<悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲>

2001・10・23

 このゲームは、「悪魔城ドラキュラ」シリーズのPS第一作で、マニアックなイメージだったこのシリーズを一般層にもアピールした作品として、非常に重要な一作です。

 これまでは、非常にストイックなゲーム性のイメージがあったドラキュラシリーズですが、この作品は、一般層を意識したのかアクション初心者でもとっつきやすくなっているのがポイントです。
 まず、何と言ってもRPG要素(経験値による成長・マップの双方向性)が大きい。多少アクションが不慣れでも、経験を積んでレベルアップすることで難関を突破できるというゲーム性になりました。マップを自由に回れるのも大きく、これまでのドラキュラのように「特定の場所で詰まって先に進めない」というストレスが大きく減少しました。
 基本的なアクション自体もとっつきやすいものに変わっています。従来のシリーズでは、とにかくクセの強い、すべてにおいて1テンポ遅れるかのような操作性が特徴的でしたが、今作ではある程度過去の操作性のイメージを残しつつも、基本的にはより快適なものに変わっています。まず、武器が鞭から剣に変わったのが大きい。よりオーソドックスな攻撃方法になり、アクションゲームとして万人向けになりました。移動系の操作もクセが少なくなり、ストレスがたまりにくい作りになっています。
 ステージの難易度自体も簡単になっています。これまでは、ボスまでの道中にしろボス戦にしろ、とにかく徹底的なパターン化が要求されるゲームでしたが、今回は基本がアクションRPGということで、そこまで徹底的なパターン化が要求されるシーンは非常に少ない。割とアドリブで先に進めるゲーム性になっています。

 そして、基本的な枠組みがアクションRPGとなったことで、ゲーム性自体もかなり変化し、新しい楽しみが追加されています。
 まず、レベルをあげて行動範囲を広げていくという、RPG本来の楽しみが加わりました。しかも、舞台が悪魔城ということもあって、時計塔や大聖堂、地下墓地に図書館と、かつてのシリーズでの名ステージを自分の意思で訪れることが出来るのがうれしい。かつては通過することしかできなかった悪魔城の名所(?)を自由に行き来できるというのは、シリーズのファンにとってはうれしい限りでしょう。もちろん、新規のファンにとっても、ビジュアル的にヴァリエーション豊かなステージをめぐっていくのは楽しいはずです。
 システム的に見ると、新しいアイテムをとることによって移動アクションが増え、今まで行けなかったステージに到達できるようになる方式を採用しています。飛翔石をとって2段ジャンプして、コウモリ変身アイテムをとって空を飛び、霧変身のアイテムをとって鉄格子を抜ける。このように、新しいアイテムをとるたびにアクションのヴァリエーションが増え、かつ新しいステージへの道も開ける。ゲームの進行に合わせて少しずつ新しいアクションを覚えていけるという、やはりここでも初心者にやさしい作りとなっています。
 ちなみに、このシステムはかつての任天堂の名作アクション「メトロイド」を彷彿とさせるものです。メトロイドの面白さを知っている人なら、すんなりこのゲームに入っていけるでしょう。

・アクションRPG化の功罪
   と、いうわけで、アクションRPGとしての基本的なデザインは素晴らしく、それに加えて悪魔城シリーズの重厚な世界観を自在に楽しめるという、基本的には非常にいいゲームに仕上がっています。
 しかし、それと同時に、RPG要素を加えたことによって、かつての悪魔城シリーズの面白さが失われた部分もあり、手放しでは褒められないところもあるのです。
 具体的には、緊張感と方向性の喪失。これまでのシリーズでは, 一本道のアクションということで、ステージをクリアするたびに悪魔城の中枢に近づいていき、ステージの中身も威圧感に満ちたものに変わっていき、少しずつプレイヤーの緊張感が増す作りになっていました。それが今作では、ひとつひとつのステージをコンスタントにクリアし続けるといった感じで、プレイを続けてもあまり緊張感というものがありません。
 さらに、ゲームの方向性の問題もあり、特にゲーム後半では、かなり散漫で退屈な印象があります。すなわち、このゲームは、前半のうちは「新しい移動系アイテムの獲得 → 新しいステージの攻略」といった展開で、ある程度ステージの攻略に方向性があります。移動範囲が少しずつ広がるということで、自由度のなかにも方向性があるわけです。ところが、この後ゲーム半ばですべての移動系アイテムを獲得してしまい、それ以後はどこへでも自由に行けるようになってしまいます。これは一見して最高の自由度があるように見えますが、実際にはただ単に城の隅々まで回ってマップを埋めるだけの作業となってしまい、非常に退屈です。この後半の展開に関しては、もうちょっとなんとかならなかったかなあ、と思うのです。

・基本的には面白いゲームなのだが。
 もちろん、アクションRPGとしては非常によく出来ており、万人が楽しめる一般性の高いゲームであることは間違いありません。アクションとしての出来もよく、悪魔城シリーズならではの重厚なステージを最高のボリュームで楽しめます。RPG的なやりこみの要素もあり、いわゆる経験値稼ぎやアイテム集めなども楽しめます。
 しかし、RPGにしたことでゲーム攻略の緊張感が薄れ、方向性が散漫になった点も否定できません。「果たしてRPG要素が必要だったのか?」という問題にもなってきます。いや、本当にRPGにする必要があったんですかね。この「月下」の後にリリースされる悪魔城シリーズが、元のスタイルに戻っているところを見ると、やはりRPG化は問題があったのかも知れません。


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