<スクエニアニメ作品の歴史とその分析>

2012・4・21

 今回は、今までに放映されたエニックス/スクエニのテレビアニメをすべてまとめてみました。今まで、アニメ化作品のタイトルはほとんど覚えていましたが、こうしてひとつの表にまとめてみるのは初めてで、こうしてまとめてみると意外に気付かなかった発見が多数ありました。今回は、この表を元に今までのスクエニアニメの歴史を振り返ると共に、今に至るその傾向を分析してみようと思います。

 まずは、実際にまとめてみたこの表を見てみます。

タイトル作者
南国少年パプワくん1992年10月10日 - 1993年10月2日
魔法陣グルグル1994年10月13日 - 1995年9月14日
ハーメルンのバイオリン弾き1996年10月2日 - 1997年3月26日
突撃!パッパラ隊1998年10月3日 - 1999年3月27日
まもって守護月天!1998年10月17日 - 1999年4月3日
最遊記2000年4月4日 - 2001年3月27日
ドキドキ伝説 魔法陣グルグル2000年4月4日 - 2000年12月26日
ジャングルはいつもハレのちグゥ2001年4月3日 - 2001年 9月25日
スターオーシャンセカンドストーリー2001年4月3日 - 2001年9月25日
東京アンダーグラウンド2002年4月2日 - 2002年9月24日
スパイラル〜推理の絆〜2002年10月1日 - 2003年3月25日
E'S2003年4月1日 - 2003年9月23日
PAPUWA2003年9月30日 - 2004年3月30日
鋼の錬金術師2003年10月4日 - 2004年10月2日
まほらば2005年1月9日 - 2005年6月26日
ぱにぽに2005年7月3日 - 2005年12月25日
すもももももも 地上最強のヨメ2006年10月5日 - 2007年3月15日
瀬戸の花嫁2007年4月1日 - 2007年9月30日
ながされて藍蘭島2007年4月4日 - 2007年9月26日
ZOMBIE-LOAN2007年7月3日 - 2007年9月11日
BAMBOO BLADE2007年10月1日 - 2008年3月31日
獣神演武2007年10月7日 - 2008年3月30日
隠の王2008年4月6日 - 2008年9月28日
ソウルイーター2008年4月7日 - 2009年3月30日
セキレイ2008年7月2日 - 2008年9月17日 2010年7月4日 - 2010年9月26日(2期)
屍姫2008年10月2日 - 2009年3月26日
黒執事2008年10月2日 - 2009年3月26日 2010年7月1日 - 2010年9月16日(2期)
天体戦士サンレッド2008年10月3日 - 2009年3月27日 2009年10月3日 - 2010年3月27日(2期)
黒神2009年1月8日 - 2009年6月18日
Pandora Hearts2009年4月2日 - 2009年9月24日
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST2009年4月5日 - 2010年7月4日
夏のあらし!2009年4月5日 - 2009年6月28日 2009年10月4日 - 2009年12月27日(2期)
咲-saki-2009年4月5日 - 2009年9月28日
WORKING!!2010年4月4日 - 2010年6月27日 2011年10月1日 - 12月24日(2期)
はなまる幼稚園2010年1月10日 - 2010年3月28日
荒川アンダー ザ ブリッジ2010年4月4日 - 2010年6月27日 2010年10月3日 - 2010年12月26日(2期)
君と僕。2011年10月3日 - 2011年12月26日 2012年4月2日 -(2期)
男子高校生の日常2012年1月9日 - 2012年3月26日
妖狐×僕SS2012年1月12日 - 2012年3月29日
黄昏乙女×アムネジア2012年4月8日 -
咲-saki-阿知賀編 episode of side-A2012年4月8日 -

*他社へと移籍したのちにアニメ化した作品がいくつかありますが(「魔探偵ロキ」「AQUA(ARIA)」など)、それは入れていません。
*アニメ化に際してタイトルが一部変わる作品が多数ありますが(「ぱにぽに」→「ぱにぽにだっしゅ!」など)、それは反映していません。ここに書いているのは、基本的に原作のタイトルです。
*基本的に1期と2期の放映期間はまとめて書いています。ただし、2回アニメ化された「魔法陣グルグル」「鋼の錬金術師」のみ、それぞれ別扱いで書いています。


 以上、こうして表に書き出してみると、思った以上に本数が多いことに驚きました。なお、この中には、例のお家騒動で他社に移籍した後でアニメ化した作品は含まれていません。具体的には、「魔探偵ロキ」「新撰組異聞PEACEMAKER」「AQUA(ARIA)」などはあえて割愛しています。これらを入れればもう少し増えますが、しかしここに書かれているものだけでも40本あります。そして、この40本のアニメの流れを分析してみると、いろいろと面白いことが分かります。


1.最近になって本数が激増している。
 とにかく、最近、具体的には2005年あたりから、アニメ化される作品の本数が激増しています。具体的には、1991年から2000年までの90年代が7本(2回アニメ化された「魔法陣グルグル」をどちらも含む)、2001年〜2005年までが9本、そして2006年以降が25本です。
 なぜこんなに増えているのか? これは、ひとつにはエニックス/スクエニ自体のマンガの人気・知名度が上がっていることが上げられます。

 エニックスで最初にアニメ化されたのは、少年ガンガン初期の大人気作品「南国少年パプワくん」でした。その次は、同じくこちらも大人気だった「魔法陣グルグル」です。これらの作品は、アニメでも大人気でしたが、しかしガンガンには他にも人気のある作品はたくさんありました。だが、その大半は、結局テレビアニメ化になることなく終わっています。あの「ロトの紋章」すら、結局アニメ化されていません。
 しかし、時代が下るにつれ、エニックス/スクエニの雑誌も増え、人気や知名度も次第に上がってきて、アニメ化される作品の企画が増えてきたのではないでしょうか。これは、この出版社の成長の証とみてよさそうです。

