<ファイアーエムブレム>

2001・10・1

 ファイアーエムブレム。この10年でもっともやりこんだゲームといってもいいでしょう。もっともわたしはファミコン時代にはまだゲーマーではなかったので最初にプレイしたのはSFCの「紋章の謎」です。以来、「聖戦の系譜」「トラキア776」とさも当たり前のようにプレイ。ここではこの3つの作品について取り上げます。

<ファイアーエムブレム 紋章の謎>

 最初にプレイしたのがこれ。発売は94年1月。ファミコンで出された第一作「暗黒竜と光の剣」のリメイクである第一部、第一部のストーリー上の続編で完全な新作である第二部のふたつのパートから成り立っています。システム的にはほぼ「暗黒竜」がベースのようですが、かなり改良が加えられ遊びやすくなっているようです。(わたしはやってないので詳しいことは知りませんが。)
 このゲームは、基本となるウォーシミュレーションのゲーム性にいわゆる「RPG要素」(経験値によるユニットの成長)を加えた「シミュレーションRPG」の先駆けです。わたしはこのような「シミュレーションRPG」をプレイするときには常に「これはシミュレーションなのか、それともRPGなのか」ということを考えてしまうのですが、このゲームは比較的シミュレーションに近いといえるでしょう。ある程度経験値稼ぎに制約があり、「普通にプレイする限りは」限りある敵ユニットから経験値を得るよりほかにないからです。得られる経験値が有限のリソースであるため、どのユニットにそれを与えて成長させるかという戦略性が出てきます。
 とはいえ、実際には増援部隊を倒しまくったり闘技場を利用して経験値を無限に稼いだりと抜け道が多く、本当に有限のリソースとはいえません。やはりこのあたりはRPG的で、好きなキャラクターをひたすら成長させる道は残されているわけです。ただ、このようにひたすらユニットを成長させる道を選んだ場合、自軍が強くなりすぎて本来難しいはずの後半のマップが簡単になってしまうという「逆転現象」が起きてしまいます。つまり後半に行くにつれバランスが崩壊してしまうのですね。これはエムブレムシリーズ共通の問題点といえます。
 わたしはこのようなプレイはあまり好きではないので、普通余計な経験値稼ぎは一切しないんですが、それでも第一部・第二部ともにさほど難しくはありませんでした。その意味ではちゃんとバランスがとれているのかなーと思います。つまり「普通にプレイしてもちゃんとクリアできるバランスだけど、キャラクターをひたすら成長させる遊び方もあるよ。」というデザインになっている。これがエムブレムシリーズの基本デザインでしょうか。

 もうひとつ、このエムブレムシリーズの特徴としては「リセットを前提とした作りになっている」という点があります。マップ攻略を開始した段階ではプレイヤーに完全な情報が与えられておらず、攻略中に突然とんでもない場所から増援部隊が出現したり予告もなしに突発的にイベントが起こったりする。これらの事態にはほとんどアドリブでは対応できないため、結局リセットしてマップの最初からやり直さざるを得ない。また、そうでなくてもとにかくダメージがシビアでユニットが死にやすい構造になっており、しかも失われたユニットが帰ってこないため、やはり「死んだらリセット」というパターンになってしまいやすい。
 これは普通のウォーシミュレーションの常識から考えると極めて異例の構造です。普通こういったゲームの場合刻々と変わりゆく戦況を判断し「臨機応変に」戦略を組み立てていくのが一般的ですから。この「リセットが前提のマップデザイン」は賛否両論ですが、わたし自身はこれはこれでひとつのゲームとして面白いかなーと思ったりもします。ひとつひとつマップの構造を覚えて、自分なりの攻略パターンを組み立てていく面白さがあります。「詰め将棋」といわれるゆえんですね。

 結局「紋章の謎」の紹介というよりは「エムブレム」シリーズ全体の考察になってしまいましたが、この「紋章」自体ももちろん楽しかったですよ。今考えると割とシンプルな構造で特に経験値稼ぎも必要としない難易度で、純粋に戦略部分に取り組めるのがよかった。あとはストーリーも秀逸で、第一部・第二部ともに非常に楽しめました。

