<THE 登山RPG 〜銀嶺の覇者〜>

2002・8・26

 RPGを全くやらなくなって久しいんですが、シンプル1500シリーズで 何だか面白そうなゲームが出てたんで試しにやって見ました。
 で、まあ1500円にしては結構よくできているとは思うんですが、「本当に面白いのか」と訊かれるとかなり微妙なところ。

 登山というモチーフからしてバカゲー・・・というかかなりネタ的な部分があるんですが(敵キャラが「高山病」や「落石」、「雪崩」に「滑落」、果ては「凍った死体」とか「雪女」「雪男」まで出てくる。ちなみに「山頂」がボス)、システム的にはまじめに作ってあります。ストーリーらしきものはほとんどなく(ただ山に登るだけ)、純粋にシステムがむき出しになったゲームなので、今のRPGに納得できない人は、これだけで買いでしょう。

 ゲームの概要を簡単に説明すると、これはエンカウント式のRPGです。敵がフィールド上で見えていて、接触するとエンカウントするタイプのゲームです。
 しかし、このゲームが普通のRPGと違うのは、フィールドマップ上の操作が「リアルタイムシミュレーション」っぽくなっている点。つまり、パーティーを自分で操作するのではなく、外から指示を出して誘導していきます。
 ゲームを始めると、まずベースキャンプ(マップスタート地点)でパーティーを編成して、作ったパーティーをマップ上に送り出して指示を出していきます。指示といってもできることはシンプルで、「移動方向の決定」と「キャンプを張る」ことくらい。
 「移動方向の決定」とはマップ上の任意の場所に旗を立てる行為。パーティーは旗に向かってひたすら直進します。愚直にもひたすら直進するだけなので、状況に応じてこまめに旗を立てかえないといけません。マップ上の敵は常にリアルタイムで動いているので、適切な対応が要求されます。
 もうひとつ、パーティーに「キャンプを張らせる」ことで、減ったHPやスピリットゲージ(後述)が徐々に回復します。要するに、「パーティーを旗で誘導して敵と闘わせ、傷ついたらキャンプを張って回復する」という行為を繰り返して、経験値を溜めてパーティーを成長させ、最終的にはボス(山頂)に挑む、というのが基本的なゲームの流れです。

 さて、これだけだとマップ上の操作がシミュレーションっぽくなっているだけで、普通のエンカウント式RPGと大して変わらないように見えますが、実際には、このゲーム独自の要素がいくつか存在し、これが割とよく出来ています。

 まず第一に、前述の「スピリットゲージ」の存在。これは、パーティーの行動力にあたるもので(面倒なのでこれ以後「行動力」と表記します)、移動や戦闘を重ねるたびに減っていきます。ゲージが減るとパーティーの移動スピードが落ち、戦闘でもターンの回りが遅くなるなど、不利益が生じます。そのため、行動力が落ちるたびにこまめにキャンプを張って回復しないといけないわけです(キャンプではHPも回復するが、実際には行動力の回復のためにキャンプを張るケースがほとんどです)。
 ここで面白いのは、マップ上で山を登って高度が高くなるほど、行動力に制限がかかってくる点です。まだ高度が低いうちは長時間移動しても行動力はさほど減らず、キャンプを張ったときの回復も早い。しかし高度を上げて山頂に近づくにつれ、移動に多くの行動力が必要になり、キャンプを張ったときの回復も目に見えて遅くなります。「高度が上がって道が険しくなるにつれ、隊員の行動に制限がかかってくる」という登山の常識をうまくシステム化しており、これは好感が持てます。

 もうひとつ面白いのは、戦闘中に行動力がゼロになると、どんなにHPが残っていてもその戦闘は負けになる、という点です。この場合全滅にはなりませんが、その代わりスタート地点のベースキャンプまで一気に戻されます。戦闘が長期化するとどんどん行動力が下がっていくため、たとえHPが残っていても危険です。また、移動を続けて行動力が下がっている時に、うっかりエンカウントしてしまってもやはりまずい。前述のように、山を登って高度を上げていくごとに行動力の消費が激しくなりますから、山頂に近づくにつれかなり慎重なプレイが要求されます。せっかく山頂近くまでいってスタート地点まで戻されたらたまらないですしね。

