<怒首領蜂 大往生>

2005・7・21

 いろんな意味で非常に有名なアーケードのシューティングゲームです。「ケイブ」というシューティングプレイヤーにはおなじみのメーカーの作品で、同メーカーの製作である「首領蜂」「怒首領蜂」(これは2もある)の続編に当たるゲームです。が、この「大往生」自体が前作・前々作よりもはるかに突き抜けたゲームとなってしまったため、あまり続編として意識されることは少ないようです。アーケードやシューティングにあまり詳しくない人ならば、このゲームに前作があること自体知らないかもしれません。

 元々ケイブ、及びその前身である東亜プランは、敵が遅めの弾を大量に撃ってくることが特徴で、その間を判定の小さい自機ですりぬけるようによけていくプレイが求められるシューティングゲームを多数リリースしていました。この、敵が繰り出す大量の弾のことを「弾幕」 と呼び、それを特徴とするゲームを、いつしか「弾幕シューティング」(もしくは「弾幕ゲーム」)と呼ぶようになりました。この弾幕シューティングは、やがて他のメーカーからも同系のゲームがリリースされるようになり、シューティングゲームの一大ジャンルとして人気を獲得していきました。

 そして、この「大往生」もケイブの弾幕シューティングのひとつであるわけですが、それまでのゲームよりもはるかに凄まじい弾幕を採用し、ついにこの作品で弾幕シューティングが極まった感がありました。このゲームの弾幕は、ゲーム性以上にビジュアル面でも実に強烈なインパクトを残し、そのために普段シューティングをやらない人々の間でも話題となったほどです。元々、アーケードゲームは見た目のビジュアルの第一印象が重要なゲームですから、その意味ではアーケードにふさわしい作品だったと言えるかもしれません。


・難易度の高さでも極まった。
 そして、これだけの凄まじい弾幕によって、当然ながらゲームの難易度も飛躍的に上昇し、ついにこのゲームにおいて近年のシューティングゲームの難易度の高騰も極まった感がありました。敵の弾をよけ続ける「避け」の能力が確実に要求されるのです。
 もちろん、元々シューティングゲームの難易度の高さは指摘され続けていましたし、これ以外にも難しいとされるシューティングゲームはいくらでもあります。中には、これらのシューティングの事情と比較して、「大往生」の難易度は必ずしも高くないと言う人もいます。
 しかし、わたしとしては、やはり「大往生」の難易度は非常に高く、しかも、今までにないプレイまで要求されるゲームだと見ています。具体的には、以下の点において非常に厳しい。


(1)自機の判定が非常に小さい。(敵の弾の判定も小さい。)
 そもそも弾幕シューティングの特徴として、「自機のやられ判定が小さく、大量の弾をよけやすくなっている」ことが特徴なのですが、ケイブの場合、新作がリリースされるたびにどんどん自機の判定が小さくなり、この「大往生」の時代では、もはやほんの数ドットのやられ判定という状況まで極まってしまいました。もちろん、ここまで判定が小さくないとあの弾幕をよけられないわけであり、判定が小さいことはプレイヤーにとっては有利な設定のはずですが、しかし必ずしもこれがいいことばかりではないのです。

 最大の問題は、判定がここまで小さくなると、敵弾に当たったかどうかが非常に判別しづらくなることです。「大往生」では、自機だけでなく敵の弾の判定まで小さいので、余計に分かりません。これはシューティング初心者にとっては特にそうで、一見して弾に当たっているのかどうかわからず、死んだ時も何の弾に当たったのかわからないケースが多くなります。つまり、原因不明の死(ミス)が非常に多くなるのです。
 ゲームにおいて、「自分がミスした原因が分からない」というのは、攻略において多大な支障をもたらします。自分が死んだ原因、ミスした原因がはっきりしているからこそ、次のプレイでは同じミスを犯さずに先に進むことが出来るわけです。それが分からないと、攻略の糸口がつかめず、「もう一回同じミスをしてしまうかもしれない」と不安に駆られ、再プレイのモチベーションの低下につながってしまいます。

