<サモンナイト エクステーゼ>

2005・8・17

 あの人気シミュレーションRPG「サモンナイト」シリーズの最新作ですが、今作はシミュレーションRPGではなく、アクションRPGです。システムが大きく異なる点に加えて、ストーリーや設定も本編とは直接繋がらない点も特徴で、シリーズの中では「外伝」あるいは「番外編」的な位置付けのゲームであると言えるでしょう。


・今時PS2で2Dアクションが出来るとは。
 エクステーゼは、2Dドット絵のトップビュータイプのアクションゲームですが、今の時代にPS2でこの手のゲームが出るとは思いませんでした。今や据え置きハードのゲームは、その多くが3Dのポリゴンに移行しており、中でもアクションゲームは爽快感・臨場感重視の3Dゲームが完全な主流となってしまいました。そのような状況で今になって2Dアクションが出るとは・・・この手のゲームはもう携帯ハード以外ではほとんど出ないと考えていました。
 しかし、これはやはり「サモンナイト」の続編であるという点が大きいのです。シミュレーションRPGは、いまだに2Dドット絵のゲームが残っている数少ないジャンル。サモンナイトはその中でも代表的なゲームです。そして、このゲームも番外編的な存在とは言えシリーズの続編なわけですから、当然ながら2Dで出すべきであると言えます。というか、誰もサモンナイトの3Dポリゴン化など望んでいません(笑)。今になって2DアクションがPS2で出るのは、このような理由があるのです。


・アクションの基本部分はよく出来ているが・・・。
 このように、今回はアクションゲームとなったサモンナイトですが、では肝心のアクションの出来はどうだったのか。
 まず、アクションのベースとなる部分・・・操作性や当たり判定、爽快感といった基本部分はよくデザインされています。操作性は非常に快適で、ストレスを感じる部分はほとんどなく、2Dアクションながらかなりの爽快感もあります。もちろん、今の3Dアクションの爽快感全開のゲームに比べることは出来ないのですが、2Dゲームとしては十分な出来です。
 さらには、このゲーム、それぞれに特徴のある2人の主人公──男性主人公のレオンと女性主人公のエイナ──を任意で交代できるシステムなのですが、この点もよくデザインされています。レオンの攻撃はリーチと攻撃力の高さが特長で、一方でエイナの方は攻撃範囲の広さと連続技の速さが特長と、それぞれ明確に分かりやすい差別化が施されており、この2人で異なるタイプのアクションをいつでも任意に楽しめるのは大きい。

 このように、アクションのベースとなる部分はよく出来ているのですが、しかし実際には、プレイすると物足りない点が多いのです。
 まず、明らかに難易度が低すぎる点。もともと本家サモンナイトのユーザー向けに、アクション初心者でも出来るようにというコンセプトは理解できるんですが、それにしてもあまりにも歯ごたえがなさすぎる。少々ミスしても受けるダメージが低いので問題にならず、むしろごり押しで進める程度なので、丁寧にミスなくアクションを進める意義が薄れてしまいます。

 もっとも、難易度の低さが直接ゲーム性の低下に繋がるわけではありません。難易度が低くても、プレイに考える余地があり、ゲームを理解するにつれてよりうまくプレイが出来るならば、それはそれでゲーム性は高いと言えるわけです。このゲームが問題なのはまさにここで、このゲームはいくらアクションを極めても、ある程度以上のプレイに限界があり、的確にミスなく華麗にプレイするという、アクションファンならば誰もが望むようなプレイが出来ないのです。
 分かりやすいのがボス戦でしょう。このゲームは、今時のアクションとしては珍しくガードが出来ず、しかも敵に触れるだけでダメージという、まるで一昔前のアクションの仕様なのですが、このような仕様だと、動き回る巨大なボスに触れずに(ダメージを受けずに)攻撃をヒットさせることは至難の業で、どうしてもダメージを食らいつつごり押しで倒さざるを得ません。パターンを極めて華麗な動きでボスを倒すという、アクションファンならば誰もが望むプレイが出来ない。
 ザコ戦の方はまだましです。多くのザコはこちらの連続技を全部喰らってくれるので、ミスなく連続技を当てれば簡単にノーダメージで倒せます、しかし、ボス(と一部の中型以上のザコ)は、こちらの攻撃を受けても食らいポーズにならず、平気で反撃してくるので、どうにもやりようがない。反撃をかわしつつ攻撃というのも限界がありますし、どうしてもダメージ覚悟のごり押しになってしまいます。

 それとは別に、せっかく2人の主人公を交代で使い分けることが可能なシステムなのに、敵の方にあまり個性がなく、2人どちらでもおざなりに倒せる点も物足りません。これでは2人の主人公を使い分ける意味があまりない。「リーチの長い男性主人公でないと倒せない」とか「連続技の速い女性主人公でないと反撃を食らう」とか、そういった個性的な敵をもっと用意する必要があるでしょう。一応、このゲームの敵には属性があり、どちらか一方のキャラクターでないと倒せない属性の敵が多く存在します。しかし、アクションゲームならば安易に属性だけに頼るのではなく、アクションそのもので倒すべき敵を分けるようにすべきではないでしょうか。このあたりの作りこみが弱いと感じました。


