<D&D-Tower of Doom-/-Shadow over Mistara->

2001・10・7

 カプコンのFFタイプアクションに関してはいずれ全部書きたいところですが、とりあえず手始めにこの2作品について書きたいと思います。
 カプコンは「ファイナルファイト」のヒット以来、同タイプのアクションゲームを数多くリリースしてきましたが、このD&Dシリーズは、それらFFタイプアクションの集大成と言えるものです。過去の幾多のゲームから優れたシステムを引き継ぎ、実に多彩なアクションが可能になっています。そして、単に「何でもできる」ということにとどまらず、ひとつひとつのアクションにそれぞれ使いどころがあり、戦略性も高くゲームとして完成していることが最大の魅力です。
 それと同時に、このゲームはあのD&Dシリーズのひとつでもあります。D&Dのシステムをコンピュータゲーム化した例は枚挙にいとまがありませんが、「完全なアクションゲームにした」という点で、その中でも最大の異色作といえるでしょう。基本がFFタイプアクションなので、本家RPGの忠実な移植というわけにはいきませんが、それでも各種魔法やアイテムを使い分ける戦略性・役割を分担してゲームを進めるパーティープレイの面白さ・丁寧なグラフィックで再現されたD&D世界のイメージなど、随所に本家D&Dを彷彿とさせる要素があり、「D&Dのアクションゲーム化」という難しいチャレンジをほぼ成功させています。FFタイプアクションとしても楽しめ、かつD&Dシリーズのひとつとしても楽しめるという非常によくできたゲームでした。

・シリーズで異なるゲーム性
 さて、このページでは94年にリリースされたD&Dシリーズ第一作「Tower of Doom」と96年にリリースされた「Shadow over Mistara」のふたつを扱いますが、実はこのふたつ、同じD&Dシリーズでありながらまったく異なるゲーム性となっています。どちらもそれぞれの面白さがありますが、違いがありすぎて同時に解説することは難しいので、両ゲームの相違点に触れつつひとつずつ解説していきましょう。

・D&D−Tower of Doom−
 こちらは94年にリリースされた一作目。この当時はまだまだゲームセンターが盛況な時代で、FFタイプアクションも各社から結構出されていたころの一作品です。しかし、それら同系のゲームとは明らかにひとつ抜け出ていたのはさすがカプコンといったところ。

 さて、このゲーム最大の特徴は「基本となるアクションが難しい」ということかな。ファイナルファイトなんかはゲームの難易度自体は高いものの、基本となる操作は簡単で、初心者でも適当なボタン連打だけである程度敵を倒せるようになっています。ところがこのゲームは、そのアタックボタン連打による通常攻撃自体が弱く、それだけでは敵を倒していけません。その代わり、レバーとボタンの組み合わせで出せる各種特殊技が強く、これを駆使してゲームを進めることになります。ただ、それら特殊技はコマンドを習得するのが難しく、ゲームの敷居を高くしています。まあ、ひとことでいえばマニアックなゲームということですね。
 実際のプレイ方針としても、それら癖の強い各種特殊技を使いどころを見計らって一発ずつこつこつと当てていくことになります。一言でいえば地味(笑)。派手な連続技で気持ちよく敵を倒していくゲームとは一線を画しています。
 魔法やアイテムなどの効果も全体的に地味ですね。使いどころを厳選してひとつづつ慎重に使っていくあたりがなんとも。このあたりが本家D&Dっぽくていいという人もいますが(笑)。
 とはいえ戦略性の高さは折り紙つきです。力押しのボタン連打で進むことができないので各種アクション・魔法・アイテムすべてを駆使して進むしか道はなく、かつ魔法・アイテムは有限のリソースなので「どこで使ってどこで温存するか」という先を見越したプレイも要求される。もっとも基本となるアクションが難しいうえに各種魔法・アイテムの効果をすべて把握せねばならず「マニアック」な点は避けられないですが。

 また、このゲームは初めて多人数パーティープレイを意図したゲームでもあるのですが、実際にはゲーム性がマニアックすぎて一人プレイでもクリアが難しいことと、その当時はまだ協力プレイという慣習がなかったこともあって今ひとつ盛り上がりませんでした。まあそれは第二作である「Shadow over Mistara」において爆発的に盛り上がるのですが。


・D&D−Shadow over Mistara−
 こちらは96年にリリースされた二作目。この当時、アーケードゲームが退行期に入っており、FFタイプアクションもほとんどリリースされない状態の中、待ちに待った続編といった感じでした。

 こちらは一作目と違い、アタックボタン連打の通常攻撃が強く、適当にプレイしてもそれなりに進めるようになっています。それに加えて各種コマンド技を絡めた連続技が非常に強く、とにかく連続技を当てまくって敵をどんどん倒していくのが気持ちいい。
 魔法やアイテムの効果も大きく、かつ使用回数も多くなり、こちらの方も連発して気持ちいい構成です。「簡単かつ派手になった」というのが全体的な印象でしょうか。
 もちろん、各種ザコやボス敵のアルゴリズムも練られており、いくらアクションや魔法・アイテムが強力になったとはいえ簡単にクリアはできません。ちゃんと戦略性はあります。とはいえ、マニアックだった前作に比べればやはり難易度は低い。過去のFFタイプアクションの中でも簡単な方ではないでしょうか。
 もちろん、簡単だからといって面白くないわけではありません。前作をはるかに越えるボリュームがあり、各種ルートを選択して進むだけでもいろいろ楽しめます。ルートによってかなり難易度が変わるので、慣れたらわざと難しいルートをたどっていくのも楽しい。
 そして何といってもパーティープレイですね。前作よりも難易度が低いこともあって多少個人の技量に差があってもパーティープレイがやりやすく、前作よりはるかに盛り上がりました。このゲームによってゲームセンターにおける「多人数協力プレイ」が始まったといってもよいでしょう。見ず知らずの他人同士が集まって協力プレイ、というのはこのゲームの前には考えられもしなかった。対戦格闘ゲームとはまた違った新しいコミュニケーションツールといえます。


・一作目と二作目でどちらが楽しいのか?
 と、このように二作とも他方とはゲーム性が異なるわけですが、どちらがより楽しいのか? これはもうプレイヤー個人の好みの問題といえましょう。こつこつとじっくり進みたいならTower of Doom、より豪快に楽しみたいならShadow over Mistaraでしょうか。どちらもゲーム性で劣るわけではない。ただ方向性が違うだけですね。

・真剣に続編を期待したいゲーム
 しかしこういった過去のシリーズの論評以上に、このゲームには真剣に続編を期待したい。今やアーケードのビデオゲームは悲惨な状況でして、FFタイプのアクションなんかひとつもない。ここでカプコンのアーケードでの存在感を見せていただきたいですね、ぜひとも。
 それにD&Dシリーズのひとつとしてもですね、このあたりで出してもいいのでは? ほら、本家D&Dも3rd Editionが出たことだし(笑)、もうアーケードでD&Dを出さないことには21世紀は始まりませんって。


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