<オアシスロード>

2001・9・20

 珠玉のマイナーゲーム、「オアシスロード」を紹介します。
 このゲームは、その内容をどう説明していいのかよく分からないんですが(笑)、一言で言えば「探検して地図を広げて交易するゲーム」です。こう聞くとアートディンクの「アトラス」シリーズを思い浮かべる人もいるかと思いますが、やってることは全然違うらしいです(わたしは、残念ながら「アトラス」はプレイしたことがありません)。
 説明書を読むとこんなことが書いてあります。

黄昏の世界 オアシスロード

オアシスロードは砂漠に囲まれた草原の世界です。
年々、砂漠が大きく広がってゆきます。
街では作物が穫れなくなり、人が去り、
街と街との交流も途絶え、
オアシスロードは衰退の一途をたどっています。

知識の救出

砂漠の王リブスの命令により、
あなたはこの世界の様子を調べる旅に出ます。
旅を続けて孤立した街を見つけ、
それを地図に記します。

遺物を掘り起こし、歴史の真実を発表しましょう。
古い時代の様子が分かるにつれて、
この世界の創生の謎に迫っていきます。
滅んでしまう世界から、
出来るだけ多くの知識を採集してください。

世界が滅んでいく原因をさぐるのがあなたの目的です。


・移動・交易・探索・戦闘
 プレイヤーは馬車をひく旅人です。ゲームをスタートしてすぐに全方向に移動でき、行ったところは地図になります。どんどん移動してひたすら地図を広げていく。基本的にはこれだけです。
 移動した先にがあれば、そこで交易を行うことになります。「○○の街から××という物を仕入れてきて市場で売ってくれ」などと言われるのでそのとおりにしましょう。○○の街をまだ見つけていない場合は地図を広げてさがすことになります。交易を何度も行っていると双方の街が発展し、最終的には発展した街と街の間で交易ルートができます。こうして、交流が途絶えていたオアシスロードの交易を復活させることが、ゲームのひとつの目的です。
 移動した先に遺跡があれば、そこで探索を行うことになります。探索に成功すれば何か遺物を発見したり、この世界の古代の謎の一端が見えたりします。「世界が滅んでいく原因を探る」のがプレイヤーの使命ですから、こうして遺跡の発掘を行うこと自体が、実はゲームの目的のひとつです。
 移動した先に敵がいれば、そこで戦闘になります。敵を倒さないとその先の遺跡なり街なりにいけません。つまり、このゲームの戦闘は、行く手を塞ぐ障害でしかありません。一度倒せば二度とその場所には敵は出現しません(つまり固定エンカウント)。このゲームではあらゆる敵を仲間にできるのでパーティーメンバーに不安があるなら捕らえてメンバーを増強するのも一興です。

 ここで言いたいのは、ここであげた交易・探索・戦闘といった各システム自体は非常にシンプルであるということです。交易と言っても、それは街で品物を売り買いするだけの単純な「作業」ですし、探索の成功・失敗を判定するシステムも非常に単純。戦闘もオーソドックスなターン性で言ってしまえば地味なものです。
 しかし、このゲームがほかと違うのは「全体としてひとつのシステム・ひとつのゲームとして完成している」ということにほかなりません。わたしは、今のRPGはストーリー鑑賞モードに戦闘というミニゲームがくっついているだけだと思うのですが(要するに戦闘しかやることがない)、このゲームは一からトータルでゲームシステムを作り上げているのです。これが素晴らしい。実際のプレイ感覚としても、ひとつひとつは単純な作業でも全体でシステムが完成しており、やることが多いため飽きることがありません。反面、いわゆる「やりこみ」の要素はあまりないため、例えば戦闘をひたすらやりこみたい、とかいう人にはこのゲームは向きません。というか、ほかのゲームをやりましょう。

