<スクエニ系コミック2008年展望>

2008・12・22

*後編はこちらです。

 さて、スクエニ系コミックの2007年総括を終えたところで(こちらです)、今度は2008年度の展望を行ってみます。雑誌ごとの新連載予定作品やアニメ化予定作品を中心に、今後予想される新しい動きについて書いていきます。

 総括でも書きましたが、2007年のスクエニは、とにかくアニメ化作品が非常に目立ちました。ガンガンから「ながされて藍蘭島」、ガンガンWINGから「瀬戸の花嫁」、Gファンタジーから「ZOMBIE-LOAN」、パワードから「獣神演武」、そしてヤングガンガンから「BAMBOO BLADE」と、なんと各雑誌ごとに1本ずつアニメ化作品が出るという状態でした。そして、これに加えて、他社のアニメ作品を自社雑誌でコミック化するという、メディアミックス的な企画も目に付きました。こちらは、ガンガンで「精霊の守り人」、ヤングガンガンで「天保異聞 妖奇士」「モノノ怪」、Gファンタジーでは「地球(テラ)へ・・・」、ガンガンWINGでも「東京魔人學園剣風帖 龖(トウ)」と、雑誌ごとにそのような企画連載があるという状況でした。パワードから「獣神演武」も、自社の企画ではありますが、メディアミックス的な企画という点ではこちらに近いものがありました。

 自社からのアニメ化作品は、おおむねどれも合格で、中には「瀬戸の花嫁」「BAMBOO BLADE」のような高い評価の作品も現れました。最近はスクエニアニメの質が揃ってきた感があり、大きな外れがなくなってきたのは好印象です。しかし、他社からのメディアミックス企画についてはどうでしょう。幸いにも、コミックス化作品自体は良質なものが多いのですが、そもそもそこまでメディアミックスを採り入れるという姿勢そのものに疑問があります。他社からの作品ということで、本来のスクエニマンガとは異質の雰囲気を持つものも多く、雑誌の中で浮いてしまってあまり大きな人気を得られないケースもあります。できれば、このような企画は今後控えめにしてほしいものですが・・・。

 そして、アニメ化以外では、雑誌ごとの大きな動きに乏しく、新しい戦力があまり生まれなかった感があります。雑誌によってはかなり落ち込みが激しく、特にガンガン・Gファンタジー・ガンガンWINGの三誌は、多かれ少なかれラインナップにかなりの陰りが見えてきました。唯一堅調だったヤングガンガンをのぞき、かなり不安な一年だったと言えます。

 2008年は、まずこれら雑誌の底上げは急務であり、そのための新連載が必要なことは言うまでもないでしょう。まずは、それぞれの雑誌ですでに予定されている新連載陣の動向に注目すべきでしょう。それに加えて、すでにアニメ化作品もいくつか告知されており、これらの作品とその掲載誌の動向も見ていきたいものです。来年も、雑誌によっては、アニメ作品を中心にした運営になるのではないかと思われます。

 では、以下に雑誌ごとの展望を記します。


<少年ガンガン>
 2007年のガンガンは、新連載の本数こそ多かったものの、面白いと言える作品は少なく、前年以前からの誌面の落ち込みが継続された印象があります。そして、年末には長期連載の多くが終了を迎え、それに合わせて2008年冒頭にいきなり新連載攻勢が予定されていますが、今のところ期待できるかどうかは微妙なところです。

 具体的には、2月号から「学舎Boys&Girls」(武凪知)・「清村くんと杉小路くんろ」(土塚理弘)の2作品、3月号から「トライピース」(丸智之)・「マンガ家さんとアシスタントさんと」(ヒロユキ)の2作品、4月号から「STRAY KEYS 〜ストレイキーズ〜」(柚木タロウ)という構成です。
 このうち、「学舎Boys&Girls」は、最近読み切りを何度か掲載した作家による新連載作品、「トライピース」「STRAY KEYS 〜ストレイキーズ〜」のふたつが、かつての投稿受賞作の連載化作品なのですが、いずれも過去の掲載作品からは、連載を獲得するまでのレベルは感じなかったため、今回の新連載に期待できるかも難しいところです。少なくとも、上位の人気作になれるほどの力は無いような気がしますし、今の段階ではガンガンを支えるまでの作品にはなれないと思えるのです。

 「清村くんと杉小路くんろ」は、あの土塚理弘のかつての傑作ギャグマンガの再登場です。かつての連載が面白かっただけに、今回もまた安定した面白さが期待できそうですが、懸念されるのは、作者の現行連載「マテリアル・パズル」との兼ね合いです。現在、この作品は一時中断となっており、今冬再開予定のはずなのですが、その作者にいきなり別の新連載を始めさせるというのは、あまりに不可解です。「マテリアル・パズル」の連載がどうなるのか、現時点では不安が拭えません。

