<ネットで拾ったエニックス読者の凄まじい話(中編)>

2003・12・11

*前編はこちらです。

 さて、前編では守護月天の美少女マニアに最遊記の同人女と、純粋なエニックス系読者とはかなり逸脱した人々の話をしてしまいましたが、ここからは純粋にエニックスの読者関連のお話です。特にこの中編では、エニックスの出版事業における最大の支援企業「アニメイト」についての話です。


・「アニメイト」関連の話。
 知っているとは思いますが、「アニメイト」とはマンガ・アニメ・ゲーム等を扱うマニア系ショップの最大手です。しかし、アニメイト自体は知っていても、それとエニックスの結びつきが非常に強いことを皆さん知っておられるでしょうか? 実はアニメイトのエニックス系作品の支援度はかなりのもので、「エニックスと業務提携でも結んでるのか?」と思うほどです。
 それも、最近になってエニックスの人気に合わせて支援を始めた、というようなものではなく、もうかなり前から既にエニックス系を応援していました。わたしの知る限りでは遅くとも96〜97年、まだガンガンが月2回刊であるころから延々と支援してきたのです。つまり「守護月天」や「最遊記」、あるいは「鋼の錬金術師」の人気が出たから便乗して応援を始めた、というような安直なものではありません。その意味では見上げた精神です(笑)。

 96〜97年当時の早い時期から、アニメイトではエニックス系コミックのラインナップが特に充実していました。当時は今以上にエニックスの知名度は低く、アニメイトのようなマニア系の書店でもなければ雑誌や単行本が中々手に入らなかったのです(これは今でもある程度言えてますが)。
 そしてラインナップが充実していたために、エニックス系の読者・ファン層がアニメイトに集まってきました。そう、この早い時期において既にアニメイトはエニックスの読者層を確保していたのです。

 そして98年頃になって、エニックス系作品の原画展、および作家のサイン会を頻繁に開催するようになりました。書店での原画展は今でもいろいろな作品で、あるいはアニメイト以外の店でもよく開かれていますが、原点はおそらくこの時期のアニメイト(のエニックス作品)です。明らかにエニックスの扱いが違うな、と感じるようになったのはこの頃でした。

 そして2000年に入って、今度はエニックス系アニメ作品のDVD化を担当するようになります。当時「伝心 まもって守護月天!」(守護月天のOVA化)、そして「幻想魔伝 最遊記」(最遊記の第一期TVアニメ)の両方をムービック(*アニメイトの経営会社)が担当したのですが、これがそれぞれOVA・TVアニメにおける圧倒的な人気作品であり、このふたつを独占したおかげでアニメイトは大儲けしたはずです(笑)。そしてこれでエニックス人気を確信したのか、これ以降に出たエニックスアニメのDVDは「ハレグゥ」と「鋼の錬金術師」以外すべてムービックが出しています(*ちなみに「ハレグゥ」はバンダイビジュアル、「鋼」はSME・ビジュアルワークス)。「エニックスのアニメ作品はアニメイトがDVDで出す」というパターンが今や基本となっています。

 さてさて、このようなアニメイトの様々な支援活動の中で、最も大規模かつ強烈な反応があったのが2000年に2回に渡って開かれたエニックスフェアでしょう。
 アニメイトは、特定の雑誌もしくは出版社のマンガのフェア(グッズや関連商品の期間限定発売)を頻繁に行っていますが、その中でもほかのフェアとは比較にならないくらい大規模に行われたのが「エニックスフェア」なのです。

 一回目に行われたのが2000年の3月〜4月。この時にアニメイトはエニ作品のグッズを大量に発売しましたが、この売れ行きが凄まじいものでした。フェア期間中は明らかに客の人数自体が非常に多く、ものによっては一週間も経たないうちになくなるグッズもありました。当時、マイナーなエニックス作品を扱ったグッズ自体ほとんどなく、エニファンにとってこのグッズの販売は待望のものだったのでしょう。そして、エニックス商品を1000円お買い上げごとにもらえるポストカードがこれまた大盛況。大量に金を使ってポストカードをコレクションする人々まで出現しました。アニメイトのフェアでここまでヒットした例はほかにありません。
 そして、このフェアの売れ行きに味をしめたのか、1年も経たないうちに第二回目のフェアを開催。2000年12月〜2001年1月のことです。この時も第一回目に匹敵する大盛況。この時は確か一つの購入商品ごとに特製のしおりが、1000円ごとにカンバッジがもらえたはずですが、特に自分の好きな絵柄を選べるしおりの人気は高く、またまた集める人が続出。全55枚のコンプリートセットにネットオークションで15000円以上の値がついていたことがあります。

