<輝竜戦鬼ナーガス・ベストバトル5>

2009・6・14

 ナーガスのバトルアクションは、一つ一つに非常に力が入っていて、戦闘の迫力や展開、ボリュームの大きさなどで存分に楽しませてくれます。少年マンガとしても、モンスターマンガとしても、ここが最大の見せ場であることは間違いないでしょう。ここでは、そんな数々のバトルの中から、特に5つの優れた戦闘シーンをピックアップしてみました。モンスター紹介と多少かぶるところがありますが、こちらではモンスターだけでなく、戦闘シーン自体の面白さをも見ていきたいと思います。


<第5位・VSドリワーム>
 このドリワーム編は、このマンガの連載直後、主人公である霧山竜輝、すなわちナーガスの最初の闘いになります。そして、この闘いのインパクトが(ある意味)凄まじいもので、当時読んでいた読者の心に強烈な衝撃を与えたものと思われます。ひょっとすると、連載のすべてのバトルの中でも、その強烈さだけならナンバーワンかもしれません。

 ナーガスを倒す刺客としてやってきたドリワームですが、人間として暮らす竜輝の前にいきなり現れることはせず、まず竜輝のクラスの担任の教師にとりつき、さらに周りの生徒の体に自分の操るを大量に潜入させ、竜輝の前で生徒の体を食い破りまくるという凄まじい残虐行為を行います。このシーンの気持ち悪さ、グロテスクさは凄まじいものであり、当時読んだガンガン読者にはトラウマになった者もいるかと思われます(まて)。では、早速、ドリワーム様が虫を使って大暴れするシーンをとくとご堪能ください(笑)。

 そして、このような行為で竜輝と彼の幼馴染である沙智以外の生徒たちを全滅させた後、おもむろに教師の体を引き裂いて中からその気持ち悪い姿を現します。そして、竜輝たちを自慢の触手で襲い、竜輝と沙智の体を無数の触手で締め上げ、沙智の息を出来なくして苦しませて殺そうとする暴虐行為に出ます。

 もうこの時点で気持ち悪さでお腹いっぱいなのですが(笑)、ついにここで竜輝が怒りで覚醒してナーガスに変身、触手を引きちぎって沙智を救い、そのままドリワームと凄まじいバトルを展開します。このシーンは、今までのドリワーム様の気持ち悪い暴虐行為を見ていたものにはスカッとする屈指のシーンで、教室内を所狭しと暴れる2体のモンスターの破壊行為が存分に楽しめます。中でも最も面白いシーンが、勢いあまって教室の壁を破壊して、隣のクラスまでなだれ込んでそこの教師と生徒をパニックに陥らせ、なおも死に物狂いで闘うシーンでしょうか。ナーガスは、ただ手足を振り回して暴れまわるだけで凄まじい強さであり、ドリワームと互角以上の闘いを繰り広げます。

 最後にはドリワームが口の中から本体を見せ(この生態がまた気持ち悪い)、それでナーガスに止めを誘うとしますが、最後にはさらに強力な変身を遂げたナーガスの暴れまわりを受け、無残にもあっさりとずたずたに引き裂かれて殺されます。最後までグロテスクさと凄まじい暴力性が強く出た戦闘シーンであり、よくこのようなものを創刊当初からガンガンは掲載したものです(笑)。作者の増田さんの本来の持つ、マニアックな趣向が強く出た戦闘シーンであったと言えます。


<第4位・VSギレウス>
 ナーガスにとって最大のライバルとなるギレウスとの戦闘シーンは、大きくふたつほどあり、最初に出会ったときのバトルではギレウスが完勝、あまりに弱いナーガスに業を煮やし、もっと強くして自分の踏み台として殺すためにあえて魔精界に逃がします。そして、次の再開した時の戦闘シーンでは、ナーガスは数々の激闘を経て最強レベルまで成長を遂げており、ギレウスと互角、いや完全に圧倒するようになります。このどちらの戦闘シーンも面白いのですが、やはり盛り上がったのはナーガスがギレウスを打ち破る二番目の、終盤のクライマックスとも言える戦闘シーンでしょう。

 どちらもが究極に近い力を持ち、水魔神のナーガスと炎魔神のギレウスが、お互いの得意分野である水属性攻撃と炎属性攻撃でぶつかり合う。中でも、ナーガスが自分の有利な場所である海中で闘うシーンはかなり面白い。これに業を煮やしたギレウスは、炎で海水を蒸発させ、強引に空中戦に持ち込みます。この時の空中での肉弾戦、ドッグファイトの面白さも見るべきものがありました。

