<ドラゴンクエスト7>

2001・10・19

 いや、実に楽しかったです。というか、久々にまともなRPGをプレイできたような気がします(笑)。このゲームは5年ぶりに出たドラクエシリーズの新作で、ある意味過去の遺物のようなところがあるのですが、そのために今のRPGに見られなくなったゲーム性がまだまだ残っているのがよかった。PS以降のRPGに対して疑問を抱いていたわたしにとってはほんと、久々に当たり前のことが当たり前にできているこのRPGの存在は有難かった。逆にこのゲームが一昔まえに出ていたらここまではまらなかったかもしれません。
 ゲームの内容自体は、ずばりドラクエです(笑)。というか、それ以上説明のしようがありません。問題はですね、その「ドラクエ」が持っていたゲーム性が今のRPGにはもう見られなくなっていること。いや、実際にはドラクエ以外にもそういったゲーム性をもつRPGが昔は多かったのですが、今ではそのようなRPGがなくなってしまった。だから、そういったゲーム性を厳然として備えていたドラクエ7に非常な面白さを感じてしまったのです。
 では、その今では見られなくなったゲーム性とは一体何なのか。これを今から説明していきます。

(1)「戦闘ゲーム」ではない。
 まずこれが何と言っても大きい。とにかく戦闘以外の謎解きや会話に重点が置かれていて、戦闘が必ずしもゲームの中心でないところがよかった。
 いいですか、RPGというのは「戦闘ゲーム」ではありません。まあ、最初から戦闘がストーリーの中心ならそれでもいいでしょうが、ドラクエのように「冒険」をテーマに扱っているのなら、冒険の一要素に過ぎない戦闘にゲーム性が片寄ることは好ましくありません。そしてこの辺りがドラクエ7はよく出来ていました。とにかく戦闘以外でもゲーム全体でとことん楽しめます。石版集めに代表される様々な謎解きや人々とのヴァリエーションあふれる会話、3Dマップを駆使した町や城の探索や一見システムとは無関係に見える仲間との会話など、ゲーム全体に面白さが散りばめられていて決して「戦闘ゲーム」にはなっていません。
  とくにゲーム開始から2・3時間ほど全く戦闘が発生しないのが実によかった。とりあえず戦闘に煩わされることなくこの世界に入り込めます。それと・・・(多少ネタバレになりますが)2つある世界のうち1つではフィールド上で敵にエンカウントしないのがこのゲームの方向性を象徴していますね。あくまで戦闘は一要素であって2つの世界を巡る冒険こそがゲームのメインテーマであることを強く感じました。

(2)高い難易度
 まず気づくのが戦闘のバランスのシビアさですね。相当シビアなバランスに設定されています。また、とにかくレベルが上がりにくく、お金がたまりにくいと言う点も合わせてかなりの難易度です。というかこれくらいの難易度がむしろ当たり前だと思いますが。
 いや、やっぱり今のRPGのバランスがぬるすぎるんですよ。だいたい適当に先に進むだけでそのままクリアできるゲームってなんなんですかね。適当にプレイするだけでレベルがあがってお金もたまる。ほとんどゲームになってないのでは?

(3)ストーリーの方向性
 ストーリー自体も面白かったんですが、それ以上にゲームであることを意識したストーリー作りがよかったです。とにかくせかされないストーリーがよかった。まったく今のRPGはジェットコースターみたいなストーリーでレベル上げのヒマさえありゃしないよ(笑)。その点このゲームは主人公が自分から能動的に人々を救いに行くタイプのストーリーで、自分のペースでゲームを進められるのがよい。さらに自分から能動的に冒険を進めていると思わせることで、一本道でありながらやらされているという感覚をあまり受けさせません。
 ひとつひとつのエピソードが独立してそれぞれが完結しているというのも個人的にはよかった。また、一旦終了したと思わせたエピソードが後になって他のエピソードに絡んでくるというギミックも面白く、単純なエピソードの集合体に見えて実際には多層的な作りになっています。
 あとは・・・プレイ時間が長いのも高評価です。まあ自分としてはこれでももの足りないくらいで、できれば300時間くらいプレイしたかったんですが(笑)。

(4)ゲームクリアを前提とした育成システム
 このドラクエ7では前作から引き継いだ転職システムがメインのキャラクター育成となっており、この転職システムの方向性がちょっと今のゲームと違う。
 この転職システム、徹底的にやりこむこともできるんですが、基本的にはゲームクリアのための補助手段といえます。シビアなバランスを乗り越えるために、いろいろと転職で得られる呪文やスキルを試しつつ先に進むのが基本となるプレイスタイルで、最初から徹底的なやりこみを要求されないのがよい。
 どうも今のRPGはクリアより前にやりこみを前提とした戦闘システムばかりのような気がするので、これはかえって新鮮でした。

 ・・・とまあこんな感じです。いずれもRPGとしてはごく普通のことばかりなのですが、しかしどれも最近のRPGには見られなくなっていることなのです。
 この中でもとくに「戦闘ゲームではなかった」ということが実に印象に残りました。いや、だめなんですよ。戦闘しかやることがないRPGって。戦闘戦闘戦闘戦闘戦闘って感じで。戦闘以外ではストーリーを進めてイベントシーンをぼーっと眺めるだけ。戦闘さえやりこめるシステムを作ればそれでいいとでもいうのか。現代RPG批判(2)とか(5)とかで散々文句を言いましたが、とにかく戦闘しかやることがないという今のRPGのデザイン方針はまともではない。いや、ほんとドラクエ7で久々にまともなRPGにありつけましたよ。