 それとは逆に、「自分ではミスした(弾に当たった)つもりでも、判定が小さくてたまたま当たらずに済んだ」というケースも往々にして起こります。そして、これはこれで大問題なのです。たまたま当たらずに済んで先に進めたとしても、それでは自分の実力で進めたわけではないのですから、真の攻略にはなりません。次のプレイではミスしてしまう可能性が高く、もう一度その箇所を検討するという二度手間をかける羽目になります。ゲームにおいては、「自分がミスした」と思った時には、そのまま死んでくれないと困ってしまうのです。

 ただ、この「大往生」というゲームは、圧倒的な弾幕というビジュアル的な魅力と、その間を判定の小さい自機ですり抜けるという爽快感が多くのプレイヤーに受けているという点もあります。この「圧倒的弾幕と判定の小さい自機による爽快感」が、プレイヤーをゲームに引きつける大きなポイントになっているわけです。
 その一方で、上記のように、「判定が小さいためにミスが分かりにくい」というゲームシステム上の難点をも同時に生み出しているわけです。果たして、ビジュアルと爽快感で多くのプレイヤーをひきつけた点を評価すべきなのか、それともゲームシステム上の難点を引き起こした点がより大きな問題なのか。このあたりの判断が難しいところだと思います。


(2)パターン化しても弾よけが楽にならない。
 どんなに弾よけが難しいシューティングゲームでも、ゲームである以上、攻略のパターンを作ればクリアへの道が開けるはずです。ましてシューティングゲームならば、弾よけの能力やセオリーだけに頼るのではなく、しっかりとパターンを作って攻略するのがクリアへの最大の王道であるはずです。今までのシューティングならばそうでした。
 「大往生」も、基本的にはパターンで攻略するゲームです(というか、実はものすごいパターンゲームです)。しかし、他のシューティングと違い、いくらパターンを作っても一定レベルの弾よけは絶対に必要なのです。つまり、狭い弾の間を抜ける方法を取らずにパターンを作ることは不可能。どんなにうまくパターン化しても、弾よけの呪縛から逃れることは出来ない。

 この「大往生」のケイブと同時期のシューティングゲームとして、90年代にゲーセンで人気を集めた彩京のシューティングゲームがあります。この彩京シューティングも、パターン化の要素の強いゲームですが、ケイブの「大往生」と異なるのは、「一旦パターンを作れば、ほとんど弾をよける必要がない」という点です。自機を狙わない固定の弾が多いのがその最大の理由ですが、別に彩京のゲームならずとも従来のシューティングならば、多かれ少なかれこのような「パターン化さえすれば弾よけは最小限ですむ」という要素を持ち合わせていました。(例外は「ゼビウス」のような、パターン化が出来ないランダム性を持つゲームでしょうか。)
 しかし、「大往生」の場合、どうしてもそれが出来ない。いくらパターン化しても、狭い弾の間をすり抜ける細かい動きが何度となく要求される。もちろん、アドリブで避けるよりはパターン化した上で避ける方が簡単なことは言うまでもありませんが、それでもこの細かい避けのレバーテクニックが何度となく必要というのは、その手の能力を持ち合わせない人にとってはあまりにも厳しいのです。


(3)そもそもパターン化自体が難しい。
 そして、それ以前の問題として、そもそもこのゲームのパターン化攻略が非常に難しいという点が挙げられます。実は、前作・前々作にあたる「首領蜂」「怒首領蜂」では、ある程度はアドリブでも進めるところがあったのですが、「大往生」では、ひどくパターンゲーム化が進んでしまい、厳密なパターンを作らないと先へ進めないゲームとなってしまいました。そして、この肝心のパターン化がひどく難しい。

