<期待できるガンガンオンライン(2)>

2008・10・29

*(1)はこちらです。

・小説も非常に面白いのが最大の成果か。
 そして、ある種マンガ以上に質が高いと感じたのは、小説(ライトノベル)です。3つほど掲載されている小説が、どれも本当に質の高いものでした。
 これまでのスクエニも、「SNノベルズ」というレーベルでライトノベルを出してはいましたが、出版点数は極端に少なく、力のある作家も少なく、まったく盛り上がっていませんでした。他の出版社のライトノベル文庫がかなりの勢力を誇っている中で、このスクエニのライトノベルの弱さは目立ちものがあると思います。
 しかし、このガンガンオンラインの掲載小説は、そんなこれまでの経緯とは裏腹に、どれも相当な力を感じる作家を集めている印象がありました。肝心の掲載小説の内容も粒が揃っており、さらには一回の掲載量も予想以上に多く(当初は一章程度の分量かと思っていた)、これならば本気で期待できそうです。

 具体的な作品の内訳ですが、日野イズムによる「欠落フェティシズム」。日野イズムさんは、前述のSNノベルズで「ロールプレイ」という中々の秀作でデビューしており、スクエニからの生え抜きでは数少ない期待できる作家ではないかと思われます。「ロールプレイ」は、かなり理系的というか、理詰めで本格的なテキストで書かれたことが印象に残っているのですが、今回の「欠落フェティシズム」でもその作風は健在で、これからの掲載も期待できると思います。

 そして、それ以上に面白かったのが、唐辺葉介による「犬憑きさん」。この作家も、SNノベルズで「プシュケ」という作品を残しているのですが、どうもそれ以前は他所でシナリオライターとして活動していた作家のようで、外部からの実力派作家の登用のようです。そして、この「犬憑きさん」が非常に面白かった。極めてダークで陰惨な内容ながら、文章自体は淡々としていて、それでいてどこまでも読ませる圧倒的な面白さがありました。これが、今回の掲載小説の中で最大の成果かもしれません。挿絵イラストをてがけているのがTivさんというのもポイントです。

 そして、最後に、ごぉ(作者)+たつきち(挿絵)コンビの「Stand by me,Stand by you(スタンドバイミー、スタンドバイユー.)」。これは、今回の中では最もスタンダードに見えるライトノベルで、掲載量も最も少なく、まだこれからといった感じの作品でした。しかし、このふたりは、「ぶらんくのーと」というサークルで、同人活動でビジュアルノベルを出しているらしく、それもかなり有名なサークルのようです。ここでも、外部から実力のある作家を引っ張ってきた印象で、スクエニの積極的な姿勢が感じられますし、この作品も今後も期待できるのではないでしょうか。

 以上のように、内外から実力のある作家を一手に集めて始動した印象で、このガンガンオンラインが小説でもかなり力を入れていることが窺えます。これだけ面白い作品が揃っていたのは、予想以上の成果であり、ある種このガンガンオンラインでも最大の成果だと言えるかもしれません。これが、スクエニのライトノベルが盛り上がる端緒になることを期待してやみません。

犬憑きさん

Stand by me,Stand by you(スタンドバイミー、スタンドバイユー.)


松本トモキ ・イラストコーナーの可能性はどうか。
 そして、マンガ・小説と並ぶもうひとつのコンテンツとして、様々な作家を集めたイラストコーナーがあります。スクエニの連載作家による人気マンガの描き下ろし イラストと、外部のイラストレーターやマンガ家によるオリジナルイラストの二本立てといった構成で、どちらもかなりの掲載点数を載せています。
 これまでも、既存の雑誌内の企画や一コーナーにおいて、一枚絵のイラストが掲載されることはありました。しかし、今回のガンガンオンラインのこのコーナーは、かなり多数の点数を用意した本格的なもので、これもオンラインならではの長所ではないかと思われます。

