<エアガイツ>

2001・9・23

 98年の1年を通してもっともやりこんだゲームです。とにかく「新しい」ゲームで、何もわからないゲームを手探りでやることが楽しいと感じるわたしには最高のゲームのひとつでした。
 ジャンルとしては3Dの対戦格闘ゲーム。というか、真の意味で3D格闘と呼べるのはこのゲームだけで、ほかのゲームはわたしに言わせれば「エセ3D格闘」です(笑)。
 とにかく平面上を自在に動けるようになるのが素晴らしい。他の3D格闘がとにかく相手と相対していなければならないのに対して、このゲームは自在にフィールド上を動けます。そしてその操作システムがあまりにも独特。

 そう、このゲームの操作系はあまりに独特です。ゲームが3Dだから独特なのではなく、この「エアガイツ」というゲームの操作自体があまりにも独特なのです。実際、このあとにリリースされる3Dのゲームはもっとシンプルな操作系を採用しています。
 何といってもこのゲーム、操作を理解していないとまともに歩くことも、ジャンプすることもできません。何とキャラクターを歩かせるためにレバーとボタンの組み合わせが、ジャンプさせるために2ボタンの同時押しが必要なのです。これはちょっとすごい。
 普通の対戦格闘ゲームなら、初心者でも歩くことやジャンプすることはできるはずです。歩きもジャンプもレバーをいれるだけですし、複雑なコマンドや連続技は無理でもこういった基本的な操作は難しくない。ところがこのエアガイツ、そういった基本操作自体がまず難しい。実際、一度段差の下に落ちてジャンプの方法がわからず、上に登れないでいるプレイヤーをよく見かけました。

・レバーとボタンを組み合わせた操作体系
 「歩くためにレバーとボタンを組み合わさなければならないなんて、なんと奇妙奇天烈なゲームだ」と思われるかもしれませんが、これにはちょっとしたカラクリがあります。このゲームで普通にレバーをいれるとキャラクターが「走り」ます。「歩く」のではなく「走る」のです。一応これでも移動にはなるんですが、この「走り」、慣性がついていて急に止まったり方向転換したりできません。つまり走ってばかりでは思うように移動できないわけです。そこで「歩き」の出番になるわけですが、その方法は「レバー入力とともにガードボタンを押しっぱなしにする」。つまり、ガードボタンを押しながらレバーをいれることで「歩く」ことは簡単にできるのです。
 もうちょっとわかりやすく言うと、この「ガードボタン」というのがプレイヤーの操作を切り替える、いわば「シフトボタン」の役割を果たしていて、このボタンのオン・オフで行動が切り替わるのです。
 つまり、

・レバー入力ON・ガードボタンOFF → 走る
・レバー入力ON・ガードボタンON  → 歩く

というわけです。
 ジャンプに関しても同じことがいえます。ジャンプは2ボタン同時押し、と書きましたが、具体的には「ガードボタン+必殺技ボタン」です。必殺技ボタンのみなら各キャラ固有の必殺技がでます。それをガードボタンを押しながら必殺技ボタンを押すことで、ジャンプという操作に「切り替わる」のです。
 すなわち、

・必殺技ボタンON・ガードボタンOFF → 必殺技
・必殺技ボタンON・ガードボタンON  → ジャンプ

となります。
 このガードボタン(=シフトボタン)のON・OFFによってキャラクターの操作が切り替わるというのがこのゲーム最大のポイントで、このことを理解しない限りまともにキャラクターを動かすことができません。逆に、一旦このことを理解しさえすればこのゲームは意外と簡単です。実際、ボタンひとつでキャラクターの操作が切り替わるというのは慣れれば非常に快適で、スムーズにキャラクターを動かせるようになった時にはかなりの快感があります。もっともここまで理解できたプレイヤーが非常に少なく、ほとんどの人がこのゲームの面白さを味わえぬままでやめていったのは非常に残念ですが。