 そもそも、パターン化パターン化と言っても、毎回厳密なパターンを忠実に辿ってプレイするのはひどく難しいことなのです。実際、毎回毎回1ドットの狂いもなく忠実にパターンを辿ることは不可能でしょう。パターンゲームの要素の強い「グラディウス」のようなゲームでも、実際には途中でランダムな要素が混じることが多く、結局のところアドリブでのプレイも要求されます。
 そして「大往生」の場合、激しい敵の攻撃が延々と続くゲーム性のため、一旦パターンを外れてしまうと、その後はどうしてもアドリブでのプレイを長く要求されてしまいます。つまり、パターン化を要求される箇所が非常に長く、その分パターンを辿り続けること自体が難しく、結果として多大なアドリブでのプレイ能力が要求されてしまうのです。
 もちろん、パターンが崩れた時の救済措置として「ボンバー」というものが用意されているわけですが、この「大往生」では自機のタイプによって肝心のボンバーの数に大きな制限がついたことが大変厳しい要素となっています。これもまた難易度の上昇の一因でしょう。


(4)弾が速い。
 これが最大の問題です。このゲーム、圧倒的な弾幕による弾の多さばかりが注目されがちですが、単に敵の弾が多いだけではそこまで難易度は上がりません。真の問題は、弾が多いことではなく、弾が速いことなのです。
 敵の弾が速いとなると、アドリブでのよけが非常に難しくなり、難易度は跳ね上がります。もちろん、弾が速いシューティングは他にもいくらでもあり、例えば「雷電」シリーズや、前述の彩京のシューティングなども弾の速さが特徴です。が、「大往生」の場合、それらのシューティングと異なり、圧倒的な量の速い弾が延々と押し寄せ続けることに言い知れない恐怖を感じます(笑)。そして、この点においても、速い弾に対応するために厳密に厳密を重ねたパターン作りと、そしてパターンが崩れた時のアドリブの弾よけの能力が要求されてしまうのです。


 ・・・以上のように、この「大往生」において、この手の「弾幕シューティング」の難易度は極まった感があります。個人的には、厳密なパターン化とアドリブでの弾よけの能力が両方とも高いレベルで要求されることが非常に厳しいと思います。


・初心者はほぼ弾よけのみのプレイに限定される?
 このゲーム、弾よけの難しさによる高い難易度ばかりが注目されがちですが、「コンボ」をつなげることによるハイスコアシステムもよく出来ており、ハイスコア狙いの上級シューターの間でも大いに盛り上がりました。しかし、それはあくまで上級者のみの楽しみであり、ほとんどの初心者〜中級者のプレイヤーはよけるだけで精一杯でした。まず基本的な弾よけとパターン化の能力が身についた上で、初めてコンボシステムに取り掛かれるような状態で、初心者と上級者のプレイに隔絶感が出てしまった感がありました。コンボでスコアを稼ぐとランクが上昇して難易度が極端に上がったり、コンボ稼ぎに必須の「ハイパー」と言うシステムが初心者にとってはむしろ弊害にしかならなかったり、そのくせある程度計画的に稼がないと残機が増えないなど、全体的に初心者にとっては厳しい状況になっていると思います。

 というか、そもそもこのゲームは初心者がプレイしてどれくらい進めるゲームなんでしょうか? わたし程度の腕では、全5面のうち、1面はまあ普通にクリアできて、2面では早くもぎりぎりで何とかクリアできる状態で、3面以降はビックリドッキリワンダーゾーンみたいな感じですが、実際のところ皆さんはどうなんでしょうか。


・誰でも爽快感とパターン化の面白さ、そして独特のビジュアルが楽しめることは事実。
 とはいえ、単純にクリアのみを目指しても、初心者は初心者なりに楽しめることは事実です。敵破壊と弾よけの圧倒的な爽快感と、少しずつパターン化して先へ進むことで、自分の上達を実感できるゲームであることは間違いないでしょう。

 そして、実はこのゲームは「弾幕」というグラフィック面での魅力が大きいのかもしれません。冒頭にも書いた通り、このゲームの弾幕はビジュアル的にも強烈なインパクトがあります。「弾幕」が単なるゲームシステムではなく、一種の「グラフィック鑑賞」の目的にもなっていると思われるのです。
 つまり、この「弾幕」は、鑑賞目的の飾りでもあり、それが非常に重要なのです。この、飾りであるところの弾幕を見て楽しむゲームなのです。すなわち、このゲームは、「『弾幕』と言う名の花火鑑賞ゲーム」であって、盛大な花火の連発を思う存分堪能することが出来るゲームなのです。


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