<グラディウスV>

2004・9・3

 今回のグラディウスは、あのトレジャーが製作するということで、一体どんなゲームが出てくるのか未知数だったのですが、いざ出てみればやはり素晴らしいゲームでした。
 ここ最近のグラディウスは、マンネリ化が進んでいて全く新鮮味がなく、決して面白いとは言えなかったのですが、この「V(5)」に関しては新しい要素が積極的に盛り込まれていて、さらには開発元のトレジャーらしい要素も数多く見受けられ、文句無く遊べるゲームになっていました。

 まず、何と言ってもオプションコントロールという新システムがよく出来ています。
 従来のグラディウスでも、オプションを使った戦略はグラディウス最大のオリジナリティでした。”オプション”とはいわば自機の分身で、攻撃力を二倍、三倍に強化させるシステムですが、実際には単なる攻撃力アップに使えるだけでなく、「分身であるオプションは無敵」という特性を活かした戦略が大変面白かったのです。オプションをうまく張って壁の向こうを攻撃したり、ボスの弱点にめり込ませてボスを瞬殺したりといった戦略が、グラディウスの肝といっても過言ではありません。
 今回は、そのオプションのタイプを4つから選べ、それぞれのタイプごとに独特のアクションが使えるということで、オプションを使った戦略が非常に楽しくなりました。しかも、この4つのタイプがそれぞれよく出来ていて、全く違う戦略、全く違うゲーム性を与えてくれたのが大きい。
 通例、こういった選択制の装備の場合、どれか特定の装備だけが強くて、それのみに人気が集中する、という現象が起こりがちなのですが、このゲームの場合4つのタイプそれぞれに長所があり、どれを使っても面白いというのが素晴らしい。このあたりの作りこみ、バランス調整は見事です。

 さらには、トレジャーらしいステージのギミックの数々が実に面白い。個々のステージのパズル的なギミックが実に斬新で、まさにアイデア大賞といったところです。特に、背後から迫る岩(隕石)の後ろに隠れてボスの攻撃をしのぐギミック(ステージ5)や、ステージ自体が回転する中で撹乱される液体を撃ってかわしていくギミック(ステージ6)、障害物を転がして行く手を遮る火柱をせきとめて道を作るギミック(ステージ7)などはどれも奇想天外で、よく思いついたものだと感心します。

 そして、単なる新要素、アイデアだけでなく、ゲーム自体のバランス調整も見事。特に、やられた時に一定の場所に戻され、パワーアップなしの状態からゲームを再開する「復活」の要素がよく出来ています。今までのグラディウスでも、「復活」のパターン作りは面白い要素でしたが、実際にはあまりにも難しいシーンが多く、「普通のプレイヤーではほとんど復活は無理」というシーンがあまりにも多かったのです。
 しかし今回は、確かに非常に難しいものの、「きっちりひとつひとつパターンを作っていけばなんとかなる」というシーンがほとんどで、納得感が強く、復活の面白さが誰でも味わえるようになりました。
 もっとも、このゲームの初期設定は、やられたシーンで復活する「その場復活」で、持っていたオプションもその場に残って回収できるため、この方が明らかに簡単ではあります(その場復活と固定復活では、難易度に大変な違いがあります)。しかし、一度はこの復活の面白さを体験するべきでしょう。ステージセレクトもあるし、アーケードと違って何回でもコンティニューできるし、気軽にパターン作りが楽しめます。

 さらには、今風のシューティングに合わせたような「遊びやすさ」があるのもポイント。自機の当たり判定が非常に小さく、フォースフィールド(バリア)の当たり判定も小さく、スピードアップの幅が小さくて慣れない初心者でも自機が制御しやすく、そもそもスピードアップしない状態(ゼロ速)でもかなり速く(これはその場復活に合わせたものだと思われます)、さらにはプレイ自体の爽快感が高い
 実は、この「爽快感が高い」というのはかなり重要で、今までのシリーズと比べて破壊の爽快感が強く、繰り返しの単調なプレイでもかなり楽しいというのが大きいです。従来のグラディウスは、何かにつけてストイックなプレイを要求されましたが、今回はプレイそのものが爽快で楽しいこともあって、過去のシリーズよりも中毒性が非常に高い。パターンに沿った繰り返しプレイや、復活のためのパターン作りが苦にならず、むしろ中毒性があって何回でもやってしまう。これは非常に大きい要素です。


 このように、基本的には非常に良く出来たゲームで、積極的に取り入れた新しいシステムや、ステージの斬新なギミックが実に面白く、その一方で練られたバランス調整も見事で、難易度はかなり高いものの納得感は強いゲームになっています。

 そんな中で欠点を挙げるとすれば、まずステージがポリゴンで描かれているために、2Dゲームでありながら「浮いた」感じのグラフィックになっており、地形の当たり判定が判然としないこと。もともと敵の弾に当たるよりも地形に当たって死ぬことが多いゲームなだけに、慣れるまでかなりつらいです。
 さらには、破壊(爆発)のエフェクトが激しすぎて、敵弾が見難いという欠点もあります。このゲーム、グラフィック自体の出来栄えは素晴らしいんですが、それがゲームをやる上で多少悪影響が出ているのが残念と言えるでしょう。

 そして、最大の問題(?)といえるのが、このゲーム自体、開発元のトレジャーの色が強く出ていることです。実際、このゲームは確かにグラディウスではあるのですが、それよりもむしろトレジャー的な要素が色濃く出たゲームであり、その点で従来のシリーズとはかなりの違和感があります。
 とにかくパターン要素、パズル要素が強いのが特徴で、ゲームが進むごとにその特徴が顕著になります。ステージ6の液体ステージなどは、ギミック自体は素晴らしいのですが、一方で自由度が少なく強制されたパターンをたどらされる感も強く、人によってはかなり好みが割れるでしょう。今までのグラディウスのような「基本的にはパターンゲームであるが、ある程度のアドリブも可能で、ある程度の自由度もある」といったゲーム性を期待していた人には、ややつらい内容かも知れません。

 しかし、ゲーム自体が面白いことは事実で、これ単体で見るならば極めてよく出来たゲームであることは間違いありません。トレジャーの前作「斑鳩」同様、数万本の売り上げに留まっているようですが、これがたった数万本しか売れないというのは実に惜しい。「グラディウス」ということで昔からのファンが主体で、今の人に対する訴求力に乏しいのかもしれませんが、実際には今回は新しい要素が積極的に採用されており、新しいプレイヤーも積極的に取り組んでほしいと思います。


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