 このように、行動力でパーティーの動きに制限を加えるというシステムがよく出来ていて、行動力を常に考慮した慎重なプレイを要求されるところが面白いです。

 そしてもうひとつ、面白いシステムが「複数のパーティーによる連係」です。ベースキャンプで2つ以上のパーティーを作成して、それらを別個にマップに派遣することが出来ます。また、派遣したパーティーは、キャンプ地点においてなら合流したり分離したりできます。これが何を意味しているのか。
 このゲーム、いつでも戦闘から逃げることができ、たとえボス(山頂)からでも100%逃げられます。そして、逃げたパーティーは最寄のキャンプに戻されます。そして、ボスの体力は戦闘から逃げても減ったままです。・・・つまり、一回の戦闘では倒せないような強力なボスでも、近くに別のパーティーにキャンプを張らせて、そこを拠点に何回も攻撃を繰り返して倒すことが可能なのです。これは、実際の登山で、山頂近くに拠点キャンプを張って、アタックを繰り返して山頂を制覇するという行動をゲーム化したものと思われ、これも優れたシステムだと思います。
 また、ボス戦でなくとも、近くに別パーティーでキャンプを張って、戦闘でピンチの時にキャンプに逃げるようにすれば、一気にベースキャンプに戻されるというリスクを冒さずにすみます。「キャンプを拠点にして山を制覇する」という本格登山のフィーチャーを、うまくシステムに取り入れたいいゲームです。


 ・・・と、これだけ書いてみると、いかにも斬新でいいゲームのように見えるのですが、実際には肝心なところで調整をミスっているようなところがあり、必ずしも面白いとは言い切れないのです。

 まず、何といってもレベル上げがだるすぎる。いくら複数パーティーの協力というシステムがあるとはいえ、それだけで自分たちよりも強い敵モンスターに勝てる道理はなく、結局のところ地道なレベル上げが要求されます。
 ところが、このレベルがなかなか上がらない。なんか一昔前のRPGみたいですね。レベル10くらいまではスムーズにあがるんですが、それから先は急激に成長が遅くなる。レベル20を超えてからは這うような遅さ。しかもラスボスを倒すためには最高レベル(30)近いレベルは欲しいため、とにかくレベル上げだけで大変です。
 しかも、このゲームの戦闘は、オーソドックスなドラクエ式のセミオート戦闘で、一旦コツをつかめばあとは単純な作業プレイと化すため、ますますもって辛い。あまりに退屈なんでオートで戦闘させて隣のPCでインターネットしてました(笑)。そりゃあ今のRPGみたいにあまり簡単にレベルがあがるのも考え物ではあるが・・・しかしこのゲームに関しては、戦闘以外にマップ上で考えることが多く、その分戦闘ではもうちょっと気軽にレベルが上がってもよかったと思います。

 そしてもうひとつ、実は肝心の「複数パーティーによる協力」というシステムがあまり生きていません。ラストマップだけはきちんと複数のパーティーで拠点を作っていかないとクリアできませんが、逆にそれ以外のマップなら、単純に1パーティーを徹底的に強化するだけでほぼクリアできてしまいます。これではバランスが甘すぎます。
 それに加えて、前述のようにとにかくレベル上げがだるいため、あえて複数のパーティーを育てる気になれないのが最大の問題です。1つのパーティーだけでも育てるのに膨大な時間がかかるのに、同時に2つも3つも育てられるかっつーの。このゲーム、前述のようにラストマップだけは複数パーティーでないとほとんどクリアできないため、ここだけは死ぬほど苦労してパーティーを育てねばなりませんでした。はっきり言って、システムを楽しむ以前にレベル上げの苦痛のほうが大きかったような気がします。

 結局のところ、このゲームは、パーティーの成長はとにかく簡単にして、その分「複数パーティーによる連係」というシステムの面白さを突き詰めたほうがよかったと思います。出来れば、「近くに拠点キャンプがないと大きく行動力が制限される」とか「近くに拠点キャンプがないと山頂へのアタックそのものができない」とか、よりシステムを生かしたフィーチャーがあってもよかったのではないでしょうか。かえすがえすも残念なゲームでありました。


「割と楽しかったゲーム」にもどります
ゲームトップへもどります
トップへもどります