<グラディウスIII>

2004・10・11

 かつては夢のまた夢だった「アーケードでの一周クリア」を先日ついに成し遂げましたので、記念してここにページを立ち上げます。

 このゲームは、名作として名高いシューティングゲーム「グラディウス」シリーズの第3作にして(「沙羅曼蛇」「ライフフォース」を入れれば第5作か)、シリーズの分岐点ともなる重要な作品です。
 このゲームは、今まで順調に発展してきたグラディウスシリーズの中では極めて評判が悪く、少なくとも「良作」という評価は得られていません。もちろん、中には評価する人もいくらでもいるわけですが、彼らも「あくまで条件付きでの評価」といった感じで、一方で「手放しで誰にでも薦められるゲーム」だと評価する人はいないのです。

 そして、このゲームが評価が悪い理由は、実は極めてはっきりしており、しかもそれがただ一点に絞られます。通常のゲームだと、複数の悪い点が重なって評価を落とす場合がほとんどですが、このゲームの場合そうではなく、評価が悪い理由はほとんど一点に絞られてしまいます。それは、異常なまでの高い難易度です。
 実は、この当時からシューティングゲームの難易度はかなり高かったんですが、「グラディウスIII」はその中でもさらに突出して難易度が高く、今までのグラディウスシリーズの経験者でさえ到底太刀打ちできないようなゲームであったため、ほとんどのプレイヤーが序盤でゲームをやめてしまい、あっという間に人気は落ちてしまったのです。


・一体、何が難しいのか?
 このように、とにかく「むずかしい」という印象ばかりが強い「グラディウスIII」ですが、では具体的に何が難しいのか。

 まず考えられるのが、このゲームが「覚えてパターンを作らないと絶対に抜けられない」タイプのゲームであることが挙げられます。いわゆる「パターンゲーム」と呼ばれる存在です。
 いままでのグラディウスシリーズも、ある程度はパターンゲームの要素が強かったのですが、それでもまだアドリブでプレイできる余地は十分残っていました。しかし、この「グラディウスIII」ではさらにゲームのパターン性が強まり、「どんなにシューティングのうまい人でも、パターンを作らない限り絶対に抜けられない」タイプのゲームになっています。

 で、それだけならまだいいんですが、さらにゲームを難しくしている点として、「基本的に、一機やられたらそれで終わり」という限りなくシビアな点があります。グラディウスはパワーアップシューティングの元祖的存在で、ゲーム中に出てくるカプセルを取って自機をパワーアップさせるゲームです。が、自機がゲーム途中で死ぬと、パワーアップはすべてなくなり、初期状態のままでゲームが再開します。
 ここで、初期状態の自機を、がんばって一から復活させるのがグラディウスの面白さのひとつではあるのですが、この「グラディウスIII」の場合、まともに復活できるような場所はほとんどなく、実質的に一回死ぬとほとんど復活は不可能です。つまり、このゲームは、一回ミスしたらその時点でゲームオーバーです。
 これは、「コンティニューを繰り返せば誰でも先へ進める」「時間をかけてレベルを上げれば誰でもクリアできる」「セーブポイントからやり直しができる」というタイプのゲームとはまるで異なるシビアさで、今ではもうほとんど見られないタイプのゲームと言えます。
 しかも、このゲームは、前述のようにパターンゲームの要素が非常に強く、何回も繰り返しプレイしてパターンを作っていくのが唯一の攻略法ですが、それで「一回死んだら終わり」となると、同じところを繰り返しプレイしてパターンを作ることが非常に難しく、攻略は至難を極めます。
 しかもしかも、このゲームはとにかくプレイ時間が長く、クリアまでに一時間はかかるシューティングの大作です。それで、何十分もかけてゲームを進めていって、「一回死んだらすべて終わり」という状況の中で、先の方のパターンをひとつひとつ作っていくというのは、ちょっともう並のプレイヤーでは不可能です。ちょっとした一回のミスで、それまでの何十分にわたるプレイが全部パーとなるというシビアさ。これが「グラディウスIII」の本質です。

 そして、最後の問題として、パターンゲームとか一回死んだら終わりとかいう以前に、そもそもゲームの難易度自体も非常に高いという点が大きい。大体一面からしてもう難しいし、二面はさらに難しく、しかも一面からノーミスでパワーアップしていないとクリアは非常に難しい。つまり、一面の最初からすでにノーミスでのプレイが要求されています。三面はまだ道中は簡単な方ですが、ボスが異様に凶悪で、なんとかここまで来れてもここで断念させられるケースがほとんどです。もう序盤のステージだけでほとんどのプレイヤーの手の負えない難易度です。実際にも、ほとんどのプレイヤーが先のステージを拝むことなく、序盤でやめていきました。


・ゲーム自体は面白いはずだが・・・。
 と、いうわけで、ほとんどのプレイヤーが「難しすぎる」という印象を抱いたまま、このゲームから離れていったわけです。しかし、今、わたしが最後までプレイした感想としては、確かに難しいものの、ゲーム自体の出来は決して悪くなく、むしろ非常に面白いというものでした。なにしろ、このゲームをやりこみすぎて腱鞘炎になりかけたくらいですから(笑)、そこまでハマらせるだけの面白さがあることは間違いありません。

