<NFKにようこそ!>

2007・10・29

 ここ最近、一部で急速に勢力を伸ばしてきた活動として「NFK(日本複数買い協会)」があります。これは、ある種のコミックスを複数冊買おうという活動を行う人々による集まりで、これまでも個人で同種のことは行われてきたと思われますが、その活動をネットでつないで報告し合おうという試みであると思われます。

 基本的には、1つのコミックスを3〜5冊程度買おうという企画(?)であり、それを写真にとってネットに画像としてアップしようという試みが、毎回のごとく行われています。まず、最初に活動が確認されたのが、「ちょこっとヒメ」のコミックス第1巻で、数人の方がその行為を行い、互いの行動に影響を受け合って、この「NFK(日本複数買い協会)」を立ち上げたようです。この当時の活動では、初めてこのような試みをする方も多かったらしく、決断に相当な勇気を必要とする人もいたようです。

 ちょこっとヒメ1巻発売(2006/08/26)ちょっとしたことさん)
 3匹の仔猫よつぎりポテトさん)
 ちょこっとコンプリートI’ll be dis-ABSOLUTERさん)
 遠方からいらっしゃいみずねぶろぐさん)

 そして、この試みは、続刊である「ちょこっとヒメ」2巻でも続き、そして最新刊である「ちょこっとヒメ」3巻において、さらに活動は拡大します。この3巻、同時発売のスクエニコミックスである「WORKING!!」「勤しめ!仁岡先生」と合わせて、「スクエニ4コマ×3フェア」を開催しており、3種のコミックスで様々な特典がもらえるとあって、一気に活動の規模が拡大、各地で壮観な光景を見ることができました(笑)。

 ちょこっとヒメ3巻発売(2007/10/22)会長報告&会員報告まとめ ちょっとしたことさん)
 スクエニ4コマ×3フェア戦果報告よつぎりポテトさん)
 ころころころり。I’ll be dis-ABSOLUTERさん)
 がんばった つかれたみずねぶろぐさん)
 秋葉原エンタメ祭り抽選会は協賛企業の在庫処分会とも言える出たとこBloggerさん)

 しかし、この程度の冊数では、まだ序の口と言えるでしょう。実は、これとは次元の異なるほどの冊数を購入するケースも、時に見ることが出来るのです。
 まず、最初に見られた典型的なケースが、のちにNFK(日本複数買い協会)の会長になる方による、「ひだまりスケッチ」購入記録です。これは、ある書店で行うこのコミックスの複製原画プレゼントが、当たりくじ形式だということが判明し、それを確実に当てるために大人買いを行った結果のようです。合計で37冊(後でもっと増えますが)のゆのっちを並べた様が圧巻の試みとなっています。

 ひだまりスケッチ1巻購入記 in 所沢ちょっとしたことさん)

 しかし、この程度の冊数でも、まだ序の口だと言えるでしょう。こののち、この37冊をはるかに凌ぎ、100冊を超えるようなコミックス複数買いを見ることになるのです。

 ちょこっとヒメ2巻発売(2007/04/27) 会長報告ちょっとしたことさん)

 この場合、「ちょこっとヒメ」のコミックス1冊が税込み500円で、それを101冊購入しているわけですから、全部で50500円を使っていることになります。これはちょっとすごい額なのです。PS3が一台買えるかもしれない。

 しかし、この程度の金額でも、まだ上には上がいます。

 4月29日の日記参照Infact of destinyさん)

 この場合、「ことゆいジャグリング」のコミックスが1冊860円ですから(まんがタイムKRコミックスはかなり高い)、それを108冊購入で、全部で92880円を使っていることになります。これだと、PS3とWiiを両方買ってもおつりが来ます。何がここまでの購入原動力となっているのでしょうか。ともあれ、まさに圧巻の光景であると言えます。

 そして、このような大量買いの構図は、これ以外の場所でも結構見られます。さすがに101冊とか108冊まで行くケースは非常に珍しいでしょうが、一種類のコミックスを大量に複数買いする話は珍しくありません。


