<ドラゴンクエストII〜悪霊の神々〜>

2005・6・27

 言わずと知れた「ドラクエ」の2作目です。1作目である「ドラゴンクエスト」は、発売当初はRPGというものが家庭用ゲームに根付いておらず、ユーザーからも手探りのような感じで徐々に売れていくといったものでした。しかし、それが最終的には大ヒットとなり、そのためこの「II」(以下「2」と表記)では、最初から「あのドラクエの続編」ということで期待が高く、発売当初から爆発的な人気を獲得しました。ドラクエで行列が出来たのもこれが最初です。もっとも、この後に出た「3」がこれ以上の超大ヒットを記録してしまい、行列の規模も桁違いだったために、「2」の方の行列はあまり目立たなくなってしまいましたが・・・。


・ドラクエシリーズの基本システムが完成。
 さて、このドラクエ2は、シリーズで初めてパーティー制を採用したことが大きな特徴です。1の主人公の子孫の3人の王子・王女という設定で、1人目の王子は剣攻撃(直接攻撃)が得意で、2人目の王子は剣と魔法の両方をバランスよくこなし、そして3人目の王女は魔法が得意と、それぞれに分かりやすい個性と役割分担が設定されています。
 そして、1作目に見られたぎこちないシステムが大幅に改良されました。「はなす」や「しらべる」等のコマンドが使いやすくなったり、武器・防具の「そうび」コマンドが追加されたりといった改良がなされ、ひとつのゲームシステムとして完成された感があります。パーティー制の採用も併せて、以後に発売されるドラクエシリーズの基本的なシステムが、この「2」で完成されたと見てよいでしょう。
 そして、このようなシステムの完成、及びパーティー制の採用による戦略性の向上が、ゲームの面白さにストレートに結びつき、ドラクエ2は1作目をさらに超える大きな人気を獲得しました。


・時間を置いてから再評価されたゲーム。
 さて、このようにドラクエシリーズの2作目として大きな人気を獲得した「2」ですが、このわずか1年後に続編の「3」が発売され、しかもこれが「2」をもはるかに凌ぐ空前の大ヒットを記録してしまい、この「3」の面白さがあまりにもずば抜けていたために、一時的に「2」の存在が薄くなってしまった感がありました。「3」は、「2」のパーティー制に加えて自由度の高い職業選択のシステムを採用し、パーティーの人数も3人から4人になり、初心者でも気軽に楽しめるバランスとなり(「3」でははるかにレベルが上がりやすくなった)、ゲームのボリュームも大幅に増大と、あらゆる点で大きなパワーアップが施されていたため、前作の「1」「2」があまりにも小さいものに感じられたのです。
 それでも、「1」の方は、記念すべき第一作として確固とした地位を獲得しており、主人公の一人旅や大きく異なるコマンドシステム等、「3」とは違うゲームとして評価されていたのに対し、「2」の方は、「3」と比べて似たようなパーティーシステムでありながらキャラクターは完全固定、職業選択の楽しみもなくしかも3人パーティー、それ以外のシステムでも「3」と大きな違いはなく、一旦「3」に触れたプレイヤーとしては、これといった魅力には乏しく見えたのです。
 (それに加えて、「2」は「1」「3」に比べて音楽がぱっとしなかったのも一時的な評価の低さの原因かもしれません。「1」の音楽がフィールドや城、街、戦闘等で大きなインパクトを残し、「3」でも城や街、ほこら、空を飛ぶシーン等、全般的に非常に高い評価を得たのに対し、「2」の音楽は他シリーズに比べると今ひとつの印象があります。)

 しかし、「2」はこれでは終わりませんでした。確かに一時的には「3」の圧倒的な人気の影に隠れてしまった「2」ですが、意外にも時間が経つにつれて再評価されてくるのです。この機運は、「3」以降ドラクエがシリーズを重ねるごとにさらに高まり、「実はドラクエは2が一番面白かった」と言う声が、ゲームマニアを中心に広く聞かれるようになるのです。


・再評価の理由は何か。
 それにしても、なぜ「2」は時間を置くに連れて評価が高まっていったのでしょうか? この「2」が改めて評価されていったその理由は一体何なのか?
 これには、人によって様々な理由があるとは思いますが、その中でもひとつ、実にたくさんのプレイヤーが指摘する非常に大きな要素があります。それはずばり、