・世間の評価とのギャップ
 というわけでわたしとしてはこの「ドラクエ7」を多いに楽しんだのですが(二回クリアしましたよ、忙しい中で。)、ところがネットなんかを回ってみるとですね、わたしとは割と正反対の評価が目立つのですよ。しかもただドラクエ7というゲームが批判されるのはまだいいんですが、上でわたしが「ここがよかった」と挙げた点がことごとく反発されるのはどうにも納得いかない。ひとつずつ挙げていきますとね・・・

(1)「戦闘ゲーム」云々について。
 まずゲームを始めて2・3時間戦闘がないことについての批判があまりにも多かった。これがまず最大の謎。なぜそれが批判されなければならないのか? 今のRPGプレイヤーはそんなに戦闘に飢えているんでしょうか。
 ふたつある世界のひとつでほとんど戦闘が発生しないことに対する批判も見かけました。「敵を倒しながら町に到達する気持ちよさがない」とのこと。今のプレイヤーは戦闘でしかカタルシスを得られないのか。
 「仲間との会話システムが無意味だ」という批判も根は同じような気がします。戦闘に関係のないシステムには意味がない?
 とにかく皆さん戦闘さえできればそれで満足なんですか? サルのように戦闘できるゲームはいくらでもあるから皆さんそちらをプレイしてください。

(2)高い難易度
 これに関しても直接の批判が多かったのです。「ボスが強すぎてバランスが悪い」「クリアするまでに大変な時間が必要」「ストーリーをテンポよく楽しめない」等など。バランスが悪いって・・・わたしはこのバランスでもまだ易しいくらいだと思いますが、どうですかね。
 いや、それ以上に問題なのは、このような厳しいバランス設定を完全に否定しているかのように見えること。そもそもゲームというものは、クリアするまでにデザイナーの用意した難関があって、それをいかに乗り越えていくかを考えるのが本質のはず。ところが今のRPGプレイヤーの多くが、まずストーリーをテンポよく進めることを求めていて、それを阻害する高い難易度を望んでいないような気がします。ストーリーをスムーズに進めることがまず第一である、と。しかしもしそうならゲーム部分の役割は一体何なんでしょう。「考えて難関を乗り越えていく」というゲームの本質は?

(3)ストーリー
 これもよくわからない批判が多かった。「小さなエピソードの集まりで、ストーリーにつながりがないからつまらない」と。よく意味がわかりませんね。強引で連続的なストーリーに引っ張ってもらわないと自分の意思でゲームを進めることもできないのか?
 というか、これゲームでしょ。RPGでしょ。RPGっていうのはそもそも自分でクエストを求めていくものではないですか。このようなクエスト独立型のシナリオというのはある意味RPGの原点ではないでしょうか。それに、本当にストーリーにつながりがないかというとその点でも疑問です。一見して関係なさそうな各エピソードが微妙につながっているのを感じとれるのが面白いと思うのですが。

(4)育成(転職)システム
 これもなあ。「転職を極めるとどのキャラクターも同じになるからつまらない」・・・って。当たり前だっつーの。なんで極めるまでやりこまねばならないのか。
 わたしはゲームをプレイするときには、まず何よりもクリアを目指します。クリアを目指して最適な転職を行って各キャラクターに役割を分担させればそれぞれに個性がでると思いますが。というか、なぜいきなり転職を極めるという話が出てくるのか。どうも今のプレイヤーはクリア以上に戦闘でのやりこみばかりを意識しているように思えるのですが。

 と、いうわけでなぜこれらの点が批判されねばならないのかまったくわからないんですが、もうわたしのような古いタイプのゲーマーと今のプレイヤーでは根本からゲーム観が違うのでしょうか。だとすれば同じゲームでもまるで話が噛み合いませんね。

・別に完璧なゲームではないんですが
 さて、ここまで基本的にはこのゲームは楽しかった、という論調できましたが、別にドラクエ7は完璧なゲームではありません。確かにRPGとしてのデザイン方針が正しいベクトルに向かっていて非常にいいゲームなのですが、個々の部分ではまだまだ不満点があります。具体的には、次の二点がかなり不満です。

(1)基本的に一本道
 能動的なストーリーでごまかしてはいますが、基本的にフラグ立てで管理された一本道RPGであることは間違いありません。現代RPG批判(1)で書いたとおり、このようなスタイルはRPGとしてかなり疑問です。レベル上げ(というか熟練度上げ)が結構苦痛なんですよねー。自由度あってこその成長システムですからね。
 ただ、この難易度でさらに自由度を増したらついてこれないプレイヤーが大勢いるだろうことも容易に想像できます。この難易度でも批判が出るわけだから、これで自由度を増してさらに難しいゲームを作るとなるとそれは冒険を通り越して無謀か。メジャーなゲームというのもつらいものですね。

(2)RPGのお約束全開
 さきに現代RPG批判(4)を見ていただきたいのですが、ドラクエにはこのRPGのお約束が完全にあてはまってしまいます。これもゲームとして致命的な欠点で、そろそろ7作目にもなることだし改革すべき時期だと思いますが。もっともこういったお約束があっても「ドラクエだから」という理由でなんとなく許されてしまうあたりはいかにもドラクエらしいんですが。


 というわけで、確かに今のRPGに比べればはるかにいいゲームなんですが、しかし同時にRPGとしては不満なところもまだまだある、というのが正直な感想でした。
 まあ、そんな欠点を差し引いても素直に楽しめたことは確かなんで、だれにでもおすすめ・・・と言いたいんですがここまでわたしの意見と真っ向からぶつかる意見を目の当たりにすると素直には薦められないかな。しかしここまで批判が多いと今後このようなベクトルを持ったRPGが出てこなくなるかもしれませんね。それはまたひどく寂しいことですが。


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