・ひとつひとつの操作ができるようになるのが楽しい。
 ガードボタンのON・OFFによる操作の切り替えもそうなんですが、それ以外にもこのゲームは従来の格闘ゲームとは一線を画する操作系を持っており、最初のうちは思うようにキャラクターを動かすことができません。それを練習していくうちに、ひとつひとつ操作ができるようになっていくのが本当にうれしい。最初はまったく思うように動いてくれなかったキャラクターが、ひとつひとつの操作をマスターしていくうちに、最後には自由自在に動かせるようになる。この快感というのはちょっと他のゲームでは味わえません。

・インタラプト・投げ抜け・空中受け身
 それらの操作のなかでも特に快感度が高いのがこの三つ。また、快感なだけでなく、戦略上でもいい役割を果たしています。
 インタラプトというのは相手の攻撃を問答無用で中断して反撃するアクション。これはくらいポーズ中ですら出せるため、相手の連続技でさえ反撃できるというとんでもないものです。やり方はいたって簡単で、相手の技を受ける直前に必殺技ボタンを押すだけ。ただしボタン連打ではだめ。目押しで押さないといけないのがポイントで、相手の技のタイミングを覚えて一回だけタイミングよくボタンを押さないと成功しません。
 投げ抜けとは相手の投げをタイミングよく抜ける防御手段。投げのモーション中に「投げ抜けポイント」があり、ここで一回だけタイミングよくガードボタンを押すことで成功します。
 空中受け身とは、空中に浮かされてコンボをきめられそうな時にそれを回避する手段。相手の技を受ける直前にタイミングよくガードボタンを押すことで空中で受け身をとって体勢を立て直すことができます。

 これら三つに共通しているのは「タイミング」。タイミングよくボタンを一回だけ押してそれが成功するというのが非常に快感。また、これらの操作は他の格闘ゲームなら絶対回避できない状況をもエアガイツなら抜けられるという意味で非常に重要です。どんな危機的な状況でも回避を試みることができる、というのがよい。他のゲームなら一旦連続技や投げや空中コンボに入られたらあとは見てるだけですから。

・連携・連続技よりも、駆け引き重視
 最後に、このゲームのいいところはあまり連携・連続技が強くないことですね。連携技自体は結構各キャラともそろっているんですが、歩いて下がられるだけでほとんど無効化されてしまう。連続技にいたっては、基本的に「カウンターヒットしないと技がつながらない」システムになっているために理不尽な連続技というものがないです。このあたり、わたしが「格闘ゲーム・連続技不要論」で書いたことがあまりこのゲームにはあてはまらないのがうれしいところです。その分駆け引きの要素が大きく、画面全体を自由に走り回って相手を追い詰めていく攻防が楽しめるのがよい。

・なぜこのゲームは人気がでなかったのか。
 ここまで書いてきてなんなんですが、このゲームはアーケードではまったく人気が出ませんでした。まあ理由ははっきりしていて、とにかく操作がとっつきにくく、操作系を理解する前にやめてしまう人がほとんどでした。また、メーカーの方からも基本操作をもっと徹底的に教えるマニュアル等を作って、もっときちんとゲームを理解してもらうべきだった、という意見もあります。
 しかし、ちょっと待ってください。そもそもゲームというのは自分からやりこんでいって遊び方を見つけていくものでしょう。マニュアルを作ってもらって手取り足取り教えてもらわねばプレイできないというのはあまりに軟弱ではないでしょうか。それにこのゲーム自体とっつきにくいだけで内容は決して難しくない。CPU戦なんかこれ以上簡単なゲームはないというくらい簡単です。なぜこれがプレイできないのか。
 というかこのゲームがアーケードではやらなかったのを見て、この先ゲームセンターは本当にまずいと思いました。こういう新しいゲームの存在を、プレイヤーの方が拒否しているわけです。とっつきやすい、プレイしやすいゲームに安住してしまっている。これではもう新しいゲームがゲームセンターから出てくる余地はないかな、と。


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