 しかし、実際には理由はそれだけではなさそうです。ここまでアニメ化作品が増えたのは、テレビアニメ側の事情も大きいのではないでしょうか。それを示す傾向が次にあります。


2.深夜アニメが激増。1クールのアニメも多数派に。
 スクエニからのアニメが激増したのは、2005年からですが、この時期以降のアニメは、そのほとんどが深夜アニメなのです。スクエニで初の深夜アニメは、2005年放映の「まほらば」ですが、これ以降のアニメで、深夜枠でないのは「ソウルイーター」と「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」のみ。それ以外は全部深夜放映です。2005年以前のアニメには、深夜放送は1本もなかったことを考えると、その傾向の違いは明らかです。

 どうも、この2000年代中盤あたりから、マニア/オタクなどコア向けのアニメ作品を、深夜でやることが定番になったようです。そして、これはスクエニの作品も例外ではありませんでした。元より、エニックス/スクエニのマンガは、コアユーザーに好まれてきた作品が中心であり、この時期から「これからは深夜にやる方がいい」と判断されたのではないでしょうか。結果として、「鋼の錬金術師」のような一般層にも人気が浸透したごく一部の作品は例外として、それ以外は深夜放映が基本となってしまった・・・と言えそうです。

 加えて、2007年以降、これまで2クール(24〜26話)の放映期間が中心だったエニックス/スクエニのアニメも、1クール(12〜13話)の作品が増えました。1クール放映後、反響がよければ再び1クールやるという、いわゆる「2期」を放映するアニメも増えました。これも、他のテレビアニメに共通する傾向で、コア向けのアニメが、どんどん短期間放映になっていく傾向が、スクエニにも例外なく表れていると言えそうです。


3.昔よりもクオリティは高くなった?
 こんな風に、深夜かつ短期間のアニメ化が中心となったのは、原作をじっくりとアニメ化してほしいファンにとっては、必ずしも好ましいことではなさそうですが、しかし悪いことばかりではありません。実は、この2005年以降のスクエニのアニメは、明確に失敗と言えるものは少なくなり、かつてよりも質は安定したと言えるところがあるのです。

 かつて、90年代のエニックスのアニメは、「南国少年パプワくん」や「魔法陣グルグル」など、成功した作品も一部にはありますが、それ以上に原作ファンに評価されないアニメが非常に多く、おしなべて評判は悪いものでした。あまりにも評判が悪かったために、当時のとあるガンガン作品のファンサイトで、アニメ化に賛成するか反対するかで、意見が真っ二つに割れて論争に発展したことまであったほどです。それほどまでに評価されなかったのは、原作の絵柄をあまり再現していなかったことと、さらには内容でもアニメ独自のアレンジやオリジナルが多く、こちらも原作の持ち味を再現する意志の低い作品を、何度も目の当たりにしたからです。

 この傾向は、2000年代前半まで続きましたが、しかしこの2005年あたりをひとつのターニングポイントとして、ぐっと質が安定してきます。作画レベルがおしなべて向上し、原作の絵柄に近いもの、うまく再現しているものも増えました。そして、内容面でも、原作のストーリーをきっちりと再現したり、オリジナルの部分でも原作の持ち味をうまく生かしたりと、原作ファンに喜ばれるものが、目に見えて増えたのです。これは、スクエニ以外のほかのアニメでも同じ傾向で、このあたりからアニメの本数が激増したにもかかわらず、その質は上がってきたように思えるのです。これは、視聴者にとってはありがたい傾向ではないでしょうか。


4.制作会社にこだわるアニメが増えた。
 このように、スクエニのアニメが2005年以降質が向上したのには、思い当たるひとつの理由があります。それは、これ以降、アニメを手がける制作会社を厳選するようになったこと。これは、スクエニのプロデューサー(田口さんだったかな)の講演か何かで、「アニメの企画の時に、その作品に合った制作会社をよく考えて決める」と発言しており、確かにこの時期以降のスクエニのアニメは、個々の作品ごとに、それに合う制作スタッフを決めている節があります。

 特にそれを感じるのは、「鋼の錬金術師」「ソウルイーター」を手がけたボンズ、「ぱにぽに(ぱにぽにだっしゅ!)」「夏のあらし!」「荒川アンダーザブリッジ」を手がけたシャフトでしょうか。「咲-saki-」を手がけたGONZO第5スタジオもそうかもしれません。いずれも、「このような原作なら、ここに作らせるのが一番よさそう」と思えるスタッフを、うまく選んでいる印象があります。実際、もし鋼の錬金術師やソウルイーターがボンズでなかったら、ぱにぽにや荒川がシャフトでなかったら、あそこまでの成功はなかったかもしれない。

 逆に言えば、昔のエニックス時代のアニメは、あまりそういったことに配慮しなかったような気がします。とりあえずアニメ化すること自体が究極の目的で、委ねる制作会社の中身や、あるいは出来上がってくるアニメの完成度への配慮まで欠けていたのではないか(アニメ化すればそれでいい、という考え)。今の方が、出版社側もより真剣にアニメ化企画を考えているような気がします。これからも、こういったよき方針は守っていただきたいと思いますね。


「四季のエッセイ・マンガ編」にもどります
トップにもどります