 この当時、ここまでエニックスのフェアが人気を集めたのは、ひとえに連載マンガのラインナップの充実にあります。とにかくアニメイトに集まるようなマニア層に受けるであろうマンガがこの時期まで集中していました。ガンガンなら守護月天・シグナル・刻の大地・ポンキマ・アングラ・里見・スタオー2・ロキ・ピースメーカー・スパイラルなどなど、そして定番の古参連載のハーメルンやグルグル、パッパラもこの当時は健在。WINGならばパンゲア・ワーフェア・ナイチル・ひなぎく・悪魔狩り・陽ノス・ジンキ・セイバーなどなど、Gファンタジーならば最遊記・E’S・クレセントノイズ・TOGS・ペルソナ・神さまのつくりかた・破天荒遊戯あたりがすべて人気で、とにかくフェア向けの連載が揃っていました。この当時のエニックスだからこそ、ここまでフェアが盛り上がったのでしょう。

 ちなみに今のエニックスだと、まあWINGやGファンタジーならなんとかフェアも出来るかも知れませんが、ガンガンに関してはまず無理でしょう。はっきり言ってフェアでグッズまで買いたいと思わせる連載が少ない。正直に言えばサタンとかドラゴンリバイブとかグレペリとか女王騎士とかのグッズが出ても買いたいとは思わない(笑)。まあ、仮にやったとしても売れるのは「鋼」関連グッズだけでしょう。

 さて、今やエニックスフェアの終了後3年が経過しているわけですが、上記の理由により新たなフェアは開かれていません。ただ、個々の雑誌及び連載マンガの支援はもちろん継続されています。特にアニメ化した連載マンガは毎回大々的に取り上げ、原画展やミニフェアはまず確実にやっています。
 そして、今やアニメイトにおけるエニマンガのスペースは拡大を続け、すべての出版社の中でも一番広い場所を確保しています。なにしろあのジャンプの集英社よりも広いのだから、いかにアニメイトにおけるエニックス人気が高いものか窺えます。

 そして、最近のはやりはなんといっても「鋼の錬金術師」。アニメイトの「鋼」関連イベントの凄まじさ、「鋼」の支援ぶりはガンガンのカラーページの告知を見るだけでも十分分かると思います。これでまたエニックス読者が(というか、今回は「鋼」読者が)アニメイトに大挙して押し寄せることでしょう。

 ・・・それにしても、なんだってアニメイトはここまでエニックスを支援するのでしょうか? これは推測ですが、おそらくアニメイトのスタッフの中にエニックスのファン、あるいはマニアがいると思われます(笑)。そうでなければここまで長い間応援しつづけるわけがない。グッズ化、関連商品化する作品の選定ぶりを見るだけでもいかにエニックスのマンガを知り尽くしているか良くわかります。ただ単に商品としての売れ行きだけを見るスタッフではこのような支援はできません。
 そして、実際にエニックス商品の人気が高いのも大きな理由でしょう。アニメイトの客層は中・高・大学生あたりがメインで、そして女性客の割合が比較的多い。この客層がエニックスの読者とぴったりと一致しています。まさにエニックスのマンガを扱うにふさわしい店なのです。


(余談)
 さて、最近になってアニメイト以外にもエニックスを支援するマニア系の店が出てきました。ゲーマーズとらのあなです。
 ゲーマーズは、美少女系マンガのコスプレイベントという理解不能なほどマニアックなイベントを開催(笑)。なんでこんなことをいきなり始めたのか? 謎です。いよいよアニメイトを見習って売れ行きのよさそうなエニを支援し始めたのでしょうか?
 しかし、それ以上に最近のとらのあなの方が支援ぶりは徹底しています。もうアニメイトに匹敵するくらい盛んに原画展やミニフェアを行っています。しかもなぜかWINGを積極的に支援しているのが不思議です。おそらく、スタッフの中にWINGにはまり、dearや天やおに萌えている人間がいるのだと思われます(笑)。



 さて、次回はいよいよ後編です。後編では、エニックスコミック関連で最大のヒット商品「ガンガンヴァーサス」を巡る驚愕の逸話から始めます。ではどうぞ。

ネットで拾ったエニックス読者の凄まじい話(後編)


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