<ドラゴンクエスト8>

2005・12・17

 結論から言えば、今回のドラクエはかなり面白いです。理由としては、今までのドラクエの面白さはほぼそのままで、8で追加された新しい要素もおおむね成功しているからでしょう。

 この「8」で製作者が売りとして打ち出した新要素は、大きく分けて次の3つだと思われます。

  1. 完全3Dとなったグラフィック
  2. 広大なフィールドマップ
  3. スキル・テンション・錬金釜等、システム面での追加要素
 まず、「1.完全3Dグラフィック」についてですが、これは実際にプレイしてみて、思った以上に感触が良かったという印象です。既存の3Dゲームと比べても、操作する上で快適性が高く、3Dゲームにありがちな不満は非常に少ないものでした(ないわけではないですが)。グラフィックの質もレベルが高く、美しい自然の風景を見事に創りだしています。夜の星空の美しさは必見と言えるでしょう。
 また、今回は3D化された鳥山明デザインのキャラクター&モンスターが素晴らしく、氏の魅力を存分に味わうことが出来ます。戦闘時のモンスターのコミカルな動きが楽しい。

 次に、「2.広大なフィールドマップ」。従来のドラクエの10倍以上はあるだろうフィールドを、自由にどこまでも行けるというのは実に爽快で、走り回るだけで楽しいものでした。あまりにも広すぎて、地図のない序盤では迷うこと必至ですが、迷いながらも少しずつ地形を把握して進んでいくのは、実際に探索の旅をしているようで大変面白い。
 ただ、欲を言えば物足りない点もありまして・・・もうちょっと主人公の足が速ければよかったとか、段差を飛び降りられればよかったとか、コンパスでなくミニマップを表示してほしかったとか、走るだけでなくもっといろんなアクションが出来ればよかったとか、行けども行けども草原と森と丘ばかりでもう少しいろいろな変化が欲しかったとか(クリアとは関係ない洞窟とか廃墟とかもっとあれば楽しかったと思う)、まあいろいろ注文はあるわけですが、それでもこれだけの広大なフィールドを走ることのできるRPGは他にはなく、やはり面白さは際立ちます。

 最後に、「3.システム面での追加要素」について。今回システム関連でいくつか追加された要素があります。この中にはいまいち機能していないものもありますが、全体的に見ればおおむね面白くできており、まず成功と見ていいでしょう。

 まず、スキルシステムですが、これは、各キャラクターごとに5系統用意されているスキル(特殊技術)のうち、どのスキルを伸ばせるかをプレイヤーが好きに決められるものです。このシステムの優れているのは、クリアまでに全部のスキルを伸ばしきることは不可能であること。これにより、「どのスキルを伸ばすか」というプレイヤーごとの個性が生まれてきます。

 次に、テンションシステムですが、これは戦闘中にターンを消費して「テンション」を溜めれば、次のターンの攻撃や呪文がパワーアップするというものです。過去のドラクエでも似たような効果を持つ特技はありましたが、それを新たにひとつのシステムに独立させたものです。
 しかし、これははっきりいって使いにくい、もしくはあまり使う必要のない感が否めず、成功しているとは言い切れません。何回かテンションを上げ続けないと優れた効果は得られませんし、加えてザコ戦では、とにかく戦闘を速く終わらせたいため、あえてテンションを上げて戦闘を長引かせようとは思いません。ではボス戦ではどうかと言うと、こちらはとにかくテンション上げを無効化するような行動を取るボスが多く、これまた使えません。今回のテンションシステムは、消費MPを節約できる賢い使い方も可能なのですが、それがまるでうまく活きていない印象です。

 最後に、錬金釜によるアイテム合成のシステムがあります。2つか3つのアイテムを合成して新しいアイテムを作り出すシステムで、既存のRPGでも似たようなシステムはよく見られますが、ドラクエ8のこれはその中でもかなり面白くできていました。というか、今回のドラクエでは、私的にこの錬金釜に一番はまりました。
 なにが面白いかというと、「レシピ」という形で合成方法のヒントが与えられることです。全くヒントがない状態で、あてずっぽうに、もしくはしらみつぶしに合成を繰り返しても何の面白さもありません。従来のRPGではそれが不満でした。しかし、このドラクエ8では、行く先々の本棚で「レシピ」という形で合成のヒントを得ることが出来るため、そのヒントを手がかりに正しい合成方法を「推理」する行為が楽しいものとなっています。
 ただ、レシピに載っていない合成に関しては、やはりなんらヒントのない状態である点は否めず、結局あてずっぽうorしらみつぶし、さもなければ攻略本か攻略サイトに頼らねばならない状態で、必ずしもいいとは言えません。できればもっとレシピを増やしてもよかったと思いますし、それとは違う形で何かもっとヒントがあってもよかったでしょう。