・なぜ複数買いに走るのか。
 さて、これからが本題ですが、このような複数買いを行う動機は、一体なんでしょうか。単に「その作品がとても好きだから」という理由も大きいと思われますが、今では、必ずしもそれだけではないようです。昔から、熱狂的なファンがグッズをたくさん買う行為はよく見られますが、ここ最近のコミックスの複数買いには、単なる「作品への熱狂的な思い入れ」に留まらない、もう少し深い理由があると思えるのです。


・特典フェアの存在は大きい。
 まず、今において、コミックス複数買いの最大の原動力となっているのは、やはり「店舗ごとの特典」でしょう。前から、書店において、コミックスを買ってくれた人になんらかの特典(ポストカードなど)をつける「フェア」を行う企画は、割とどこでもあったように思います。しかし、ここ最近の一部書店の「特典付きフェア」は、非常に数が増大しており、毎週、毎日のごとく頻繁に行われ、もはやそれが日常と化しています。
 ここでいう一部書店とは、マニア(オタク)向けのコミックス書店(正確には、コミックス販売も行う総合ショップ)のこと。アニメイト・ゲーマーズ・とらのあなの三大書店を筆頭で、これに加えてメロンブックス・マグマニ・まんが王倶楽部・K-BOOKSなど、都会を中心にかなりの店舗があります。これらの書店が、一昔前から何らかの特典(しおりやポストカード)を頻繁につけるようになりました。特に、規模の大きい三大書店(アニメイト・ゲーマーズ・とらのあな)の企画の頻繁さは顕著です。

 しかも、これが確か2004年頃だったか、今度はメッセージペーパーなるものを付けるようになり、このタイプの特典が盛んになります。これは、コミックスの作者による読者へのメッセージを、イラストカットと共に1枚の紙に収めて特典とするもので、今までの特典よりもはるかに好評を博し、一躍主流となります。作者のじかのメッセージが読めることと、イラストがほぼ描きおろしであることが大きな魅力でした。これを始めたのは、確かとらのあなだったと思います。最初かなり珍しい企画だと思ったので、よく覚えています。しかし、まもなく他の書店も追随するようになり、アニメイトやゲーマーズ、それ以外のマニア系書店でも、どこでも一斉に行うようになります。ひとりの作者が、複数の書店向けにメッセージペーパーを書くことも珍しくなくなり、むしろ当たり前になります。

 このメッセージペーパーのヒットで、店舗ごとの特典競争が激化した感があり、その後特典の内容はより豪華な方向へと進みます。最初は白黒の薄いペーパーだったのが、厚い紙でカラーで描かれることが珍しくなくなり、むしろ主流になります。さらには、メッセージペーパーよりもさらに豪華な、設定資料やイラスト集などの特典小冊子がつくようなケースまで見られるようになりました。最近では、「コミックス架け替えカバー」という特典サービスもよく見かけます。コミックスの本来のカバーに代わって(あるいは加えて)オリジナルのカバーを提供しようというもので、これは出版社の方でも雑誌付録としてつけるほどの人気企画となりました。

 そして、このような特典攻勢が当たり前になった昨今、熱心な作品のファンにとって、店舗ごとの特典を全て集めたいと考えるのは当然だと言えるでしょう。とりわけ、メッセージペーパーなどは、どれもほぼオリジナルのイラストと文章であり、コミックスに採録されることはまずほとんどないものです。できれば逃さずに集めたいはずですし、そのために複数買いを辞さないとするのも当然だとも言えます。
 今までも、熱心なファンが「観賞用・保存用・布教用」などと題して、複数購入するケースはありましたが、その動きを、この「店舗ごとの特典」がさらに後押しする形となったことは間違いないでしょう。複数買いを行うためのきっかけとして、特典の存在は大きい。特典という「形あるもの」の存在で、複数買いに至るまでの心理的な決断、その敷居が下がったと言えるのです。「普通に複数買うのは抵抗があるが、違う特典がもらえるのなら買ってもいいか」と考えられる。この差は非常に大きい。