 しかし、この戦闘シーンで最も面白いのは、そのような肉体的なバトルだけでなく、精神的なバトル、特に変調をきたしたギレウスの心の動きにあります。これまでギレウスは、ただナーガスを殺すためだけに生かされ、母親も物心付く前に殺されており、ただ憎悪の赴くままに生きて闘っていました。しかし、ここにきて、竜輝の恋人となった沙智や、あるいは自分を慕う部下のモリガンからの献身的な思いやりの心を受け、それが彼の心に大きく影響を与えてしまうのです。すなわち、ギレウスはによって心と体に動揺を生じ、ついには自らの憎悪をも超える愛を一身に受ける形で敗れ去るのです。今思えばあまりにも露骨で、今のマンガではここまで恥ずかしくも愛を直接的に語るシーンはないと思いますが、当時はいかにも少年マンガらしい展開で決して悪くないと思いました。なお、このギレウスはのちにその愛によって復活を遂げることになります。


<第3位・VSクザン・バリオンスクス・ガルカイン>
 序盤から中盤への山場となる富士五湖での闘いで、ナーガスと闘う先鋒役を担うことになる地魔神三人組とのバトル。このバトルは、ナーガスの奮闘ぶりもありますが、それ以上にナーガスの仲間たち、水魔神のディーナと人間の狢谷太輔(まみやたすけ)、そして妖精のティアの活躍ぶりに光るものがあります。

 さらには、このシーンにおいても、ドリワーム戦で見せた気持ち悪さは健在であり、特にガルカイン様の活躍には光るものがあります(笑)。山にやってきた人間の女の子の精気を吸って堪能し、ナーガスたちとの戦闘でも自慢の舌を伸ばして吸血銛まで展開して縦横無尽の気持ち悪さを見せてくれるでしょう。実はこのマンガ、ここまでグロテスクなのはこの序盤の頃だけで、これ以降はここまでのシーンは見られなくなります。その意味でも貴重(?)と言えるでしょう。

 さて、そのガルカインとの闘いで奮闘するのが、前述のディーナと太輔です。ディーナは、水魔神として名を馳せた将軍オアンネスの娘という設定で、美しい容姿ながら積極的な性格で果敢に闘いにも挑みます。縦横無尽に水を使った闘いにもかっこよさが感じられ、特に決め打ちとなる必殺技・円月水裂輪(ムーン・ディヴァイダー)でガルカインを真っ二つにして止めを刺すシーンは圧巻であると言えます。一方で、彼女と共闘する太輔の方は、魔神の血を引く人間と言う設定なのですが、彼にとってもここは最大の見せ場と言えるシーンで、その泥臭い闘い方にかっこよさを感じました。人間の姿のままでガルカインの舌を受け止め、そのままおもむろに魔神に変身、ガルカインを焦らせるシーンは、おもわず読者もにやりとするようなところで、本当にかっこよかった。

 そして、ナーガスが手助けをするティアと共闘して、バリオンスクスを倒すシーンも面白かった。耳のいいティアが地中を進むバリオンスクスの接近を察知、間一髪のタイミングで攻撃を避けて直後に一撃! そのまま一刀両断する。この流れは実に美しく迫力がありました。その時クザンが怒りのあまりに憤ってナーガスを背後から攻撃しようとして、それをナーガスがじっと見切って振り返ろうとするシーンも味があってよい。こういう流れのある戦闘シーンは何度読んでも面白いものです。


<第2位・VSボレアース>
 序盤の山場とも言えるこの戦闘、ドリワーム戦の直後にいきなり来ます。明らかにナーガスよりも数段上の最強クラスの敵との戦闘で、いきなりこんな敵がぶつかってきていいのかとすら思いました。

 この戦闘では、まずボレアースの圧倒的な存在感、かっこよさに尽きます。ドリワームがあまりにもあれなモンスターだったので(笑)、この壮観で美しいモンスターの姿と、その高潔な精神はなおさら魅力的に映ります。このボレアース戦で、この「ナーガス」と言う作品の印象が変わった読者も多いのではないかと思います。この戦闘シーンで、このマンガの面白さが一気に華開きました。これでナーガスという連載が完全に軌道に乗ったと見てよいでしょう。