 「圧倒的な難易度の高さ」

です。
 実は、この「2」は、他のすべてのドラクエシリーズの中でも圧倒的に難度が高く、クリアするまでに誰もが非常に苦労したゲームでした。しかし、「2」の発売当時には、まだドラクエというシリーズが始まったばかりで、つまり他に比べるようなシリーズのゲームがなかったため、誰もがこれの難易度が高いなどとは夢にも思わず、「これはこういうゲームなんだ」と何の疑問もなくプレイしていたのです。
 しかし、ドラクエがシリーズを重ねるにつれ、「実は『2』の難易度だけが異常に高かった」ことが次第に明るみに出てきます。特に、「3」以降に発売された「4」「5」の難易度が非常に低く、コアなゲーマー層を中心に多くのプレイヤーが物足りなさを感じるようになり、そこで改めて「2」の難易度の高さが指摘されていったのです。そして、それが「ドラクエ2」というゲームの再評価に直接つながっていき、「難しいけど実は『2』が一番面白い」「難易度が高い分、ゲーム性も非常に高い」といった再評価の声がどんどん高まっていったのです。


・一体、何が難しいのか?
 では、ドラクエ2はなぜそこまで難しいのでしょうか。そもそも、「2」は、ドラクエシリーズでも初期の作品であり、そのシステムは比較的シンプルなものです。後期の作品のように職業やスキルを使い分ける必要はありませんし、モンスターを仲間にする必要もない。キャラクターの性能、及びパーティーの編成は完全に固定であり、覚えるべき知識の量は少ないと言えます。武器や防具、敵モンスター等の種類もずっと少なく、この点でも覚える知識は少ない。それなのに、なぜこれほどまでに難しいと言われているのか?


・あまりにも厳しい戦闘。
 まず、最大の理由としては、やはり戦闘の厳しさでしょう。とにかくあまりにも敵が強く、全滅する可能性が非常に高いバランスになっていることが挙げられます。「一度街を出れば、果たして無事に帰ってこられるかどうか分からない」と言うほどの厳しい敵との戦闘が、このゲーム最大の難関とも言えるのです。
 とにかく、全体的にギリギリの闘いを強いられるというか、主人公の側が必ずしも強いとは言えず、敵側の方がむしろ凶悪な場合が多い。具体的には、以下のような非常に厳しい点が数多く見られます。


(1)明らかにレベル不相応の敵が存在する。
 まず、多くの場所において、周りのモンスターより明らかに強いモンスターが存在することが挙げられます。つまり、主人公たちが普通にレベルを上げただけでは、明らかに苦戦する敵がどこにでも出てくるのです。
 まず、序盤の敵としては、最初のダンジョン(「勇者の泉」だっけ)に登場する「キングコブラ」が挙げられます。明らかに攻撃力が頭ひとつ抜けており、しかも毒まで持っていたりします。最初のフィールドに出てくる敵では、「ぐんたいアリ」も嫌な相手です。攻撃力が高めで、しかも次々と仲間を呼びます。
 2人目の王子を仲間にして、最初の大陸を出て次の大陸に渡った後で、今度は「マンドリル」という強敵が登場します。このマンドリル、次の大陸の最初の街(「ムーンペタ」)への道のりで出現するのですが、あまりにも異様なまでに攻撃力が高いために、ムーンペタの街を目前にしてマンドリルに殴り殺されるプレイヤーが続出しました。
 広い大陸を抜けて海を渡り、「1」の舞台であるアレフガルドに渡るころは、「しにがみ」が結構な強敵です。2回攻撃と痛恨の一撃。攻撃力が強い敵は他にもいますが、「しにがみ」の場合一度に大勢出現するのと、呪文が少々効きにくい点で難敵です。
 アレフガルドを過ぎればいよいよ中盤の難関ダンジョンである「大灯台」ですが、ここには「ドラゴンフライ」なる難敵が存在します。これについては、次の項目でその極悪ぶりを徹底的に解説していきましょう。

 このように、そもそもドラクエ2では、強いモンスターが意図的に配置してある感があります。決してバランス調整に失敗しているわけではなく、あくまで意図的にレベル不相応に強い敵が配置されているのです。最近のRPGとはバランスに対する考え方が異なることが分かります。

 なお、これらの「強すぎる」モンスターは、その多くがSFCで出たリメイク版では弱体化されています。キングコブラの毒攻撃の確率が下がっているし、マンドリルの攻撃力は大きく下がっているし、しにがみにも攻撃呪文が効くし。SFC版は序盤からかなり楽です。

(注)
 そうそう、このドラクエ2は、元々はファミコン(FC)のゲームですが、のちにスーパーファミコン(SFC)で「1」とカップリングでリメイクされて発売されました。このSFC版の「2」は、オリジナルのFC版よりも大幅に難度が下がっており、大きく印象が変わっています。このSFC版の「2」は全体的には優れたリメイクだと思いますが、およそこの難易度、ゲームバランスについてはまるで「別物」と言ってよいでしょう。以下の点においてもFC版とSFC版の違いを随時付記していきます。