 最後に「マンガ家さんとアシスタントさんと」は、あの「ドージンワーク」で著名なヒロユキによる4コマ新連載で、少し前に掲載された読み切りがアンケートで好評を得た上での連載化のようです。面白いネタの4コママンガではあるものの、かなり青年誌的な作風で、ガンガンの方向性に合うかどうかが少々疑問です。4コマということでページ数も少ないと予想され、これがガンガンの中心的な連載になる可能性は低いと見るべきでしょう。

 以上のように、2008年にいきなり予定されている新連載攻勢ではありますが、現時点ではいまいち力不足な感は拭えません。これで停滞するガンガンのレベルの底上げにつながるかどうか、現時点ではあまり期待できないのが正直なところです。このところ立て続けに終わった長期連載は、多くが力不足のままで終了した連載だったので、その穴を埋める作品が優秀ならば、雑誌のレベルアップが期待できると思ったのですが、新連載予告を見るかぎりでは、また同じレベルの誌面になりそうで心配です。

 そしてもうひとつ、「ソウルイーター」のアニメ化が告知されました。ガンガンでも「鋼の錬金術師」に次ぐ看板作品であり、そのアニメ化企画も4クール予定でしかも製作はボンズと、極めて本格的なものになりそうです。原作は確かな力を持っている作品ではありますが、今のアニメでこのようなマンガが受けるかは難しいところで、しかも最近のガンガン系では初となる少年マンガ系作品ということで(「鋼」は別格的作品なのでのぞく)、これが一般のアニメ視聴者に受け入れられるか、今のところはまだ分かりません。このアニメが、ガンガンの少年マンガが一般に受け入れられるかどうか、その試金石となりそうです。
 いずれにせよ、雑誌のガンガンにとっては、数少ない安定した作品のアニメ化ということで、かつての「鋼」のように、このアニメにかなり依存した誌面作りがまた見られることになりそうです。


<ガンガンパワード>
 ガンガンパワードは、2006年中期の新装以来、様々なタイプの作品が入り乱れた状態で、今ひとつ雑誌のカラーというものが見えません。そのため、新装後の大増ページや数々の大々的な企画攻勢にもかかわらず、読者が手に取りづらい雑誌になっており、あまり認知度・売り上げは上がっていないような気がするのです。

 そんな企画の中でも最たるものが、今秋アニメ化されたメディアミックス企画「獣神演武」ですが、正直連載コミックについては面白いと言えるような出来ではなく、アニメ作品もさほど盛り上がっていないように思えます。2008年も、この作品を看板にして雑誌を盛り上げていくつもりなのでしょうが、あまり効果はないように予想されます。

 もうひとつ、雑誌が看板として掲げているのが、年末から開始された新連載「うみねこのなく頃に」(竜騎士07・夏海ケイ)です。あの「ひぐらしのなく頃に」の作者の新作ゲームで、大ヒットした「ひぐらし」コミックに次いで、こちらも大々的に推進していくようです。これはこれである程度の内容は期待できそうですが、しかし、原作ゲームが「ひぐらし」ほど大きな話題を呼んでいないことを考えると、さすがに前作ほどの人気は期待できないように思えます。作画担当が夏海ケイで、「ひぐらし」の作家陣の絵と比べると、あまり萌えないことも、不安な材料ではあります。というか、なぜ夏海さんを採用したのでしょうか・・・?

 この2作品以外では、とりたてて話題性の高い作品は見当たらず、ほぼ定番の連載陣で占められています。作品の質自体は中々に高く、少なくともガンガン本誌よりはるかに安定しているのですが、とりたてて突出した人気を得ている連載が多くなく、雑誌自体の知名度・売り上げも低いままなのは、かなり気がかりです。唯一、「ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編」のみが看板的な人気作品となっていますが、このようなゲームコミックのみに頼っている状態は、決して望ましいとは言えないでしょう。
 ここ1年、新連載がかなり少なく、新装時の勢いがなくなってきたのも懸念されます。最近始まった数少ない新人の新連載「メガロマニア」(檜山大輔)は、編集部によってかなり押し出されていますが、内容的には今ひとつのレベルにとどまっているように思えます。来年以降、「獣神」「うみねこ」だけに頼らない、新たな新連載による誌面作りが期待されます。


*続きは後編でどうぞ。こちらです。


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