<なぜ女性はGTAをプレイしないのか>

2004・6・3

 このところ「グランド・セフト・オート:バイスシティ(以下「GTA:Vice City」をやりこんでいます。そして、プレイしていてふと思ったのですが、このゲームをプレイしている女性プレイヤーはどれくらいいるのでしょうか。少なくとも日本では、「プレイしている」という女性の話はあまり聞きません。いや、もちろん潜在的にはそれなりのプレイヤーが存在するはずですが、しかし人数的には決して多くはないでしょう。

 これは「GTA」の本場であるアメリカでも全く同じです。アメリカでも「GTA」をプレイする女性は非常に少ない、という調査結果が出ています。そしてそう考えると、「GTA3」の800万本、「GTA:Vice City」の1150万本という売り上げ本数は、そのほとんどが男性プレイヤーで占められているわけで、そう考えるとこの売り上げ本数がますます凄いものに思えてきます。少なくとも日本ではこのように「男性プレイヤーだけ」でミリオンクラスの販売本数を記録したものは多くはないでしょう。

 さて、話を元に戻しますが、なぜこのように「GTA」の女性プレイヤーが少ないのか? これは、プレイしているだけで何となく分かってしまう部分も多いのですが、あえてここできっちりとした形で書いてみようと思います。


(1)ゲームのモチーフ・設定・世界観等が暴力的すぎる。
 まずこの点が最も大きい。このゲームの主人公はただのチンピラで、車や物を盗んだり、街の住人を殺したりすることが出来て、しかもそれがゲームプレイの中心ともなりえます。このようなゲームを女性が好んでプレイするとは思えません。
 それだけではありません。このゲームの設定が、いわゆる「マフィア映画」「ギャング映画」のそれをモデルにしており、主人公の行動もそれに沿ったものになります。ストーリーを進めるために、マフィア組織の手先となって強盗・殺人・破壊工作等の任務をこなさなくてはなりません。これらは当然犯罪行為であり、「犯罪をしないとゲームが進まない」となるとますます女性プレイヤーの抵抗は大きいでしょう。マフィア映画を「見る」だけなら女性でもまだ抵抗は少ないでしょうが、それを自分で「やる」となるとかなり抵抗は強いと思います。


(2)プレイの中心のひとつが「乗り物の運転・操縦」である。
 この「GTA」というゲームでは複数の乗り物が登場し、それらを操縦していろいろなところへ行くことが大きな楽しみのひとつです。車はもちろん、バイクやボート、水上飛行機にヘリコプター、ラジコンカーやラジコンヘリの操縦なんてのもあります。とくに車の運転はプレイ中の大半を占め、GTAのプレイの中心といっても過言ではありません。
 そして、この車を運転する行為が非常に楽しく、ただ街中を走り回るだけでも楽しめる。これがGTAというゲームです。

 しかし、これは「車の運転が楽しい」という人にとっては最高のゲームでしょうが、逆に「車の運転にさして興味がない」人にとっては大した楽しみが得られないとも言えます。
 そもそも、「乗り物を動かす」という行為は男性の方がより惹かれやすい楽しみで、逆に女性にとってはさほど興味を惹かれないものでもあります。車のドライブを趣味とするのは明らかに男性が多いでしょうし、さらには車のレース、あるいはラジコンカーや飛行機を操縦する趣味のある人は男性が大半で、女性では非常に少ないのは事実でしょう。これが「GTA」というゲームにもそのまま当てはまらないでしょうか?

 結局のところ、「乗り物(特に車)の運転・操縦」がゲームの中心であるGTAは、女性にとっては魅力が薄く、男性ほどには興味を惹かれないのではないか。これもGTAの女性プレイヤーが少ない大きな原因であると思われます。


(3)アクションゲームである。
 やはり女性には「アクション系ゲーム」はやはり苦手なイメージがあるのか、あまりプレイされない人が多いです(最近はアクションゲームが人気で、以前ほど女性プレイヤーの抵抗はないようで、「真・三国無双」のように女性人気の高いゲームもあるのですが、それでも未だアクションゲームを避ける方もまだまだ多いと思われます)。
 さらに「GTA」は海外のゲームということで、いわば「マニア向け」「ゲーマー向け」なイメージが強く、アクションゲームが苦手な意識と相まってプレイを避けてしまうのではないでしょうか?

 実際には「GTA」というゲームは、アクションゲームの中でもさほど難しいものではないのですが、それはあくまでゲーマーから見た話。確かに一部難しい(難しく見える)ポイントもあり、アクション初心者にはやや抵抗が強いのも無理はありません。


 このように、「GTA」はやはり女性にとっては非常にとっつきにくい、厳しいゲームであるといえます。全世界で1000万本以上売れているのに女性プレイヤーが非常に少ないのもうなずけます。
 しかし、「GTA」は本質的には誰でも楽しめるゲームでもあります。確かにこのゲームは暴力的なイメージが前面に出ており、乗り物の運転やアクション性の存在など女性にとっつきにくい点も多いですが、それはあくまで表面的なモチーフであって、本来は「ひとつの街の中で自由に行動できる自由度」が最大の魅力なのです。いわば遊園地の中で自由に遊ぶ行為に近く、もちろんこれは男女の区別なく楽しめる要素のはずです。
 つまり、本質的には誰でも楽しめるゲーム性を持っていながら、ゲームの暴力的モチーフやアクション要素の存在によってプレイヤー層を限定してしまっている、非常に残念なゲームであるといえます。女性ならずとも、このゲームの暴力的なイメージから手を出せずにいる人は多いようで、特に日本人にとっては、このゲームのアメリカ産のギャング映画的な世界観は興味が薄いと思われ、そのせいもあって日本ではこのゲームの売り上げは数十万本に留まっています(まあこれでもよく売れている方だと思いますが・・・)。

 ただ、このような全世界で1000万人以上に受け入れられ、画期的な自由度を持つ点で非常に評価も高いこのゲームが、その一方で一部の男性のゲームマニアのみにプレイヤー層が限定されているというのは意外といえば意外で、残念といえば残念な点であります。


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