(2)先制攻撃で即全滅。
 ドラクエ2というゲームは、主人公たちがあまり強くありません。特に、最大HPがかなり少ない。「3」以降のドラクエでは、中盤以降ではすぐに最大HPが三桁に到達しますが、「2」ではそこまでHPが高くなりません(レベル20でも最大HPが100に達しない)。最大HPが三桁に到達するのは終盤になってからです。
 つまり、「2」の主人公たちは、敵の攻撃に打たれ弱く、死にやすい構造になっていると言えます。そのため、「自分たちがダメージを受けて死ぬ前に、敵にダメージを与えて倒す」というHPレース、ダメージレースが常に要求されるのです。「敵の攻撃に耐えつつ反撃」という方法が通用しない。そして、その上で敵に先制攻撃まで受けるとなると、主人公たちのHPが一気に苦境に陥り、そのまま全滅するケースすら十分有り得ます。その中でも、攻撃回数の多い2回攻撃、そしてなんといっても呪文やブレスなどの全体攻撃が非常に恐ろしい。
 先ほど例に挙げた大灯台のドラゴンフライちゃんですが、こいつは炎を吐きまくる上に一度に最大で5体も出現します。で、こいつらに先制攻撃で一斉に炎を吐かれると、普通のレベルではまず確実に全滅します。「先制攻撃で即全滅」というケースが、ドラクエ2では当然のように存在するのです。
 ドラゴンフライも怖いですが、本家であるドラゴンはもっと怖い。ドラゴンフライはまだ呪文で一掃できますが、ドラゴンには呪文があまり効かない上に(これについては後述します)、HPも攻撃力も高く、相当にレベルの高いパーティーでさえ、ドラゴン4体に先制攻撃を受ければ全滅の可能性が高い。

 つまり、ドラクエ2では、戦闘における自パーティーの耐久力がかなり低く、常にダメージレースを要求され、その上で先制攻撃まで受けるとなると、それは常に致命傷足りえるのです。そして、どんなにプレイヤーが気をつけても先制攻撃の可能性までは防げません。となると、ドラクエ2では、「いくらプレイヤーが頑張っても、戦闘で死ぬ可能性が常に存在する」ということになります。そして、これこそが「一度街を出れば、果たして無事に帰ってこられるかどうか分からない」という最大の理由であるのです。

 ちなみに、SFC版では、このような全体攻撃に代表される、致死性の高い攻撃の確率が下がっているようです。ドラゴンフライもドラゴンも炎を吐く確率が下がっているようですし、2回攻撃の確率が下がっているモンスターも多い。結果、SFC版では「いきなり全滅」の可能性が大きく下がり、戦闘にかかる緊張感が激減し、気軽にプレイできる感覚がかなり強くなりました。


(3)目的地までの道のりが長い。
 ドラクエ2では、次の目的地である街や村が遠くに配置してあるケースが多く、ダンジョンも人里離れたところに存在するケースがこれまた多い。となると、常にHPやMPを温存して目的地に達する、「耐久戦」の概念が要求されます。敵がいくら強くても、肝心の目的地が近ければ何度でも再挑戦出来るのですが、ドラクエ2ではそうもいかない。先ほど「ムーンペタの街を前にしてマンドリルに撲殺される」などと書きましたが、これは決して偶然の結果ではなく、最初から目的地に達することが困難なように、意図的にそういうバランスが取られているのです。

 個人的に一番きつかったのが、ゲーム後半に行くことになる「海底洞窟」というダンジョン。ここでは「ふしぎなおどり」というこちらのMPを吸い取る技を使うモンスターが大量に出現します。ドラクエ2では、この「ふしぎなおどり」の吸い取り量が尋常ではなく、こちらのMPが120程度でも30以上吸い取りやがります(最大MPの4分の1以上吸い取るらしい)。これでは、3回も踊られればもうMPはほとんど残っておらず、回復魔法が全く使えなくなりにっちもさっちも行かなくなってしまいました。では、「一体どうやって攻略したのか」という話ですが・・・これはですね、「力の盾」という防具があって、これを道具として使うと自分にべホイミの効果があるんです。で、これをわざわざ3人分揃えて、戦闘のたびにひたすら回復し続けてようやくクリアという、訳の分からないほどのひどい苦労をさせられました。

