<真・女神転生>

2001・10・24

 このゲームは、いい部分と悪い部分がはっきりしています。
 この「真・女神転生」はアトラスのメガテンシリーズの代表作で、その意味ではメガテンシリーズの長所と短所を両方とも見事に体現しているといえます。
 では、まず良い点から。

(1)世界観の作りこみ(ゲーム的なお約束がない)
 まずこれが非常に重要。そもそも、わたしは、RPGによく見られる「お約束」が好きではありません。詳しくは現代RPG批判(4)を見ていただきたいのですが、とにかく今のRPGは困ったお約束だらけです。なんで宝箱が無造作においてあるのかとか、なぜモンスターがお金をもっているのかとか、ダンジョンのあの馬鹿馬鹿しい仕掛けは誰が作ったのかとか、言い始めるときりがありません。というか、モンスターの存在意義自体がよくわからないRPGすら多い。一体なぜやつらはそこにいて、なぜプレイヤーを襲ってくるのでしょうか。わけがわかりません。さらに、そのような設定上の問題以上に、物理法則上の問題もあります。第一プレイヤーの視点がはるか上空にあるというのが問題で、なんで壁の向こうが見えるの? とかいった根本的な疑問もあります。
 しかし「真・女神転生」ではそんな心配は無用です。まず、メガテンの世界は完全に3Dマップで描かれていて、視点上の違和感はありません。主人公の視点=プレイヤーの視点です。2Dマップも出てきますが、これは「主人公の持つモバイルコンピュータのモニター上に映し出されたCGマップ」という設定です。つまり、あくまで主人公=プレイヤーという視点にこだわっているのです。
 モンスターの存在意義が明確なのも大きい。メガテンシリーズのモンスターは「アクマ」と総称されますが、彼らアクマの存在理由は、毎回ストーリーでしっかりと説明されています。個々のアクマの行動原理も明確で、彼らはやみくもにプレイヤーを襲ってきたりはしません。そう、アクマと会話・交渉することも可能なのです。アクマがお金をもっている理由も明確です。そう、彼らは明らかにアクマ間で独自の通貨体系(マッカ)を作り上げています。アクマ間でもお金というものに価値があるのでしょう。その証拠に、彼らアクマは交渉でお金を頻繁に要求してきます。 
 ダンジョンに意味不明な仕掛けがあまりないのもいいです。そもそも普通のビルや建物に意味の分からないトラップが仕掛けられているわけがありません。不用意に宝箱が落ちてないのもまたしかりです。
 このように、世界設定の上で徹底したリアリティを追求しているのが、このメガテンシリーズ最大の長所です。これは、同じく大作RPGであるドラクエやFFには全く見られない点で、この設定の作りこみに関しては日本のRPGの中でもトップクラスです。このメガテンシリーズは、世界観の魅力に惹かれてプレイするディープなファンが多いのですが、その理由のひとつがこのリアリティある世界設定にあることは間違いないと思います。

(2)アクマとの会話及び合体の楽しさ
 まあ、これはこのシリーズ最大の売りなのでいまさら説明するまでもないでしょう。
 他のRPGでは敵でしかなかった存在のモンスター(アクマ)と会話ができる。これだけでも大きいです。さらに、会話の結果次第では戦いを避けることができるばかりか、アイテムやお金が手に入ったり、アクマそのものを仲間(仲魔)にできたりする。単純な戦闘ゲームになっていないところが最大の魅力ですね。
 そして、仲魔にしたアクマを合体でまったく違うアクマに合成できるというのが今だに斬新な要素です。プレイヤーの工夫次第でまったく性質の違うユニットを手に入れることができる。この戦略性の高さは今のRPGと比較してもひけをとりません。また、合体という行為自体が、このゲームのダークな世界観と合致している点も魅力です。

(3)選択肢の積み重ねによって決まるストーリー展開
 このゲームは、いわゆるマルチエンディングですが、ある特定の選択肢によってストーリーが分岐するわけではありません。プレイヤーの選んだ個々の選択肢や行動指針を積み重ねた総合評価によって、ルートが決定される仕組みとなっています。
 これはこの当時としては非常に斬新で、私自身はこのゲームが初体験でした。このシステムを視覚的にも分かりやすいスタイルで売り出したのが、「伝説のオウガバトル」の「カオスフレーム」だと思うのですが、この「真・女神転生」はオウガバトルよりも前にこのシステムを打ち出しています。その意味でまさに元祖カオスフレームと言えるわけで、このシステムはもっと評価されてもいいと思います。