・召喚についてはどうか。
 さて、サモンナイトと言えば何といっても召喚術であり、召喚獣です。アクションRPGになってもちろん召喚の扱いも大きく変わったわけですが、こちらの出来はどうか。

 基本的にはうまくアクションに絡める形でよく出来ています。召喚ボタン(デフォルトだと□ボタン)を押すと、プレイヤーの目の前にサークルが出現しますが、このサークルをプレイヤーの動きに合わせて動かすことができ、任意の場所でボタンを離せばそこで召喚獣が召喚される、というシステムです。
 召喚獣はどれも戦闘では頼りになる存在で、勝手に敵を倒しに行ってくれるため、多数の敵が相手の戦闘ではとりあえず召喚して損はありません。また、そのような自律行動型の召喚獣とは別に、召喚した時点でサークル内の敵に一定のダメージを与えるタイプのものもあります(イメージとしては範囲攻撃型の魔法に近いです)。こちらの方がむしろ使っていて楽しく、動き回る敵をうまくサークル内に収めてドカン!というのはかなりの快感があります(狙い撃ちの爽快感がある)。何にせよ、「サークルを任意に動かして召喚」というシステムはアクションゲームのデザインとしてはかなり面白いと思います。

 しかし、この召喚においても、物足りない点が多くあります。まず、前述のようにこのゲームは難易度が低く、あえて召喚を使わずともなんとでもなってしまう点。特にザコ戦ではそうで、ゲームの戦闘の大半を占めるザコ戦で召喚の意義があまりない。「召喚術でないと倒せない敵がいる」というようなデザインだったら面白かったと思うのですが・・・。

 それ以上に問題なのは、召喚術の使い方そのものにもあまり工夫のしがいがないことです。自律行動型の召喚獣は、適当に召喚するだけで勝手に敵を倒してしまうため、そこにプレイヤーの工夫の余地はない(敵をひきつけてくれる、という点は考慮できますが)。単純に敵にダメージを与える召喚獣ばかりで、種類に応じた個性に乏しい点も不満です。単純に攻撃を繰り返すだけでなく、こちらを守ったり、複数の敵をひきつけたり、あるいは属性攻撃で敵をステータス異常に陥らせたりと、そういった個性があれば使い分けの面白さも出てくるんですが、現状ではただ攻撃を繰り返す召喚獣ばかりで、違いと言えばせいぜい与えるダメージが多少異なるだけです。
 範囲攻撃型の召喚の方はまだ使っていて楽しいのですが、こちらもあまり効果に違いがない。というか、単に属性とダメージが異なるだけです。こちらも、単なるダメージの違いだけでなく、何か種類ごとに特別な効果があれば使い分けが面白かったのですが。あるいは、別のアイデアとして、種類ごとに範囲が異なるというのも面白かったかもしれません。単なるサークルではなく、直線上の敵にダメージとか、扇状に広範囲に有効とか、範囲は狭いが威力は高いとか、そういったバリエーションのデザインも可能だったはずです。

 それ以外にも「こうすればもっと面白かった」というアイデアは探せばあるような気がします。2人の主人公で使える召喚術の種類が違うとか(現状では大半の召喚術は与えるダメージが違うだけ)、前述のようにそもそも召喚術でないと倒せない敵が数多く存在するとか。全体的に、ベースとなる召喚のシステムこそ良いと思いますが、それ以上のものがないんですよね。


・召喚はむしろフィールドアクションの方が面白い。
 ただ、このゲームの召喚術は、戦闘に使うだけでなく、戦闘以外でフィールドやイベントで使うことがあります。いわば「フィールドアクション」とでも呼べるべきものですが、実はこちらの方が面白かったですね。
 召喚獣にはそれぞれひとつずつ戦闘以外で使える何らかのアクションを備えており、鍵のかかった宝箱を開けたり、道を塞ぐ障害物を取り除いたり、何らかのイベントをクリアしたり出来るようになります。そして、それを使うことで新しい道が開け、行動範囲が広がっていきます。つまり「新たな召喚獣の入手 → 新しいフィールドアクションが可能 → 行動範囲の拡大」といったシステムです。「ゼルダ」や「メトロイド」のシステムに近いものがあります。残念ながらこのゲームのそれはそこまでアクション性は強くないのですが・・・。
 しかし、この「召喚獣を集めることで行動範囲が広がる」というシステムは思いのほか面白く、このゲームでは結局これに一番はまった記憶があります。このゲームでは召喚獣を手に入れるために、「名前のかけら」というアイテムを集めて、召喚獣の名前を完成させる必要があるのですが、結局のところこのかけら集めが最も面白かったですね。


