<魔神転生II〜SPIRAL NEMESIS〜>

2001・9・30

 いわゆる「シミュレーションRPG」と呼ばれるジャンルではもっともやり込んだゲームです。個人的な評価ではファイアーエムブレムやタクティクスオウガよりも上、です。

・シミュレーションとRPGの狭間
 こういったシミュレーションRPGをやっていて常に思うのは、「これは果たしてRPGなのか、それともシミュレーションなのか」ということです。RPGとシミュレーションの区別に関しては、そもそもD&Dがウォーシミュレーションから派生して産まれた経緯からして、本来両者を分ける明快な区切りなどない、というのがわたしの意見です。しかし、そう考えるとこのシミュレーションRPGというジャンルそのものが一体何を表しているのか、という疑問がでてきます。
 もっともこの場合、「シミュレーションRPG」というジャンルの意味するところは明らかで、一般的なウォーシミュレーションゲームのシステムをベースにして、そこに「RPG要素」(ようするに経験値によるユニットの成長)を取り入れたゲームをそう呼んでいるにすぎません。
 となると「シミュレーションRPGは、基本的にはウォーシミュレーションなのか?」ということになりますが、そう一概に言い切ることもできません。なぜなら「経験値による成長」という要素は一般的なウォーシミュレーションとは相容れないものだからです。こういったシミュレーションのゲーム性は、ひとえに彼我の戦力のバランスによって成り立っているので、プレイヤーの意思次第でいくらでも経験値を稼いで戦力を増強できるとなると果たしてバランスが成立しえるのか非常に疑問です。
 実際、「経験値を好きなだけ稼いで戦力を増強しまくり、それでマップをクリアする」というプレイ方針はどちらかといえばRPGのそれに近いもので、要するに普通のRPGの「戦闘」が「マップ攻略」に置き換わっているだけともいえます。エンカウント方式の戦闘がシミュレーションっぽいマップ戦闘に置き換わっているだけですね。
 しかし、その一方で、経験値稼ぎに一定の制約をもたせてバランスの保持を試みているゲームもあり、この場合シミュレーションゲームに近い可能性があります。もっとも、経験値の量を完全に固定化でもしない限り完璧なバランスは取りようがないと思いますが・・・。

 さて、本題の「魔神転生II」ですが、これはどちらかといえばRPGに近い、といえるでしょう。なぜなら、経験値を稼ぎ放題だからです。マップを何度でもやり直せますし、経験値稼ぎ用のマップもあります。
 しかし、その一方でシミュレーションゲーム的な面白さをも兼ね備えており、半端なウォーシミュレーションよりも面白い。これがわたしをひきつけた最大の要因です。その面白さとはすなわち絶妙に設定されたユニット間の相性(強弱関係)です。

・よくできたユニット相性
 こういったウォーシミュレーションの戦略性の根幹をなしているのが、「ユニット間の相性」だと思うのです。AというユニットはBには弱いがCには強い、BはAには強いがCには弱い、というように高度な三すくみというか、高度なじゃんけんというべき関係がユニット間にあり、そういった相性を理解して相性のいいユニットをぶつけていくという戦略性です。
 このゲームでは、各ユニットごとに与えられた相性関係が絶妙で、どんなユニットにも確実に苦手とするユニットが存在します。また、直接攻撃の相性だけでなく、魔法攻撃に対しても各ユニットごとに強い魔法と苦手な魔法が設定されています。どんなユニットも何らかの弱点を抱えており、万能のユニットがいないというのが最大の特長です。
 考えてみれば、「ファイアーエムブレム」では、例えば「飛行ユニットは弓に弱い」とか、「アーマーナイトは打撃には強いが魔法には弱い」とか、部分的には相性らしいものはありますが、全体としてみるとあまり強い相性関係は感じられません。キャラクターをMAXまで育てるとどれも同じになってしまうというか、そんな感じです。まして「タクティクスオウガ」に至っては、弓と魔法が強すぎてほとんどユニット間の相性が存在しません。多くのユニットが「死に体」と化しています。
 わたしは、この2つのゲームはどちらも好きですが、この「ユニット相性が弱い」という点で不満を抱えていました。それが、この「魔神転生II」ではそのユニット間の相性関係が厳然と定められている。これが非常によかった。実際のプレイ感覚としても、相性のいいユニットや魔法をぶつけて効率よく敵ユニットを倒していくのが快感で、非常に楽しい。最初のうちはユニットの相性を覚えるのに苦労しましたが、一回クリアするころには相性表を完全に暗記するまでになっていました。