 そしてもうひとつ、そんなボレアースの圧倒的な強さに対する、ナーガスの成長ぶりに凄まじい見ごたえがありました。なにしろ、戦闘開始時は無策に突っ込んでいくだけで、ボレアースにいいようにやられるだけだったナーガスが、闘いの最中にどんどん覚醒していき、あれよあれよという間に最強クラスの存在まで一気に成長してしまうのです。ただ直接殴りに行くしか知らなかったのに、いきなりもぎ取られた腕が蘇る強烈な復活能力に目覚め、しかも竜らしく炎を吐いてボレアースを焦らせ、そして翼が生えるや空中での挙動にもあっという間に慣れて風魔神のボレアースと互角の空中戦を展開、最後には決め打ちとなる必殺技・炎竜焼牙(サラマンドラ・バーン)を開発してボレアースを一気に消滅させるという、ありえないような凄まじい成長力を見せてくれました。これは、RPGで言うなら一度の戦闘で一気にレベルが20くらい上がってしまったような快挙であり(笑)、ここまで一気に成長してしまって、その後の展開でその強さがややインフレ気味になってしまいました。もうドラゴンボールも真っ青です(笑)。

 ところで、一度の戦闘でレベルが20上がるゲームというのは、実在します。「真・女神転生」というのですが、これはレベル差が大きい敵を倒せば倒すほど莫大な経験値が入るシステムなので、あえて道中の戦闘をすべて避けて最低レベルでボスのみを倒していくと、一気にレベルが20上がってしまう瞬間があるのです。さしずめ、このナーガスも、ほとんど戦闘らしい戦闘の経験がない状態で(まともに闘ったのはドリワーム戦のみ)、いきなり最強クラスのボスであるボレアースと闘わされ、奇跡的に勝利を収めることによって、一気にレベルが20も上がってしまったのではないでしょうか(笑)。


<第1位・VSグライマー>
 そして栄光ある第1位ですが、これはもう言うまでもなく中盤最大の激闘であるグライマー戦に尽きます。ストーリー的にも最高に盛り上がった箇所であり、その上で戦闘シーンの見ごたえにも素晴らしいものがありました。

 まず、いきなりグライマーが登場するところからしてかっこよかった。グライマーが鏡で転送されて出てくるシーン、そして「炎魔神(パイロ・ディーバ)グライマー見参!!」と名乗りを挙げるシーンは、これ以上ないほどの迫力とフォルムの美しさを感じられる屈指の名シーンだと思います。のっけからいきなりこれほど印象に残るモンスターも多くありません。
 そして、そのまま最初の戦闘ではナーガスを徹底的に翻弄。ナーガスの炎竜焼牙(サラマンドラ・バーン)を完全に制圧し、自身の周囲に炎を渦巻かせるシーンも実にかっこいいものがあります。このグライマー戦では、ひとつひとつのコマすべてが抜群の見ごたえを持っていて、戦闘シーンの密度が本当に素晴らしいですね。

 その後、窮地に陥ったところをティアの助けで一時地底に退避したナーガスが、竜の王に出会って水の力に目覚めるという展開もよかった。単に怒りと憎悪に任せて攻撃するだけではなく、優しさを同時に内包して敵と接するという、主人公の精神的な成長が顕著に見られました。これが物語のターニングポイントのひとつと見ていいかもしれません。

 その一方で、グライマー様は分身のメダマウマーをも放って縦横無尽に空を駆け回り、こちらでも存在感を見せ続け、水の力に目覚めたナーガスと再度の激戦となります。ここでは、グライマー最大の必殺技である強力無比なチャージアタック・炎騎突撃衝(ファイアースタンピード)と、ナーガスの水属性の新必殺技・水竜斬刃(ハイドラ・シュレッダー)との激突が最大の見所です。実は、こここそがこの作品における最高の戦闘シーンかもしれません。

 ここでナーガスが辛くも勝利を収めるのですが、水竜に斬り裂かれたグライマーの頭部が、それでもナーガスに一撃を与え、捨て台詞を残しながら消滅していくというシーンも、グライマーの強敵ぶりを最後までアピールする優れた終わり方になりました。最後の最後まで実に見ごたえのある、このマンガの白眉とも言える素晴らしいバトルだったと思います。この後にグライマーは今一度復活してナーガスと再戦する機会があるのですが、そちらは一度見た戦闘スタイルだからかこれほどには盛り上がらなかったと思いますし、やはりこのバトルこそが最高でした。


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