<ファイアーエムブレム外伝>

2003・11・25

 元祖シミュレーションRPG「ファイアーエムブレム」(以下「FE」)シリーズのひとつで、今となってはあまり知られなくなった一作です。なにしろファミコンですからね。FEシリーズのもうひとつのファミコンソフトである一作目「暗黒竜と光の剣」は、スーファミでリメイクされてプレイヤー層が広がりました。しかし、この「外伝」は、いまだファミコンで止まったままです。

 さて、この「外伝」は、本編のFEと比べるとかなりゲームが違います。いや、ウォーシミュレーションの基本部分・・・マップ戦闘システムの大枠はさすがに同じです。ゲーム画面を見た印象もほとんど一緒。しかし、いざ遊んでみると、ゲームの方向性が明らかに違います。

 とにかく、無限の経験値稼ぎを認めている点が大きい。
 本編のFEでは、基本的にマップ上に配置される敵ユニットの数が固定で、したがってプレイヤーが得られる経験値も固定です。いや、もちろん完全に固定というわけではなく、回復ポイント上の敵を延々と攻撃したり、無限に戦闘できる施設である闘技場を利用したり、壊れた武器を延々と振り回したり(トラキア776)と、工夫すれば無限に近い経験値稼ぎが出来る余地はあります。
 しかし、それらはあくまで「やろうと思えばできる」という程度の存在であり、基本的には「限られた経験値をうまく使って、いかに効率よくユニットを成長させるか」という戦略性の方が強いゲームです。
 さらに、FEシリーズの特徴として「マップ攻略中はセーブできない」という強烈な制約があり、これが経験値稼ぎをやりにくくしています。長い時間経験値稼ぎを続けていると、マップ攻略に失敗してリセットする時にすべての成果が消失してしまいます。「闘技場で延々と経験値とカネを稼いだが、直後に主要キャラが死んですべてがパー」というようなことは、多くの人が経験しているのではないでしょうか?(笑)

 「外伝」は、こういったFE本編の方向性とはまるで異なり、とにかく簡単に経験値稼ぎが出来ます。全体マップ上を自由に行き来でき、その中に「敵ユニットの無限出現ポイント」(のちのゲームでいう『フリーマップ』)が適当に配置され、そこに入ることで気軽に、かつ無限に経験値稼ぎができます。フリーマップをクリア(敵を全滅)するのに時間もかからないため、セーブできないというリスクもほとんどありません。とにかく経験値を稼いで稼いで稼ぎまくって好きなだけキャラクターをレベルアップさせることが可能で、かつデザイナーもそのようなプレイを推奨している節があります。
 なぜかというと、このような経験値稼ぎをしないとゲームの攻略が非常に困難なのです。本編のFEでは、意図的な経験値稼ぎが困難な代わりに、限られた経験値を強いユニットに与えて成長させれば、それでクリアは可能でした。
 しかしこの外伝では、一回のマップ戦闘で得られる経験値がとにかく少なく、かつユニットの成長率も全体的に低めで、到底それだけではクリアできるほど強くはなりません。つまり、意図的な経験値稼ぎが必要なバランスになっているわけです。まあ、ひょっとすると一切稼ぎを行わなくともクリアできる達人もいるかも知れませんが、普通のプレイではそれは非常に厳しく、非現実的です。明らかにフリーマップでの経験値稼ぎを前提にしたゲームデザインになっていると思われます。

 つまり、このゲームは、マップ攻略の戦略性よりも、むしろ経験値稼ぎをいかに効率よくやりこむかのほうが遥かに重要です。パラメータの上限が本編のFEより高く、稼げば稼ぐほどキャラクターが異様に強くなります。その意味では、このゲームはシミュレーションというよりRPGの要素が強いゲームで、とにかく経験値稼ぎのやりこみが重視されているゲームといえるでしょう。
 この稼ぎプレイは大変に作業的で、個人的にはあまり好きなタイプのゲームではなく、正直すごくはまったというほどでもありませんでした。しかし、わたしとは逆に、これに大いにはまる人もたくさんいるでしょう。好きなキャラクターをこつこつ成長させることに喜びを見出す人にはたまらないゲームだと思われます。

 そして、このゲームは、本編のFEほど凝った仕掛けのマップは少なく、ユニットが強ければそれだけで素直にクリアできるマップがほとんど。そうなると、ゲーム本編のマップ攻略は、強化しまくったユニットだけで簡単にクリアできて、むしろ単に成長したキャラクターの強さを試す虐殺プレイの場と化してしまいます(笑)。というか、実際そうなりました。


 そして、このような経験値稼ぎ・キャラクターの成長を重視した戦略性だけでなく、これ以外でも本編とは細部のシステムがかなり異なっています。具体的には、

 などなど。これ以外にも細部の違いを指摘すればかなりの数にのぼります。
 しかし、そんな中で最大の特徴は二部隊制の採用でしょう。主人公ふたりがそれぞれ持つ部隊の両方を操作するシステムで、これは外伝のシステムを受け継いだ「ティアリングサーガ」に継承されて進化しました。元祖である外伝ではせいぜい部隊間でアイテムの受け渡ししかできなかったのが、「ティアリングサーガ」では部隊合流時にキャラクターの移動ができるようになり、自分なりの部隊再編成という面白さができました。
 もっとも、個人的にはこの外伝の方がシンプルにマップを攻略できてよかったですね。「ティアリングサーガ」は色々と面倒すぎましたのでね。


 ただ、そんなシンプルな「外伝」でも、今となってはゲームシステムが古すぎてかなり遊びにくいのが欠点です。メインコマンドが使いにくいし、ステータス画面も見づらいし、ユニットの移動範囲は一切表示されないし、地形効果も表示されない。セーブは上書きのみでかなり危なっかしい。
 このあたりの基本システムを改善してリメイクするだけでもさらに面白くなるでしょう。できれば「ティアリングサーガ」で進化した二部隊制のシステムを取り入れ(メーカーが違うから無理かな)、GBAあたりでリメイクして出してほしいものです。もうファミコン時代のソフトだけにプレイしていない人も大勢いるだろうし(FEシリーズでこれだけプレイしていない、という人も結構いるはず)、リメイクを待っている人は多いと思うんですがね。


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