<ファイアーエムブレム 聖戦の系譜>

 発売は96年5月。「暗黒竜」「紋章」とは舞台を一新したこの「聖戦」では単に世界設定やストーリーが異なるだけでなく、システムも大幅に変更しています。戦闘部分の戦略以外にやることが非常に多く、当面の戦闘以外にもやることがたくさんあります。
 その最たるものがユニットの恋愛要素でしょう。第一部で男女ユニットをくっつけて行動させると恋愛関係が生まれ、第二部では彼らを両親とした子供たちがユニットとして登場するというシステムです。つまり、当面の戦闘の勝利を目指すと同時に、恋愛要素も考慮してユニットを動かす必要があります。
 それだけではありません。このゲームではお金や武器はあくまで「個人の所有物」なのでユニット間の受け渡しができません。個々のユニットごとにお金や武器をやりくりしなければならない。これが結構大変で、村の解放(解放するとお金やアイテムが手に入る)をどのユニットにやらせるか吟味したり、唯一お金を渡すことができる盗賊を使ってお金を持ちまわらせたりと、いろいろ工夫しなければならない。
 さらにはこのゲームでは闘技場のシステムにも変更が加えられており、ここでも個々のユニットごとに闘技場の闘い方を考えねばならない。敵との戦闘以外で考えることが本当に多いんですね。
 そして肝心の戦略部分もかなり大変。個々の戦闘だけでなく、広くなったマップ全体で戦略を考えて、次の戦況を予測した上でユニットを動かさなければならない。マップが広くなった代わりに途中セーブができるようになったのはいいんですが。
 ただ、肝心の戦闘部分は簡単になっています。敵ユニットの行動パターンが単純で、いちいち戦略をたてる必要があまりないです。まあ、戦闘以外でこれだけ考えることがあり、なおかつ戦闘まで難しかったらさすがにきついでしょうが。

 とまあこんな感じでかなり新しい試みをしたシステムだったんですが、私自身がどうだったかというと・・・基本がファイアーエムブレムなんでまあまあ面白いんですが、やはりやることが多すぎて煩雑すぎて前作ほどには楽しめませんでした。肝心の戦闘部分の戦略が単調、というのもありますね。それに加えて今回はユニットの特技である「スキル」が強すぎて少々バランスが崩れているのが問題。あとは騎兵ユニットの再移動が強すぎましたね。再移動ユニットだけでクリアできるんじゃないかなあ。ストーリーや世界観はよかったんですが。

<ファイアーエムブレム トラキア776>

   発売は99年8月。ストーリー的には「聖戦」のサイドストーリーですがシステムは「紋章」のそれに戻っています。スキルや再移動など一部の要素が「聖戦」から取り入れられていますが基本的には「紋章」ベースのシステムといっていいでしょう。「聖戦」と違いあくまで個々の戦闘中心の構成で、かつ「聖戦」で強すぎた(と個人的に思う)騎兵の再移動も城内マップの追加によって騎兵が弱体化されて万能ではなくなり、各種スキルも「聖戦」時に比べれば圧倒的な強さは無くなりバランスがとれてきたように感じます。
 それに加えてこの「トラキア」で追加された「かつぐ」「とらえる」のふたつの新システムが秀逸。敵兵をとらえて武器を奪い取ったり、傷ついた味方をかついで運んだりと戦略性が一気に広がりました。
 しかし、この「トラキア」に関してはそういったシステム以上に、異常ともいえる難易度の高さが印象に残っています。もともと「リセットを前提としたマップ構成」が特徴的なエムブレムですが、このトラキアはその最たるものといえるでしょう。とんでもない場所から現れる増援部隊、突然のイベントによる戦況の一変、とんでもなくひねくれたマップデザインと、「まともにクリアさせる気あんのか?」というマップの連続。それだけでなく「疲労度」という形でユニットの出撃に制限があったり、基本的にお金が手に入らなくて敵から武器を奪っていかねばならなかったりと、あまりにもシステム上の制約が多く、クリアは至難を極めました。

 だが、このゲームはその難易度にも関わらず非常に楽しいゲームでした。何回もリセットを要求されるとはいえ、少しずつマップを覚えていくことはできるため、そうやって少しずつマップの攻略パターンを作っていく作業が苦しいと同時に楽しい。後半になるとひねくれたマップの連続で、もうほとんど意地になって狂ったようにプレイしてとうとう攻略本なしで全面クリアしましたが、終わってしまえば意外に簡単なゲームだった気さえします。


 さて、この「ファイアーエムブレム」シリーズの総論ですが、毎回少しずつゲーム性は違えど「やりこんで攻略するゲーム」であることをこれほど認識させてくれるゲームはあまりないでしょう。とくに最新作の「トラキア」が出た当時はこのようなゲームが少なくなっていたこともあって、まさに「攻略」という2文字がふさわしいこのゲームの存在は非常にうれしかった。
 それと、ここではあまり取り上げませんでしたがやはりエムブレムシリーズは世界観方面の作りこみも重要な要素です。実際、ストーリーとキャラクターが無ければこの苦しいゲームをやり続けるのはあまりにつらいでしょう。


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