<ヴァルキリープロファイル2〜シルメリア〜>(前編記事)

2006・8・5

*中編記事はこちらです。
*後編記事はこちらです。

 あの超が付く名作である「ヴァルキリープロファイル」(以下「VP」)の続編です。前作より6年という長い歳月を経て、待望の新作という形で発売されました。前作は熱狂的なファン層を生んだ伝説的な名作でしたが、待ちに待った続編であるこの「ヴァルキリープロファイル2」(以下「VP2」)はどうだったのでしょうか。


・明らかに前作とは異なるスタイル。
 しかし、この作品は、明らかに前作とは異なるゲームになっています。前作のプレイヤーならば、誰もがすぐにそのことに気づくでしょう。
 前作とは完全に別ゲームということで、その違いをひとつひとつ説明するだけで膨大なものになってしまいますが、あえて一言で説明すれば、「普通のRPGになってしまった」という表現に尽きると思います。

 前作は、そもそもベースとなるゲームデザイン自体が、普通のRPGとはまるで違っていました。異色のRPGだったと言ってよいでしょう。
 具体的には、「戦闘」と「神界転送」という二つのシステムだけで、ゲームが構成されていたことです。見つけた仲間(このゲームでは「エインフェリア」)を戦闘で鍛え上げ、それを主神のいる神界に送り続けることがゲームの大きな目的であり、時間制限のある中でいかに効率的に仲間を鍛え上げるか(経験値を稼ぐか)、誰を神界に送って誰を手持ちの戦力として残すか、といった独自の戦略性が存在する、斬新な独創性に溢れるゲームでした。
 戦闘と神界転送のみでゲームが成立しており、ストーリーがほとんど存在しなかったというのも特徴的でした。そして、戦闘システム自体も、他のどんなゲームにも見られないほど新鮮で楽しかったのも大きなポイントです。さらには、2Dの緻密なグラフィックや、RPGとしては異色の雰囲気の音楽など、演出面でも際立った特徴を有しており、まさにあらゆる点でオリジナリティの固まりのようなゲームでした。

 しかし、今作では、そのようなVPならではの独創的なデザインが、(戦闘以外)ほぼすべて消失しており、普通のRPGと全く変わらなくなってしまいました。
 まず、決定的な相違点が、ごく普通のイベントクリア型のRPGになったということ。イベントの繰り返しでストーリーが進み、エンディングまでそれが続くという、ごく一般的なスタイルです。展開的にもほぼ完全に一本道で、前作のような「世界のどこに行ってもよい」という自由度は見られません。

 前作のまさに肝の部分だった神界転送のシステムも、今回は全く影も形もなし。また、エインフェリア(仲間)の扱いも非常に淡白です。神界転送に代わるシステムとして、「解放」というシステムがありますが、これは単なるおまけ的なやりこみの域を出ないもので、まったくやらなくても問題ありません。エインフェリアも数だけは多いものの、前作のような丹念なキャラクターの掘り下げは全く見られず、仲間に参入する時も簡単なメッセージが一言流れるだけ。完全に「その他大勢」の印象です。その他大勢だけあって、ストーリーに関わることも全くなく、完全に一部のメインキャラクターのみでストーリーが進みます。ゲーム的に見ても、職種ごとに技はすべて共通で、キャラクターごとの性能の違いもほとんどない。これでは、あえて使おうという気にもならないでしょう。
 正直な印象として、「VPの続編だから、あえて形だけでもエインフェリア関連のシステムを残した」としか考えられないもので、普通のRPGに付属するやりこみ要素として残っているにすぎない状態です。「前作のシステムは(戦闘以外)完全に消失した」と考えてよいでしょう。
仲間参入シーン


 それだけではありません。前作であまりにも鮮烈な印象を残した、グラフィック・音楽等の演出面も、いたって平凡なものに変わってしまいました。

グラフィック自体は非常に美しい。  まず、グラフィックですが、前作の緻密な2Dグラフィックは一新され、PS2でよくある3DグラフィックのRPGに変わってしまいました。グラフィック自体は非常にハイクオリティで、まさにPS2では最高レベルであって、アクションのモーションなども良く出来ており、技術的にはまったく問題ありません。しかし、前作で最大のオリジナリティであった、緻密なドット絵が失われてしまったのは大きな損失だと考えます。見た目の印象でも独創性が薄れた感は否めません。
 とはいえ、これはこれで最高レベルのグラフィックであり、完成度が高いことは確かです。また、今回の戦闘システムが3Dを駆使したものになっており、そのために3Dグラフィックを採用する必要があったことも十分に考えられるので、これは仕方ない変更だったかもしれません。グラフィック自体が悪いわけではなく、今作のみを単体で見ればさほど問題ではないとも言えます。

 本当に問題なのは音楽(BGM)です。今作の音楽は、全体的におとなしめの雰囲気重視のものに変貌しており、これまたRPGの音楽としてはありがちで、凡庸なものに変わってしまいました。前作のBGMは、とにかく全体的にアップテンポでハイテンションなもの、メロディがはっきりしているものが多く、どれひとつとっても耳に残るものばかりでした。特に、戦闘およびダンジョンのBGMは、どれも非常に印象に残るものばかりで、それがVP最大の魅力でした。
 しかし、今回のBGMは、スローテンポの雰囲気重視なものばかりで、特にダンジョンのBGMがそんなものばかりで、まったく耳に残りません。いや、ひょっとすると、これがRPGのダンジョンBGMとしては普通なのかもしれません。ドラクエやFFならば、こういったBGMもありでしょう。しかし、VPの音楽は、決してそんなものではなかったのです。今思えば、前作の、どこのダンジョンに行っても異様にハイテンションでダンジョンの雰囲気をまったく無視したかのようなBGMが流れまくるというスタイルは、RPGとしてはとんでもなく異色だったのでしょう。しかし、それが「ヴァルキリープロファイル」最大の持ち味だったのです。それが完全に失われたというのは、とてつもなく痛い。
 さらには、戦闘のBGMも前作ほどの盛り上がりが感じられず、戦闘のテンションが前作よりも上がらなくなってしまったのも大きな失点です。そして、今回は戦闘関連の曲数自体が少なくなっているような・・・? 終盤のボス戦でも専用の曲がない場合が多く、前作ほどの盛り上がりがなくなってしまったのは痛い。


 以上のように、総じて前作からのシステムや演出面の継承がほとんど見られず、ほぼ完全に「ありがちな普通のRPG」になってしまった印象です。これだけならば「ヴァルキリープロファイル」とは言えないでしょう。
 ただ、唯一、前作でも最大の魅力であった、戦闘関連のシステムに関しては、前作の基本システムはほぼそのまま継承され、今作で新たに加わったシステムも斬新でオリジナリティに富み、かつ戦略的にも十分機能しており、これはかなり評価できるものになっています。また、それに加えて、これまた前作ゆずりの、サイドビューで構成されたダンジョンの攻略要素も、これも相当に考えて作りこまれており、これまた十分に面白いものに仕上がっています。では、唯一残ったVP的な部分である、この戦闘とダンジョン攻略のシステムとはどのようなものか。


*続きは中編記事でどうぞ。こちらです。


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