<街>

2002・3・18

 いいゲームですね。いや、ゲームというよりはノベルですか。

 基本がサウンドノベルなんで、やはり小説としての側面が強いんですが、類型のノベル系ゲームと違ってゲーム性(らしきもの)を取り入れているところがいいです。8人の主人公による8本のストーリーがあって、ある主人公の選択が他のストーリーに影響を与えるというもの。
 種を明かせば「あるシナリオ内での選択が、他のシナリオ内で分岐する」というただそれだけのことで、システム単体を取り出せばそんなにすごいことをやっているわけではない・・・と思います。しかし、このシステムに合わせてシナリオを組み合わせて、一本のゲームにするというのは中々できることではないでしょう。こういったゲーム性を付加するアイデアは、類型のノベルゲームではなかなか(というか、ほとんど)見られない。個人的には、ただ選択肢を適当に選ぶだけのゲーム(?)よりも、このようにゲームとして遊ばせる工夫が成されているゲームのほうが好きです。というか、なけなしの選択肢が用意されているだけのノベル系のゲームはあまりやりたくないですね。

 あと、量的な作りこみがなされているのも好感が持てます。このゲームに限らず、チュンソフトのサウンドノベルはとにかくテキスト量・分岐数が多く、その量的な作りこみに圧倒されます。この「街」も8本あるシナリオの総テキスト量は圧倒的で、かつ実写映像を存分に駆使した演出の作りこみは付け焼刃ではできない(製作期間5年!)。なんとも贅沢な作品です。(というか、チュンソフトのサウンドノベルは同系のゲームの元祖といえる存在なのに、それを超える作りこみのゲームが他社からは数えるほどしか出ていないというのはどうなんでしょうか。)

 さて、基本がノベル(小説)なんでストーリーの完成度も気になるところですが、一本一本のシナリオに関しては個人的な好き嫌いがあったものの、全体としてみれば非常に楽しめました。硬軟取り混ぜた8本のストーリーは、全体としてはエンターテインメント色が強いものの(基本はバラエティドラマ)、多かれ少なかれテーマ性を感じるものも多く、読後感がありました。
 問題があるとすれば、ストーリー間のつながりでしょうか。もともとこのゲームは、本来全く関係のない8本のストーリーに、無理矢理関連性をもたせてゲーム性を付加しているところがあり、さすがに強引な感は否めないですね。もっとも、その「強引さ」を生かして笑えるバッドエンドを多数作って、それを集めるゲームにしたところはとても面白いですが。

 とはいえ、同系のノベル系ゲームの中では実にやりがいのある、面白い作品であることは間違いありません。最近のこの手のゲームはもはやゲーム性を完全に放棄したのか、なけなしの選択肢しかない「ゲームとはいえないゲーム」がほとんどですが、これは実に寂しいことではあります。


「面白かったゲーム」にもどります
ゲームトップへもどります
トップへもどります