 紙媒体の雑誌と異なり、過去のイラストもすべて並べて一度に掲載できるのが最大の利点で、これまでのように雑誌内の少ページの一コーナーにとどまらず、ひとつのイラストギャラリーとしてまとまったコンテンツに出来るのがよい。かつ、自由なペースで好きな点数だけイラストを更新できるのも大きい。また、人気マンガの描き下ろしイラストなどは、既存の雑誌では掲載するのが難しい企画だと思われますが、このガンガンオンラインでは逆にひとつの売りとなっています。また、異なる雑誌の人気マンガのイラストや、作風の異なるイラストを一度に載せることが出来るのも大きいでしょう。

 また、それ以上に、外部の作家のイラスト掲載と、それからの発展をより期待したいところです。このイラスト掲載を期に、スクエニで何らかの仕事を任せられる契機になるかもしれません。イラストの仕事だけでなく、ライトノベルの挿絵を任されたり、あるいは本業がマンガ家ならばマンガの掲載に結びついたり、そういった効果も期待できるのではないか。他の雑誌では載せられないようなマニアックな作風のイラストも、ここでならば載せられるようで、それも様々な作家の登用に結びつくのではないでしょうか。


・重く読みづらい欠点を解消すれば、さらに発展が期待できる。
 以上のように、マンガ・小説・イラストと、多くのコンテンツにおいて質の高い作品と優れた企画が見られたこの「ガンガンオンライン」、スクエニの新しい挑戦として最初の成果は上々で、今後も大いに期待できる「新雑誌」になっていると思います。これは、個人的にも正直予想以上の成果で、スクエニでひとつ楽しみが増える形となりました。

 ただ、コンテンツ自体は良質なのですが、サイトの使い勝手、操作性にかなりの難があるのが、現時点での大きな欠点となっています。
 まず、とにかく重い。ビューワーでマンガを読む形式なのですが、最初の読み込みにかなり時間がかかり、その後も数ページ読み返そうとするだけで読み込みが入ります。ひどい場合には、最初の読み込みに失敗して閲覧できないこともあります。わたしは、現在ネット環境は幸いにも非常に快適で、国内のサイトならばどこもほぼ一瞬で表示されるのですが、そんなわたしでもこんなに重いのだから、他の方がまともにこのサイトを見られているのかどうか非常に心配です。

 ここまで重いビューワーを使わせているのが最大の問題で、ビューワーでなく普通のブラウザで見られるようにしてもよいでしょう。一部の作品(主に4コママンガ)では対応していますが、できれば全作品をそれで気軽に読めるようにした方が良いのではないか。ビューワーよりは読みづらくなりますが、どんなネット環境でも確実に読めることを優先させるべきでしょう。これは、イラストや小説にも言えることで、毎回イラストを1枚見るたびにあんなに待たされるのは理不尽です。小説も、もっと気軽にブラウザで読める選択を加えた方がよいでしょう。小説ならば普通にブラウザでも読みやすいでしょうしね。

 それともうひとつ、前にも書いたとおり、ガンガンオンラインは作品ごとに更新日が異なり、毎週なにかしらの更新があるという形態です。これが、今のところ少々チェックするのが面倒で、何が更新されているのか、次の更新予定が何か、それが分かりづらいです。一応、スケジュールカレンダーにすべてまとまって記載されてはいるのですが、その肝心のカレンダーが見づらい。しかもトップページに置いてない。トップページには、テキストボックスで更新箇所とそこへのリンクが表示されていますが、これが小さすぎて見づらいのでもっとページ全体で大きく表示し、さらには今後の予定も一度にまとめてすべてトップに表示した方がよさそうです。それだけでも随分使い勝手は変わると思います。

 そして、このようなインターフェイスを改善するだけで、このガンガンオンラインは激的に良くなると思いますし、さらに今後の発展に期待できます。実際にこのオンラインを見てみるまでは、またスクエニにもうひとつ雑誌が増えるだけで、あまりに手を広げすぎるのも問題ではないかとの懸念もあったのですが、ふたを開けてみれば、これまでの紙媒体の雑誌とは異なるコンセプトが随所に感じられ、4コママンガへの注力や質の高い小説群、イラストコーナーの充実など、新鮮な企画の多い見るべき雑誌になっていました。今後も、オンラインならではの発展を期待したいと思います。


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