・アドベンチャー部分はどうか。
 さて、サモンナイトと言えば、シミュレーションパート同様に(以上に)アドベンチャーパートが重要なわけですが、このエクステーゼではどうか。
 まず、今回のゲームはアクションRPGであり、従来のサモンシリーズのようなアドベンチャーパート+シミュレーションパートという構成で、アドベンチャーの合い間にシミュレーション(バトルパート)が入るというスタイルとは当然違います。基本的にはRPGとしてゲームを進めていき、要所要所でイベントが入るというスタイルで、つまりはごく普通の一般的なRPGと同じスタイルになっています。
 内容的にもごくスタンダードなRPGのストーリーといった感じで、そつなく作られているとは思いますが、しかし今までのサモンシリーズと比べると、やはりここでも物足りない点があります。

 単純にストーリーが短いという点もあるんですが、それ以上にアドベンチャーとしての作りこみが淡白で、量的なボリュームに乏しい印象が強いです。
 そもそも、サモンナイトというゲームは、このアドベンチャー部分の作りこみに定評のあるゲームでした。シリーズ初期のサモンナイト1などは、正直シミュレーションゲームとしての出来は大したことないと思うんですが(おい)、それ以上にアドベンチャー部分の作りこみが凄まじく、分岐とエンディングの多さで何度でも遊べる点が最大の魅力でした。中でも各章の終了時に行なわれるキャラクターとの会話イベント(夜会話)などは、「主人公の数×キャラクターの数×好感度によって変化×ゲームの章の数」という膨大なパターンが作られており、なんだってここのメーカーはこんな面倒なゲーム作りをするのかと呆れた記憶があります(笑)。
 しかし、このエクステーゼでは、このようなアドベンチャー部分での凄まじい作りこみはなく、ごく普通のRPGになってしまった感があります。ストーリーの分岐には乏しく(エンディングはわずか4種類)、キャラクターごとの夜会話もなく、一応主人公は2人から選べるものの、どちらを選んでも展開に大きな差異はありません。ストーリーやキャラクター自体はそう悪くないものの、このアドベンチャー部分でのやりこみ要素がすっぱりと無くなってしまったのは随分と寂しい。サモンナイト最大の特長のひとつが大きく薄れてしまった感があります。ゲームのベースが普通のRPGになってしまった以上、仕方ないと言えば仕方ないと言えなくもないのですが、しかし随分と物足りなく感じてしまったのもまた事実なのです。


・丁寧に作られた良作ではあるが、全体的に物足りなさは残る。
 以上のように、ここまで「物足りない」という点ばかりを列挙してしまったため、このページを読んでおられる方には、「このゲームは大して面白くないのか」と感じてしまった方も大勢いると思いますが、実のところ別に面白くないゲームではありません。アクションの操作性や召喚の基本システム、新たにRPGとしてリメイクされたアドベンチャー部分と、個々の部分は実に丁寧に作られており、普通にプレイする分には非常に快適で、ストレスが溜まるような不備な点はほとんどありませんでした(RPGとして基本的なコマンド体系などもよく整備されています)。モンスターとの戦闘もフィールドアクションも、人々との会話や買い物、イベントシーン等もすべて快適で、アクションRPGとしては十分遊べるゲームであると言えるでしょう。
 しかし、それでもプレイしていて何か物足りないというか、「これはもうちょっと工夫すればもっと面白くなるんじゃないか」という点がかなりあったのもまた事実です。

 わたしは、ゲームのデザインというものは、大きくふたつの作業に分かれると考えています。ひとつは、ゲームのベースとなる基本システムのデザイン。そしてもうひとつは、その基本システムにさらに改良・強化を行なう、ディベロップメントの作業です。ディベロップメント(=development)とは、ここでは「改良・強化」等の意味で、これを行なうことで、ゲームをさらに面白く遊べるものにバージョンアップしていくわけです。
 エクステーゼの場合、アクションRPGとしての基本部分は丁寧に作られており、今までのシリーズのシミュレーションRPGとしての蓄積をあえて使わずに、全く新しいデザインでここまでの形の作品にしたのは評価できます。しかし、基本部分はよく出来ていてもそれ以上がない。ディベロップメントの作業が不足しているのです。アクションも召喚も、もうちょっと工夫すれば遥かに面白いゲームになっただろうし、アドベンチャー部分も、ストーリー分岐やキャラクターの選択システムを追加してもっと作りこんでいけば、従来のシリーズ同様にやり込めるものにすることも十分可能だったはず。
 思うに、このゲームは、開発者が新しいデザインのゲームを形作ることに精一杯で、その時点で力尽きてしまった作品か、あるいは、最初から続編前提の実験作のような作品か、そのどちらかだったのではないでしょうか。シリーズとして新しい方向性のゲームに挑戦して、一応の成功を収めているとは思いますが、現時点では今一歩物足りないゲームだったと思います。


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