<ヴァルキリープロファイル2〜シルメリア〜>(後編記事)

2006・8・5

*前編記事はこちらです。
*中編記事はこちらです。

・必ずしもすべての人に受け入れられたわけではない戦闘システム。
 しかし、このゲームの戦闘システムは、必ずしもいい側面ばかりではありません。確かに、この戦闘(とダンジョン攻略)システムは、非常なまでに作りこまれているのですが、同時に、あまりにも難解でマニアックになりすぎて、ライトなRPGプレイヤー(特にストーリー重視のプレイヤー)には受け入れられなかった側面もあるのです。

 まず、とにかく戦闘の難易度がかなり上昇し、ある程度のレベル上げが必須になったことが大きい。特に序盤のうちは中々レベルが上がらず、有用な装備やスキルもまだ手に入らないということで、どうしてもレベル上げの作業が要求されます。レベル上げなしで先に進もうとしても、それはかなり難しい。前作でも、序盤のうちはまだそれなりに経験値稼ぎの必要がありましたが、中盤以降は一気にバランスが甘くなり、目の前の敵を倒していくだけで、ほとんど意図的なレベル上げをしなくても先に進める状態になっていました(これはこれで少々問題なのですが)。
 しかし、今作ではまずそのようなプレイは不可能で、慎重なレベル上げはもちろんのこと、装備やスキル、封印石等の各種下準備も念入りにセットした上で、一歩一歩ゲームを進めていかなければなりません。これは、わたしのようなシステム派、やりこみ派のプレイヤーにとっては理想的なゲームとも言えますが、一方で、ストーリーをテンポよく進めたいプレイヤーにとっては、実にかなりの苦痛でしょう。かといって、無理に早く進めようとしても、戦闘の高い難易度が壁となってまず断念する羽目に陥ります。

 実際、今回の戦闘の難易度はかなり高いらしく(わたしは徹底的にやりこんでから進んだのでほとんど苦労してませんが)、とにかく先に進めないという話をよく聞きます。しかも、今回の戦闘は、そのシステムの特性上、白熱した一進一退の攻防(ダメージの与え合い)というものが成立しづらく、こちらが一方的に先制攻撃して敵を殲滅するか、逆に一方的に攻撃されて自分たちが徹底的にボコボコにされるか、ふたつにひとつしかありません。このような戦闘スタイルだと、またプレイに慣れなくて敵にやられている初心者のうちは、非常に大きなストレスを抱えることになります。

*中でも、戦闘で特に恐ろしいのが、敵の複数攻撃、それも複数のキャラクターに同時にステータス異常をもたらす攻撃です。このゲーム、回復魔法やアイテムを一度使用すると、その後しばらくの間使用することが出来ません。しかも、複数のステータス異常を一度に回復する魔法やアイテムがほとんどまったく存在しないため、一度に複数のキャラクターがステータス異常に陥ると、それだけで一気に窮地に陥ります。

うっかり敵の攻撃範囲に足を踏み入れると・・・。一方的に攻撃される。かなり怖い。

 加えて、一回の戦闘に時間がかかるようになったこともネックです。今回のマップ方式の戦闘は、移動に細心の注意を必要とする、非常に戦略的なものではあるのですが、反面、とにかく戦闘に時間がかかるようになった点も否定できない。同時に、テンポよく敵を倒していく爽快感が薄れた点も否定できません。
 もうひとつ、戦闘に時間がかかるようになった理由として、全体魔法(メニュー魔法/大魔法)の威力が極端に落ちたことも挙げられます。このVPというゲームでは、この全体魔法こそが、唯一複数の敵をまとめて攻撃できる手段なのですが、今回はどういうわけかこれの威力が信じられないほど落ちており、まずこれだけで敵に止めを刺すことはできません。複数の敵をまとめて倒す手段がなくなってしまったことで、一体ずつ地道に敵を倒す方法を採らざるを得ず、これで戦闘にさらに時間がかかるようになってしまいました。何でこんなに威力が低いのか。

装備の組み合わせを考えること自体は楽しいのだが・・・。  そして、これが売りでもあるのですが、装備やスキル等のやりこみにもかなりの時間がかかるようになってしまったのも難点です。全部で9種類の装備を同時に装備できることもあって、その装備の組み合わせを毎回考えるだけでもかなりの手間と時間を要しますし、加えてスキルまで覚えようとすると、それ専用の装備の組み合わせをセットした上で、習得するまで何回となく戦闘をしなければならないシステムのため(最大で40回)、非常に時間がかかります。この「スキルの習得」のための戦闘が、レベル上げのための戦闘と並んで、プレイを先に進めることを困難にしています。