 ちなみに、リメイクのSFC版では、ふしぎなおどりは「3」以降の仕様となっており、せいぜい10ポイント足らずしかMPを吸い取られませんので、こんな苦労はしません。


(4)レベルが中々上がらない、レベルが上がっても強くならない。
 このように、ドラクエ2では非常に敵が強いわけですが、それでもRPGである以上、レベルさえ上げればずっと楽に闘えるようになるはずです。ところが、ドラクエ2ではこの肝心のレベルが全然上がりません。
 序盤のうちはまだいいんですが、中盤以降、レベルの上がり方が非常に緩慢になり、レベルを上げること自体が難しくなります。これが終盤ともなると、レベルをひとつ上げるのに数時間単位の時間を要するため、プレイに相当な忍耐力が要求されます。

 それだけではありません。そこまで苦労してレベルを上げても、ドラクエ2では主人公たちが中々強くなってくれません。例えば、中盤においては、1人目の王子の最大HPの伸びが頭打ちになる時期があり、そのために戦闘において無理が効かなくなり、強い忍耐を強いられます。終盤になってようやく大きくHPが伸びるようになりますが、その時期になると、今度は2人目の王子の成長が鈍ってきて、これがまた大きな問題になってきます。事実、終盤における2人目の王子の弱さは極めて深刻であり、いかにそれをプレイでカバーするかがドラクエ2の大きなポイントと言えます。

 つまり、ドラクエ2では、主人公たちのレベルが上がりにくいばかりか、たとえレベルを上げても思ったほどには強くならず、相変わらず苦しい闘いを強いられるのです。

 ちなみに、SFC版では、敵からもらえる経験値が全体的に底上げされ、さらには全体的にモンスターが弱体化されていることもあって、FC版ほどにはレベル上げも戦闘も苦労しないようです。


(5)そもそも主人公たちが強くない。
 いや、レベルだけではありません。そもそも、ドラクエ2では、主人公たちの戦闘能力自体、あまり強くありません。

 まず、装備品がひどく限定されているのがつらい。1人目の王子だけはかなり強い武器・防具を装備できますが、2人目・3人目にはあまり強い装備がありません。ここでも2人目の王子の扱いが深刻で、直接攻撃も魔法攻撃もこなせるという設定でありながら、中盤以降で強い武器を一切装備できないため、実際の直接攻撃力は大きく劣り、終盤ではまるで役立たなくなります。大体、装備できる最強の武器が「てつのやり」という時点で終わっています。

 では、呪文攻撃はどうなのか。こちらも、強い呪文があまり見られず、特に攻撃呪文の弱さが最大の問題です。「3」以降のドラクエでは、終盤になるとベギラゴンやマヒャド、イオナズンなどの強力全体呪文をガンガン使えるようになりますが、「2」においては、そこまで強い呪文は少なく、せいぜい3人目の王女の使う「イオナズン」が終盤でも通用する程度で、それ以外に強力なダメージ呪文がない。特に、2人目の王子の使う「ベギラマ」の非力さが深刻で、せいぜい20ポイント前後、「バギ」と同程度のダメージしか与えられません。これでは中盤まではまだ使えても、終盤になると非力すぎて到底使えなくなります。
 そして、一度に敵を一掃できる攻撃呪文に劣るとなると、結局のところ1人目の王子の直接攻撃に頼らざるを得ず、ある程度ダメージ覚悟で闘わないといけない。あるいは「ラリホー」や「マホトーン」などの補助呪文を有効に使うか。しかし、これも終盤になると全然使えなくなるのですが・・・。

 なお、SFC版では、武器や防具のパラメータが強化され、2人目の王子も「光の剣」のような強力な武器を装備できるようになり、さらには「ベギラマ」の威力が上がって40ポイント近いダメージを与えられるなど、全体的に能力が大きく強化されており、この点でも戦闘が大きく楽になっています。


(6)終盤の敵に呪文が効かない。
 これが最大の問題です。これこそが、ドラクエ2の戦闘が難しい最大の理由だと思われます。

 ドラクエ2では序盤〜中盤の間こそ呪文攻撃が有効ですが、終盤になると呪文がまるで効かなくなります。モンスターの呪文耐久力が軒並み上昇し、どんな呪文も有効でなくなってしまいます。補助呪文である「ラリホー」や「マホトーン」はまるで効かなくなり、即死呪文である「ザラキ」も効かず、肝心の攻撃呪文でさえ効かなくなってきます。といっても、終盤において使える攻撃呪文はせいぜい「イオナズン」しかありませんが・・・これですらあまり有効では無くなってくる。
 そして、こうなってくると、有効な攻撃は1人目の王子の直接攻撃のみとなり、2人目・3人目がモンスターを倒す戦力として期待できなくなります。結果、毎回のごとく戦闘が1人目の王子の直接攻撃頼みとなり、常にきわどい闘いを要求されてしまうのです。