 以上のように、多少の欠点・改善点は見られるものの、おおむね今回の8で導入された新要素はよく出来ており、「8」での新しいコンセプトは見事成功したと見ていいでしょう。特に今回は演出面での成功が大きく、一旦この3Dグラフィックと広大なフィールドを体験してしまうと、もう従来のドラクエには戻れないほどの魅力があります。


・従来のドラクエの要素はどうか。
 このように、新要素がうまく機能しているドラクエ8ですが、では昔ながらの「ドラクエ」の部分での完成度はどうか。こちらは本当にドラクエらしいと言えばそれまでのゲームで、ほとんど過去のドラクエと同じゲームになっていますが、中には若干ニュアンスが異なる部分もあります。

 まず、レベル(経験値)についてですが、今回は比較的レベルが上がりにくいゲームとなっています、今までのドラクエでもクリアには地道なレベル上げは必須でしたが、今回のドラクエは今まで以上にレベル上げに苦労するでしょう。
 そして、それに加えて今回はお金が全然たまりません。戦闘で得られるお金の量が明らかに少なく、後半になっても大してその量が変わらないため、地道に戦闘をこなさない限り、武器防具を買うのに相当苦労します。そして今回は「錬金釜」のシステムがネックで、合成の材料にするために、不用意にアイテムを売れないため、ますますもってお金がたまりにくい(その反面、アイテム合成でうまくお金を稼ぐ方法もあるのですが・・・)。

 次に、戦闘についてですが、基本は今までのドラクエとほとんど変わりません。相変わらず直接攻撃と回復魔法が有効で、補助魔法が使いにくい点も変わらず。ボス戦は味方のダメージ管理さえ出来ればなんの問題もない。
 むしろ特筆すべきは戦闘のテンポに関してです。3Dの戦闘シーンでアクションが入るようになって、やはり過去のドラクエに比べれば戦闘にかなり時間がかかるようになっています。とはいえ、今のRPGの中では断然テンポがいいですし、戦闘のアクション自体は非常によく出来ているので、まずほとんどのプレイヤーの許容範囲でしょう。

 戦闘以外の謎解きですが、今回はとにかく謎解きの要素が非常に少なくなっています。ほとんど考えることがないくらいダンジョンの攻略は楽で、前作のような大量の仕掛け満載のダンジョンとは正反対です。ストーリー的にも完全一本道で、ヒントを求めてあちこちさまようこともほとんどない。今回は戦闘(とアイテム合成)以外で考えることがほとんどなかったですね。

 多くの人が期待するストーリーについてですが、今回はかなり単純かつ王道です。前作・前々作(6と7)では単発のエピソードの繰り返しが評判が悪かったためか、今回は連続性のあるストーリーになっていますが、その代わりに個々のエピソードにひねったものが少なくなっており、比較的単純明快なものがほとんどです(しかも後半に行くにつれて単純になる)。中には考えさせるものもありましたが、全体的には今回のストーリーは薄味の印象でした。

 すぎやまこういち氏の音楽ですが、今回はかなりいいと感じました。最近のゲーム音楽の中では、かなり強く印象に残る曲が多いのが好印象です。

 カジノやモンスター格闘場などのお遊び要素は、まあまあの出来でしょうか。カジノで新登場のルーレットはよく出来ていましたが、スロットとビンゴは面白くない。もうひとつかふたつ何か遊びが欲しかったところ。モンスターを集めて格闘場で闘わせるモンスターバトルロードは、まあそこそこ楽しいが、やっぱり自分で指示できないのは物足りないかな。モンスターを育成する要素もないし、「ドラクエモンスターズ」ほどの楽しさはないかも。


・「日本のRPG」の中では最高クラスのゲームか。
 と、このようにいろいろと書いてきましたが、やはり全体的には非常に面白いゲームで、最近の日本のRPGの中では最もはまりました。一気に100時間以上夢中でプレイできたのだから、これは今の日本のRPGを評価していないわたしとしては異例中の異例です。たまにはこのような一本道のゲームも面白いものだと感じました。

 とはいえ、自分の求めるRPGとはかけ離れているのも事実で、なんで相変わらず教会でしかセーブできないんだとか(常時セーブでないとプレイ時間を作るのに苦労する)、戦闘以外で考えることがまるでないとか、そもそも戦闘も簡単すぎるとか、アイテム持ち放題で耐久戦の要素がまるでないとか、なんで人の家に勝手に入ってツボを壊しまくるんだとか、その手の不満はいくらでもありますが、それを今のドラクエに(日本のRPGに)ぶつけるのはもう筋違いなのかも知れません。つまり、今の日本のRPGは、「日本のRPG」という範疇の中でゲームをデザインしているのであって、プレイする側もそれを素直に受け入れるしかないのでしょう。今の日本のRPGが純粋に好きな人には、もちろん文句なくすすめられる作品です。


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