<スクエニ系コミック2006年総括(後編)>(ガンガンWING・Gファンタジー)

2006・12・16

*前編はこちらです。

<ガンガンWING>
 2006年のガンガンWINGは、まさに「激動」の年であり、ガンガン・ヤングガンガン・Gファンタジーと、他のスクエニ系雑誌の多くが変化の少なかった中で、例外的に大きな変動が見られました。

 具体的には、まず、長らくWINGで最大人気を維持し続けた看板作品「まほらば」が終了し、それ以外にも「がんばらなくっチャ!」「BEHIND MASTER」「天正やおよろず」等、長期連載の人気作品の多くが一気に終了したことです。これにより、前年までの安定したラインアップに陰りが見え、その穴を埋めるために、ガンガン編集部は大々的な新連載攻勢を行いました。これは「一年間連続新連載」と呼ばれ、2006年の1年間を通して毎号必ずなにかしらの新連載を始めるという大掛かりな企画でした。
 そして、この「一年間連続新連載」で、WINGの連載ラインナップは大きく様変わりし、雑誌のイメージもかなり変化した感があります。そして、単に変化しただけならよいのですが、全体的に質が落ちた感も否めず、かつての安定感が失われ、誌面が崩れてきたように思います。

 とにかく、「一年間連続新連載」の中身が思った以上に大したことがありませんでした。「毎号必ず新連載がある」とはいえ、実際には短期で終了するシリーズ連載がかなりの割合を占め、それらが数カ月の連載であっという間に終わってしまい、連載ラインナップの充実にはならなかったのです。正直、毎号シリーズ連載を始めることで「形だけ連続新連載の体裁を整えた」という感の拭えないものであり、予想以上に見掛け倒しの企画でした。実際、この新連載の中で、人気を得て雑誌に定着した作品は多くありません。

 数少ない人気を得た作品としては、連続新連載のトップを切ってスタートした「ちょこっとヒメ」と、中盤付近で始まった「東京☆イノセント」のふたつが挙げられます。現時点で成功したと言えるのは、このふたつのみでしょう。他にも面白いと言える新連載はありましたが、そのほとんどが短期連載で終了してしまいました。

 もっとも、現在でも、前年以前より続く定番の長期連載もいくつかは残っており、それらはまだまだ健在です。具体的には「dear」「機工魔術士」「瀬戸の花嫁」「ショショリカ」「」あたりで、実質的に前回の「綿流し編」からの連続した連載である「ひぐらしのなく頃に 目明し編」もこれに該当するでしょう。これらの中でも、「瀬戸の花嫁」はアニメ化が決定しており、来年はこれを中心にして誌面を立て直していくことになりそうです。


<Gファンタジー>
 ガンガンWINGとは対照的に、Gファンタジーは全くと言っていいほど変化がありませんでした。少年ガンガンやヤングガンガンも比較的変化が少なかったのですが、このGファンタジーはそれ以上にまるで変化がありませんでした。

 それも今年1年だけの現象ではなく、前年あたりから、どういうわけか新連載が極端に減少しており、連載本数も少しずつではあるが減少傾向にあります。長期連載の人気作品は揃って継続しており、誌面の安定感はあるのですが、それ以上に動きが少なく、少々停滞しているように感じられます。それでも、前年は「ぱにぽに」のアニメで盛り上がったのでよかったのですが、今年は、前から告知されていた「壮太くんのアキハバラ奮闘記」のアニメ化も実施されず、対外的な話題も欠いてしまい、静かな誌面に終始してしまいました。唯一、PCゲーム「ひぐらしのなく頃に」のコミック化作品「祟殺し編」の後を受けて始まった、ゲームにはないオリジナル編「宵越し編」の連載が、話題を呼んだ程度でしょう。