 具体的には、やはりパターンゲームだけあって、やりこめばやりこむほど確実に先へ進めるという実感が大きいですね。きっちりとしたパターンを作れば作るほど、死ぬ要素は限りなく低くなる。最終的には死ぬことはほとんどなくなり、確実に先へ進めるようになる。このように、自分がうまくなったことの実感が大きい。
 しかも、このゲームの場合、シューティングのテクニックをほとんど必要とせず、どんなに下手な人でも覚えさえすれば確実に進める点が大きい。どういうことかというと、例えば今の弾幕系のシューティングの場合、うまい人のプレイ(超絶的な弾よけのテクニック)を後ろから見ても、「これは自分には真似できないな」と思ってしまうことが多い。しかし、「グラディウスIII」の場合、うまい人のプレイを見れば、それを真似て自分もクリアすることが十分に可能なのです。つまり、このゲームはシューティングの弾よけの技術などはほとんど必要がなく、パターンさえ把握できれば誰でも先に進めるのです。その意味では、このゲームは、実は「簡単」とも言えるわけで、どんなにシューティングが下手な人でも、パターンさえ忠実に辿っていけば誰でも確実にクリアできるのです。

 戦略的には、やはりオプションを使った攻略が深い点が面白い。オプションとはいわば自機の分身で、攻撃力を強化するパワーアップシステムですが、これが単なる攻撃力の強化に使えるだけでなく、「分身であるオプションは無敵」という特性を活かした戦略が可能な点が面白いわけです。オプションをうまく張って壁の向こうを攻撃したり、ボスの弱点にめりこませてボスを瞬殺したりといった戦略が、グラディウスの肝と言っても過言ではありません。
 しかし、今までのグラディウスでは、そこまで凝った戦略を使わなくてもクリアできるケースがほとんどでした。しかし、「グラディウスIII」ではそうは行かず、オプションで壁(障害物)の向こうを破壊しないとパターン化できないシーンが確実に存在します。このあたりの戦略性が、今までのシリーズと比べても極めて優れています。


・素晴らしいBGM。
 そして、何と言ってもこのゲームはBGMが素晴らしい。このBGMの美しさは、まさに珠玉の存在で、この当時のコナミの音楽の頂点と言えるでしょう。もっとも、このゲームの作られた89年のコナミは、ファミコンで「悪魔城伝説」という、これまた素晴らしいBGMのゲームを出していますので、これが本当に頂点かは筆者でも難しいところですが、まあ、何にせよこの当時のコナミミュージックのレベルの高さを大いに示した存在であることは言うまでもありません。

 もっとも、ほとんどの人がこのBGMを味わうことなく、ゲームを断念していったわけですが・・・。


・「III」以降の断絶の意味するもの。
 と、まあ個人的に面白さを力説したところで、一般的には大いに不評だったことは否めず、しかもこの「III」の当時から、グラディウスシリーズ自体がマンネリ気味だった点もあり、以降、グラディウスシリーズはアーケードではまったく出てこなくなります。関連作であるパロディウスシリーズ、そしてグラディウスシリーズのひとつである「沙羅曼蛇2」は登場してきますが、肝心の「III」の続編である「IV」は出てくる気配すらなく、ようやく登場したのがなんと99年。実に10年の断絶があります。
 いくら「III」が不評だからといって、ここまで全く続編が出ないことは通常考えにくいわけですが、これには大きな理由があるとわたしは考えています。

 90年代のゲームセンターでは、「ストII」のヒット以降、対戦格闘ゲームが主流となり、シューティングゲーム自体の勢力が衰えてきます。そして、それだけでなく、「グラディウスIII」のような、あまりにシビアなゲームがもうプレイヤーに受け入れられなくなった現実があると見ます。
 対戦格闘ゲームでは、一回のプレイ時間が短く、「グラディウスIII」のようにクリアまで一時間もかかるゲームなど考えられません。長くても20分〜30分程度でしょう。それに加えて、一回のステージ(というか、対戦)が短く、しかもプレイするたびにランダムに対戦相手が組まれるため、誰でも気軽にプレイできる要素が強い。「一回死んだらそれまでの長いプレイすべてがパー」という「グラディウスIII」のゲーム性とは大きく異なることは明らかでしょう。もちろん「一回死んだら(負けたら)終わり」という点では、対戦格闘ゲームも変わりません。しかし、対戦格闘ゲームはそもそもプレイ時間が短いし、しかも対戦相手がランダムなので、何回でも展開の異なるプレイを楽しめる点が大きい。つまり、特定の場所でハマることが少なく、何回でも気軽にプレイできるのです。

 そして、このような「気軽なゲーム性」に多くのプレイヤーが慣れてしまい、そのようなプレイヤーが大勢を占めるようになったゲームセンターで、もはや「グラディウスIII」のような、シビアなゲーム性が受け入れられる余地は無くなってしまったのではないか。「何十分も緊張を強いられるプレイを続けて、一回のミスですべてが終わり」というような厳しいゲームを、今時のプレイヤーがあえて取り組むとは思えない。そのような点を憂慮した結果、ついにはアーケードの定番シリーズであったグラディウスでさえも、長い断絶を余儀なくされたのだと考えています。

 ついでに言えば、グラディウス本編よりも復活が容易でとっつきやすい「パロディウス」、あるいは、その場復活の採用でミスしてもそのままプレイできる「沙羅曼蛇」の続編が、グラディウス本編の続編より先に登場したのも、このことと無関係ではないでしょう。


(余談)
 ところで、このゲームは、アーケードゲーム雑誌の「ゲーメスト」が製作に協力し、読者にアイデアを募集してゲームに採用するという企画を行なっていました。で、まあその企画自体はいいんですが、肝心のゲームの出来があまりにも不評だったために、「ゲーメストが関わったゲームは、大抵ろくなことにならない」という最初の事例になってしまったと記憶しております(笑)。


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