*個人的にもかなり引っかかったのが、この「ひとつのスキルの習得のために、何十回も戦闘を繰り返さないといけない」という点です。「特定の装備品を組み合わせて装備する→その状態で何度となく戦闘を重ね、スキルの習得率を上げる→習得率100%に達してようやく覚える」という、まるでファイナルファンタジーのようなシステムで、概してトライエースらしくないシステムのように思えます。
 前作であるVP1や、あるいは同社のスターオーシャンシリーズのように、レベルアップのたびにスキルポイントを獲得し、それを消費することでどんどんスキルを覚えられるシステムの方が、単純かつ余計な苦労がなくてよいような気がします。
 戦闘をやりこむことにさほど苦労を覚えないゲーマーであるわたしでさえ、この戦闘の繰り返しにはかなり苦労させられましたから、テンポよくゲームを進めたいストーリー派のプレイヤーにとっては、相当な苦痛でしょう。

 そして、このような戦闘の難易度の上昇、レベル上げの必要性、戦闘関連システムに時間がかかるようになった点などから、概して戦闘に対して多大なやりこみと時間を要求されます。これは、戦闘をやりこもうというシステム派のプレイヤーにとってはさほど苦痛ではないでしょうが、ライト感覚でストーリーをどんどん先に進めようというタイプのRPGプレイヤーにとっては、非常に高い壁となってしまい、最悪の場合、ゲームの途中で時間のかかる戦闘に飽きてしまい、そのままプレイを投げる(放棄する)可能性すらあります。
 これは、今回のゲームがストーリー重視のオーソドックスなRPGになってしまったことも一因で、むしろ前作のような、ストーリーが希薄でシステムに特化したゲームの方が、このような難度が高く凝った戦闘システムとは相性がいいはずなのです。今作は、「ゲーム自体はストーリー重視のオーソドックスなRPGになったのに、戦闘システムだけが逆に極端にマニアックなものになってしまい、両者の間に大きな食い違いが生まれてしまった」と言えそうです。


・これはこれで面白いゲームには違いない。が・・・。
 もっとも、このような極端にマニアックなシステムは、トライエース作品の大きな特徴であって、決してこれ自体が悪いというわけではありません。これまでのトライエースのゲームでも、多かれ少なかれこのような徹底的にやりこみを要求されるシステムは備わっていました。これはこれでトライエースの特徴が色濃く出た、面白いゲームであることは間違いありません。
 とはいえ、今回のゲームシステムは、今まで以上に複雑でとっつきが悪く、プレイに時間がかかるようになった点も否定できません。これは、同じトライエース作品の中でも「スターオーシャン3」でも見られた現象ですが、今回のVP2では、それに輪をかけた印象です。

 思えば、同社の比較的初期の作品である「スターオーシャン2(セカンドストーリー)」では、確かにゲームの難易度の高さはかなりのものがありました。パーティーの全滅は日常茶飯事で、最高レベルの255でもラスボスを倒せない人も大勢いたほどです。しかし、難易度は高いとは言え、戦闘システム自体は最近のゲームに比べればずっとシンプルで、ザコ戦のほとんどはさほど戦略を考える必要がなく、爽快感重視で戦闘を気持ちよくこなして先に進んでいけました。ところが、これが続編の「スターオーシャン3」では、戦闘システムがかなり複雑になってしまい、毎回の戦闘でいちいち戦略を立てる必要が生じてしまい、プレイヤーによって賛否が分かれる結果となりました。戦略性が増したこと自体はよいのですが、その反面、爽快にテンポよく戦闘をこなすことが出来なくなってしまい、テンポ重視でストーリーを先に進めることを目指すプレイヤーからの評判が悪かったことを覚えています。

 そして今回、「ヴァルキリープロファイル」とその続編「ヴァルキリープロファイル2」の間でも、同じようなことが起きてしまったのではないでしょうか。前作では、爽快感満点でテンポよく戦闘をこなして先に進めるシステムだったのが、今作の「2」では、戦略性こそ上がったものの、1回の戦闘に極端に時間がかかるようになり、しかも難易度も急上昇してレベル上げの必要性も生まれ、テンポよくゲームを先に進めることがほとんど出来なくなってしまった。これは、RPGにおいてストーリーを最重要視し、レベル上げの必要なくテンポよく先に進めるゲームを求めるプレイヤーにとっては、まったく受け入れられないものとなってしまったのです。

 しかし、その一方で、RPGにまずシステム的な面白さを求め、とことんまで戦闘の戦略性を追求するプレイヤーの間では、非常に高く評価されていることも事実で、ここに賛否が真っ二つに割れる結果となりました。さらに今作では、前作のような斬新なゲームデザインが消失してしまい、ほぼ戦闘とダンジョン攻略のみに特化したゲームになってしまったことも、プレイヤーを限定する一因となってしまっています。独創的なシステムと演出、爽快感重視の戦闘で多くのプレイヤーを魅了した前作と異なり、今作では戦闘・ダンジョンの戦略性に大きく比重が傾いた、人を選ぶゲームになったと言えそうです。


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