 ただ、そんな誌面の中でも、数は少ないものの有望な新人による新連載が現れてきたのは良い点です。具体的には、前年から「Crimson-Shell」の短期連載で好評を博した作者による新連載「Pandora Hearts」と、同じく前年からの新人による新連載「黒執事」です。この2作品は、新人作品でありながらすでに雑誌内に定着しており、他の定番連載とほとんど同格に扱われています。今後のGファンタジーを支える主要連載となる作品と見てよいでしょう。

 しかし、ふたつほど優秀な新連載を確保できたとはいえ、まだまだ新鮮な戦力の投入が必要な状態です。特にこの1年、長く雑誌を支えてきた定番の長期連載が、いくつか次第に終了を迎えつつあり、今年は「現神姫」と「阿佐ヶ谷Zippy」が終了してしまいました。さらに、「E'S」や「夢喰見聞」もすでに連載最終盤を迎えているようで、もうじき終了が予想される状態です。これらの穴を埋めるためにも、できるだけ早い時期の戦力の確保が絶対に必要でしょう。来年は、さすがに今度こそアニメが放映されるであろう「アキハバラ奮闘記」や、まだまだ安定した人気が期待できる「ぱにぽに」などを中心にして、誌面の全体的な底上げが必要だと思われます。


<全体総括>
 さて、主要雑誌5つを見てきての全体的な総括ですが、総合的に見て安定していたことは事実でしょう。特に、お家騒動や「鋼」のアニメ化で色々と誌面が騒がしかった中心雑誌のガンガンが、ここにきてひとつの固定化された形になってきたように感じます。それ以外の雑誌でもおおむね変化は少なく(WING、パワード以外)、個々の人気作品にも大きな変化は少なく、その人気は持続されているように思います。

 しかし、この一方で、これといって来年以降に繋がる成果が少なく、今後の不安が強くなったのも事実です。主要誌のガンガンは、ひとつの安定した形にはなりましたが、必ずしもその中身まで充実しているわけではありません。今までのように、「鋼」を中心に一部の作品以外にさして人気がないという状態は続いています。安定したとはいえ、あくまで低めのレベルで安定といったところで、決して充実した誌面とは言えない。前年以前とさほど状況は変わっていないように見えます。
 もっとも、ガンガンについては、前からもうこのような誌面が継続しているので仕方ないところもあるのですが、今年に入ってWINGの誌面も大きく崩れ、Gファンタジーも停滞して来期以降の連載確保が不安であるなど、姉妹誌の方でも伸び悩みが目立ち、今後の発展性に疑問符がつきます。新人の読み切り雑誌から通常形態の雑誌に格上げされたパワードも、ゲームコミックばかりが新連載の誌面リニューアルには疑問を感じざるを得ず、誌面自体も雑然として統一感に欠けており、実際の売り上げもさほど伸びていないように思われます。個人的には、あえてこのような形で通常形態の雑誌数を増やすよりも、その分ガンガン、WING、Gファンタジーの誌面の充実に力を向けてほしかったと思います。総じて、堅調だったヤングガンガンを除いて、どの雑誌も必ずしも満足出来る成果が出せたとは言い難いのではないでしょうか。

 そして、このような1年の結果を見るに、どうもこのところスクエニ系コミック全体の力(ポテンシャル)が落ちつつあるように思います。中心雑誌のガンガンの連載クオリティが低め安定でさほど改善されていない上、WING・Gファンタジー等のマイナー誌も部数がかなり落ち込んでいるようです。おそらくはどちらも3万部程度で、雑誌としては下限に近い部数を推移していると思われます。これは、正直いってかなり不安な状態であることは間違いありません。
 もちろん、それでも個々の雑誌それぞれにまだまだ人気作は多く、いますぐ雑誌が危機に陥るようなことはないでしょう。が、今の状態が今後も続くようでは、先行きには不安が強くなるのではないでしょうか。来期は、個々の雑誌にアニメ化作品を控えているようですし、それを足がかりに人気を確保して、雑誌のクオリティの底上げ(新鮮な戦力の早期確保)を行うべきではないかと考えます。


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