<個人的な思い出> ──「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章」──

2006・7・10

 「ロトの紋章」は、「パプワくん」や「グルグル」「ハーメルン」等と並んで、初期ガンガンの読者が真っ先に挙げるであろう作品だと思います。そしてこのわたしも例外ではなく、最初にガンガンで注目したマンガがこれでした。
 ドラクエ4コマでガンガンの創刊を知った当時、創刊号を本屋に読みに行ってまず最初に読んだのが「ロトの紋章」と「ドラクエ4コマ」でした。最初はそれ以外の作品を読まなかったくらいですね。それだけ「ドラクエマンガ」としてのロトの紋章の露出度が高かったのでしょう。当時はまずなによりも雑誌の表にロト紋、ドラクエが前面に出ていました。
 ただ、しばらくしてガンガンの他のマンガの面白さも知るようになり、特に「パプワくん」や「ハーメルン」「ZMAN」「パッパラ隊」等の方により深くハマるようになってしまい、相対的に「ロトの紋章」の方にはそれほど深くはハマらなかった記憶があります。とはいえ、マンガ自体の圧倒的な完成度は疑うべくもなく、毎回その絵と世界観の見事さには感心しつつ追いかけていました。

 そんな中で、特に見ごたえがあったのが、やはり作品中盤、アリアハン編のモンスター十万体とのバトルですね。ここはもう、物語的にも最高に盛り上がるエピソードで、凄まじいバトルシーンの連続も圧巻でした。最初は主人公のアルスが孤軍奮闘し、ピンチで仲間たちが次々と応援に駆けつけ、敵のボスたちと連戦を繰り広げるという、そのバトルの連続には本当に酔いましたね。今思えば、「ひとりで十万体と闘う」というのはちょっと少年マンガ的すぎるというか、あまりにも強さがインフレし過ぎていたような気もしますが、当時はそんなことが気になることはなかったですね。
 アリアハン編の次にジパング編が続くんですが、ここでのバトルでは、敵ボスのヤマタノオロチ(ヒドラ型ドラゴン)の描写が圧巻でした。藤原カムイという人は本当に凄い漫画家なんだな、とアリアハン編・ジパング編と立て続けに読んで実感しました。
 その後は、やはり一連の最終決戦のくだりですね。このときの連載の盛り上がりは相当なもので、当時のガンガンが月2回刊だったこともあって、速いペースで毎回クライマックスの連続のような怒濤の展開でした。しかもその怒濤の連載ペースの中で、CGを使いまくったり読者応募のキャラクターを描きまくったりと、作者のカムイさんのこの創作意欲はどこからくるのかと感心しきりでした。今でも藤原カムイさんは最も尊敬に値する漫画家のひとりだと思いますね。

 キャラクター的には、やはり主人公の勇者アルスと3人の仲間「ケンオウ」キラ・ヤオ・ポロンが最高に良かった。それともうひとつ、原作ゲームの4人パーティーの勇姿を回想シーンで見せてくれたことも、ドラクエ3のファンとしては最高に嬉しかった。ドラクエ3に見事にハマったこともあって、原作ゲームのパーティーの「勇者」「戦士」「武闘家」「賢者」をモチーフにしたことが思い入れを加速させました。

 もっとも、原作のゲームでは、この4人のパーティーでプレイすると苦労するんですけどね。ゲームだと「勇者・戦士・僧侶・魔法使い」が基本で、魔法使いを賢者に転職させて防御を固めるか、あるいは僧侶の方を賢者にしてバイキルト×2で押しまくるか、その方がクリアがしやすいんで、魔法を賢者ひとりに負担させるこのパーティー編成だとかなりきつい。ただ、それをあえて「ロト紋パーティー」でプレイするのも楽しいのかもしれませんが。


 ただ、個人的に特に気に入ったのキャラクターは、前代の賢王であるカダルの方ですね。「不老の術で生命を長らえ、賢者の塔(蜃気楼の塔)にこもって修行を重ねて叡智を極める」というその姿は、これぞまさに賢者というイメージでとても気に入りました。元々、勇者や戦士のような武闘派の英雄よりも、知を極める賢者の方が好きだったこともあって、この「ロトの紋章」で得た賢者のイメージは、いまだに理想的な賢者の姿として心に残っています。「賢者とは塔を築いてそこで修行するものである」ともう自分の脳内では相場が決まっているのです(笑)。のちに連載されたカムイ氏のもうひとつのドラクエマンガである「エデンの戦士たち」でも、賢者と蜃気楼の塔が出てきた時は本当に嬉しかったものです。



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