<アドベンチャークイズ カプコンワールド>

2001・10・26

 90年代のカプコンのアーケードゲームというと、まずスト2を代表とする対戦格闘ゲームか、あるいはファイナルファイトに始まるFFタイプアクションが思い浮かぶのですが、もうひとつ非常に重要なジャンルがあります。それは「クイズ」です。アクション系のゲームだけではないぞというカプコンの柔軟性を見ることができるジャンルで、ある意味アクション以上にカプコンのゲーム作りの緻密さを見ることが出来るかもしれません。

 この「アドベンチャークイズ カプコンワールド」は、コンピュータのクイズゲームのパイオニア的な存在で、その意味では、同じくあるジャンルのパイオニアである「ストリートファイター2」「ファイナルファイト」と同じくらい重要なゲームであると思います。
 いや、実際には、このゲームより前にもアーケードでクイズゲームはありました。しかし、それらのクイズゲームは、「ただ問題に答えていくだけ」という演出も何も無い味気ないゲームでした。単なるクイズの羅列にすぎず、ゲームとは言えなかったかも知れません。
 そんなクイズゲームの常識を覆したのが、この「カプコンワールド」です。カプコンワールドというだけあって、当時のカプコンのゲームキャラクターがボスとして登場します。しかし、それ以上に目を引いたのが鮮やかなマップ画面。ゲーム中でサイコロをふって、マップ上のすごろくの桝目を進んでいくゲームなのですが、ただ単にクイズに答えていくだけのゲームしかなかった当時、このような世界観と演出が存在するクイズゲームは実に新鮮でした。
 ゲームの進行としては、前述のようにサイコロを振ってマップ上のすごろくの桝目を進み、止まったところで何問かのクイズに答え、クリアしたらまたサイコロを振って・・・の繰り返しです。すごろくのゴールまで到達するとそこにはボスが待ち構えていて、ここでも何問かのクイズに答えることで、ボスを倒して次のステージ(すごろく)に進みます。まあ、似たようなタイプのクイズゲームは、いくらでもこの後にリリースされるようになったので、皆さんもどれか一度くらいはやったことがあるでしょう。
 クイズ自体は単純な4択です。すごろくの桝目によってはボーナスで2択や3択になったりします。また、ボスとの戦いでは、ボスが指定してくるジャンルから得意なものを選択できます。この「基本は4択クイズ」「場合によっては2択・3択・ジャンルセレクトあり」というスタイルは、その後のクイズゲームにそのまま引き継がれ、クイズゲームの基本となります。さらには、プレイヤーが「お手つき数」を持っていて、クイズに間違えるたびにひとつずつ減っていき、すべてなくなるとゲームオーバーというシステムを採用していました。最初にプレイヤーが持つお手つき数は3ですが、クイズに何問か答えて得点を稼ぐことで増えます。この「お手つき数がなくなるとゲームオーバー」「何らかの手段でお手つき数が回復する」というのもクイズゲームの基本スタイルになります。
 このように、一作目にしてほぼクイズゲームの基本スタイルを完全に確立しており、まさにクイズゲームのパイオニアにふさわしい完成度でした。
 もうひとつ面白いのは、この「4択クイズ」をゲーム化するために、わざわざ4ボタンのコントロールパネルを開発したことです。このあたりもいかにもカプコンらしい(*注)というか、ダイレクトに正解ボタンを押すだけでいいという操作性の良さが素晴らしいのです。これが、もし「レバーで選択してボタンで決定」というオーソドックスな操作系だったら、ここまではまらなかったかもしれません。また、このゲームは「早押し」を意識したゲーム性なので(早く正解するほど得点が高い)、その意味でもこの4ボタンコンパネの意味は大きい。というか、早押しのゲーム性を再現するために、このコンパネを作ったのかも知れません。

(*注)カプコンワールドの発売は89年だが、この当時のカプコンはとにかく個性的なコントロールパネルを作ることで有名だった。スト1の「ぶっ叩きボタン」やスト2の6ボタンシステムはその代表と言ってよいだろう。そしてもちろんこの「カプコンワールド」の4ボタンもその代表である。

・簡単だった初代カプコンワールド
 そして、この初代カプコンワールドは、その後登場するクイズゲームたちと比較して非常に簡単で、この点も優れていました。実際、わたしはこのゲームを正解率70%でクリアしました。10問に7問正解すればいいわけです。問題自体も簡単なレベルで、中高生レベルの知識があれば十分対応できたと記憶しています。問題総数も3000問と、後のゲームと比べると少なく、ちょっとやりこめばすぐ問題を覚えることも可能でした。のちにカプコンはクイズゲームをたくさんリリースしますが、ここまで簡単なのはこのゲームだけです。実際、この後のゲームはクリアに正解率90%(あるいはそれ以上)を必要とします。
 そして、この難易度が低いことと、アクションを必要としないクイズということが幸いして、普段アーケードゲームをやらない人にもとっつきやすかったのが大きい。ゲームセンターに新たな客層を呼んだといってもいいでしょう。もちろん、ゲーマーにとっても、このような新鮮なジャンルのゲームが楽しめるというのは大いに有難いことでした。対戦格闘、FFタイプアクションと並んで、カプコンはクイズゲームでもアーケードゲーマーを大いに楽しませてくれました。

 まさにクイズという一大ジャンルをアーケードにもたらした「アドベンチャークイズ カプコンワールド」。カプコン=アクションというイメージからどうしても影に隠れてしまいがちなジャンルですが、このゲームの功績はもっと認められてもいいのではないでしょうか。
 それにしても、この当時のカプコンは、対戦格闘・FFタイプアクション・クイズとアーケードゲームのジャンルを3つもおさえていたんですね。まさに最盛期。80年代のアーケードがナムコの時代とするなら、90年代はカプコンの時代と言ってもいいかもしれません。


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