年の夏コミのドラクエすれちがいラッシュは記憶に新しいですし、今年は先日の冬コミでもモンハン等で同じ現象が見られました。


<第6位 ハガレン最終回でガンガン売り切れ→再掲載騒動>
 今年のマンガ界で一番印象に残った出来事は、個人的には「テルマエ・ロマエ」の大ヒットと、あとはNHKの「ゲゲゲの女房」のヒットによる水木しげる再ブームあたりなのですが、それ以上に、今の日本のマンガを代表する傑作、ハガレンこと「鋼の錬金術師」が最終回を迎えたことが、多くの人、特にコアなマンガ読者の印象には残っているのではないでしょうか。

 「鋼の錬金術師」がガンガンで開始されたのは2001年。開始当初からガンガン、エニックス(のちのスクエニ)読者の間では大評判でしたが、そのヒットが一般にまで幅広く浸透したのは、やはり2003年のTVアニメ化以降でしょう。これで空前のブームとなりますが、同じようにアニメ化でヒットしたほかの作品以上に、この「鋼の錬金術師」の評価はおしなべて高かったように思います。それも、一般層からコアユーザーにいたるまでの幅広い支持は、「この作品だけは別格」だと思わせるに十分でした。わたしが、日本を代表する傑作と言い切れるのは、このあたりの要因によります。

 そして、2009年の2度目のアニメ化を経て、ガンガン本誌の原作は2010年7月号をもって最終回を迎えるのですが、この最終回の完成度は本当に高かった。すべてが解決して、誰もが納得し感動するエンディングは、名作の最後にふさわしいものでした。そして、元の作品の人気とこの最終回の完成度のためか、この最終回が掲載されたガンガン2010年7月号は、瞬く間に売り切れて店頭から消えるという騒ぎとなり、その反響を受けて二カ月後の9月号で最終回が再掲載されるという、異例の事態にまで発展しました。

 この一連の騒動もまた、Twitter上でコアユーザーの間で情報が交換されていたのが印象的でした。ハガレンが始まった当時は、まだここまでネットサービスは発展していなかったと思いますが、そんな時代の流れを感じさせる大作の終焉でした。


<第5位 東京都の青少年育成条例改正案で大騒ぎ>
 2010年の年末師走のオタクは騒然としていました。東京都が出した青少年育成条例改正案が都議会に再提出され、それに対してネット上(だけ)で大反発が巻き起こったのです。特に、石原慎太郎都知事のマンガに対する発言に対する反発が凄まじく、ネット上では石原都知事に対する批判や悪口が殺到し、ついには角川書店を初めとする出版社多数が、来年3月の東京アニメフェアへの参加を取りやめる事態にまで発展しました。中には石原オンリーイベントを開催するという悪ふざけ的な反応もありました。
 都議会を傍聴した人のレポートに対する反響、ニコニコ動画での関連報道に対する反響も一様に高く、もちろんTwitter上でも(一部は)この話題の書き込みで埋まるような状況にまでなりました。これまでも、同種の法案や条例案がのぼるたびに、このような反応は見られましたが、今回のそれが最大でしょう。

 しかし、ネット上のオタクの間でもちきりだったこの話題、彼らにとって芳しい成果が上がったとは限りません。結局のところ改正案は可決されましたし、単にネット上で騒いで終わっただけという印象が強いように思えました。今まで石原都知事を支持していた人も多かったこの界隈で、今になってこの条例に限って急に反発したのも、多分に不自然に映りました。その一方で、ネット外のリアルでの対応は、デモひとつなく、反対意見を広めるような努力はほとんど見られなかった。日本のネットの限界を露呈したと言えるのではないでしょうか。


<第4位 「俺の妹がこんなに可愛いわけがあるというか桐乃は俺の嫁」>
 今年も年初からたくさんのTVアニメが放映されたわけですが、その中でコアユーザー、平たく言えばオタクに最も反響が多かった作品の一つは、間違いなくこの「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でしょう。

 原作は電撃文庫のライトノベルで、この原作も発売時から相当な反響を集めていました。その反響の理由は、多くは美少女ゲームを初めとするオタク的なコンテンツへの言及、そして実在のサイトまで作中に登場するインターネットへの傾倒ぶりで、これが大いにオタク層に受けました。一方で、TVアニメ化以降の人気は、オーソドックスにヒロインの桐乃を初めとするキャラクターへの人気も大きかったようで、マニアックだった原作への反響から、より一般に浸透した人気となりました。単純な萌えアニメとしても十分な人気を獲得したわけで、今年最もコアユーザーの間でブレイクした原作作品と言えるでしょう!