・悪魔合体(REMIX)の楽しさ
 そして、このゲームの楽しさをさらに推し進めているのがこれです。このゲームは一応メガテンシリーズなので(実際にはパラレルワールド的な扱いらしい。ストーリーの上で本家メガテンとつながりはない)、悪魔合体(REMIX)の要素があります。そしてこれがまた非常に楽しい。単純に強い悪魔を合体で作るだけでも楽しいんですが、本当に楽しいのは悪魔の持つEXTRA(特殊技)を合体によって引き継ぐことができる点。これによって悪魔の弱点を補ったり、あるいは優れた点を強化できたりします。本来の相性が悪いユニットに対しても、そのユニットに相性のいいEXTRAを合体で引き継ぐことで対抗できるようになる。あるいは、もともと相性のいいユニットに対して、重ねて相性のいいEXTRAで攻撃することでさらに絶大な威力を発揮する。こんな感じです。
 そう、EXTRAを合体で引き継ぐことで、本来のユニットのもつ弱点を補い、優れた点をさらに強化することが可能なのです。ユニットの性格や相性を理解しつつ、合体によるEXTRAの継承でユニットの弱点を補い、優れた点を強化する。このあたりの戦略性が非常に面白い。
 また、単純に合体によってEXTRAを引き継ぐという行為自体が楽しいですね。悪魔を会話で仲間にして、EXTRAを覚えるまで成長させて、合体させてEXTRAを引き継いでいく。この繰り返しが楽しい。いわゆるやりこみ派のゲーマーにとってはたまらないはずです。実際、これにはまってマップの攻略を無視してひたすらやりこみまくる人もいるとか。わたしはゲームクリアを最優先するのでそういったやりこみには興味はないんですが・・・。

・演出面について。
 このようにシステム面でかなりやりごたえのあるゲームなんですが、さらにこのゲームの個人的な評価を高めているのがグラフィック・音楽といった演出面でしょうか。
 グラフィックに関してはとにかくマップのデザインが秀逸。クォータービューで描かれたマップは機能的な美しさがあり、徹底的に描き込まれたグラフィックとはまた違った洗練された美しさがあります。わたしは、いわゆるグラフィック偏重なプレイヤーではありませんが、しかしこのようなセンスのいいデザインには大いに惹かれます。
 また、このゲームはBGMが素晴らしい。メガテンらしさを備えつつ、従来のそれとはまた違った硬質なサウンドが楽しめます。サウンドクリエイターは前作魔神1から引き続いて青木秀仁氏。彼はこの後にペルソナシリーズのサウンドも担当していることから、この魔神シリーズが彼の出世作といえるでしょう。

・割と致命的な(?)問題点
 このように、基本的には非常に楽しめるゲームではあるのですが、同時に2つほど、この手のゲームとしては大きな欠点があり、「ちょっとこれは・・・」と思うところもあります。

1.コンピューターの思考時間が長い。
 これが割と致命的です。最近のゲームにしては珍しく思考時間が恐ろしく長い。序盤はそうでもないんですが、中盤・終盤とゲームを進めるにつれとんでもなく長くなり、終盤のマップでは敵ターンが終わるまでに5分や10分は珍しくありません。
 これはほぼこのゲームの唯一かつ致命的ともいえる欠点で、「これさえ無かったら確実に名作なんだが」と思うことしばし。これに関しては耐えるしかありません。

2.ストーリー上の演出について
 このゲーム、ストーリー自体は結構面白かったのですが、ただそれにしてもその演出があまりに淡白です。この手のシミュレーションRPGだと、マップとマップの間に長めのストーリーイベントが入り、かつマップ攻略中でもキャラクター間での会話という形でストーリーが語られたりするわけですが、このゲームではマップ中の会話イベントは無く、マップクリア後に短い会話イベントがあるのみ。しかも終盤になるとその会話すらほとんど無くなり、ただマップをクリアするだけ、という展開になります。わたしのようなシステム派の人間としてはこのほうがゲームに集中できていいんですが、それにしてもあまりに淡白な印象はぬぐえないところ。ファイアーエムブレムやタクティクスオウガのような重厚なストーリーをこのゲームに期待した人は拍子抜けするかもしれません。


・シミュレーションRPGとしても、メガテンシリーズとしても秀逸な作品
 しかし、このゲームはやはり楽しいです。この手のシミュレーションRPGのもつ面白さはほぼ備えており、それと同時にメガテンシリーズのひとつとしても楽しめます。
 わたしは、メガテンシリーズは好きではあるのですが、しかし戦闘部分に関しては非常に不満でした。オート戦闘のボタン連打のみの退屈な戦闘というイメージしかなかった。それがこのゲームはシミュレーション形式で、ユニット相性をはじめとした高い戦略性があり、とりあえず戦闘が楽しい。しかも、メガテンシリーズのもつ悪魔との交渉・合体といった要素も過不足なく楽しめます。その上、仲間にした悪魔(仲魔)が成長し、武器・防具まで装備できるという、本家メガテンをも凌ぐ要素すらあります。同時に45体も仲魔にできて、制約はあるが同じ仲魔を複数持てるという点も優れています。

 まあ、すごく面白いんで機会があれば是非やってみてください。これで思考時間の問題さえなければ最高なんですがね。


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