 このように、他のRPGとは一線を画する多くの長所を備えており、これだけならこの「真・女神転生」は文句無く名作です。しかし、それと同時に、このゲームはかなり大きな欠点をも抱えており、必ずしも万人におすすめできないのが現実です。では、これからこのゲームの悪い点について言及していきます。

(1)戦闘がつまらない。
 アクマとの会話・交渉はとても楽しいんですが、それと反比例するかのように戦闘があまり面白くありません。
 まずザコ戦がうざいことこの上ない。あまりに面倒なので基本的に全部オート戦闘です。オート戦闘といえば聞こえはいいが、要するに黙って見ているだけ。斬る斬る斬る斬る斬る。もしくは撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ。てゆうかこれだけ撃ちまくって銃が弾切れを起こさないのが謎。やつらの銃は全部100万発入りのコスモガンに違いありません。で、まあ気持ちよく連打してるうちはまだいいんですが、たまにこちらの物理攻撃を反射する敵が出てきやがりまして、気づかないうちに連打しまくっていたらいつの間にかパーティーが全滅していたというのが笑えない笑い話(でも実話です)。
 しかも、ザコ戦のエンカウント率が尋常ではありません。場所によっては一歩歩くたびにエンカウントします。しかもエンカウント方式が独特で、一回敵を全滅させても同じ場所で再度別の敵とエンカウントすることがあります。そしてそれを倒すともう一回。最大で三度同じ場所でエンカウントする可能性があるのです。これでは中々先に進めません。
 しかもこれだけ戦闘をこなしても中盤以降はほとんどレベルがあがりません。自分よりも弱い敵を倒しても少量の経験値しか得られないというシステムが問題でして、中盤以降どんなにザコ戦をこなしても中々レベルが上がらない。
 ザコ戦もつまらないがボス戦もよろしくない。ボスといえば聞こえはいいが、要するにヒットポイントが多いだけでしょう。「タルカジャ」っていう攻撃力を増強する魔法があるんで、とりあえずこれをかけてあとはひたすら斬る斬る斬る斬る斬る(もしくは撃つ撃つ撃つ撃つ撃つ)。しかもボスはヒットポイントだけは無意味に多いんで、この作業を延々と繰り返すはめになります。
 実際これだけ戦闘が単調だと、せっかく苦労して強いアクマを合体で作っても活躍の場がないというか・・・悪魔合体の魅力を戦闘のつまらなさが半減させています。

(2)無意味にだだっ広いダンジョン
 これがまたプレイヤーのやる気をみるみるうちにそぎ落とす(笑)。こんな馬鹿馬鹿しいだだっ広いだけの建物を一体誰が作りやがったんでしょうか。プレイヤーに対する嫌がらせとしか思えません。とくにこのゲームのラストダンジョン「カテドラル」はもはや究極の嫌がらせといえるでしょう。このゲームのデザイナーはこんなもん作ってほんとに面白いとでも思っているのか。
 しかも、広い上に前述のようにエンカウント率が異様に高く、とてもじゃないがやってられません。「エストマ」というエンカウントを無くす魔法が、このゲームの攻略には必須でしょう。

(3)攻略本が無いと難しい悪魔合体
 合体という行為自体はまあ面白いんですが、肝心の合体法則が攻略本でも見ないかぎりよく分かりません。基本となる二身合体については攻略本に合体表がありますが、応用的な三身合体や特殊合体については、ゲーム中にこれといったヒントがなく、自分で法則を見極めるのは非常に難しいものです。なんで合体法則のような重要事項をプレイヤーに教えないのか。それとも攻略本を買えという資本主義戦術でしょうか? これもデザイナーの真意がよくわかりません。

 
 このように、「真・女神転生」はよく出来た部分と、あまりにも味気ない部分が同居しており、プレイヤーによって相当好みが分かれるかと思います。特に、戦闘に面白さを求めるプレイヤーには厳しいでしょう。戦闘に関しては、同時期に出た「FF5」とは天と地の差があります。その分世界設定とアクマとの会話・合体で補っているんですけどね。
 実際、このゲームは戦闘とダンジョンさえどうにかすれば、さらに評価の高い作品になっていた可能性が高い。その意味では非常に惜しいゲームでした。


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