 それでも、イオナズンがそこそこ有効に使える3人目の王女はまだよい。問題なのはここでもやはり2人目の王子で(笑)、直接攻撃は弱いし呪文攻撃は使えないしでとにかく使えない。この苦しい終盤の戦闘をいかに乗り切るかが、ドラクエ2攻略の最大の鍵といっても過言ではないでしょう。

 ちなみに、SFC版では、モンスターの呪文の耐久力が大幅に弱体化し、一気に終盤の戦闘が楽になりました。FC版で、炎を吐きまくる上に呪文がまるで効かない最大の強敵であるドラゴンが、SFC版ではイオナズンはおろか、ザラキやラリホーまでが効きまくるようになってしまい、一気にザコと化してしまいました。それ以外の敵も、軒並み攻撃呪文に対する抵抗力が激減しており、圧倒的に中盤以降の戦闘が楽になってしまった感があります。事実、これこそが、SFC版が簡単になった最大の理由だと思われます。


・戦闘以外の謎解きも難しい。
 そして、ドラクエ2では、戦闘以外の謎解きもやはり難しい。そもそもヒントが少なめで、次の目的地が明確に示されない場合が多く、時にはノーヒントのこともあります。つまり、ヒントや情報に従うだけではなく、自分で世界を探索して目的地を見つけ出す必要があるのです。ダンジョンの攻略も難しく、特にラスト前の大ダンジョンである「ロンダルキアへの洞窟」が最大の難関です。ドラゴンを筆頭に出現モンスターが凶悪な上に、様々な仕掛けが大量に存在する大ダンジョンは、多くのプレイヤーを苦しめました。
 個人的には、最後のダンジョン(「ハーゴンの神殿」)で、2階に上がる方法が完全にノーヒントなのが最も厳しいと思います。あるアイテムをある場所で使うんですが、これが完全にノーヒント。しかも、そのアイテムは過去に一度使ったものであり、下手をすればもう捨ててしまった可能性が高い。これは厳しすぎます。もっとも、当時のRPGでは、このようなプレイヤーを突き放した謎解きは決して珍しくありませんでしたが・・・。

 しかし、それ以上の多くのプレイヤーが難しい謎解きとして印象に残っているのは、おそらく囚人である「ラゴス」の発見イベントではないでしょうか。これは、ドラクエ1でも見られた定番のギミックで、その仕掛け自体は特に難しくはないと思うのですが、それでも多くのプレイヤーが苦労したのは「私はラゴスという盗人を牢獄に入れておいた。しかしラゴスは逃げ出してしまったのだ!」という兵士のセリフにあるのではないでしょうか。このセリフを真に受けてしまうと、「もうラゴスは牢獄からは逃げ出してしまい、どこか別の場所に行ってしまった」と考えてしまいます。まさか牢獄の隅にそのまま隠れているとは誰も考えない。つまり、この兵士のセリフは、推理小説でいうところのミスディレクションであり、そのために必要以上に多くのプレイヤーが苦しんだのだと思われます。


・当時としては珍しい難易度ではないが、ドラクエシリーズでは異例。
 実は、ドラクエ2がリリースされた80年代は、PCのRPGが難易度の高騰を極めた時期であり、これ以上に難易度が高く、プレイヤーを完全に突き放したようなRPGは決して珍しくありませんでした(例:ザ・ブラックオニキス)。そういったRPGに比べれば、ドラクエ2はまだ簡単な部類に入るとも言えます。
 しかし、およそ「ファミコン初のRPG」として銘打たれ、初心者向けの要素も強かったドラクエシリーズの難易度としては、やはり異例でしょう。事実、このわずか1年後に発売された「ドラクエ3」では、ゆるやかなバランスと適切なヒントで万人向けに作られており、これが空前の大ヒットを飛ばしました。
 リメイクされたSFC版の「2」も、マニアの間では「簡単すぎて面白くない」と評価されがちですが、実際にはあれはあれで適切な難易度ではないかとも思えます。仮に、リメイク版の簡単になったバージョンが、最初にFCで発売されていたとしても、それはそれでヒットしたのではないでしょうか。

 しかし、このドラクエシリーズとしては異例の難易度こそが、プレイヤーたちに大きな衝撃を与え、深く心に刻みついて離れない鮮烈な印象を残したことも事実です。そして、これこそが、「ドラゴンクエストII」が時代を追うごとに再評価され、今でも「名作」として語り継がれる最大の理由なのでしょう。


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