・アイテムクリエーションについて
 このゲームの各システムは非常にシンプルですが、ひとつだけ非常に面白い(というか、笑える)システムがあるので紹介します。
 「スキルの書」というアイテムがあって、これを使うことでキャラクターがスキルを覚えます。スキルがあれば特定のアイテムを加工して別のアイテムを作り出すことができます。これだけだと「スターオーシャン」のアイテムクリエーションと変わりません。が、このゲームの面白いのは、プレイヤーが何もしなくてもアイテムが勝手に変化することがあるということ。
 具体的には、

・ヤギをもっていると勝手にミルクが出てくる。
・ヤギから毛を刈ることができるんだけど、しばらくたつとまた毛が生えてくる。(そしてまた刈ることができる。)
・番犬に獣骨を与えておくといつのまにか獣骨がなくなり、小動物が馬車の中にいる。(どうやら狩ってきたらしい。)
・カイコの幼虫をもっていたのに、いつの間にか無くなっている。(成虫になって飛んで逃げた?)
・ニンジンをもっていると、いつの間にかニンジンが無くなっていて、代わりに馬車の中に野生の馬が乱入(笑)。

 つまり、「ゲーム中の時間の経過に応じてフラグが立つ」ということなのですが、このような要素自体は他のゲームでも珍しくありません。一定の時間の経過によってイベントがおこる、というRPGは珍しくありませんし。ただこのゲームの場合、その「時間経過に伴うフラグ立て」をひとつのシステムの中に取り入れているところが面白い。考えてみれば、ゲームというものは、「こちらのアクションに応じて、何かしらのレスポンスが返ってくる」ところが面白いのですが、このゲームの場合、逆に「こちらが何もアクションを起こさないのに勝手に変わっていく」というところに従来のゲームにはない面白さを感じました。

・音楽について
 それともうひとつ、このゲームを語るには音楽(BGM)の存在を抜きにはできません。何といってもこのゲーム、BGMが素晴らしい。今までわたしがプレイしたゲームのなかで、3本の指に入るであろう質の高さです。ひとつひとつの曲もいいのですが、それの加えて全体でひとつの方向性にまとまっているのがよい。どの曲も1ループが長めで、序盤は静かに立ち上がり、中盤から終盤へと次第に盛りあがっていき、ラストで最高潮を迎えてまたループの最初にもどる。この繰り返しがなんとも言えないほどいいです。全部で七曲ある曲のうち、最後の一曲だけは短い曲でこれにあてはまらないんですが、残りの六曲はすべてこの方向性で統一されており、このゲームの世界観作りに多大な貢献をしています。いや、このゲームの世界観は音楽を中心に成り立っている、といっても過言ではありません。
 六曲のうちで特に「ラミヤカ人の道」の評価が高いみたいですが、個人的には「地の国ダイティヤ」がお気に入りです。まあ、全部が名曲なので六曲まとめてご堪能ください。

・本当に2人で作った
 最後に、このゲームの本当に凄いのは、たった2人の開発者がすべてを手がけたということです。音楽だけは違うみたいですが、それ以外の部分は本当に、掛け値なしで2人だけで作っています。
 某雑誌の記事によるとこんな感じです。

・製作者は完全に2人のみ。1人が企画・システムほかプログラム以外のすべてを担当。もう1人がプログラムのすべてを担当。
・製作機材は20万くらいで買ったAptiva2台。それにPSのソフト開発機材がささっているだけ。(ちなみにそのAptivaは数年前の機種で今では10万くらいで買えるもの、とのこと。)
・仕事場はそのパソコンが置かれたアパートの一室。家賃一万八千円。
・ゲームの製作費用はひと月あたり一万八千円。つまり家賃のみ。

 ・・・どうですかいったい。というか、こんな環境でもゲームって作れるんですね(笑)。ゲーム製作の原点を見たような気がしました。

 しかし、本当に大切なのは、たった2人で作ったこのゲームがどのゲームにも負けないオリジナリティを持っていることです。大手メーカーの作った続編・移植・二番煎じのゲームばかりの現在において、このような少人数で熱意を込めて作ったゲームが、どのゲームよりも新鮮さに溢れているのを感じて、まだまだゲーム業界も捨てたものではないかな、と思いました。


「面白かったゲーム」にもどります
ゲームトップへもどります
トップへもどります