 そして、この印象的なタイトルは、いろいろな場所で何度もパロディ化されました。アニメが放映された10月以降、「俺の○○がこんなに○○なわけがない(ある)」という言葉、それを冠した同人作品を至るところで見かけることになったのです。


<第3位 日曜の朝からいい大人がプリキュアで絶叫>
 まあ上記の俺の妹も相当な人気だったわけですが、ただ、今年コア層に最も幅広く受けたアニメとなると、一般でも女児層に大人気のプリキュアシリーズ最新作「ハートキャッチプリキュア」で決まりでしょう。過去のプリキュアシリーズもオタクには相当人気が高かったのですが、この「ハトプリ」の人気は一味もふた味も違って、ものすごい反響を巻き起こしました。

 その人気の秘密は、なんといってもキャラクターのかわいさ。見た目からして今までのシリーズ以上にかわいいプリキュアたちに、女児ばかりではなくいい年をした大人たちも大熱狂。特にプリキュアに新メンバーが追加されるたびにその人気は白熱、当初のふたりのプリキュアだったキュアブロッサム、キュアマリン以上に、後で登場したプリキュアのキュアサンシャイン、キュアムーンライトへの反響が凄まじいものがありました。

 そして、このアニメは、テレビ朝日の日曜朝のアニメ・特撮コーナー「ニチアサ」の1番組ですが、その日曜朝の反響ぶりがすごかった。Twitter上でこのアニメを見て実況し、キャラクターの活躍に絶叫する者が続出、日曜の朝からいい大人がプリキュアで絶叫する様子が(一部の)Twitterでは定番の光景となりました。それも、本来の視聴者層である低年齢の女の子、そして高年齢の男性オタク以上に、高年齢の女性の反響も非常に高かった。もういろんな人の絶叫実況で存分に楽しませてもらいましたね。


<第2位 「このあばずれビッチが!」──パンティ&ストッキングwithガーターベルト!>
 プリキュアも大人気でしたが、もうひとつ、10月からダークホース的に現れて大人気を掻っ攫ったTVアニメがありました。もともと、10月開始のアニメは、前述の「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」や「とある魔術の禁書目録(二期)」などの原作付きアニメが前評判の中心で、オリジナルではボンズの”銀河美少年””綺羅星”こと「STAR DRIVER」の話題はかなり多かったですが、この「パンスト」の注目度はそんなに高くなかったと思います。しかし、このアニメ、あのガイナックスの最新作であり、かつて「天元突破グレンラガン」を制作した実力派スタッフによる、遊び心に満ちた最高に愉快な快作だったのです。

 その内容は、まあなんというか「汚いプリキュア」というか、ほんとにひどいネタ満載のアニメです。パンティとストッキングという二人の少女天使が、ダテンシティに巣くう堕天使たちを退治するという、それだけならほんとにプリキュアっぽい設定なのですが、その内容はひどすぎる。アメリカのカートゥーンアニメを意識した作画とプロットにして、ヒロインの一人パンティは男好きのビッチ、ストッキングはスイーツ好きの超甘党で、そしてふたりとも口が悪い悪い。そして作品全体で下品なネタ全開のこのアニメ、まさにハートビッチプリキュアとでも言いたくなるような”今期最低傑作”アニメでした。しかし、単に下品なネタだけのアニメでは決してなく、スタッフによる旺盛な創作精神も存分に感じられ、毎回の凝った脚本、意表をついた演出にはおおっと思わせるところが数多くありました。さすがはガイナックス。

 そして、このアニメは、Twitterよりもお絵描きSNSのPIXIVでの反応が大きかった。他のアニメ以上に多くのイラストが寄せられ、これほどきついネタ連発のアニメにもかかわらず、意外なほどの大人気。特にストッキングちゃんに人気が集中したのがPIXIVらしかったですね。


<第1位 「そんな1位で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」「一番いい順位を頼む」「神は言っている このゲームは1位を逃すべきではないと・・・」>
 今年のオタク的1位ニュースとなると、もうこのゲーム以外にないでしょう。今年、最もすさまじい反響を(ネットで)巻き起こしたゲーム、それはポケモンでもモンハンでもタクティクスオウガでもない! 来年の発売予定で、すなわちまだ発売されてもいない新作「エルシャダイ」以外の何者でもありませんでした。

 聖書の外典であるエノク書をベースにした古代を舞台にしたアクションゲームなのですが、そんな真面目な設定で一見してまともに見えるこのゲーム、しかし公式サイトにアップされたPVが大反響を巻き起こし、一大ブームとなります。「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」「一番いい装備を頼む」などという登場人物同士のやり取りは、そのバカバカしさがネットユーザーに大いに受け、これをネタにした動画やイラストやテキストがネット上に無限に拡散することになりました。もう至るところで大丈夫か大丈夫か問題ないというセリフを聞かない時はなかった。まさに一発ネタ重視のネットならではの流行だったと言えます。

 キャラクターたちが腐女子に大人気となったのも予想外の反応。しまいには、ついにこのエルシャダイオンリーのイベントまで開かれ、予想以上の大盛況となったのも記憶に新しい。このエルシャダイオンリーは、今年のネット最大の話題と言えたのではないでしょうか。

 正直、こんなネタ重視の流行が1位になっていいのかとも思いますが、「そんな1位で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」「一番いい順位を頼む」「神は言っている エルシャダイが1位になる運命だと・・・」とまあ神もそう言っておられるので、これを1位にして終わりにしたいと思います。


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