<サムライスピリッツ>

2001・10・5

 このゲームは、シリーズがいくつも出ていますが、ここで扱うのは初代です。リリースは93年の6月。もうずいぶんと前の話になりました。

・従来の格闘ゲームとはまったく異なるゲーム性
 このゲームが出た当時は、対戦格闘ゲームをはじめアーケードゲームが最高潮の時期で、このわたしも、とあるゲームセンターの常連として毎日そこに通っていました。そんな時に突然リリースされたのがこのゲームで、とにかく発売の前になんら予告もなく、まさに突然現れたといった感じでした。それで、まあとりあえず当時の常連たちと一緒になってこのゲームに取り組んだんですが、とにかくどうしていいのかさっぱり分からなかったのです。ぱっと見たところスト2タイプの格闘ゲームにも見えるんですが、プレイ感覚が全然違う。いくらやってもコンピューターに勝てない。閉店時間まで粘って常連総出で99回コンティニューしてもクリアできないありさま。常連といってもそのゲームセンターはマニアが集まるレベルの高いゲーセンですよ? 
 このゲームは、のちに「実は簡単なゲームだった」と判明するのですが、当時としてはとにかくこのゲームの感覚に慣れることができず、スト2と同じようなプレイ方針でやっていたのがまずかった。いかに既存のゲームの法則に縛られていたかがよく分かります。
 さて、では一体何が他の格闘ゲームとは違ったのか。リリースから随分経ちましたが、改めてここで考えてみます。

(1)操作性・当たり判定といった格闘ゲームの基本部分がまず違う。
 まず誰でも気づくのがこれ。とにかくジャンプやダッシュの感覚からして違います。いや、そもそもダッシュというアクションはこれ以前にはなかったかな。慣れれば非常に新鮮でスピーディーな操作性なんですが。
 当たり判定もそうで、よく考えればこれはこれで当たり判定はしっかり設定されているんですが、スト2タイプの格闘ゲームを基準に考えると、あまりにも途方も無い当たり判定に思えてしまう。当時もスト2にはまった人ほどこのゲームの当たり判定についていけなかったようです。

(2)尋常でないダメージ量
 これもすぐ分かります。このゲーム、「武器格闘」というモチーフが最大の売りですが、その武器で斬ったときのダメージが尋常ではない。通常技三発で死亡というのは当時の常識では考えられなかった(というか、今でも考えにくい)。これはこれできちんとバランスがとれていると後で判明するのですが、当時はとにかくバランス上の問題を指摘する声が多かった。

(3)必殺技よりも通常技重視
 このゲームのコマンド必殺技は、一部を除いてあまり頻繁には使えない。いや、一応使えることは使えるんですが、本当に「特殊技」という感じで、状況限定でしか使えない技が多いです。それよりも、むしろ通常技のほうが重要で、使いやすい通常技を中心に戦略を組み立てる必要があります。これが最初のうちは分からなかった。とにかくコマンドを覚えて必殺技を使うことばかり考えていましたから。

(4)連続技がない?
 いや、本当にないんですよ。一応状況限定でつながることはつながりますが、確実に入る連続技というものがまったくない。これは今考えてもかなり異色です。

(5)地上戦中心の攻防
 全体的にジャンプがゆるやかで対応されやすいこともあって、対戦では安易な飛び込みが得策ではありません。また、必殺技の飛び道具も使いにくいこともあって、メインの攻防は中距離での斬りあい(突きあい)になります。この地上戦の駆け引きが非常に面白いんですが、これほどまでに中距離での地上戦がクローズアップされたゲームは多くないでしょう。

 とまあ、こんな感じでプレイ感覚からプレイ方針までなにもかも違うため、当時のゲーマーが戸惑ったのも無理はありません。実際、当時のプレイヤーも、このゲームを受け入れてはまった人と、結局受け入れられなかった人とでかなり割れたようです。やはり、スト2などの従来の格闘ゲームに慣れた人ほど抵抗が強かった記憶があります。

・斬新なだけでなく、真にゲーム性も備えていた
 逆に、普段格闘ゲームをやらなかった人ほどこのゲームに抵抗がなかったようで、この「サムライスピリッツ」というゲームは新たなプレイヤー層を獲得することになります。実際、この当時から、既に対戦格闘ゲームはマニア化が進んでおり、一部のやりこんだマニアには勝てないという現象が起こっていました。そんな中でこのゲームは、初心者でも気軽にできるゲームとして非常に価値がありました。もちろん、ここまで人気が出たのもちゃんとしたゲーム性があってのことです。
 まず通常技中心というのがいいですね。初心者でも簡単に技を出せて大ダメージを与えることができる。これがとにかく爽快。大斬りを当てたときの爽快感は並ではありません。
 連続技がないというのもいい。駆け引きに勝って相手の隙をつけた場合、わざわざ連続技を使わなくともボタンひとつで大ダメージを与えられるわけです。これが素晴らしい。
 もちろん、その駆け引きの部分も密度が濃く、中距離での斬りあい・突きあいが非常に面白い。ここでも通常技中心で複雑な操作をせずに駆け引きを楽しめます。

・格闘ゲームとしては異端的な存在
 しかし、このゲーム性は、ほとんどこの「サムライスピリッツ」だけにとどまり、あまり他のゲームに波及することはありませんでした。その意味で真に異端的な存在といえます。しかし、このゲームの「簡単な操作で気軽に駆け引きを楽しめる」というゲーム性はもっと重要視されてもいいのではないでしょうか。格闘ゲーム・連続技不要論でもさんざん書いたんですが、とにかく今の格闘ゲームの「連続技・連係技を覚えて当たり前」というゲーム性は明らかに行き過ぎではないですか? 大斬りでぶった斬ってThat's all!っていうゲーム性はもう味わえないのでしょうか。


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