・愛は金で買える。
 しかし、数冊程度の複数買いならば、特典による動機も大きいと思いますが、それよりもはるかに超える量の複数買いを行う人も、前述のように存在します。こうなると、もはや特典以上に何か別の理由があると考えられます。
 まず、前述の例にもあるように、なんらかの特典が当たりくじ形式になっている場合が考えられます。世の中には、ある声優のライブチケットを求めて、高い写真集を10冊以上も購入して当たりを目指す人もいるようで、それよりもはるかに安いコミックスを大量に購入することは、さほど難しくないのかもしれません。しかし、このようなケースはやはり稀であり、実際には、ここまでの大量買いの動機は、やはり作品に対する非常な思い入れ、愛以外の何者でもないケースが大半でしょう。

 そして、このような何十冊、場合によっては100冊を超えるような大量買いの現場を目にすると、やはり、「愛は金で買える」ことは間違いないな、と実感します。「愛は金で買える」と言うと、かなり抵抗が強いような物言いですが、この場合、「手持ちの金」を、作品に対する「形ある愛」に、換えて(変換して)いることだけは確かなわけです。貴重な金を、コミックスという形ある愛に変換している。それも、PS3とWiiを両方買ってもおつりが来るような金額を、すべて愛に換えているわけです。これは、作品に対する非常な愛がなければ、絶対に出来ないことなのです。これを見れば、「愛は金で買える」ことは、もはや疑うべくもないことではないでしょうか。


・インターネットというツールが、複数買いを後押しする。
 しかし、このような大量買いにせよ、あるいは特典を求めての複数買いにせよ、ここ最近のこのような行為には、もうひとつだけ、非常に大きな動機があるように思えるのです。それは、インターネットというツールの存在です。

 このような複数買いを試みる人は、それこそ随分と昔から延々と存在していたのだと思いますが、最近になってそれが目立つように感じるのは、やはりインターネットを使った公開によるところが大きいでしょう。それまでは、ほぼ完全に自己満足で済ませていた行為を、今ではネット上のサイトやブログ、掲示板において、多くの人に向けて公開することが可能になった。そして、その公開によって、他の人の反応を得ようとする動機も、また十分に考えられるのです。つまり、ネット上でのネタとして、そのような行動を行っている可能性があります。
 かつて、ある雑誌で非常に評価の低い駄作扱いされたマンガのコミックスを、笑いのネタとして大量に購入し、床に並べた画像を公開し、それで一時的に多数のアクセス数を集めたサイトがありました。これなどはまさにそれであり、完全にネタ目的で大量購入しています。ネタでFFのポーションを大量購入するのと同じような感覚でしょうか。

 もちろん、ここで挙げたような複数買いは、このような完全ネタ目的のものとは異なります。あくまで、作品に対する愛や、特典に対する欲求が動機の中心であり、決してネタを露骨に求めたものではありません。しかし、このような真面目な複数買いにおいても、やはりある程度は、「自らの購入記録をネット上で公開できる」ことが、動機の一端を成している可能性はあるのではないでしょうか。

 つまり、基本的には作品に対する愛が動機の中心であっても、その行為をより積極的に後押しするような形で、「ネットで公開できる」ことが、二次的な動機として存在しているのではないか。そう思えるのです。「自己満足のみで複数買いを行うのはまだ抵抗があるが、ネット上で自分の行為を公開できるのならば、自己主張になるし面白そうだしやってみるか」という思考パターンです。加えて、ネット上で複数買いを公開することで、同好の士を集めることが出来るという動機も見逃せません。実は、この「NFK(日本複数買い協会)」という活動こそが、まさにその最たるものであり、ネットというツールを使った複数買いの新しい楽しみ方(笑)であるとも言えるのです。今後も、ネットのさらなる普及に伴い、このような活動は頻繁に見られるのではないでしょうか。

というわけで、わたしも複数買いの成果を載せてみる。


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